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顧客とのトラブルを未然に防ぐために、おさえておきたい4つのポイント

案件を進める上で、顧客との認識の齟齬や、意見の相違もなく、終始円滑に進めらる・・・これが理想ですよね。しかし、実際のところ、初めての家づくりに大きな期待とストレスを抱える顧客は多く、予期せぬ問題が発生した場合、顧客と専門家間でコミュニケーションが上手く取れていないと、トラブルに繋がることもあります。

Houzz Pro

トラブルを未然に回避し、顧客にできるだけ満足してもらうために何をするべきか? Houzz コミュニティの経験豊富な専門家たちにインタビューを行いました。顧客とのトラブルを防ぐために気をつけていることや、コミュニケーションにおいて工夫していることを、4つのポイントでご紹介します。

1. 全体の流れと各工程における期待値コントロール

多くの住まい手にとって、家づくりは人生の中で一度または数回しか経験しないような貴重な体験です。その為、初めて専門家に依頼する施主には、案件全体の流れ、そして各工程で想定される作業を、最初から丁寧に説明しておく必要がありますよね。

イン・ディテール・インテリアのクレンデノン氏(インテリア・デザイナー)は「顧客とは滅多に意見が対立することはありません。その理由は、案件が始まる前から、私たちがどのような流れで仕事を進めるのか全体像から詳細までしっかりと説明しているからです」と話します。

クレンデノン氏は、見込み顧客に対して、デザインの提案書を作成する前に、必ず「クライアント・イントロダクション」を5回のセッションに渡って行うそうです。その顧客がクレデノン氏に依頼するメリットは何か、そして依頼した場合、どのように案件が進むのかを詳細に説明し、案件が始まる前に顧客の期待値をコントロールします。

進め方としては、まず最初の電話の前に「クライアント・イントロダクション」の内容をまとめた資料をメールで送付するそうです。電話で詳細を説明し、その後のフォローアップメールでも再度送付。そして、最初の打ち合わせでは施主の依頼内容のヒアリングだけでなく、再び「クライアント・イントロダクション」の内容を伝え、問題がないか確認。ウェブサイト上でも、その資料やよくある質問 (FAQ) を掲載しているとのことで、情報の見える化と共有を徹底しています。

専門家にとっては当たり前のことも、施主にとっては初めてのことが多いため、このように全体や各工程におけるプロセスについて繰り返し説明をすることが非常に重要です。

また、現在コロナ禍の影響で、ウッドショックを始めとする物流の混乱や価格高騰など予期せぬ事態が次々と起きています。

エム・スワブ・デコール&スタイルのスワブ氏(インテリア・デザイナー)は「私たちデザイナーにとって、リードタイムが問題になることが多々あります。例えば、在庫のあるソファを注文しても、2週間後に業者からその商品は製造中止になったと連絡が入ることだってあります。特に先が見えないコロナ禍では、どのような案件でも、多少の変更が生じる可能性があることを顧客に理解してもらえるよう話し合っています」と語ります。

2. 「価格・スケジュール・仕上がり」3つのポイントでの説明

基本的なことですが、顧客との衝突を避けるためには、きめ細やかなコミュニケーションを取ることが非常に重要です。

41 ウエストの B.J. バロン氏(工務店)は「顧客が知りたいことは、価格・スケジュール・仕上がりの3つです。私が見てきた中で、上手くいかない企業は、この3つを早いタイミングで、きちんと伝えられていないことが多いです。例えばよく聞くのは、請求書を送るのが遅くなってしまい、顧客に『あれは含まれていると思っていた』と言われてしまうケース。打ち合わせ中、または直後に、速やかに送っていれば 回避できたトラブルですよね。

もう一つ大事なコミュニケーションの秘訣は、話し合った内容をすべて文書化することです。私は部下たちに、打ち合わせだけでなく、ちょっとした会話の後も、話した内容をメールにまとめて送るべきだと説いています」と語ります。

予期せぬ問題や突然の仕様変更が、具体的にスケジュールや費用にどのような影響を与えるのか、顧客は分かりません。そこでバロン氏は、顧客から仕様変更を依頼された場合、先ほどの価格・スケジュール・仕上がりの3つのポイントをもとに、案件全体にどのような影響があるかすぐに説明します。

問題ないようであれば、その3つのポイントも含めて、詳細に記した仕様変更書を迅速に送付。そして、トラブルを回避するため、作業を進める前に、電子サインを必ずもらうようにしているそうです。

Houzz Pro のようなビジネスソフトウェアを使えば、バロン氏が述べていた「請求書の送付」「顧客・社内間での議事メモの共有」「仕様変更と電子サインの受領」などを全て簡単且つスピーディに行うことができます。顧客との会話履歴やデータを管理できるだけでなく、見積書・請求書・仕様変更書を含む文書類の作成から電子サインの機能まで備わっているので、顧客とのやり取りを更に円滑に進めることができるでしょう。

3. 環境変化に応じたスケジュールの調整と顧客への提案

新規顧客を獲得できるまでにかかる時間、見込み顧客を案件化できるまでにかかる時間、作業にかかる時間など、コロナ禍前後でリードタイムに於いて何かしらの変化はあったと思います。

例えば、ギンゴ・ リーフ・スタジオのドジェヴィエッキ氏(ランドスケープ・デザイナー)は、問い合わせが2週間ほど減っただけで、通常の仕事のペースがもっと遅くなってしまったことに気づいたそうです。

今までドジェヴィッキ氏は、同僚のデザイナーのポールソン氏とオフィスで仕事をしていましたが、コロナ禍をきっかけに在宅勤務に切り替えました。リモート体制は3ヶ月ほど続き、問い合わせも減る一方で、コロナ禍による様々な生活の変化やストレスがチームの生産性を低下させました。

現在、2人はオフィスに戻り、問い合わせの数もかつてないほど増えていますが、生産性が低下してしまった時の仕事のペースから脱却できずにいます。その結果、新しいデザインの制作にかかる時間が長くなってしまったのです。

「案件の開始日に関しては、その時の忙しさに応じて、6週間後・8週間後・10週間後・12週間後という形で伝えています。中には、まだ話してから4週間しか経っていないのに催促の連絡をしてくる方もいます。Amazon のように、欲しいものは全てワンクリックで手に入れられる世の中になってきているからでしょうか」とドジェヴィエッキ氏は話します。

また、その時の業務の忙しさだけでなく、見込み顧客からの問い合わせの量に応じて、伝えるスケジュールを調整しているとのこと。実際に案件化した時に、顧客を待たせることなく、スムーズにご案内できるように、余裕を持ったスケジュールを提案することを心がけているそうです。

4. それでも意見の対立がある時のための準備

案件のスタートから完了まで、丁寧にコミュニケーションを取り、顧客との決定事項をすべて文書化していれば、衝突を避けることができます。しかし、時にはどうしても意見の対立を避けることができないこともあります。そのような場合、自分が正しいと思うことをどこまで貫くのか、顧客が満足する方を取るのか、何を優先するか心に留めておく必要があります。

クレンデノン氏は「経営にはコストがつきものですよね。例えば、黄色のドアノブを依頼されていたのに、突然赤いドアノブが欲しいと言われる。もちろん赤を準備します。このようなことも想定に入れて予算を立てています」と語ります。

建材やインテリアの話だけでなく、既に合意しているはずの案件の方向性についても、顧客との意見の相違が生じることもあるかもしれません。

クリスプ・アーキテクツのクリスプ氏(建築家)は「私は『クライアントは常に正しい』という言葉に立ち返ります。規約に反していたり、危険を伴うものでない限り、顧客の理想とする家をとことん追求します」と話します。

優先順位は各社それぞれです。過去の事例から、想定されるケースを事前に洗い出しておき、貴社なりの対策を準備しておくと良いでしょう。

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