伝統工芸をコンテンポラリーなセンスで。インドの名優イルファーン・カーンの自宅拝見
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』『スラムドッグ$ミリオネア』で知られるインドの有名俳優イルファーン・カーンさんが家族と暮らすムンバイの自宅。夫妻で集めたインドの伝統工芸を美しくしつらえた、コンテンポラリーな住まいです。
Aditi Sharma Maheshwari
2017年8月6日
樹木のモチーフ、彫刻、装飾が美しいフレーム、精巧なアート、伝統家具がしつらえられた空間は、まるで天界のよう。この家全体はインドの美と芸術を称える詩のようにつくられており、旅先で見つけた工芸品や装飾品、絵画がところせましと並んでいる。
この家で暮らすのは、数々の賞に輝くインドの映画俳優、イルファーン・カーンさん。『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』『スラムドッグ$ミリオネア』『めぐり逢わせのお弁当』『Paan Singh Tomar』などの映画で知られる名優だ。カーンさんと奥様のスタパ・シクダーさんが望んだのは、家の外の世界を忘れさせる、居心地のいい住まい。「ムンバイという大都会は、あらゆるものが絡み合うカオスそのもの。そのただ中でも、喧騒から離れて暮らせる家がほしい、というのは夫妻の希望でした」と話すのは、この家の設計を担当した、ムンバイのインテリアデザイン事務所〈ジ・オレンジ・レーン〉のシャブナム・グプタさんだ。
この家で暮らすのは、数々の賞に輝くインドの映画俳優、イルファーン・カーンさん。『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』『スラムドッグ$ミリオネア』『めぐり逢わせのお弁当』『Paan Singh Tomar』などの映画で知られる名優だ。カーンさんと奥様のスタパ・シクダーさんが望んだのは、家の外の世界を忘れさせる、居心地のいい住まい。「ムンバイという大都会は、あらゆるものが絡み合うカオスそのもの。そのただ中でも、喧騒から離れて暮らせる家がほしい、というのは夫妻の希望でした」と話すのは、この家の設計を担当した、ムンバイのインテリアデザイン事務所〈ジ・オレンジ・レーン〉のシャブナム・グプタさんだ。
どんなHouzz?
住まい手:俳優イルファーン・カーンさん、妻のスタパ・シクダーさん、息子のバビルさんとアヤンさん
所在地:インド、ムンバイ
規模:約340平方メートルにベッドルーム4つとバスルーム5つ
設計者:〈ジ・オレンジ・レーン〉のシャブナム・グプタさん
住まいはマンションの5階にある。広いリビングルームには、床から天井までの大きなガラス窓があり、自然光が溢れている。玄関の左手にはダイニングルームと個室が4つ。個室は書斎つきのカーンさんの部屋と、シクダーさんの部屋、2人の息子それぞれの部屋で、すべての部屋にオンスイートのバスルームがついている。
「それぞれの個性を反映した部屋をつくりつつも、共有スペースとのスムーズな連続性も確保するよう心掛けました」とグプタさん。住まいのなかに多様な空間がありつつも、連続性を感じさせる家となっている。
リビングエリアの色使いは鮮やかで、グレーを背景に青と緑が使われている。「庭からインスパイアされたリビングルームは、むき出しの天井に花の形のライトを取り付け、まるでつる植物が自然にスラブの天井をつたって伸びているように見せています。濃いブルーの室内噴水は、中央に置かれた壺からあふれる水の優しい音とともに、空間に静けさをもたらしています」とグプタさんが説明する。
住まい手:俳優イルファーン・カーンさん、妻のスタパ・シクダーさん、息子のバビルさんとアヤンさん
所在地:インド、ムンバイ
規模:約340平方メートルにベッドルーム4つとバスルーム5つ
設計者:〈ジ・オレンジ・レーン〉のシャブナム・グプタさん
住まいはマンションの5階にある。広いリビングルームには、床から天井までの大きなガラス窓があり、自然光が溢れている。玄関の左手にはダイニングルームと個室が4つ。個室は書斎つきのカーンさんの部屋と、シクダーさんの部屋、2人の息子それぞれの部屋で、すべての部屋にオンスイートのバスルームがついている。
「それぞれの個性を反映した部屋をつくりつつも、共有スペースとのスムーズな連続性も確保するよう心掛けました」とグプタさん。住まいのなかに多様な空間がありつつも、連続性を感じさせる家となっている。
リビングエリアの色使いは鮮やかで、グレーを背景に青と緑が使われている。「庭からインスパイアされたリビングルームは、むき出しの天井に花の形のライトを取り付け、まるでつる植物が自然にスラブの天井をつたって伸びているように見せています。濃いブルーの室内噴水は、中央に置かれた壺からあふれる水の優しい音とともに、空間に静けさをもたらしています」とグプタさんが説明する。
広いリビングには、一家が長年インド各地から取り寄せるなどして収集した工芸品が飾られている。
この家のエクレクティックな個性は、インドの伝統的な家具やデザイン要素と現代的なレイアウトの組み合わせから生まれている。田舎の村にある「チャーパイ」(低い木枠にロープを編み上げて座面を張ったベンチ)や、インドのトライバルアートの「ゴンド画」、鏡の回りに細やかな木彫りを施したインド北西部ラージャスタン州の「ジャロカ」(古代の砦にみられる周囲を囲まれたバルコニーや窓)風の木製スクリーン、地元産のカラフルなジュートのラグ。いずれも、長い歴史を誇るインドの伝統工芸を現代風にアレンジしたアイテムだ。
伝統的な「ジュラ」(ブランコ式ベンチ。インドの多くの家にあり、通常は庭や中庭に置かれる)は、設計者が作ったもの。部屋のほぼ真ん中に設置されているため、目を引く。「ふたり掛けのブランコは、厚板で作り、ティール色のロープで吊しました」とグプタさん。
この家のエクレクティックな個性は、インドの伝統的な家具やデザイン要素と現代的なレイアウトの組み合わせから生まれている。田舎の村にある「チャーパイ」(低い木枠にロープを編み上げて座面を張ったベンチ)や、インドのトライバルアートの「ゴンド画」、鏡の回りに細やかな木彫りを施したインド北西部ラージャスタン州の「ジャロカ」(古代の砦にみられる周囲を囲まれたバルコニーや窓)風の木製スクリーン、地元産のカラフルなジュートのラグ。いずれも、長い歴史を誇るインドの伝統工芸を現代風にアレンジしたアイテムだ。
伝統的な「ジュラ」(ブランコ式ベンチ。インドの多くの家にあり、通常は庭や中庭に置かれる)は、設計者が作ったもの。部屋のほぼ真ん中に設置されているため、目を引く。「ふたり掛けのブランコは、厚板で作り、ティール色のロープで吊しました」とグプタさん。
広いリビングの隅の柱には、形や大きさの異なる鏡、素焼きのパネルなどのさまざまなアクセサリーを貼っている。
リビングルームは、2面にバルコニーがある。「バルコニーには背の高い植物を置き、外の世界を遮断する目隠しにもしています」とグプタさん。
リビングルームは、2面にバルコニーがある。「バルコニーには背の高い植物を置き、外の世界を遮断する目隠しにもしています」とグプタさん。
リビングルームの隣にはダイニングエリア。「ここは、もっとフォーマルな雰囲気を意識して設計しました」とグプタさん。穏やかな白を基調とした空間で、椅子の張地の鮮やかな青が目を引く。木の茶色の色調と、テーブルの上にまとめて吊したシャープなスタイルの黒いワイヤーのランプもアクセントになっている。ミラーパネルをはった壁は、現場で制作したもので、部屋を明るく広く見せている。リビングエリアとの間にある室内窓が、ふたつのスペースをつなぐ。床はポリッシュ仕上げのシーグリーンの川石で、家のさまざまな場所で使っている。
個室はその部屋を使う人らしい空間としてデザインしつつ、家全体のテーマにも寄り添っている。
カーンさんの寝室は、落ちついた白いスペースで、明るい青のクッションと、同じ色のヘッドボードがアクセントに。ここでもベッドの後ろのゴンド画が目を引く。「イルファーンさんとスタパさんはふたりとも美術に造詣が深く、クリエイティブな視点をお持ちです。ここでは、壁に描いた絵でフォーカルポイントを作りました。制作は〈ピーコックライフ〉の社内アーティストにお願いしました」とグプタさん。
カーンさんの寝室は、落ちついた白いスペースで、明るい青のクッションと、同じ色のヘッドボードがアクセントに。ここでもベッドの後ろのゴンド画が目を引く。「イルファーンさんとスタパさんはふたりとも美術に造詣が深く、クリエイティブな視点をお持ちです。ここでは、壁に描いた絵でフォーカルポイントを作りました。制作は〈ピーコックライフ〉の社内アーティストにお願いしました」とグプタさん。
部屋の反対側には張り出し窓があり、書斎が見える。「ここは複数のスペースをつなぐ、美しい場所。奥には高さのある書棚の壁、座り心地のよいシート、読書用の奥まったコーナー、書斎があります。」
こちらはシクダーさんの部屋。「花のモチーフやゴンド画、アンティークが、彼女の個性を表現しています。黄色い丸テーブルと椅子2つを置くのにぴったりの小さなバルコニーもあります」。
天蓋付きベッドは〈ピーコックライフ〉で購入したもの、テーブルランプはインド北西部ジョドプルの職人によるもの、ゴンド画はシクダーさんのコレクションの一部だ。
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