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緑と木に包まれて愛犬と過ごす、癒しの週末ハウス
長い間空き家になっていた先代の別荘をフルリノベーションして、子育てが終わった夫婦が3頭の愛犬と訪れるウィークエンドハウスに。人にも犬にも優しいおおらかな住まいができました。
takako kawaguchi
2020年6月7日
愛犬家にとって、犬を自由に遊ばせながら、自分たちもゆったりとくつろぐことは何よりのリラックスになる。しかし大型犬となると旅先でも受け入れてくれるところがなかなかなく、自宅以外で愛犬とのびのび過ごせる場所がないのが実情だ。普段の生活から離れ、週末は開放感あふれる環境で愛犬との時間を楽しみたい、そんな思いを抱いたオーナー夫妻が取り組んだのが、ここでご紹介する築25年の空き家のリノベーション。もともと先代が購入した別荘が17年以上放置してあり、それを活用しよう、ということから計画はスタートした。
どんなHouzz?
家族構成:60代夫婦、犬3匹
所在地:長野県千曲市
敷地面積:167.90平方メートル
延床面積:84.07平方メートル
構造:木造2階建
設計:中尾英己建築設計事務所
キッチン製作:株式会社矢島
施工:株式会社鹿熊組
竣工時期:2017年8月
子育てが一段落し、3頭のゴールデンレトリーバーと市街地で暮らしているオーナー夫妻。先代が手に入れた別荘は周りを山に囲まれ、週末に訪れるには絶好の自然豊かな環境だったが、長い間放置されたままになっていた。この物件を見た〈中尾英己建築設計事務所〉の中尾英己さんは、建物内部と庭のフルリノベーションを提案。山側に向かって大きな窓をとり、さらに吹き抜けで各部屋に光と緑を満たし、庭にはドッグランを設けるなど、人も犬も自然に包まれて開放感にひたれる計画を進めていった。
家族構成:60代夫婦、犬3匹
所在地:長野県千曲市
敷地面積:167.90平方メートル
延床面積:84.07平方メートル
構造:木造2階建
設計:中尾英己建築設計事務所
キッチン製作:株式会社矢島
施工:株式会社鹿熊組
竣工時期:2017年8月
子育てが一段落し、3頭のゴールデンレトリーバーと市街地で暮らしているオーナー夫妻。先代が手に入れた別荘は周りを山に囲まれ、週末に訪れるには絶好の自然豊かな環境だったが、長い間放置されたままになっていた。この物件を見た〈中尾英己建築設計事務所〉の中尾英己さんは、建物内部と庭のフルリノベーションを提案。山側に向かって大きな窓をとり、さらに吹き抜けで各部屋に光と緑を満たし、庭にはドッグランを設けるなど、人も犬も自然に包まれて開放感にひたれる計画を進めていった。
既存の建物には4つの個室があり、建物の真ん中に階段がある構造。空間が分断され、開放感がない印象だったという。そこで山側にあった和室などをなくし、既存のサッシは活かしつつ、2階に大窓を採用。その光が1階へも届くように吹き抜けを設けた。
南東向きの景色の先には建物はなく、人目を気にせず里山の濃い自然を存分に堪能できる。
空間を広げるべく、既存の天井は取り払い、梁をあらわしに。「木造の素材感を表現したいのと、その結果として、素材の優しさがリゾートのような雰囲気を出せればと考えました」と中尾さん。
壁、天井材はどちらもシロラワンベニアの目透かし張りで意匠を感じる仕上げ。床材はフローリングにし、1階部分は愛犬のためにノンスリップ加工を施した。「ただ、人が歩くのにある程度は滑らなくてはならないので、その調整が難しかったです」と振り返る。
木材を多用した中で、濃いグレーのアイアンの手すりが空間をシャープに引き締め、大人の週末ハウスとしての洗練度を高めている。
空間を広げるべく、既存の天井は取り払い、梁をあらわしに。「木造の素材感を表現したいのと、その結果として、素材の優しさがリゾートのような雰囲気を出せればと考えました」と中尾さん。
壁、天井材はどちらもシロラワンベニアの目透かし張りで意匠を感じる仕上げ。床材はフローリングにし、1階部分は愛犬のためにノンスリップ加工を施した。「ただ、人が歩くのにある程度は滑らなくてはならないので、その調整が難しかったです」と振り返る。
木材を多用した中で、濃いグレーのアイアンの手すりが空間をシャープに引き締め、大人の週末ハウスとしての洗練度を高めている。
手前にソファが置かれた、くつろぎスペースの広さは約4.5畳。昼間は日光浴をしながら音楽や読書を、夜は対面の壁に100インチのスクリーンを引き出し、プロジェクターで映画を映して楽しむことも。心の赴くままに趣味を満喫できる極楽空間である。
写真右手のミニキッチンは、趣味の合間に飲むお酒を作るためのもの。奥様の好きなブルー系モザイクタイルを張った壁が、インテリアにオリジナリティとインパクトを与えている。
写真右手のミニキッチンは、趣味の合間に飲むお酒を作るためのもの。奥様の好きなブルー系モザイクタイルを張った壁が、インテリアにオリジナリティとインパクトを与えている。
「ゲストがたくさん来られるとのことでしたので、皆でわいわい楽しめるキッチンの形を考えました」と中尾さん。その言葉通り、大勢で囲める幅と奥行きのあるカウンターキッチンだ。友人を招いてのホームパーティの他、夫婦で時間をかけて凝った料理を作ったり、カクテルを楽しんだりと、週末生活の舞台となっている。
カウンターはダークブラウンのウォルナット材。柾目ですっきりとシンプルなイメージにした。キッチンの広さは約10畳。愛犬たちは庭のドッグランスペースから、スロープを使って1階へと容易に出入りできるレイアウトとなっている。
カウンターはダークブラウンのウォルナット材。柾目ですっきりとシンプルなイメージにした。キッチンの広さは約10畳。愛犬たちは庭のドッグランスペースから、スロープを使って1階へと容易に出入りできるレイアウトとなっている。
キッチンは「カフェのイメージ」との希望もあり、こちらでも奥様の好きな青をベースにタイルをチョイス。タイル専門会社〈TChic〉の古き良き焼き物のアンティーク調仕上げが魅力的な《レベリ》を貼り、表情豊かに仕上げた。造作した背面の収納棚はダークブラウンのウォルナット材。しっとりと大人っぽい空間を演出し、タイルの魅力を際立たせている。天井部分はシンプルな木目の米栂(コメツガ)羽目板を使用。
もともと建物の中央にあった階段は壁際に寄せ、リビングとして大きな空間を確保。吹き抜けにすることで、LDKすべての位置から気持ちのいい緑や空を仰ぎ見て、山に囲まれたロケーションを最大限楽しめるようにした。
多趣味な夫妻らしく、リビングの壁には絵画がリズミカルに配置されている。
多趣味な夫妻らしく、リビングの壁には絵画がリズミカルに配置されている。
1階にある洗面所とバスルーム。ここでも壁面はタイルをあしらい、家全体としてまとまりを持たせた。使用した〈TChic〉のタイルは、一枚一枚のニュアンスが異なり、表情に変化がある《パルメザンアンティーク》。小さなスペースに面白みを加えている。洗面カウンターはインテリアイメージと合わせ、コーヒー色に。鏡の裏には収納も設けた。
「お風呂がお好きなオーナーですし、週末ハウスなので、それにふさわしい非日常空間を演出しました」と中尾さん。約3畳ほどの広さを確保した、米ヒバ材を使った風呂に入ると、旅館で温泉に入っているかのような気分に。天気のいい日は窓をオープンにすると、手つかずの自然が広がり、いつまでも湯につかったまま眺めていたくなる。
先代が家を購入した当時は、温泉が出ていたのだそう。今は源泉が涸れてしまい、先代も亡くなってしまったため、そのまま長年放置されていた。
外のデッキ部分は3.2畳。お風呂にこだわりのあったオーナー夫妻は、最初の提案でこの開放的な浴室のプランを見たとき、非常に感動したという。
山荘のような素朴な雰囲気でまとめた2階の寝室。このスペースでも既存の天井を取り払い、構造材をあえて露出させて見せた。「来客時はゲスト用寝室としても対応できるよう、ここには扉を設置しました」。傍らのオープン棚には、主に替えの洋服などを収納している。
室内のインテリアとリンクさせ、ダークブラウンの木材でシックに見せた玄関。写真奥に見える通り、ここからは新山の稜線を望むことができる。
外壁はモダンな印象のガルバリウム鋼板を採用している。
市街での日常から離れた、週末の山の家での愛犬との暮らし。庭と家を行き来できる動線づくり、フローリングのノンスリップ加工など、愛犬への優しさにあふれたこの空間で「時間を忘れるぐらい、生活を楽しんでいます」と感想を語るオーナー夫妻。
先代が遺した空き家が、安らぎをもたらす週末ハウスへと、見事に生まれ変わった好例である。
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