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世界のHouzzから:シャワーやバスの節水機能の最前線
世界中で水不足が深刻化するなかで、ますます進化するシャワーやバスの節水機能。その最新事情とは?
Dorothea Gundtoft
2016年2月20日
水資源が減少するなか、水の節約は今すぐ取り組むべき課題だ。米政府説明責任局は、2013年までにアメリカの36州で水不足が起こると予測している。ロシアでは2015年に全世帯で水道メーターを導入、そしてスウェーデンでは宇宙開発技術を応用して水を大幅に節約するための方法を模索している。よりサステナブルな未来のために、まずは自宅のバスルーム設備から見直してみよう。残念ながら、大半のバスルームはエネルギー効率がかなり悪く、家の中で消費される水の半分以上がバスルーム周りで使われているというのが現状だ。
スウェーデン発、水を節約する未来の技術
宇宙は「最後のフロンティア」と言われるが、地球上でも応用することのできる新技術のフロンティアでもある。近年新たに開発された革新的技術のひとつが、スウェーデン企業〈オービタル・システムズ〉のシャワーシステム。このシステムでは従来のシャワーに比べ、水は90%、エネルギーは80%節約できる。
同社が「未来のシャワー」と呼ぶこの技術は、2013年、創業者のメルダッド・マジュービさんがスウェーデン南部のルンド大学の最終学年に在学中にNASAと共同で取り組んだ学術研究プロジェクトから発展したものだ。
マジュービさんは、宇宙ステーションで水をリサイクル・再利用する技術なら地球上のバスルームでも活用できるのではと気づき、一般家庭のほか、ジム、学校、公衆浴場やホテルといった施設での応用可能性について考え始めた。
宇宙は「最後のフロンティア」と言われるが、地球上でも応用することのできる新技術のフロンティアでもある。近年新たに開発された革新的技術のひとつが、スウェーデン企業〈オービタル・システムズ〉のシャワーシステム。このシステムでは従来のシャワーに比べ、水は90%、エネルギーは80%節約できる。
同社が「未来のシャワー」と呼ぶこの技術は、2013年、創業者のメルダッド・マジュービさんがスウェーデン南部のルンド大学の最終学年に在学中にNASAと共同で取り組んだ学術研究プロジェクトから発展したものだ。
マジュービさんは、宇宙ステーションで水をリサイクル・再利用する技術なら地球上のバスルームでも活用できるのではと気づき、一般家庭のほか、ジム、学校、公衆浴場やホテルといった施設での応用可能性について考え始めた。
「地球でも宇宙でも、どこでも使えるものを開発できると思うと、なんとも素晴らしい気分でした」とマジュービさんは言う。
このシステムでは、90×90センチの専用シャワートレイの底に2つのフィルターが設置されている。1つは小さなゴミを取り除くマイクロフィルター。もう1つはウイルスやバクテリア、細かな粒子を吸着し、毒性物質や金属、油などを99%除去できるナノフィルターだ。開発者らによると、ろ過された水は通常の水道水よりも高品質だと言う。スウェーデン公衆衛生局によるいくつもの試験で水質が確かめられている。
シャワーで使用した水はフィルターを通り、きれいになって再びシャワーヘッドから出てくる。このように同じ水を何度も繰り返し使うことで水が節約できる仕組みだ。例えばシャンプーボトルをこぼしてしまうなどして水の汚れがひどくなった場合、フィルターのセンサーが感知して汚水を排水し、替わりにきれいな水が補充される。システムの価格は、一般家庭用なら独立型シャワールームで5,995米ドル程度、新築や改築時にシャワートレイを床に組み込む場合は4,995ドル程度だ(設置費用による)。地域の配管業者や適切な資格を持つ電気工事技術者に依頼すれば、マニュアルに従って設置できるという。
フィルター交換の時期は、シャワートレイに付いているLEDランプが教えてくれる。価格はマイクロカプセルフィルターが25ドル、ナノカプセルフィルターが100ドルで、トレイを持ち上げて簡単に交換できる。〈オービタル・システムズ〉社の推算では、一般家庭では1年間でマイクロカプセルが3つ、ナノカプセルが1つ必要となり、この場合の費用は年間175ドル。もちろん、十代の娘さんたちがいるご家庭ならもっと高くなるかもしれないが、「普段シャワーを良く使う人ほど、節約できる水とエネルギーの量も多くなるわけです」とマジュービさんは言う。
こちらのウェブサイトで、このシステムを導入すると水と水道代がどのくらい節約できるか試算できる。スウェーデンの水道代はかなり安いほうだが、スウェーデンに暮らすHouzzスウェーデン版のエディターの家庭(10代の娘が2人いる)で試算してみると、1,605ドルも節約できるという結果になった。でも、いちばん驚くのは節約できる水の量で、年間なんと189,800リットル。これだけの水が今は無駄になっているかと思うと残念だ。
こちらのウェブサイトで、このシステムを導入すると水と水道代がどのくらい節約できるか試算できる。スウェーデンの水道代はかなり安いほうだが、スウェーデンに暮らすHouzzスウェーデン版のエディターの家庭(10代の娘が2人いる)で試算してみると、1,605ドルも節約できるという結果になった。でも、いちばん驚くのは節約できる水の量で、年間なんと189,800リットル。これだけの水が今は無駄になっているかと思うと残念だ。
ロシアの節水事情とは?
モスクワに暮らし、勤務しているHouzzロシア版のエディター、エレナ・イグムノヴァは、ちょっと特殊なロシアの水道料金システムについてこう説明する。「最近まで[世帯人数(子ども含む)×1 人当たり基準使用量(㎥)× 1㎥当たりの料金]という計算方法でしたが、2015年1月1日から集合住宅でも部屋ごとの温水・冷水メーター設置が義務づけられました。すると、水道料金が30%も低くなったんです。それまで基準とされていた使用量より、実際の使用量のほうが少なかったからです。結果、水の使い方をまったく変えなくても水道代が下がったので、ロシアの人たちには水を節約しようというモチベーションがあまりないですね。」
〈ハンスグローエ・ロシア〉社の営業担当責任者ミハイル・チズホフさんも、「当社のシャワーには、通常タイプのほかにエコスマートというシリーズがあり、コストの差はほとんどないんですが、ロシアのお客様の95%は節水機能がない通常タイプを購入しています。節水タイプを買いたいという人もあまりいないし、大きな小売店からのオーダーも少ないですね。やはり、ロシアでは水道料金が安いので、消費者に水を節約しようという動機がないんです。水流が強くてしっかりしたシャワーがいちばん、というわけです。」(写真イメージはこちら。)
モスクワに暮らし、勤務しているHouzzロシア版のエディター、エレナ・イグムノヴァは、ちょっと特殊なロシアの水道料金システムについてこう説明する。「最近まで[世帯人数(子ども含む)×1 人当たり基準使用量(㎥)× 1㎥当たりの料金]という計算方法でしたが、2015年1月1日から集合住宅でも部屋ごとの温水・冷水メーター設置が義務づけられました。すると、水道料金が30%も低くなったんです。それまで基準とされていた使用量より、実際の使用量のほうが少なかったからです。結果、水の使い方をまったく変えなくても水道代が下がったので、ロシアの人たちには水を節約しようというモチベーションがあまりないですね。」
〈ハンスグローエ・ロシア〉社の営業担当責任者ミハイル・チズホフさんも、「当社のシャワーには、通常タイプのほかにエコスマートというシリーズがあり、コストの差はほとんどないんですが、ロシアのお客様の95%は節水機能がない通常タイプを購入しています。節水タイプを買いたいという人もあまりいないし、大きな小売店からのオーダーも少ないですね。やはり、ロシアでは水道料金が安いので、消費者に水を節約しようという動機がないんです。水流が強くてしっかりしたシャワーがいちばん、というわけです。」(写真イメージはこちら。)
しかしチズホフさんは、一般家庭と商業施設では事情が違うと指摘する。
「ロシアでも商業施設プロジェクトになると話は別です。大人数が利用するスパ施設やホテル、ショッピングモールを作るときには、水の節約は重要課題になります。こういったプロジェクトの入札では、節水機能付き設備が受注成功の一因になっています。このような施設には、大幅に節水できる特別なエアレーター(吐水量が通常の1分間5リットルに比べ2.7リットルになる)を使っていますが、とても好評です。水道料金が上がれば、すぐに一般家庭でも節水の需要が出てくるでしょうね。」
ナタリヤ・ストゴヴァさんも、アパートメントにメーターを設置してから大幅な変化があったと言うロシアのHouzzユーザーの1人。
「うちでは2年前にメーターを付けましたが、こんなに料金が下がるとは思っていませんでした!それまで請求額が計算されていた平均使用量に比べて、実際には2~3分の1しか使っていなかったんです。」
「ロシアでも商業施設プロジェクトになると話は別です。大人数が利用するスパ施設やホテル、ショッピングモールを作るときには、水の節約は重要課題になります。こういったプロジェクトの入札では、節水機能付き設備が受注成功の一因になっています。このような施設には、大幅に節水できる特別なエアレーター(吐水量が通常の1分間5リットルに比べ2.7リットルになる)を使っていますが、とても好評です。水道料金が上がれば、すぐに一般家庭でも節水の需要が出てくるでしょうね。」
ナタリヤ・ストゴヴァさんも、アパートメントにメーターを設置してから大幅な変化があったと言うロシアのHouzzユーザーの1人。
「うちでは2年前にメーターを付けましたが、こんなに料金が下がるとは思っていませんでした!それまで請求額が計算されていた平均使用量に比べて、実際には2~3分の1しか使っていなかったんです。」
バスタブは節水の敵?
長くゆったりとバスタブにつかるのは最高のひとときだが、このひとときで消費する水量は約190~270リットル。でも、賢く水を使いたいからといって湯船につかることをあきらめる必要はない。新築や改築の際には、容量230リットル以下の小さいバスタブを選ぼう。さらに、さっと体を洗いたいだけのときはシャワーを使うようにすれば半分の水で済む。
デンマークのHouzzユーザー、イェッテ・ウデさんは、断固バスタブには反対だと言う。「少数派だと思いますが、私はバスタブにはノーと言います。子どもたちもお風呂が好きかもしれないし、素敵な音楽をかけてワインを片手にお湯の中でくつろぐのは心地よくてリラックスできるイメージかもしれませんが、バスタブにお湯を張るだけの十分な理由とは思えません。ここでは環境意識が高いし、水資源には限りがあるんですから。バスタブをやめて、シックなデザインのシャワーに替えましょう。そのほうがバスルームのレイアウトが良くなるし、お財布にも、環境にも優しいです。」
長くゆったりとバスタブにつかるのは最高のひとときだが、このひとときで消費する水量は約190~270リットル。でも、賢く水を使いたいからといって湯船につかることをあきらめる必要はない。新築や改築の際には、容量230リットル以下の小さいバスタブを選ぼう。さらに、さっと体を洗いたいだけのときはシャワーを使うようにすれば半分の水で済む。
デンマークのHouzzユーザー、イェッテ・ウデさんは、断固バスタブには反対だと言う。「少数派だと思いますが、私はバスタブにはノーと言います。子どもたちもお風呂が好きかもしれないし、素敵な音楽をかけてワインを片手にお湯の中でくつろぐのは心地よくてリラックスできるイメージかもしれませんが、バスタブにお湯を張るだけの十分な理由とは思えません。ここでは環境意識が高いし、水資源には限りがあるんですから。バスタブをやめて、シックなデザインのシャワーに替えましょう。そのほうがバスルームのレイアウトが良くなるし、お財布にも、環境にも優しいです。」
日本で湯船にゆっくりつかる習慣があることはよく知られる。しかし、家族(またはその家に住む人たち)みんなが同じ浴槽のお湯を使うため、逆に節水にもなるのだ。これは日本人独特の入浴方法があってこそ。「お風呂では、しっかりかけ湯をして体を流してから、お湯を張った浴槽の中に入ります。次に入る人のために、湯船のお湯はきれいなまま、石鹸の泡も入らないようにしなければいけません。後の人のためにお湯に入る前に体をしっかり流す、というのは子どもの頃から親に教えられました」とHouzzユーザーのアン・シマモトさんは言う。
さらに、日本のお風呂に多いのが「追い焚き」機能の付いた給湯・再加熱システム。操作パネルのボタンを押すだけでバスタブに自動でお湯を張ることができ、次の人が入るときにお湯が冷めてしまっていたら、追い焚きボタンを押せばバスルームの外にあるボイラー(電気またはガス)で再加熱してくれる。この追い焚きシステムが水の節約に大いに貢献しているのだ。
さらに、日本のお風呂に多いのが「追い焚き」機能の付いた給湯・再加熱システム。操作パネルのボタンを押すだけでバスタブに自動でお湯を張ることができ、次の人が入るときにお湯が冷めてしまっていたら、追い焚きボタンを押せばバスルームの外にあるボイラー(電気またはガス)で再加熱してくれる。この追い焚きシステムが水の節約に大いに貢献しているのだ。
アメリカにも、この日本のシステムと似た設備があるが、違うのは給湯管を断熱加工する点だ。そうすることで、温かいお湯が出てくるまで待つ時間が短くなると〈ライト・アーム・コンストラクション〉社は説明する。「普通のシャワーヘッドを使っているなら、まず水流の少ないシャワーヘッドに取り替えるだけで、毎日使う水の量が減らせます。そして給湯管を断熱加工すれば、早くお湯が出てくるので、蛇口をひねって待っている間に流れていく無駄な水が減ります。さらに工夫して、最初に出てくる冷たい水を受けとめる容器をバスルームに置いておいてもいいでしょう。」
限られた水を大切に使う道を模索する
Houzzコントリビューターのジュリー・キムさんは、カリフォルニア大学バークレー校で建築を学び、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で都市計画を学んだ後、手ごろな価格の住宅プロジェクトの仕事に長年たずさわっている。美しく環境に配慮したデザインを重視する彼女が書いた、節水機器についての次の記事は〈フォーブズ〉にも掲載された。
「全米各地で降雨量が最低記録を更新し、とくにカリフォルニアは現在も厳しい干ばつに直面している。カリフォルニア大学バークレー校・地球惑星科学科の教授は、この干ばつは同州の過去500年で最大の規模にもなりうる、と指摘する。最近ではカリフォルニア州の水消費量を2020年までに20%削減しなければならないという法律も制定された。一般的なアメリカ家庭で試用する水は1日につき約1.5立方メートル。ロサンゼルス公共事業局のレア・ゴンザレスさんによると、その水の大半(雨の少ないカリフォルニアでは全体の60%)が庭の水やりやスイミングプール、アウトドアバスなど、屋外で使用されているそうだ。節水を始めるなら、まずは屋外からと言えるだろう。
しかし、屋内での水消費も忘れてはいけない。ゴンザレスさんは、カリフォルニア住民のためにお金をあまりかけなくてもできる効果的な節水方法を5つ挙げている。これを実行したら、あとは雨乞いの踊りをして神頼み……。
環境にやさしい蛇口やシャワーヘッド、トイレを選ぶなど、デザインにこだわりながらも水とお金を大幅に節約することは可能だ。
Houzzコントリビューターのジュリー・キムさんは、カリフォルニア大学バークレー校で建築を学び、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で都市計画を学んだ後、手ごろな価格の住宅プロジェクトの仕事に長年たずさわっている。美しく環境に配慮したデザインを重視する彼女が書いた、節水機器についての次の記事は〈フォーブズ〉にも掲載された。
「全米各地で降雨量が最低記録を更新し、とくにカリフォルニアは現在も厳しい干ばつに直面している。カリフォルニア大学バークレー校・地球惑星科学科の教授は、この干ばつは同州の過去500年で最大の規模にもなりうる、と指摘する。最近ではカリフォルニア州の水消費量を2020年までに20%削減しなければならないという法律も制定された。一般的なアメリカ家庭で試用する水は1日につき約1.5立方メートル。ロサンゼルス公共事業局のレア・ゴンザレスさんによると、その水の大半(雨の少ないカリフォルニアでは全体の60%)が庭の水やりやスイミングプール、アウトドアバスなど、屋外で使用されているそうだ。節水を始めるなら、まずは屋外からと言えるだろう。
しかし、屋内での水消費も忘れてはいけない。ゴンザレスさんは、カリフォルニア住民のためにお金をあまりかけなくてもできる効果的な節水方法を5つ挙げている。これを実行したら、あとは雨乞いの踊りをして神頼み……。
環境にやさしい蛇口やシャワーヘッド、トイレを選ぶなど、デザインにこだわりながらも水とお金を大幅に節約することは可能だ。
カリフォルニア州エネルギー委員会はついにシャワーヘッドの新規格を承認した。これによって10年間で1.4億立方メートル以上の水が節約できると見込まれている。
「干ばつが頻繁に起こるカリフォルニア州では、政治家もホームオーナーも住宅地の庭で消費される水の量を減らそうと努力している。米国環境保護庁によると、一般世帯の水消費量の30%は屋外なのだ。」
2015年12月1日から、水を大量に必要とする芝生などの植物は庭面積の約25%まで、と規制されるようになった。この規制は、新築物件は庭面積が46平方メートル以上、庭をリノベーションする場合は庭面積が232平方メートル以上のケースに適用される。232平方メートル未満の場合はチェックリストの条件を満たす必要がある。以前は、庭面積が232平方メートル以上の場合のみ、水を大量に必要とする植物を33%以下に抑えるという規制内容だった。同州水資源省でこのプログラムを担当するヴィッキー・レーンさんは「やっと条例が改正されて、カリフォルニア住民の望む方向に進んでいます」と言う。
アメリカ全土でも、新しく庭づくりをするときに水の使い方や節水に気を配るホームオーナーたちが増えている。Houzzでは2015年5月1日、過去12か月以内に屋外プロジェクトを完了済、現在プロジェクトを進行中、今後6か月以内にスタート予定、というホームオーナーを対象にガーデン動向調査を実施。この結果、水対策が庭のリノベーションで最大のポイントであると回答したホームオーナーは1,600人にのぼった。カリフォルニア州では、ホームオーナーの70%が干ばつ対策が最大の課題であると回答。サンフランシスコベイエリアの造園デザイナー、サラ・ワートさんは、「いちばん最近手がけた2件は、節水のために行ったプロジェクトでした」とは言う。
リノベーションを計画中のホームオーナーのうち、約20%が雨水貯蓄装置を導入、29%がスプリンクラーやかんがいシステムを新たに導入、またはアップグレードする予定と回答した。台所や洗濯、シャワーなどで使用した汚れの軽い水を庭で再利用する排水循環システムを導入すると答えた人は3%だった。
「干ばつが頻繁に起こるカリフォルニア州では、政治家もホームオーナーも住宅地の庭で消費される水の量を減らそうと努力している。米国環境保護庁によると、一般世帯の水消費量の30%は屋外なのだ。」
2015年12月1日から、水を大量に必要とする芝生などの植物は庭面積の約25%まで、と規制されるようになった。この規制は、新築物件は庭面積が46平方メートル以上、庭をリノベーションする場合は庭面積が232平方メートル以上のケースに適用される。232平方メートル未満の場合はチェックリストの条件を満たす必要がある。以前は、庭面積が232平方メートル以上の場合のみ、水を大量に必要とする植物を33%以下に抑えるという規制内容だった。同州水資源省でこのプログラムを担当するヴィッキー・レーンさんは「やっと条例が改正されて、カリフォルニア住民の望む方向に進んでいます」と言う。
アメリカ全土でも、新しく庭づくりをするときに水の使い方や節水に気を配るホームオーナーたちが増えている。Houzzでは2015年5月1日、過去12か月以内に屋外プロジェクトを完了済、現在プロジェクトを進行中、今後6か月以内にスタート予定、というホームオーナーを対象にガーデン動向調査を実施。この結果、水対策が庭のリノベーションで最大のポイントであると回答したホームオーナーは1,600人にのぼった。カリフォルニア州では、ホームオーナーの70%が干ばつ対策が最大の課題であると回答。サンフランシスコベイエリアの造園デザイナー、サラ・ワートさんは、「いちばん最近手がけた2件は、節水のために行ったプロジェクトでした」とは言う。
リノベーションを計画中のホームオーナーのうち、約20%が雨水貯蓄装置を導入、29%がスプリンクラーやかんがいシステムを新たに導入、またはアップグレードする予定と回答した。台所や洗濯、シャワーなどで使用した汚れの軽い水を庭で再利用する排水循環システムを導入すると答えた人は3%だった。
具体的にどう取り組むべき?
節水効果のある器具を見分けるには、「ウォーターセンス(WaterSense)」というラベルを探してみよう。ウォーターセンスは、水道器具を中立的立場から評価する米国環境保護庁との共同プログラムで、従来の機能性を保ちつつ、水を20%以上節約できる器具にウォーターセンス認定が与えられる。一般的なバスルームをウォーターセンス認定設備でリノベーションすれば、年間26.5立方メートルの水を節約できる。これは6か月間の洗濯に使用する水量に相当する。
ウォーターセンス認定を受けた蛇口を利用すれば、流水量を最大30%削減できる。年間に換算すると、一般家庭では約1.9立方メートルの節水となる。また、バスルームの蛇口にはエアレーターを追加するのも良いだろう。水に空気を混ぜるエアレーターを使えば水量を減らしながらも従来の水圧を維持でき、場合によっては従来より水圧が強くなることもある。
そして、蛇口から流れる水の量にかかわらず、髭を剃ったり歯を磨いたりするあいだは蛇口を閉めるのを忘れずに。
節水効果のある器具を見分けるには、「ウォーターセンス(WaterSense)」というラベルを探してみよう。ウォーターセンスは、水道器具を中立的立場から評価する米国環境保護庁との共同プログラムで、従来の機能性を保ちつつ、水を20%以上節約できる器具にウォーターセンス認定が与えられる。一般的なバスルームをウォーターセンス認定設備でリノベーションすれば、年間26.5立方メートルの水を節約できる。これは6か月間の洗濯に使用する水量に相当する。
ウォーターセンス認定を受けた蛇口を利用すれば、流水量を最大30%削減できる。年間に換算すると、一般家庭では約1.9立方メートルの節水となる。また、バスルームの蛇口にはエアレーターを追加するのも良いだろう。水に空気を混ぜるエアレーターを使えば水量を減らしながらも従来の水圧を維持でき、場合によっては従来より水圧が強くなることもある。
そして、蛇口から流れる水の量にかかわらず、髭を剃ったり歯を磨いたりするあいだは蛇口を閉めるのを忘れずに。
〈ハンスグローエ・フランス〉の営業担当者で節水エキスパートのエヴリン・ストラトマンさんは、自宅に取り入れることのできる新しい節水機器をいくつか紹介してくれた。「フランス人はとても水に対する意識が高いので、できるだけ節水しようと心がけるものの、便利さやバスタイムの快適さは犠牲にしたくないという気持ちがあります。ですから新しい節水機器は、従来と変わらず楽しく快適なバスタイムを提供しつつ、隠れたテクノロジーを備えたものになっています。」
この秋、ハンスグローエ社はフランスでシャワー器具の新製品「レインメーカー セレクト460 3ジェット エコスマート」を発売した。この製品に使われている新しいテクノロジーがセレクトボタンだ。サーモスタティックや水温制御付きの蛇口(70センチ)に組み込んであり、直感的なボタン操作でお湯を止めることができる。「自動的に温度が維持されるので、再びお湯を出した時に冷たい水が出てくる心配がありません。体を洗う間はこのボタンで簡単にお湯を止められるようにして、シャワー中にずっとお湯を出しっぱなしにする習慣をなくすことを狙いました」とストラトマンさんは説明する。
この秋、ハンスグローエ社はフランスでシャワー器具の新製品「レインメーカー セレクト460 3ジェット エコスマート」を発売した。この製品に使われている新しいテクノロジーがセレクトボタンだ。サーモスタティックや水温制御付きの蛇口(70センチ)に組み込んであり、直感的なボタン操作でお湯を止めることができる。「自動的に温度が維持されるので、再びお湯を出した時に冷たい水が出てくる心配がありません。体を洗う間はこのボタンで簡単にお湯を止められるようにして、シャワー中にずっとお湯を出しっぱなしにする習慣をなくすことを狙いました」とストラトマンさんは説明する。
この製品には、さらに追加機能として「エアパワー」と「エコスマート」という2つの節水テクノロジーが用意されている。「エアパワー」はシャワー水流に空気をミックスする機能で(空気を水に混ぜることで実際に使用する水量を減らすことができる)、「エコスマート」は装置を取り付けて水消費量を最大60%削減できるものだ(一般的なシャワーの場合、13リットルから5リットルに減らせる)。
このように節水に効果的なテクノロジーが登場している一方、いまバスルームでいちばんのトレンドは、大きなイタリア式レインシャワーの付いた豪華なフレンチバスルームだ。雨が降るようにお湯が流れ落ちるシャワーは、大量の水を消費してしまう。シャワー器具のテクノロジーに頼る前に、まずは習慣から見直すことも必要だ。
このように節水に効果的なテクノロジーが登場している一方、いまバスルームでいちばんのトレンドは、大きなイタリア式レインシャワーの付いた豪華なフレンチバスルームだ。雨が降るようにお湯が流れ落ちるシャワーは、大量の水を消費してしまう。シャワー器具のテクノロジーに頼る前に、まずは習慣から見直すことも必要だ。
フランスのHouzzプロユーザー〈RAAB アルシテクチュール〉は、バスルームの節水テクニックをいくつか教えてくれた。
Step 1: まずは水の使い方を見直す。体を洗ったり、歯を磨いたりしている間は水を止める。シャワーの場合、安価な「シャワーストップ」というシステムを設置すれば、蛇口をひねるとすぐに温かいお湯が出てくるので、水がお湯に変わるまで流しっぱなしにして無駄になることもない。さらに無駄をなくすために、いちばん最初に出てくる冷たい水はバケツに貯めておき、植木の水やりに使ったり、お茶を沸かすのに使ってもいい。
Step 2: ホームセンターなどで簡単に手に入る水流調整器具を使えば、従来の水圧のまま水量を減らし、50%近く節水できる。最近の蛇口にはたいてい付属している。
Step 3: 配管業者に依頼して、「パワーパイプ」と呼ばれるシステムを配管に設置してもらう。温かい排水の熱を利用して、給湯器を通る前の水を温めるシステムだ。かなり安く設置でき、あらかじめ水を温めておくことで給湯器の使うエネルギーが通常より少なく済む。
Step 1: まずは水の使い方を見直す。体を洗ったり、歯を磨いたりしている間は水を止める。シャワーの場合、安価な「シャワーストップ」というシステムを設置すれば、蛇口をひねるとすぐに温かいお湯が出てくるので、水がお湯に変わるまで流しっぱなしにして無駄になることもない。さらに無駄をなくすために、いちばん最初に出てくる冷たい水はバケツに貯めておき、植木の水やりに使ったり、お茶を沸かすのに使ってもいい。
Step 2: ホームセンターなどで簡単に手に入る水流調整器具を使えば、従来の水圧のまま水量を減らし、50%近く節水できる。最近の蛇口にはたいてい付属している。
Step 3: 配管業者に依頼して、「パワーパイプ」と呼ばれるシステムを配管に設置してもらう。温かい排水の熱を利用して、給湯器を通る前の水を温めるシステムだ。かなり安く設置でき、あらかじめ水を温めておくことで給湯器の使うエネルギーが通常より少なく済む。
シャワーは位置を調節できるものを選ぼう。可動レール付きにすれば、素早く簡単にシャワーヘッドの高さを調節できる。さらに節水シャワーヘッドなら水の消費量も減らせる。1分間に6リットルほどまで減らせるものを選びたい。
節水シャワーヘッドの効果は抜群で、オーストラリアのホームオーナーの間ではすでに一般的に使用されている。レインシャワーのように全身に水を浴びる心地よさは得られないが、その代わり上のようなシャワーヘッドなら、水圧の強さという魅力がある。
オーストラリアの〈スカイリング・アーキテクツ〉はシャワー時間を短くすることを提案。「家族の毎日の習慣をちょっと変えるだけで、水道代は安くなります。でも長いシャワーが好きなら、無理に我慢するのもよくありません。平日のシャワーは4分で切り上げると決めて、週末は長いシャワーを楽しむなどの工夫を。さらに節水シャワーヘッドを使えは、もっと節約できます。」
オーストラリアの〈スカイリング・アーキテクツ〉はシャワー時間を短くすることを提案。「家族の毎日の習慣をちょっと変えるだけで、水道代は安くなります。でも長いシャワーが好きなら、無理に我慢するのもよくありません。平日のシャワーは4分で切り上げると決めて、週末は長いシャワーを楽しむなどの工夫を。さらに節水シャワーヘッドを使えは、もっと節約できます。」
どうしても長くゆったりとシャワーを楽しみたいという人に、ウォーターセンス認定プログラムはこのようにアドバイスする。「節水のためにラグジュアリーなシャワータイムを犠牲にする必要はないのです。ウォーターセンス認定を受けたアイテムを使えば、罪の意識なしにシャワーを楽しめます。みんな水圧の弱いシャワーなんて嫌なのは当然ですから、私たちは1分間あたりの水量を7.6リットル以下に抑えつつ、機能は従来のシャワーと同等以上のものにしか認定を与えていません。」
時間が長すぎない限り、シャワーは浴槽につかるよりも節水になる。シャワーに入るときにタイマーをセットしておくのもいいかもしれない。
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