本当に必要なものだけで快適に暮らす、オーストリアのエコなタイニーハウス
もっと環境に優しく、自分らしく暮らしたい。そう考えたウィーンの若いカップルが、クラウドファンディングで資金を集めて、快適に暮らせるトレーラーハウスを開発しました。
Anne Roesner
2016年5月24日
「心地よい生活をするために本当に必要なものって何だろう?」――この問いに対して、オーストリア人のテレザ・シュタイニンガーさんとクリスティアン・フランタルさんの出した答えは、「自然材料で建てたエネルギーの自給自足が可能な25平方メートルの空間」だった。二人は2003年に〈WW ヴォーンワゴン〉という会社を創設。ヴォーンワゴンとは、ドイツ語で「生活する車」という意味だ。開発資金は、100人の小口投資家から調達。ドライトイレとソーラーパネル、植物をベースとした浄水装置を備え、完全なエネルギー自給自足生活ができる、木製のトレーラーハウスを開発した。オプションで車輪を取り付けることもできる。
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どんなHouzz?
トレーラーハウスの開発、製造販売元:〈WW ヴォーンワゴン〉社のテレザ・シュタイニンガーさんとクリスティアン・フランタルさん
所在地:ウィーン、オーストリア
コンセプト:25平方メートルの可動式生活スペース。住居や別荘、キャンピングカー、ステュディオ、会議室等として使える。
予算:45,000ユーロ(セルフビルドの場合)から94,000ユーロ(エネルギー自給自足に必要なすべての設備を取り付けた場合)
特徴:ドライトイレとソーラーパネルによる自家発電装置、植物をベースにした浄水装置を備えており、エネルギーを自給自足する生活ができる。
トレーラーハウスの開発、製造販売元:〈WW ヴォーンワゴン〉社のテレザ・シュタイニンガーさんとクリスティアン・フランタルさん
所在地:ウィーン、オーストリア
コンセプト:25平方メートルの可動式生活スペース。住居や別荘、キャンピングカー、ステュディオ、会議室等として使える。
予算:45,000ユーロ(セルフビルドの場合)から94,000ユーロ(エネルギー自給自足に必要なすべての設備を取り付けた場合)
特徴:ドライトイレとソーラーパネルによる自家発電装置、植物をベースにした浄水装置を備えており、エネルギーを自給自足する生活ができる。
テレザ・シュタイニンガーさんとクリスティアン・フランタルさんの25平方メートルのトレーラーハウスには、ベッド、ミニキッチン、シャワー付きバスルーム、居室など必要なものはすべて揃っている。さまざまな最新鋭の装置とオーダーメイドの家具により実現した快適な住まいだ。この家を発明した二人のモットーは「必要なものだけに絞る」こと。ものが少なければ少ないほど私たちは元気になれる。自給自足の生活こそが真の贅沢なのだ。
テレザ・シュタイニンガーさんとクリスティアン・フランタルさんは、ミニマリストたちの生活や、最近の住まいをめぐるトレンドを調べ、この住宅を考案した。将来どのような生活をしたいのか? 気候変動や資源の枯渇にどう対処するか? 持続可能でありながら快適な新しいライフスタイルをどうやって見つけるのか? 最近関心が高まっているこうした多くの問題に、このトレーラーハウスは答えを出してくれる。家賃が高騰し、頻繁に引っ越しを余儀なくされる生活よりも、自然と触れ合いながら環境に優しい生活スタイルを望む、自然を愛する現代人のために、このトレーラーハウスは設計されたのだ。〈WW ヴォーンワゴン〉は、米国発の「タイニーハウス・ムーブメント」(最大55平方メートル程度の小さな空間で生活する運動)から生まれたとも言える。
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自然素材
第一の目標ははリサイクル素材や再利用が可能な素材、または生分解性の材料だけを使ってトレーラーハウスを建てることだった。そのため、テレザとクリスティアンは、家の外壁には、層状の樹脂のために防虫効果が高く、強い耐性をもつ地元産のカラマツを使用。室内には、トウヒをベースにした柔らかい繊維でできたパネルをはった。調湿機能のある粘土層でコーティングされたこのパネルは、値段が安い上にコンポストで分解できるし、室温を調節してくれる。となれば、トウヒが二人のお気に入りの材料になるのもうなずける。冬でも快適に住めるよう、羊毛で断熱もしている。羊毛は断熱効果が高いだけでなく、湿気や有害物質を吸い取ってくれる素材である。
第一の目標ははリサイクル素材や再利用が可能な素材、または生分解性の材料だけを使ってトレーラーハウスを建てることだった。そのため、テレザとクリスティアンは、家の外壁には、層状の樹脂のために防虫効果が高く、強い耐性をもつ地元産のカラマツを使用。室内には、トウヒをベースにした柔らかい繊維でできたパネルをはった。調湿機能のある粘土層でコーティングされたこのパネルは、値段が安い上にコンポストで分解できるし、室温を調節してくれる。となれば、トウヒが二人のお気に入りの材料になるのもうなずける。冬でも快適に住めるよう、羊毛で断熱もしている。羊毛は断熱効果が高いだけでなく、湿気や有害物質を吸い取ってくれる素材である。
環境と社会への配慮
当初から、自然素材とリサイクル素材を使うことは二人のにとって大切なことだった。そのため彼らは地元の工務店〈ツィメライ・ベルガー〉と協力して作業を進めた。すべての建築工程は職人たちに手作業で行ってもらったため、各建築工程を確認しながら進めることができた。「この家は、オーナーになる人が自分自身で室内を作ったり、トレーラーハウスができあがるようすを見ることができる家なのです」とテレザさんは話す。
当初から、自然素材とリサイクル素材を使うことは二人のにとって大切なことだった。そのため彼らは地元の工務店〈ツィメライ・ベルガー〉と協力して作業を進めた。すべての建築工程は職人たちに手作業で行ってもらったため、各建築工程を確認しながら進めることができた。「この家は、オーナーになる人が自分自身で室内を作ったり、トレーラーハウスができあがるようすを見ることができる家なのです」とテレザさんは話す。
普遍的でありながらオーガニックなデザイン
丸みを帯びた有機的なフォルムをもつトレーラーハウスは、周囲に溶け込んだ自然な生活空間を生み出している。エントランスにある大きな窓から室内にたっぷりと日差しが入るので、実際よりも部屋がずっと広く見える。不必要なディテールは一切排除されている。
二人は、この家にぴったりあう家具も開発。ベッド、ミニキッチン、デスク、モザイク装飾が施されたシャワー、便利な収納システムを取り付けることができる。また、ベランダあるいはテラスもカスタムで取り付けることが可能だ。
丸みを帯びた有機的なフォルムをもつトレーラーハウスは、周囲に溶け込んだ自然な生活空間を生み出している。エントランスにある大きな窓から室内にたっぷりと日差しが入るので、実際よりも部屋がずっと広く見える。不必要なディテールは一切排除されている。
二人は、この家にぴったりあう家具も開発。ベッド、ミニキッチン、デスク、モザイク装飾が施されたシャワー、便利な収納システムを取り付けることができる。また、ベランダあるいはテラスもカスタムで取り付けることが可能だ。
ニーズに応じた自給自足の住まい
必要な電力はわずかなので、小型のソーラーパネルで十分まかなえる。ワンルームの住まいとして使いたい場合には、水道設備を追加することも可能。住み手が求める自給自足のレベルに応じてカスタマイズすることが可能であり、電気や水、暖房についても、さまざまな装置がオプションとして準備されている。
必要な電力はわずかなので、小型のソーラーパネルで十分まかなえる。ワンルームの住まいとして使いたい場合には、水道設備を追加することも可能。住み手が求める自給自足のレベルに応じてカスタマイズすることが可能であり、電気や水、暖房についても、さまざまな装置がオプションとして準備されている。
- ソーラーパネル
- 活性炭入りドライトイレ
- 水生植物をベースとしたエコロジー浄水装置
- 太陽光による暖房と給湯システム
- 関連製品
サイズのバリエーション
この家には3つのサイズがある。室内の天井高はすべて240センチメートル、シャーシ(車台)と合わせた高さは362センチメートル。
この家には3つのサイズがある。室内の天井高はすべて240センチメートル、シャーシ(車台)と合わせた高さは362センチメートル。
- 小サイズ《フリッツ》6 x 2.5メートル
- 中サイズ《オスカー》 10 x 2.5メートル
- 大サイズ《エアカー》10 x 2.5メートル(ベランダ3.30 x 2メートル。イメージはテラス付き。)
手先が器用なら、セルフビルドで建てて費用を節約することも可能だ。そうでなければ、必要な設備を注文し、家を自分の敷地に届けてもらえば、あとは引っ越しをするだけだ。注文から竣工まで、約半年かかる。
トレーラーハウスはどこにでも設置できるの?
残念ながらこれは即答できる質問ではないのだが、設計した二人からのアドバイスは次のとおりだ。「建築に関する法律は複雑ですし、地域によっても異なります。そのため私たちは該当地域に適用されている規制を調べて必要な情報をお渡しする法務サービス(48ユーロ)を提供しています。可動式の家の設置は許可されている地域はたくさんあります。他の問題としては、敷地が本当に人の住める場所なのか、ということもあります。そこで、私どものコンサルタントのクリストフ・ラズが、個別のケースに対応するサービスを担当しています。」とテレザさん。もちろん、住んでいる地方自治体の都市開発課に自分で問い合わせる方法もある。
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