建築家と理想の空間をつくる10のコツ
初めて住宅のプロに家づくりやリノベーションを相談したいと思っている方にぜひ読んでいただきたい、施主としての実体験から得られたリアルなレポートです。
Shirou Yamasaki
2015年8月8日
住宅に関しての知識がまったくない素人だった私が、プロの建築家と築39年のマンションをリノベーションした経験から、納得のいく家づくりのために特に重要な10のコツをお伝えします。
設計:山本陽一建築設計事務所
施工:アークオフィス
設計:山本陽一建築設計事務所
施工:アークオフィス
1. 建築家探し
建築家やデザイナーに直接仕事を頼むのはハードルが高そうに感じるかもしれませんが、まったく心配することはありません。建築家にとって施主はお客様ですし、建築を仕事にすること自体がハードルが高く、ある意味苦労を知っていて、礼儀正しく親しみのある人が多いと思います。
撮影:牛尾幹太
建築家やデザイナーに直接仕事を頼むのはハードルが高そうに感じるかもしれませんが、まったく心配することはありません。建築家にとって施主はお客様ですし、建築を仕事にすること自体がハードルが高く、ある意味苦労を知っていて、礼儀正しく親しみのある人が多いと思います。
撮影:牛尾幹太
探し方としては3つあります。
また提案されるアイデアはさまざまですので、できればコンペ形式で複数の建築家からアイデアをもらい、その中で一番気に入ったデザイン、コストが合う方を採用するようにしましょう。ちなみに私の場合は、2名の建築家、1名のインテリアデザイナーからアイデアをいただきました。
撮影:清水謙
- 建築関連の雑誌や書籍で探す
- インターネットで探す(リノベ関連サイトや検索)
- Houzzで探す(オススメ!)
また提案されるアイデアはさまざまですので、できればコンペ形式で複数の建築家からアイデアをもらい、その中で一番気に入ったデザイン、コストが合う方を採用するようにしましょう。ちなみに私の場合は、2名の建築家、1名のインテリアデザイナーからアイデアをいただきました。
撮影:清水謙
2. デザインイメージを具体的に伝える
間取りや空間、ディテールの好みを的確に伝えるために、好きな雑誌の切り抜きやネットの画像を用意しておくとよいです。
私の場合は、「テレンス・コンラン究極の住デザイン 」から15ページぐらい付箋をつけて、リビング、ダイニング、ベッドルーム、書斎、バスルーム、トイレなど、それぞれについて理想に近い写真を見せながら、そのデザインのどこが好きなのか説明しました。
また壁の質感など、写真ではなかなか伝わらないものは似たような施工をしているお店に直接視察に行っていただいたりしました。
今後は将来くるかもしれない住み替えや別荘のための写真資料を、Houzzのアイデアブックで作っておこうと思っています。
撮影:牛尾幹太
間取りや空間、ディテールの好みを的確に伝えるために、好きな雑誌の切り抜きやネットの画像を用意しておくとよいです。
私の場合は、「テレンス・コンラン究極の住デザイン 」から15ページぐらい付箋をつけて、リビング、ダイニング、ベッドルーム、書斎、バスルーム、トイレなど、それぞれについて理想に近い写真を見せながら、そのデザインのどこが好きなのか説明しました。
また壁の質感など、写真ではなかなか伝わらないものは似たような施工をしているお店に直接視察に行っていただいたりしました。
今後は将来くるかもしれない住み替えや別荘のための写真資料を、Houzzのアイデアブックで作っておこうと思っています。
撮影:牛尾幹太
3. スペックはとにかく詳細に
デザイン以外のスペックについては、できるだけ詳細に伝えましょう。以下の5つの項目でまとめれば、もれなく伝えることができます。
A)間取りと各部屋の用途
撮影:牛尾幹太
デザイン以外のスペックについては、できるだけ詳細に伝えましょう。以下の5つの項目でまとめれば、もれなく伝えることができます。
A)間取りと各部屋の用途
- LDK/ライトは調光式、モニタ付インターフォン、ベッドルームには電話機だけでOK、テレビジャックとエアコン、全面床暖房
- 書斎/書籍が多いので壁面収納を希望
撮影:牛尾幹太
B)収納要件
現在保有しているもの、近い将来購入するものを事前に伝え、造り付けの建具なども想定してプランを立ててもらいます。
洗濯機、冷蔵庫、食器棚などの大きな家電や家具の大きさ(幅、奥行き、高さ)から書籍や洋服の数まで、すべて記載しておきましょう。
C)予算
見積もりよりも最終的な請求金額は上がるもの、として設定しておくとよいでしょう。税込み、設計料込みなども明確に記載しておきましょう。
例:700万円(設計料、税込み)
D)納期
引越しのタイミングによっては、家賃や支払いが重複するので、このあたりも明確にしておきましょう。
例:6月からの着工希望、2ヶ月以内で完成、7月末には引越し可能とする
撮影:牛尾幹太
現在保有しているもの、近い将来購入するものを事前に伝え、造り付けの建具なども想定してプランを立ててもらいます。
洗濯機、冷蔵庫、食器棚などの大きな家電や家具の大きさ(幅、奥行き、高さ)から書籍や洋服の数まで、すべて記載しておきましょう。
C)予算
見積もりよりも最終的な請求金額は上がるもの、として設定しておくとよいでしょう。税込み、設計料込みなども明確に記載しておきましょう。
例:700万円(設計料、税込み)
D)納期
引越しのタイミングによっては、家賃や支払いが重複するので、このあたりも明確にしておきましょう。
例:6月からの着工希望、2ヶ月以内で完成、7月末には引越し可能とする
撮影:牛尾幹太
E)選定条件
コンペの場合は必須です。何がプライオリティか、デザイン、予算、体制などを詳しく伝えましょう。
例)
選定基準1)コスト:まず予算内で何ができるか明確にしてほしい
選定基準2)デザイン:LDKの展開が特に重要になってきますので、ここにいちばん注力してください
写真は料理教室にもなるLDK。使用する素材やデザインにもこだわり、機能的にも全面床暖房としました。
撮影:清水謙
コンペの場合は必須です。何がプライオリティか、デザイン、予算、体制などを詳しく伝えましょう。
例)
選定基準1)コスト:まず予算内で何ができるか明確にしてほしい
選定基準2)デザイン:LDKの展開が特に重要になってきますので、ここにいちばん注力してください
写真は料理教室にもなるLDK。使用する素材やデザインにもこだわり、機能的にも全面床暖房としました。
撮影:清水謙
4. 予算がオーバーしそうなときは
そうはいっても、予算は往々にしてオーバーするものです。あらかじめ絶対にゆずれない上限を伝えておくのも手ですが、それでも厳しい場合の対応方法です。
その1)他社の見積もりを見せる
コンペのメリットのひとつは見積り比較ができるところです。じっくり項目と金額を見比べて、あまりにも他社よりも高い部分については、値下げできる可能性が高いです。
その2)解決策とセットにしてもらう
当初の見積もりよりも高くなる場合は、コストを抑える具体的な解決策と一緒に持ってきてくださいとあらかじめ伝えておきましょう。
その3)自分で手配
エアコンやトイレ、バスルーム、キッチンなどは、実は個人でも注文できます。個人で注文することで、より安価な商品を見つけられる可能性もありますし、なにより建築家や施工会社の手配料が削減できるメリットがあります。ただし、自己責任になるため、サイズが合わない場合、故障した場合などは個別に対応が必要になります。
ちなみにわが家のケースでは個人手配(施主支給)は結構ありました。そのうちのひとつがウッドデッキです。
そうはいっても、予算は往々にしてオーバーするものです。あらかじめ絶対にゆずれない上限を伝えておくのも手ですが、それでも厳しい場合の対応方法です。
その1)他社の見積もりを見せる
コンペのメリットのひとつは見積り比較ができるところです。じっくり項目と金額を見比べて、あまりにも他社よりも高い部分については、値下げできる可能性が高いです。
その2)解決策とセットにしてもらう
当初の見積もりよりも高くなる場合は、コストを抑える具体的な解決策と一緒に持ってきてくださいとあらかじめ伝えておきましょう。
その3)自分で手配
エアコンやトイレ、バスルーム、キッチンなどは、実は個人でも注文できます。個人で注文することで、より安価な商品を見つけられる可能性もありますし、なにより建築家や施工会社の手配料が削減できるメリットがあります。ただし、自己責任になるため、サイズが合わない場合、故障した場合などは個別に対応が必要になります。
ちなみにわが家のケースでは個人手配(施主支給)は結構ありました。そのうちのひとつがウッドデッキです。
5. デザインはディテールまで把握する
扉の取っ手ひとつとっても、素材や大きさによって見た目も使用感もまったく異なります。建築家や施工会社に発注してもらってから違うと思っても遅いので、たとえ嫌な顔をされても、サンプルがあるものは取り寄せてもらい、ないものはショールームまで行って、実際に見て触って納得したうえで発注してもらうようにしましょう。
わが家のケースでは、TVボードのルーバーもmm単位で、納得のいくまで調整してもらいました。
扉の取っ手ひとつとっても、素材や大きさによって見た目も使用感もまったく異なります。建築家や施工会社に発注してもらってから違うと思っても遅いので、たとえ嫌な顔をされても、サンプルがあるものは取り寄せてもらい、ないものはショールームまで行って、実際に見て触って納得したうえで発注してもらうようにしましょう。
わが家のケースでは、TVボードのルーバーもmm単位で、納得のいくまで調整してもらいました。
6. 提案を聞いてみる
とはいえ、すべてを自分の好みでコントロールするのではなく、せっかくの機会ですから建築家の方が「自由演技」できる余地も残しておきましょう。私のケースでいうと、書斎の壁面収納を要望したのですが、それに対して建築家が出してくれたアイデアは、「壁面だけでなく180度本棚に囲まれた空間」でした。こんなアイデアは、なかなか素人には出せないと思います。
撮影:清水謙
とはいえ、すべてを自分の好みでコントロールするのではなく、せっかくの機会ですから建築家の方が「自由演技」できる余地も残しておきましょう。私のケースでいうと、書斎の壁面収納を要望したのですが、それに対して建築家が出してくれたアイデアは、「壁面だけでなく180度本棚に囲まれた空間」でした。こんなアイデアは、なかなか素人には出せないと思います。
撮影:清水謙
7. 一緒に食事をする
ビジネスにおいて関係を良好にするための「ノミュニケーション」の大切さは、建築家や施工会社との関係においても同じだと思います。一緒に食事をしたりお酒を飲んだりしながら、相手のいろいろな側面を知ることで、関係がより深まり、さらにスムーズなコミュニケーションができるようになるかもしれません。
撮影:牛尾幹太
ビジネスにおいて関係を良好にするための「ノミュニケーション」の大切さは、建築家や施工会社との関係においても同じだと思います。一緒に食事をしたりお酒を飲んだりしながら、相手のいろいろな側面を知ることで、関係がより深まり、さらにスムーズなコミュニケーションができるようになるかもしれません。
撮影:牛尾幹太
8. メンテナンス契約の際の注意
工事・施工に瑕疵(欠陥)があった場合の責任については、法律上は1年間(リフォームのケース)保証する責任がありますが、契約書に期間とともに、きちんと記載していただく必要があります。
私の場合は工務店と交渉のうえ、3年間の瑕疵担保責任の範囲を具体的に契約書に明記いただきました。加えて、機器・設備関連の故障についても保証期間を契約書に明記してもらったほうがいいでしょう。
メーカー品(大手メーカーのトイレやバスルームなど)であれば、おのずとメーカー保証はついていますが、たとえば、そういったメーカー以外の建具の取っ手やガラスのひびなど、瑕疵とは断定できない不具合については、この保証で対応してもらう必要があります。
私の場合は当初契約書に半年間の保証となっていたところを、やはり日本は春夏秋冬、季節に応じた温度変化などへの対応も必要でしょうという理由で、半年を1年間に変更のうえ、契約書に明記してもらいました。
撮影:清水謙
工事・施工に瑕疵(欠陥)があった場合の責任については、法律上は1年間(リフォームのケース)保証する責任がありますが、契約書に期間とともに、きちんと記載していただく必要があります。
私の場合は工務店と交渉のうえ、3年間の瑕疵担保責任の範囲を具体的に契約書に明記いただきました。加えて、機器・設備関連の故障についても保証期間を契約書に明記してもらったほうがいいでしょう。
メーカー品(大手メーカーのトイレやバスルームなど)であれば、おのずとメーカー保証はついていますが、たとえば、そういったメーカー以外の建具の取っ手やガラスのひびなど、瑕疵とは断定できない不具合については、この保証で対応してもらう必要があります。
私の場合は当初契約書に半年間の保証となっていたところを、やはり日本は春夏秋冬、季節に応じた温度変化などへの対応も必要でしょうという理由で、半年を1年間に変更のうえ、契約書に明記してもらいました。
撮影:清水謙
9. 竣工したら新居へ招待しよう
竣工(完成)したら終わり、ではなくぜひお世話になった建築家の方、施工会社の方をお呼びしてホームパーティーでお祝いしましょう。入居後、家族がどんなふうに暮らしているか、作り手である建築家の方も知りたいと思いますし、完成した家を見てもらい、愛着をもってもらうことで、将来不具合が出たときに丁寧な対応をしてもらえると思います。
撮影:清水謙
竣工(完成)したら終わり、ではなくぜひお世話になった建築家の方、施工会社の方をお呼びしてホームパーティーでお祝いしましょう。入居後、家族がどんなふうに暮らしているか、作り手である建築家の方も知りたいと思いますし、完成した家を見てもらい、愛着をもってもらうことで、将来不具合が出たときに丁寧な対応をしてもらえると思います。
撮影:清水謙
10. 不具合が出たときは遠慮なく連絡
リノベーションは特にそうですが、不具合ゼロということは、ほぼないです。言いにくいところはありますが、きちんと状況を説明して、適切に対応してもらいましょう。たとえば壁のクラック(ひび割れ)などは瑕疵でも保証の対象でもないですが、状況を説明すると快く自前で修復作業をしてもらえました(写真は、壁のひび割れを補修する施工会社の素敵な方々です)。
リノベーションは特にそうですが、不具合ゼロということは、ほぼないです。言いにくいところはありますが、きちんと状況を説明して、適切に対応してもらいましょう。たとえば壁のクラック(ひび割れ)などは瑕疵でも保証の対象でもないですが、状況を説明すると快く自前で修復作業をしてもらえました(写真は、壁のひび割れを補修する施工会社の素敵な方々です)。
いかがでしたでしょうか?
いま思うと、建築家も施工会社の方々も、当たり前ですが施主同様の「人」であるということ、あの施主のお願いだから聞いてあげよう、あの施主が喜んでくれるんだったら、という気持ちを持ってもらえること、建築家と施主との間で「絆」がつくれることが、一番大切なことかもしれません。
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いま思うと、建築家も施工会社の方々も、当たり前ですが施主同様の「人」であるということ、あの施主のお願いだから聞いてあげよう、あの施主が喜んでくれるんだったら、という気持ちを持ってもらえること、建築家と施主との間で「絆」がつくれることが、一番大切なことかもしれません。
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kayandmaryさん>コメントありがとうございます。かなりひどい工務店さんですね。契約書に瑕疵担保責任の期間が記載されていると思いますが、もし期間内であれば修理してもらえますし、仮に記載がなくとも法律上1年間は保証することになっているはずです。意図的でなくとも瑕疵は往々にして発生するもので私の担当した工務店さんも友人の家をリフォームした際に竣工後、水漏れが発生し対応いただいておりました。泣き寝入りが一番よくないと思いますので、期間外でも毅然としあた態度で指摘されたほうがよいかと思います。もう少し詳しくブログに記載しておりますのでご参考ください。
http://shibulodge.blogspot.jp/2010/06/blog-post_15.html
kayandmaryさんの不安が改善され心地よい暮らしができることを願います。また何かあればコメントください。
そうですね~この様な良心的な工務店様やリフォーム会社が多いと良いんですね!現実は掛け離れています所が問題です。