コメント
庭から始めるエシカルな取り組み
庭での楽しみをエシカルな視点で見てみましょう。
舩村佳織
2019年2月16日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
エシカルという言葉を最近よく耳にするようになりました。エシカルな視点で食べ物や洋服を選ぶと、今まで気付かなかったことに気付くことも多いですね。では私たちにとって最も身近な自然である庭で、どのようなエシカルな行動ができるでしょうか? 庭が環境にどのような影響を与えているのでしょうか? 個人的な庭からできる社会活動を考えてみましょう。
エシカル(ethical)は、「倫理的な」という意味の言葉です。地球環境や人権に配慮した商品を購入するエシカルな消費を推進していくことが、世界的に大きな流れとなってきています。社会的な問題に対して、個々人がやれるレベルで改善していこうというものです。
庭で考えられるエシカルとは、どのようなものがあるでしょうか?個人が所有する小さな規模の自然を通して、私たちは何ができるのでしょうか?
庭で考えられるエシカルとは、どのようなものがあるでしょうか?個人が所有する小さな規模の自然を通して、私たちは何ができるのでしょうか?
小さなことかもしれないけれど…… 家庭でできる行動
地球環境問題として、最も話題になるのは地球温暖化でしょう。地球温暖化は、人類の活動による大気中の二酸化炭素濃度の上昇が原因と考えられています。
化石燃料の大量消費と同時に、大気中の二酸化炭素を固定する役割を持っている森林面積の減少により、大気中の二酸化炭素濃度は上昇し続けています。個人の小さな庭はこの問題に対して、小さな貢献ができるはずです。
地球環境問題として、最も話題になるのは地球温暖化でしょう。地球温暖化は、人類の活動による大気中の二酸化炭素濃度の上昇が原因と考えられています。
化石燃料の大量消費と同時に、大気中の二酸化炭素を固定する役割を持っている森林面積の減少により、大気中の二酸化炭素濃度は上昇し続けています。個人の小さな庭はこの問題に対して、小さな貢献ができるはずです。
家の周りに植物を植えることで、夏の暑さをやわらげてくれます。直射日光を遮る木陰をつくり、葉の蒸散機能で温度を下げてくれるからです。この効果は想像以上に大きく、エアコン効率を上げ、消費電力を少なくすることができます。屋上緑化や壁面緑化、グリーンカーテンでも同様の効果を得られます。
暑さ対策の定番、グリーンカーテンとつる植物の基礎知識
暑さ対策の定番、グリーンカーテンとつる植物の基礎知識
樹木の剪定から考えるエシカルな行動
植物は大気中の炭素の吸収源となります。光合成により植物は二酸化炭素を吸収して、酸素を放出します。取り込まれた炭素は主要元素として、植物体を構成します。植物が大きくなればなるほど大気中の炭素が固定されたということですね。
庭で大きくなった樹木は当然剪定作業を行いますが、この時に出た枝や葉を可燃ごみとして焼却処分してしまうと、植物体に固定された炭素は再び大気へと放出されてしまいます。
植物は大気中の炭素の吸収源となります。光合成により植物は二酸化炭素を吸収して、酸素を放出します。取り込まれた炭素は主要元素として、植物体を構成します。植物が大きくなればなるほど大気中の炭素が固定されたということですね。
庭で大きくなった樹木は当然剪定作業を行いますが、この時に出た枝や葉を可燃ごみとして焼却処分してしまうと、植物体に固定された炭素は再び大気へと放出されてしまいます。
落ち葉や剪定枝はゴミとして処分するのではなく、資源として有効に活用しましょう。自宅でコンポストをつくり、堆肥にして利用する方法があります。
落ち葉だけなら半年程度で、枝も混ざると1年ぐらいで腐葉土になります。たまに攪拌しながら放置するだけなので、意外と手間はかかりません。このコンポストの中に、野菜くず等の生ごみを投入しても良いでしょう。家庭ごみを減らすことにもつながり、一石二鳥ですね。
庭づくりの専門家に聞く、コンポストを暮らしに取り入れるためのコツ
落ち葉だけなら半年程度で、枝も混ざると1年ぐらいで腐葉土になります。たまに攪拌しながら放置するだけなので、意外と手間はかかりません。このコンポストの中に、野菜くず等の生ごみを投入しても良いでしょう。家庭ごみを減らすことにもつながり、一石二鳥ですね。
庭づくりの専門家に聞く、コンポストを暮らしに取り入れるためのコツ
コンポストを作るスペースや時間がない方は、自治体で行っている剪定枝回収を利用しましょう。センターでチップ化され、マルチング材や腐葉土として活用されます。自治体によっては取り組みが様々で、利用方法も異なりますのでお住まいの地域の広報でご確認ください。
街に点在する自然である庭は、それぞれは小さな面積の個人的なものかもしれませんが、広域で見るとその地域の環境の多様性を担保する重要な役割を担っていると考えられます。
街には人間以外にもさまざまな生き物ーー虫や鳥、小さな爬虫類などが生息しています。庭はこういった生き物達の生息場所となります。このような小さな自然が生物多様性を支え、人間と生き物が共生する街を実現するのです。
街には人間以外にもさまざまな生き物ーー虫や鳥、小さな爬虫類などが生息しています。庭はこういった生き物達の生息場所となります。このような小さな自然が生物多様性を支え、人間と生き物が共生する街を実現するのです。
都市だって、都市だからこそ
人口の多い街は建物が多く立ち並び、道路は舗装されアスファルトになっています。このような人工物ばかりに囲まれた環境が、市街地で問題になっているヒートアイランド現象の原因となっています。
庭として市街地に土が残され、植物が生育することで、このヒートアイランド現象を緩和することができます。壁面緑化や屋上緑化もヒートアイランド現象緩和に大きな効果を発揮します。
草屋根とは?専門家に聞く取り入れ方
人口の多い街は建物が多く立ち並び、道路は舗装されアスファルトになっています。このような人工物ばかりに囲まれた環境が、市街地で問題になっているヒートアイランド現象の原因となっています。
庭として市街地に土が残され、植物が生育することで、このヒートアイランド現象を緩和することができます。壁面緑化や屋上緑化もヒートアイランド現象緩和に大きな効果を発揮します。
草屋根とは?専門家に聞く取り入れ方
まずは小さなところから
ガーデニング作業では、害虫の予防に殺虫剤を使うこともあるかと思います。エシカルな庭造りにおいては、可能な限り化学的な薬品は避けましょう。殺虫剤や消毒薬を頻繁に使用すると、有用な微生物や虫もいなくなってしまい、環境に悪影響をもたらすと言われています。
薬品のかわりに、食品などを使った自家製殺虫剤をおすすめします。ナメクジ除けにドリップした後のコーヒーかすを使用したり、アブラムシ対策に牛乳を使ったり。化学薬品に比べると、効果が弱いので、手間がかかってしまいますが、それだけの価値はあります。
エコ・サステナブルの記事を読む
ガーデニング作業では、害虫の予防に殺虫剤を使うこともあるかと思います。エシカルな庭造りにおいては、可能な限り化学的な薬品は避けましょう。殺虫剤や消毒薬を頻繁に使用すると、有用な微生物や虫もいなくなってしまい、環境に悪影響をもたらすと言われています。
薬品のかわりに、食品などを使った自家製殺虫剤をおすすめします。ナメクジ除けにドリップした後のコーヒーかすを使用したり、アブラムシ対策に牛乳を使ったり。化学薬品に比べると、効果が弱いので、手間がかかってしまいますが、それだけの価値はあります。
エコ・サステナブルの記事を読む
庭からできるエシカルな取り組みをご紹介しました。
南アメリカの先住民に伝わる「ハチドリのひとしずく」という話をご存知でしょうか?たくさんの動物が住む森が山火事で燃え、多くの動物達が逃げていく中、一羽のハチドリだけが山火事を消そうと小さなくちばしに水をためて、何度も炎の上に落としていました。そんなことをして何になるのか?と問う動物達に、ハチドリは「自分にできることをしているだけだ」と答えました。
エシカルな取り組みはひとつひとつはごく小さなものです。しかしその小さな力が集まることで、大きな結果を生み出すのではないでしょうか。
Houzzで造園会社・ガーデンデザイナーを探す
庭に関する記事を読む
南アメリカの先住民に伝わる「ハチドリのひとしずく」という話をご存知でしょうか?たくさんの動物が住む森が山火事で燃え、多くの動物達が逃げていく中、一羽のハチドリだけが山火事を消そうと小さなくちばしに水をためて、何度も炎の上に落としていました。そんなことをして何になるのか?と問う動物達に、ハチドリは「自分にできることをしているだけだ」と答えました。
エシカルな取り組みはひとつひとつはごく小さなものです。しかしその小さな力が集まることで、大きな結果を生み出すのではないでしょうか。
Houzzで造園会社・ガーデンデザイナーを探す
庭に関する記事を読む
おすすめの記事
造園・ガーデニング
季節ごとの庭づくりやメンテナンス、どうすればいい?1年のガーデニングまとめ
文/藤間紗花
季節によって、必要となる庭の手入れや、植え付けられる植物などは異なります。シーズンごとのガーデニングについて、これまでご紹介した記事をまとめてお届けします。
続きを読む
造園・ガーデニング
庭づくりをプロに依頼する前に知っておきたい、コストとメリット
文/藤間紗花
庭づくりをプロに依頼するのには、どのようなメリットあるのでしょう?また、どのくらいの費用が必要になるのでしょう?4人の専門家の方々にインタビューしました。
続きを読む
造園・ガーデニング
お手入れが楽な庭をつくるには?
文/舩村佳織
忙しいと、ついつい後回しになってしまう庭のお手入れ。育てやすい植物や、水まきのアイテムなど、お手入れを少しでも楽にするためのアイデアをご紹介します。
続きを読む
植物
冬にしかできない作業を忘れずに行い、来春に備えよう【12月のガーデニング】
文/舩村佳織
庭仕事の中でも大切な剪定や土づくりの時期。地味な作業をしっかり行って来春の景色をより良いものにしましょう。
続きを読む
造園・ガーデニング
専門家が教える、来年の庭を劇的に変える秋の庭仕事
文/舩村佳織
庭づくりを始めるのに、秋は遅すぎると思っていませんか? 秋の庭仕事は、来年の庭を美しく演出してくれます。
続きを読む
植物
バスルームで観葉植物を育てるポイント
文/舩村佳織
一日の始まりや終わりにリラックスするバスルーム。浴室の環境でも育てやすい観葉植物を取り入れて、より充実したバスタイムを楽しんでみましょう。
続きを読む