日常を離れて波の音を楽しむ、極上のリゾートハウス
目の前を遮るもののない「海最前列」の立地に立つ贅沢な週末用住宅。リゾートらしい非日常空間をつくりだすための工夫にあふれた家です。
Junko Kawakami
2017年3月30日
Freelance since 1999.
海好きの人なら「海辺に暮らしてみたい」と一度ならず思うものだ。空と海の青に白いファサードが映えるこの家のオーナーもそうだった。普段は横浜に暮らすオーナーが、海辺の土地を2年にわたって探し続け、最終的に神奈川ではなく千葉のこの場所を選んだのには理由があった。
「海が好きで、クルーザーにも乗りますし、神奈川県内の海沿いの土地も当然ながら、くまなく探しました。でも、どこへ行っても海と家の間に自動車が通る道路が走っているんです。ところが、千葉にくると、家から海まで遮るものがない。『波の音を聞きながら過ごしたい』という夢がかなう場所がありました」とオーナーは話す。海岸と家の間には防砂林しかない、まさに「海最前列」の立地である。
つくりかったのは慌ただしい日常を完全に離れ、心からくつろげるリゾートハウスだ。打ち合わせの便を考えて、地元横浜市近辺の建築家を探し、ようやく見つけたのが〈田井勝馬建築設計工房〉を主宰する建築家、田井勝馬さんだった。打ち合わせから1ヵ月後に提示された案は、オーナーが思い描いていたイメージとぴったりと一致しており、大きな変更なく完成に至った。
写真:大沢誠一
「海が好きで、クルーザーにも乗りますし、神奈川県内の海沿いの土地も当然ながら、くまなく探しました。でも、どこへ行っても海と家の間に自動車が通る道路が走っているんです。ところが、千葉にくると、家から海まで遮るものがない。『波の音を聞きながら過ごしたい』という夢がかなう場所がありました」とオーナーは話す。海岸と家の間には防砂林しかない、まさに「海最前列」の立地である。
つくりかったのは慌ただしい日常を完全に離れ、心からくつろげるリゾートハウスだ。打ち合わせの便を考えて、地元横浜市近辺の建築家を探し、ようやく見つけたのが〈田井勝馬建築設計工房〉を主宰する建築家、田井勝馬さんだった。打ち合わせから1ヵ月後に提示された案は、オーナーが思い描いていたイメージとぴったりと一致しており、大きな変更なく完成に至った。
写真:大沢誠一
どんなHouzz?
所在地:千葉県富津市
住まい手:50代の男性
敷地面積:510.00㎡
延床面積:152.38㎡
構造:木造地上1階
用途:セカンドハウス
設計監理:田井勝馬建築設計工房
構造設計:野村基建築構造設計
照明設計:リップルデザイン
植栽:江田俊子(グリーンプランナー )
施工:小島建設
道路側のファサードは、白いキューブを重ねたボリュームが青い空に映える。外のシャッターに続き、カースペースへの入り口が開くと、その先に海の風景が切り取られており、一直線に視線が吸い込まれていく。「ここは、平日は多忙を極めるオーナーがゆっくりと週末を過ごすための場所。リゾートに必要な非日常感をいかに出すかがポイントでした」と田井さんは話す。
所在地:千葉県富津市
住まい手:50代の男性
敷地面積:510.00㎡
延床面積:152.38㎡
構造:木造地上1階
用途:セカンドハウス
設計監理:田井勝馬建築設計工房
構造設計:野村基建築構造設計
照明設計:リップルデザイン
植栽:江田俊子(グリーンプランナー )
施工:小島建設
道路側のファサードは、白いキューブを重ねたボリュームが青い空に映える。外のシャッターに続き、カースペースへの入り口が開くと、その先に海の風景が切り取られており、一直線に視線が吸い込まれていく。「ここは、平日は多忙を極めるオーナーがゆっくりと週末を過ごすための場所。リゾートに必要な非日常感をいかに出すかがポイントでした」と田井さんは話す。
オーナーは仕事を終えた金曜の夜、愛車(ポルシェ)に乗り、アクアライン経由で夜に到着することが多い。シャッターを開けると、アプローチ上に滑走路のように点々と灯りがともり、異世界へいざなわれるかのようだ。これも、週末のはじまりを演出する仕掛けである。カースペースは屋内にあり、車ごと中に入る。
北側からの眺め。最高高さ5メートルの勾配屋根が中庭に向かって傾斜している。道路側の棟にはロフトを、海側の棟は高い勾配天井のあるリビングエリアをおさめている。外壁は白く見えるが、実際には薄いグレー。耐塩性を考え、仕上げはサイディングとした。
上空からの眺め。建物はコの字型の平面をもつ。前庭、ロフトのある棟、中庭、リビングのある棟と、道路側からレイヤーを経ながら海に向かう構成となっている。
外壁の入り口を入ったところ。オーナーは車ごと写真右手のカースペースから出入りすることが多いが、来客は建物外壁に沿って左手に向かい、前庭を眺めながら塀との間の通路をめぐって家の玄関にたどりつく。ユッカやワシントンヤシなどの植栽が南国リゾートの気分を高める。
家の中心は、目の前に東京湾を望む大きなリビングだ。海岸線までは約100メートル。夏は海水浴も楽しめる遠浅の海と家の間には、防砂林が広がり、ときおり歩行者や自転車が通る海辺の小径以外は何もない。
海に向かって開いた立地を最大限に生かすため、海側は掃き出し窓を間口約15メートルにわたって大きくとった。「当初、リビングにテレビを置きたいという希望もありました。でも、テレビは日常にある娯楽であるのに対し、この海はここにしかない贅沢なもの。最終的に、テレビは置かないこととなり、海と対峙する家をつくることが設計のテーマになりました」と田井さんは振り返る。
窓の向こうには、奥行き約3.5メートルのデッキが、リビングの延長のように広がっている。天気のよい日には、対岸の三浦半島はもちろん、伊豆大島や富士山も望めるという景色を楽しむため、あえて手すりは付けないという選択をした。
アウトドア家具:デドン
アウトドア家具:デドン
リビングの家具は、ドイツの〈デドン〉(ニチエス)のガーデン用ファニチャーだ。「室内用の高級家具を置けば、都会の家と変わらなくなってしまいます。エレガントなアウトドア家具を使うことで、リゾートならではの贅沢さを際立たせたいと考えました。アウトドア用のアイテムをあえてインドアで使うことは、屋内と屋外をあいまいにするという設計のテーマにも通じています」と田井さん。耐候性・耐久性が高く、手がかからないのもアウトドア家具の利点だ。「週末にくつろぐための家だからこそ、メンテナンスフリーな家をつくることをめざしました」。
施主の希望により、ダイニングはあえてつくっていない。「求めていたのは、ホテルのようなリゾート感。生活感を排除したかったので、ダイニングをつくらないことは自然な選択でした」とオーナーは話す。友人を招いてパーティーを催すことも多いが、「ソファでおもてなししますし、そのほうがくつろげますね」。
海に向かってリビングの右手には、ガラス張りのバスルームがある。
ソファ:デドン(ニチエス)
ソファ:デドン(ニチエス)
窓を開け放てば、露天のような開放感がある。ゲストが滞在しているときは、ブラインドで目隠しできる。
バスタブ:TOTOスーパーエクセレントバス、床材:Borgetto(ストーンオフィス・モリシタ)
バスタブ:TOTOスーパーエクセレントバス、床材:Borgetto(ストーンオフィス・モリシタ)
バスルームからベッドルームへ抜ける空間にパウダールームを配置。洗面台のある右手の壁の裏側にクローゼットがある。左手の壁の裏側はカースペースにあたる。
グレーの壁、ブラウンのキャビネット、小物やグリーンで、アジアのリゾートのようなシックなインテリアに。
カースペースはリビングに直結しており、くつろぎながら愛車を眺められる。
中庭も、リビングとゆるやかにつながっている。壁がすべてガラスであるため、囲まれた空間ながらも圧迫感がない。家具は、よりテキスタイル感のあるベルギーの〈トリビュ〉(ニチエス)を選択した。ウッドデッキと植栽により、アウトドアーガーデンの雰囲気を楽しめる。
中庭をはさんでリビングの反対側にはロフトのある部屋があり、ゲストルームとして使用している。
中庭をはさんでリビングの反対側にはロフトのある部屋があり、ゲストルームとして使用している。
〈エコスマート〉のアウトドア用暖炉を囲みながら、中庭からリビング越しに海を望む。
リビングの照明は間接照明のみ。窓の上のやわらかな光のラインが刻々と変わりゆく夕暮れの空と海を縁取る。
黄昏時のバスルーム。間接照明が壁や天井に陰影のグラデーションをつくりだす。
夜のデッキでは〈エコスマート〉のランタンを灯してくつろぐ。
「平日は屋内で忙しく仕事をしているので、週末は完全にオフにして気分を切り替えたい。そのための場所が手に入って本当にうれしい。毎週末、ここで過ごしています」とオーナーは言う。昼間は海の風景を目で楽しみ、夜は波の音に耳を傾けて過ごす、極上のリゾートハウスだ。
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My Houzz/日本/北米/中南米/ヨーロッパ/北欧/中東/アジア/オセアニア/新築/リノベーション/別荘/二世帯住宅
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