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北欧デザインのトレンドは、素材の風合いを活かしたユニークなローカル主義
今年のヘルシンキデザインウィークで見えてきた、北欧デザインの現在と未来。
Helle Sindal
2018年10月11日
毎年9月にフィンランドで開催されるヘルシンキデザインウィーク。この時期になると、ヘルシンキでは展示会、ポップアップイベント、マーケットや、デザイン、ファッション、都市文化についての議論をするイベントで埋めつくされます。北欧デザインの現在の主な課題、方向性についての対話をうながし、これからのトレンドを示すことも目指しています。
創業者兼ディレクターのKari Korkmanによれば「北欧のデザインは孤立して存在しているわけではなく、世界中のデザインと相互に影響を与えあっています。とはいえ、明確に『北欧デザインの特徴』といえるものもいくつかあります。自然と過去とのつながりは現代都市の人々にとっても意味があり、とりわけ、質の高い職人技と天然素材の使用にそれが表れています。北欧デザインの本質的な価値は、多くの文脈で評価されています。不安定で葛藤の多い現代だからこそ、求められているデザインだといえます」
創業者兼ディレクターのKari Korkmanによれば「北欧のデザインは孤立して存在しているわけではなく、世界中のデザインと相互に影響を与えあっています。とはいえ、明確に『北欧デザインの特徴』といえるものもいくつかあります。自然と過去とのつながりは現代都市の人々にとっても意味があり、とりわけ、質の高い職人技と天然素材の使用にそれが表れています。北欧デザインの本質的な価値は、多くの文脈で評価されています。不安定で葛藤の多い現代だからこそ、求められているデザインだといえます」
ローカルデザイン
ヘルシンキ・デザインディストリクトのエグゼクティブ・ディレクター、Minni Soverila氏によると、フィンランドのデザインでは、ユニーク、ハンドメイド、そして地元で作られたアイテムが非常に人気です。数回クリックするだけで世界中からデザインを購入できるようになった今日、地元の職人が近所の自身の工房で作ったアイテムは、かえって特別に感じられます。
ギャラリー兼店舗であるLokalがあるのは、ヘルシンキ・デザインディストリクト。ここにはデ200以上のデザイナーとデザインストアが集まり、デザインウィークの中心的な役割を果たします。Lokalはフィンランドの新進デザイナーと著名デザイナー両方の家具や手作りの品をそろえています。
ヘルシンキ・デザインディストリクトのエグゼクティブ・ディレクター、Minni Soverila氏によると、フィンランドのデザインでは、ユニーク、ハンドメイド、そして地元で作られたアイテムが非常に人気です。数回クリックするだけで世界中からデザインを購入できるようになった今日、地元の職人が近所の自身の工房で作ったアイテムは、かえって特別に感じられます。
ギャラリー兼店舗であるLokalがあるのは、ヘルシンキ・デザインディストリクト。ここにはデ200以上のデザイナーとデザインストアが集まり、デザインウィークの中心的な役割を果たします。Lokalはフィンランドの新進デザイナーと著名デザイナー両方の家具や手作りの品をそろえています。
手作りのアイテム
Helsinki Design Weekの今年のハイライトは、デザインフォーラムフィンランドの今年の若手デザイナー賞のプレゼンテーションです。今回は26歳の卓越した職人、Antrei Hartikainenが受賞しました。通気性の良いBastoneキャビネットは木の格子で構成されており、しっかりとモノを収納しながら、外から見えるようになっています。
「Antreiは、驚くほど素晴らしい技術をもち、木材の知識が豊富で忍耐強い職人です」デザインフォーラムフィンランドのLaila Alanenプロジェクトマネージャーは話します。「彼の芸術的デザインは、フィンランド、日本、メキシコの伝統をルーツとしています」
Helsinki Design Weekの今年のハイライトは、デザインフォーラムフィンランドの今年の若手デザイナー賞のプレゼンテーションです。今回は26歳の卓越した職人、Antrei Hartikainenが受賞しました。通気性の良いBastoneキャビネットは木の格子で構成されており、しっかりとモノを収納しながら、外から見えるようになっています。
「Antreiは、驚くほど素晴らしい技術をもち、木材の知識が豊富で忍耐強い職人です」デザインフォーラムフィンランドのLaila Alanenプロジェクトマネージャーは話します。「彼の芸術的デザインは、フィンランド、日本、メキシコの伝統をルーツとしています」
無垢の木がトレンド
ローウッド(未加工の木)は磨かれたり、ラッカー塗りもされていません。ヘルシンキのデザインショップにあるようなローウッド家具に座るなら、ストッキングを履いているときには十分注意する必要があります。
良質、軽量で風を通すことから、未加工で重量感のある木材が人気となっています。写真はヘルシンキ・デザインディストリクトのMIAデザインショップのディスプレイから、Muubs ‘Dakotaのチークチェアーです。
ローウッド(未加工の木)は磨かれたり、ラッカー塗りもされていません。ヘルシンキのデザインショップにあるようなローウッド家具に座るなら、ストッキングを履いているときには十分注意する必要があります。
良質、軽量で風を通すことから、未加工で重量感のある木材が人気となっています。写真はヘルシンキ・デザインディストリクトのMIAデザインショップのディスプレイから、Muubs ‘Dakotaのチークチェアーです。
控えめで未完成
フィンランドの森の木材が、ヘルシンキデザインウィークのRaw / Rawka展で日本の侘び寂びの美学に出会いました。
侘び寂びは、未完成で謙虚な、移ろいのある本物の美しさを賞賛する日本の美学です。ローウッドのような天然素材により未完成の表面が理想的に作られ、形状、色、質感に変化をもたらします。未完成であることを大事にしているので、古くなって傷が増えても、捨てずに使い続けられるのです。
サイドテーブル:Studio Ville Auvinen、 Raw / Rawka展で展示
フィンランドの森の木材が、ヘルシンキデザインウィークのRaw / Rawka展で日本の侘び寂びの美学に出会いました。
侘び寂びは、未完成で謙虚な、移ろいのある本物の美しさを賞賛する日本の美学です。ローウッドのような天然素材により未完成の表面が理想的に作られ、形状、色、質感に変化をもたらします。未完成であることを大事にしているので、古くなって傷が増えても、捨てずに使い続けられるのです。
サイドテーブル:Studio Ville Auvinen、 Raw / Rawka展で展示
この展示では、12人のデザイナーや建築家の作品が展示されています。写真にある木材、皮革、テープ、絵で作られた靴のシリーズを作るデザイナーのTuulaPöyhönenは、この展覧会では材料と職人技が特に際立った存在感を放っていると指摘します。
組み立て式家具
イケアの組み立て式家具に馴染みがある人は多いでしょう。ヘルシンキデザインウィークに出展した家具デザイナーたちは、組み立て式家具が輸送や保管のスペース節約に役立つというだけなく、そのサステナビリティとフレキシビリティに価値を見出しています。
これらの作品は、六角スパナ、釘、ネジなしで組み立てられるようにデザインされています。また、いちど組みたてた後でも分解することができるので、壊れた部品は個別に修理または交換できます。Casuarina家具店のデザイナーAntti TuomiとSakari Hartikainenによる合同展覧会に出品した組立て式スツールのように、色のついたストラップで注意を惹きつけるデザイナーもいます(写真)。
イケアの組み立て式家具に馴染みがある人は多いでしょう。ヘルシンキデザインウィークに出展した家具デザイナーたちは、組み立て式家具が輸送や保管のスペース節約に役立つというだけなく、そのサステナビリティとフレキシビリティに価値を見出しています。
これらの作品は、六角スパナ、釘、ネジなしで組み立てられるようにデザインされています。また、いちど組みたてた後でも分解することができるので、壊れた部品は個別に修理または交換できます。Casuarina家具店のデザイナーAntti TuomiとSakari Hartikainenによる合同展覧会に出品した組立て式スツールのように、色のついたストラップで注意を惹きつけるデザイナーもいます(写真)。
壁の装飾としてのラグ
今年のデザインウィークでは、天然素材やリサイクル素材のラグをよく見かけました。しかし、柔らかくて魅力的なテクスチャは足元で感じるだけではありません。これらのラグは装飾として壁に掛けられていました。写真にあるウールのブランケットは、製造工程で生じた余材でできています。ハンガリーのサステナブルなデザインの例といえるでしょう。
今年のデザインウィークでは、天然素材やリサイクル素材のラグをよく見かけました。しかし、柔らかくて魅力的なテクスチャは足元で感じるだけではありません。これらのラグは装飾として壁に掛けられていました。写真にあるウールのブランケットは、製造工程で生じた余材でできています。ハンガリーのサステナブルなデザインの例といえるでしょう。
ささやかなユーモア
ムーミンの母国であるこの国では、ちょっとしたユーモアと遊び心があるかわいい人形やデザインもよく見かけます。Lokalに展示されているこれらの作品は、ヘルシンキに拠点を置く日本のアーティスト、小山泰によるものです。
ムーミンの母国であるこの国では、ちょっとしたユーモアと遊び心があるかわいい人形やデザインもよく見かけます。Lokalに展示されているこれらの作品は、ヘルシンキに拠点を置く日本のアーティスト、小山泰によるものです。
コレクターズアイテムとしてのデザイン
よく知られたクラシックなモデルの花瓶を流行色を使った特別限定版として再発売。コレクターたちを惹きつけるアイテムです。こちらはIittalaのアアルト ベース、背の高いバージョンです(写真)。
よく知られたクラシックなモデルの花瓶を流行色を使った特別限定版として再発売。コレクターたちを惹きつけるアイテムです。こちらはIittalaのアアルト ベース、背の高いバージョンです(写真)。
多機能アイテム
Artekで紹介されているAino Aaltoの古典的なRiihitie陶器セットは、プランター、サービングディッシュ、タッパーボウルなどとして機能します。
小さな空間に住んでいたり、ミニマリストとしてのライフスタイルを好んでいるのならば、多機能で多目的なデザインには明らかな利点があります。ヘルシンキで会ったエキスパートたちは、全てのサイズや目的をカバーするための大げさな食器セットは、もはや必要ないと強調します。
Artekで紹介されているAino Aaltoの古典的なRiihitie陶器セットは、プランター、サービングディッシュ、タッパーボウルなどとして機能します。
小さな空間に住んでいたり、ミニマリストとしてのライフスタイルを好んでいるのならば、多機能で多目的なデザインには明らかな利点があります。ヘルシンキで会ったエキスパートたちは、全てのサイズや目的をカバーするための大げさな食器セットは、もはや必要ないと強調します。
芸術作品に座ってみる
Artek 2nd Cycleは、同社の代表的な家具に新たな命をふきこむ取り組みです。とくに人気があるのは、アアルトの有名なスツールです。多くの家庭でベッドサイドテーブルとサイドテーブルとしても使用されています。デザインウィークでは、ストリートアーティストのInes Sederholmがこれらのデザインアイコンにペイントを施しました。
Artek 2nd Cycleは、同社の代表的な家具に新たな命をふきこむ取り組みです。とくに人気があるのは、アアルトの有名なスツールです。多くの家庭でベッドサイドテーブルとサイドテーブルとしても使用されています。デザインウィークでは、ストリートアーティストのInes Sederholmがこれらのデザインアイコンにペイントを施しました。
リサイクルといえば
ヘルシンキデザインウィークはすでに終了し、多くの展示品が撤去されていますが 、この後はどうなるのでしょうか?
デザイナーのJonatan Varonには素晴らしいアイデアがありました。彼は、破棄された展示台の一部を使って、このようなランプをデザインしています。このランプは、デザインウィークエキシビジョンのRubbish Philosophy展で展示されていたものです。
こちらもあわせて
「メゾン・エ・オブジェ・パリ」2018年9月展のトレンド10選
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