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世界のHouzzから:ドイツ製キッチンの魅力とは?
ドイツ本国のみならずヨーロッパで圧倒的な支持を集めるドイツ製キッチン。機能性、堅牢性など、ドイツキッチンのさまざまな特長について、Houzzドイツ編集部のエディターが解説します。
Karen Bofinger
2016年7月11日
ヨーロッパでは、何十年も前からメジャーだったドイツのキッチンブランド。今では、アメリカやアジアにもその人気が広まっている。なぜ、ドイツのシステムキッチンがこれほど人気なのだろうか? 国内・海外を問わず得ている高い評価には、5つの理由があるようだ。
〈ジーマティック〉の製品をつかったドイツのキッチン
ドイツのキッチンメーカーには、家族経営の会社が多い。「家族経営の会社には、独特の社風があると思います。また、販売店も家族経営のところが多く、小規模な専門ディーラーが多数を占めているので、この組み合わせでとてもうまく機能しているんです」と話すのは、〈ジーマティック〉の3代目に当たる経営陣のひとり、ウルリッヒ・ジークマンさんだ。
「ビジネスには、短期的に苦しい状況に陥ることが必ずありますが、次の世代に会社を受け継ぐためと思えば持ちこたえていくことができるんです」とジークマンさんは言う。
ドイツのキッチンメーカーには、家族経営の会社が多い。「家族経営の会社には、独特の社風があると思います。また、販売店も家族経営のところが多く、小規模な専門ディーラーが多数を占めているので、この組み合わせでとてもうまく機能しているんです」と話すのは、〈ジーマティック〉の3代目に当たる経営陣のひとり、ウルリッヒ・ジークマンさんだ。
「ビジネスには、短期的に苦しい状況に陥ることが必ずありますが、次の世代に会社を受け継ぐためと思えば持ちこたえていくことができるんです」とジークマンさんは言う。
〈ヘッカー〉の製品を使ったドバイの家のキッチン
2.「ドイツ製」には世界の信頼がある
「早起きは三文の徳」というが、何事も先んじた者が得をするものだ。輸出だって、早く始めたメーカーのほうが優位に立つ可能性は高い。ドイツのキッチンブランドがヨーロッパで成功し始めたのは1950~60年代、ドイツ経済の奇跡的な成長の時代である。多くのドイツメーカーはこの頃にキッチンの輸出を始めている。
従来からドイツのキッチンメーカーが強い市場といえば、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、フランス、イギリス。最近では、ロシアや中国、アメリカといった国も視野に入ってきた。一般的に輸出先は60か国にのぼり、製品全体に占める輸出向け製品の割合は、〈ヘッカー〉の場合は40%、〈ブルトハウプ〉の場合は80%近くにもなる。
ドイツメーカーのキッチンはバラエティ豊かで、これはドイツキッチン業界全体の強みでもある。もう1か国、キッチンが得意な国と言えばイタリアだが、こちらは〈ボッフィ〉に代表されるような、よりラグジュアリーで小規模なブランドが有名だ。
ちょっとトリビア:ローマ教皇の住むバチカン宮殿でも、ドイツ製キッチン(ジーマティック)が使われている。
2.「ドイツ製」には世界の信頼がある
「早起きは三文の徳」というが、何事も先んじた者が得をするものだ。輸出だって、早く始めたメーカーのほうが優位に立つ可能性は高い。ドイツのキッチンブランドがヨーロッパで成功し始めたのは1950~60年代、ドイツ経済の奇跡的な成長の時代である。多くのドイツメーカーはこの頃にキッチンの輸出を始めている。
従来からドイツのキッチンメーカーが強い市場といえば、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、フランス、イギリス。最近では、ロシアや中国、アメリカといった国も視野に入ってきた。一般的に輸出先は60か国にのぼり、製品全体に占める輸出向け製品の割合は、〈ヘッカー〉の場合は40%、〈ブルトハウプ〉の場合は80%近くにもなる。
ドイツメーカーのキッチンはバラエティ豊かで、これはドイツキッチン業界全体の強みでもある。もう1か国、キッチンが得意な国と言えばイタリアだが、こちらは〈ボッフィ〉に代表されるような、よりラグジュアリーで小規模なブランドが有名だ。
ちょっとトリビア:ローマ教皇の住むバチカン宮殿でも、ドイツ製キッチン(ジーマティック)が使われている。
〈ライヒ〉のキッチンを使ったイギリスの家
今やドイツのキッチンメーカーは、アメリカ、オーストラリア、オランダ、イギリスなど、世界各地で事業を展開している。19世紀のイギリスでは、ドイツからの輸入品を購入させない狙いで「ドイツ製」というラベル表示が導入されていたのだが、今では逆に「ドイツ製」が高品質の証しとなっているようだ。
今やドイツのキッチンメーカーは、アメリカ、オーストラリア、オランダ、イギリスなど、世界各地で事業を展開している。19世紀のイギリスでは、ドイツからの輸入品を購入させない狙いで「ドイツ製」というラベル表示が導入されていたのだが、今では逆に「ドイツ製」が高品質の証しとなっているようだ。
〈エガーズマン〉のキッチンを使ったコペンハーベンの家
ドイツのキッチンメーカーにとって、輸出は成長の原動力だが、やはり基盤となるのは、消費力が比較的高く、ブランド間の競争が活発なドイツ国内市場である。国内はドイツメーカーの独壇場で、2014年にはドイツ製キッチンの輸出量は、外国製品の輸入量の14倍となっている。
海外のキッチンメーカーには入り込む余地がほとんどないようだ。一方、ソファなどの布張り家具では状況が逆で、外国製品の輸入量がドイツ製品の輸出量の2.5倍となっている。
市場が大きく、生産量が多いことは、メーカーにとっては有利である。比較的安い価格が維持できるため、結果として収入が増える。そのぶん生産や研究に投資でき、さらに良い製品が生まれる……という好循環が繰り返されるからだ。
ドイツのキッチンメーカーにとって、輸出は成長の原動力だが、やはり基盤となるのは、消費力が比較的高く、ブランド間の競争が活発なドイツ国内市場である。国内はドイツメーカーの独壇場で、2014年にはドイツ製キッチンの輸出量は、外国製品の輸入量の14倍となっている。
海外のキッチンメーカーには入り込む余地がほとんどないようだ。一方、ソファなどの布張り家具では状況が逆で、外国製品の輸入量がドイツ製品の輸出量の2.5倍となっている。
市場が大きく、生産量が多いことは、メーカーにとっては有利である。比較的安い価格が維持できるため、結果として収入が増える。そのぶん生産や研究に投資でき、さらに良い製品が生まれる……という好循環が繰り返されるからだ。
L字スペースを無駄なく使えて便利な、〈ハーフェレ〉の《レマン》
3.工学の伝統が支えるドイツのキッチン
紋切型の表現ではあるが、ドイツはエンジニアと研究者の国だ。そしてこの特性は、車業界にとどまらず、バスルームやキッチン業界にも影響を与えている。
キッチンは複雑な製品で、しかも機能性が第一だ。キャビネットはスムーズに開くか、中の構造は使いやすいか、各パーツの耐久性はどのくらいか、など、さまざまな点をひとつひとつ考えていかなくてはならない。「ドイツには、エンジニアリング分野での豊富な経験があります。キッチンでいうと、金具を専門に扱う業界にこの経験が生きています」と、〈ジーマティック〉のジークマンさんは言う。「これまでの40~50年間、取付金具業界は品質と機能性の面からキッチン産業の発展に貢献しているんです。」
こうした目立たないが重要な部分で成果をあげ、世界的に有名になったメーカーに、1920年代にシュヴァーベン地方の町ナゴルトで創業した〈ハーフェレ〉などがある。技術開発は、特定のキッチンメーカーと協力して行われることが多い。
3.工学の伝統が支えるドイツのキッチン
紋切型の表現ではあるが、ドイツはエンジニアと研究者の国だ。そしてこの特性は、車業界にとどまらず、バスルームやキッチン業界にも影響を与えている。
キッチンは複雑な製品で、しかも機能性が第一だ。キャビネットはスムーズに開くか、中の構造は使いやすいか、各パーツの耐久性はどのくらいか、など、さまざまな点をひとつひとつ考えていかなくてはならない。「ドイツには、エンジニアリング分野での豊富な経験があります。キッチンでいうと、金具を専門に扱う業界にこの経験が生きています」と、〈ジーマティック〉のジークマンさんは言う。「これまでの40~50年間、取付金具業界は品質と機能性の面からキッチン産業の発展に貢献しているんです。」
こうした目立たないが重要な部分で成果をあげ、世界的に有名になったメーカーに、1920年代にシュヴァーベン地方の町ナゴルトで創業した〈ハーフェレ〉などがある。技術開発は、特定のキッチンメーカーと協力して行われることが多い。
整理整頓がしやすい〈ジーマティック〉の引き出し
ドイツのキッチンは、あらゆる部品が「ドイツ製」だ。キッチンに関連する企業の地理的な分布を見てみると、興味深いことが明らかになる。例えば、ドイツのシステムキッチンメーカー76社のうち、33社がノルトライン=ヴェストファーレン州にあり、キッチン業界で雇用されている16,400人のうち57%がそこで働いている。それ以外のメーカーの多くはバイエルンやシュヴァーベン地方に集中しており、その周辺にはサプライヤーが集まることになる。
なぜ、このような地理的集中が大切なのか。それは、距離が近いほど長期的な協力関係が強まるからだ。例えば、キッチンメーカーの〈ヘッカー〉は、近くにあるキャビネット金具製造会社〈ヘティヒ〉と50年以上にわたり提携している。〈ヘッカー〉の営業責任者マルクス・ザンダーさんはこう語る。「自転車で行ける距離なんですよ! もちろん、長年の関係があるとはいえ、常に同業者との競争はしてもらっています。でも、競合相手に負けず革新を続けていく限り、私たちの協力関係は続いていくでしょう。」
ドイツのキッチンは、あらゆる部品が「ドイツ製」だ。キッチンに関連する企業の地理的な分布を見てみると、興味深いことが明らかになる。例えば、ドイツのシステムキッチンメーカー76社のうち、33社がノルトライン=ヴェストファーレン州にあり、キッチン業界で雇用されている16,400人のうち57%がそこで働いている。それ以外のメーカーの多くはバイエルンやシュヴァーベン地方に集中しており、その周辺にはサプライヤーが集まることになる。
なぜ、このような地理的集中が大切なのか。それは、距離が近いほど長期的な協力関係が強まるからだ。例えば、キッチンメーカーの〈ヘッカー〉は、近くにあるキャビネット金具製造会社〈ヘティヒ〉と50年以上にわたり提携している。〈ヘッカー〉の営業責任者マルクス・ザンダーさんはこう語る。「自転車で行ける距離なんですよ! もちろん、長年の関係があるとはいえ、常に同業者との競争はしてもらっています。でも、競合相手に負けず革新を続けていく限り、私たちの協力関係は続いていくでしょう。」
〈ノルテ〉の製品を使ったモスクワのキッチン
キッチン本体のほか、キッチンの補助的な設備や電化製品も、キッチンを構成する重要な部分だ。これらの部分を担当する優秀なメーカーもドイツ国内にあり、その多くは家族経営の会社であり、キッチンメーカーと価値観を共有している。
補助的な設備やシンクを扱う会社としては、〈ドンブラハ〉、〈ブランコ〉、〈ハンスグローエ〉(シュヴァーベン地方の町シルタッハで1901年に創業)などが挙げられる。
電化製品部門では、ヨーロッパ最大の家電メーカーであるミュンヘンの〈BSH〉、1899に創業し現在も家族経営の〈ミーレ〉、鉄製品を扱っていた1683年にまで歴史がさかのぼる〈ガゲナウ〉、バーデン北部で1877年に創業した〈ネフ〉などがある。
こういったキッチン家電メーカーも、やはりドイツ工学技術の恩恵を受けてきた。19世紀末、カール・フォン・リンデが近代的な冷却技術、リンデ法を開発。それ以前の冷蔵庫や冷蔵室では、氷を使って冷却していたのだが、1879年に設立された〈リンデ〉は、またたく間に冷却技術でヨーロッパをリードする存在となった。
ヨーロッパ初の近代的な産業用冷蔵庫は、ザクセン州の〈チョッパウアー発動機〉が1927~28年に開発。そして時は移り1992年、現代の冷蔵庫としては世界で初めてフロンガスを使用しない機種が、ザクセン州の〈DKKシャルフェンシュタイン〉(のちの〈フォロン〉)によって製造された。
キッチン本体のほか、キッチンの補助的な設備や電化製品も、キッチンを構成する重要な部分だ。これらの部分を担当する優秀なメーカーもドイツ国内にあり、その多くは家族経営の会社であり、キッチンメーカーと価値観を共有している。
補助的な設備やシンクを扱う会社としては、〈ドンブラハ〉、〈ブランコ〉、〈ハンスグローエ〉(シュヴァーベン地方の町シルタッハで1901年に創業)などが挙げられる。
電化製品部門では、ヨーロッパ最大の家電メーカーであるミュンヘンの〈BSH〉、1899に創業し現在も家族経営の〈ミーレ〉、鉄製品を扱っていた1683年にまで歴史がさかのぼる〈ガゲナウ〉、バーデン北部で1877年に創業した〈ネフ〉などがある。
こういったキッチン家電メーカーも、やはりドイツ工学技術の恩恵を受けてきた。19世紀末、カール・フォン・リンデが近代的な冷却技術、リンデ法を開発。それ以前の冷蔵庫や冷蔵室では、氷を使って冷却していたのだが、1879年に設立された〈リンデ〉は、またたく間に冷却技術でヨーロッパをリードする存在となった。
ヨーロッパ初の近代的な産業用冷蔵庫は、ザクセン州の〈チョッパウアー発動機〉が1927~28年に開発。そして時は移り1992年、現代の冷蔵庫としては世界で初めてフロンガスを使用しない機種が、ザクセン州の〈DKKシャルフェンシュタイン〉(のちの〈フォロン〉)によって製造された。
〈ポーゲンポール〉のキッチンを使ったアトランタの家
4.ドイツのキッチンは、スケジュール通りに完成する
しかし今の時代、どこの国の企業でも、良いキッチンづくりに必要な材料を手に入れることは可能なはずだ。ドイツのキッチンメーカーと、それ以外とで差をつけるものは何なのだろう? 〈エガーズマン〉のディレクター、マイケル・ウンラムさんは「クリエイティブな面よりも、納品や設置が確実で信頼できることでしょうね」と答える。
〈ライヒ〉の会長であり、ドイツキッチン家具産業協会の会長もつとめるシュテファン・ヴァルトマイヤーさんはこう語る。「サプライヤー向けの高品質なデジタル設計データがあることや、注文確認書が画像付きでわかりやすいこと、注文の管理方法、配送システム、納品日の遵守など、あらゆる点を包括して全体として評価されているのが、ドイツのキッチンなんです。」もちろん、デザインと製品の質の高さも忘れてはいけない。
4.ドイツのキッチンは、スケジュール通りに完成する
しかし今の時代、どこの国の企業でも、良いキッチンづくりに必要な材料を手に入れることは可能なはずだ。ドイツのキッチンメーカーと、それ以外とで差をつけるものは何なのだろう? 〈エガーズマン〉のディレクター、マイケル・ウンラムさんは「クリエイティブな面よりも、納品や設置が確実で信頼できることでしょうね」と答える。
〈ライヒ〉の会長であり、ドイツキッチン家具産業協会の会長もつとめるシュテファン・ヴァルトマイヤーさんはこう語る。「サプライヤー向けの高品質なデジタル設計データがあることや、注文確認書が画像付きでわかりやすいこと、注文の管理方法、配送システム、納品日の遵守など、あらゆる点を包括して全体として評価されているのが、ドイツのキッチンなんです。」もちろん、デザインと製品の質の高さも忘れてはいけない。
〈ノビリア〉のキッチンを使ったスイスの家
どのメーカーのどのCEOに話を聞いても、納品について確かな自信があると胸を張る。「キャビネットから土台部分まで、40~50個のキッチンパーツを海外のどこかに送るというのは、ソファをひとつ送るよりも難しいですよね。そこを、ドイツのキッチン業界はうまくマスターしていると思います」と〈ジーマティック〉のジークマンさんは言う。
キッチンを購入する側としては、当然、部品がすべて揃った状態で一度に届いてほしい。コンロ部分が届くまであと2週間、足りなかったキャビネットの扉が届くまであと4週間……なんてことは避けたい。このような配送面でも、ドイツのキッチンメーカーはサプライヤーとの連携が緊密なため、大幅に有利なのだ。
どのメーカーのどのCEOに話を聞いても、納品について確かな自信があると胸を張る。「キャビネットから土台部分まで、40~50個のキッチンパーツを海外のどこかに送るというのは、ソファをひとつ送るよりも難しいですよね。そこを、ドイツのキッチン業界はうまくマスターしていると思います」と〈ジーマティック〉のジークマンさんは言う。
キッチンを購入する側としては、当然、部品がすべて揃った状態で一度に届いてほしい。コンロ部分が届くまであと2週間、足りなかったキャビネットの扉が届くまであと4週間……なんてことは避けたい。このような配送面でも、ドイツのキッチンメーカーはサプライヤーとの連携が緊密なため、大幅に有利なのだ。
〈ブルトハウプ〉の製品を使ったフランスの家
5. 機能を形にしたデザイン
それでは、ドイツ製キッチンに弱点はないのかというと、おそらく多くの人が指摘するのがデザインだろう。ことスタイルの美しさについては、特にドイツが秀でているという印象は持たれていない。効率性や機能性、技術力の高さに比較して、スタイルはいまいち、というのが(キッチンに限らず)ドイツ製品に多いパターンだ。
「デザインが優れているといえば、もちろんイタリアですから、彼らから学べるようにと努力しています。でも同時に、イタリアもドイツに学ぶところがあるでしょう」とジークマンさんは言う。「それから、カントリースタイルのキッチンを取り入れた、北米メーカーの個性的なアプローチにも注目しています。」
5. 機能を形にしたデザイン
それでは、ドイツ製キッチンに弱点はないのかというと、おそらく多くの人が指摘するのがデザインだろう。ことスタイルの美しさについては、特にドイツが秀でているという印象は持たれていない。効率性や機能性、技術力の高さに比較して、スタイルはいまいち、というのが(キッチンに限らず)ドイツ製品に多いパターンだ。
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〈アルノ〉のキッチンを使ったロンドンの家
ドイツ勢も、デザイン面で他国に追いつこうと頑張っている。〈ライヒ〉のシュテファン・ヴァルトマイヤーさんは、「バウハウスの伝統を汲むドイツデザインは国際的に評価が高まっている」と指摘する。
「少ないことは良いことだ」「形態は機能に従う」――いわゆる「典型的な」ドイツデザインの本質をよく表している表現だが、キッチンやバスルームでは、この特性こそが必要とされているのではないだろうか。一度購入すれば長いあいだ使うものだから、流行を追うよりもシンプルで落ち着いたデザインが求められる。またキッチンやバスルームは、複雑な技術力が要求される空間でもある。
ドイツ勢も、デザイン面で他国に追いつこうと頑張っている。〈ライヒ〉のシュテファン・ヴァルトマイヤーさんは、「バウハウスの伝統を汲むドイツデザインは国際的に評価が高まっている」と指摘する。
「少ないことは良いことだ」「形態は機能に従う」――いわゆる「典型的な」ドイツデザインの本質をよく表している表現だが、キッチンやバスルームでは、この特性こそが必要とされているのではないだろうか。一度購入すれば長いあいだ使うものだから、流行を追うよりもシンプルで落ち着いたデザインが求められる。またキッチンやバスルームは、複雑な技術力が要求される空間でもある。
〈ライヒ〉の《エクステンド・プラス》
「アメリカ人にとっては、ドイツ製キッチンはとても未来的に見えるんです」と言うのは、ニューヨークでドイツ製キッチンを販売するマヤン・メツラーさんだ。テクノロジーを前面に出したデザインが多いからかもしれない。
〈ライヒ〉の《エクステンド・プラス》ライトシェルフ(上と下の写真)も、その1例だ。壁付きのアルミ製シェルフには、縦の構造部分に電気が通っていて、LEDライトを組み込んだ棚を好きな位置に配置することができる。いちいち配線を変える必要はない。前面を覆う扉は羽板状になっており、ボタンを押すだけで開閉できる。
〈ジーマティック〉の《S1》では、照明システム、オーディオ機器類、iPodドックがキッチンと一体型になっており、2009年に大きな話題となった。最近では、〈ティルザ〉や、〈ザクセンキュッヘン〉の《エルゴマティック》システムなど、高さを調節できるキッチンアイランドも登場している。
〈ヘッカー〉は、見えないところに音響システムを組み込んだキッチンを販売。ブルートゥースで接続し、キッチンユニットの土台部分を活用して音を響かせる。カウンタートップにドックを設ける必要はない。
「アメリカ人にとっては、ドイツ製キッチンはとても未来的に見えるんです」と言うのは、ニューヨークでドイツ製キッチンを販売するマヤン・メツラーさんだ。テクノロジーを前面に出したデザインが多いからかもしれない。
〈ライヒ〉の《エクステンド・プラス》ライトシェルフ(上と下の写真)も、その1例だ。壁付きのアルミ製シェルフには、縦の構造部分に電気が通っていて、LEDライトを組み込んだ棚を好きな位置に配置することができる。いちいち配線を変える必要はない。前面を覆う扉は羽板状になっており、ボタンを押すだけで開閉できる。
〈ジーマティック〉の《S1》では、照明システム、オーディオ機器類、iPodドックがキッチンと一体型になっており、2009年に大きな話題となった。最近では、〈ティルザ〉や、〈ザクセンキュッヘン〉の《エルゴマティック》システムなど、高さを調節できるキッチンアイランドも登場している。
〈ヘッカー〉は、見えないところに音響システムを組み込んだキッチンを販売。ブルートゥースで接続し、キッチンユニットの土台部分を活用して音を響かせる。カウンタートップにドックを設ける必要はない。
〈エガーズマン〉のライムストーン製キッチン《ユニーク》
最近では、よりニッチな専門メーカーも、独特なデザインで人気を確立している。その好例が〈エガーズマン〉で、写真の《ユニーク》シリーズなど、年間5000台ほどのキッチンを製造する小規模メーカーだ。
〈エガーズマン〉の経営陣として第4世代に当たるヴンラムさんは、「このシリーズでは、本物の素材しか使っていません。自然石、熱延ステンレススチール、《コーリアン》といった素材を、表面だけではなく全体に使っているんです」と語る。熟練した技術があってこそ可能な仕様だ。
最近では、よりニッチな専門メーカーも、独特なデザインで人気を確立している。その好例が〈エガーズマン〉で、写真の《ユニーク》シリーズなど、年間5000台ほどのキッチンを製造する小規模メーカーだ。
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〈ワーレンドルフ〉の《ヒドゥン》(隠さた)キッチンシリーズ
一方、〈ワーレンドルフ〉では、壁付き型の「ヒドゥン(隠れた)キッチン」を発表。コールテン鋼のような雰囲気のパネルの奥に、キッチンを隠してしまうことができる。大きなワンルームスペースには適しているだろう。でも、ドイツ製キッチンなら、隠す必要などないのかもしれない。
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