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【メゾン・エ・オブジェ 2019年1月展】アールデコとフレンチデザインに注目
クラシックな雰囲気が復活し、フランスの小規模メーカーがデザインシーンに大きな一歩を踏み出しています。
Agnès Carpentier
2019年2月8日
今年1月、パリで開催された国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」で最も目立っていたのは、明るい北欧インテリアではなく、ダークカラーのアールデコデザインでした。これまで優先されていた実用性に代わり、フレンチエレガンスへの注目も高まっています。
「エクスキューズ・マイ・フレンチ」(「下品で失礼!」という意味の、英仏の仲違いに由来する言葉。ここでは逆に、フランスの優雅さを表す意味で使われている)がテーマとなった今年の見本市では、フランスのデザインシーンにおけるイノベーションと、ウィットあふれるユーモアを目にすることができました。では、フランス発のワクワクするような新しいトレンドをいくつか見ていきましょう。
「エクスキューズ・マイ・フレンチ」(「下品で失礼!」という意味の、英仏の仲違いに由来する言葉。ここでは逆に、フランスの優雅さを表す意味で使われている)がテーマとなった今年の見本市では、フランスのデザインシーンにおけるイノベーションと、ウィットあふれるユーモアを目にすることができました。では、フランス発のワクワクするような新しいトレンドをいくつか見ていきましょう。
メゾン・エ・オブジェ2019年1月展、トレンドフォーラム「エクスキューズ・マイ・フレンチ!」インスタレーションの様子。Aethion撮影
1. フレンチデザインが再びトレンドに
今年のメゾン・エ・オブジェのテーマは「エクスキューズ・マイ・フレンチ!」。国際的なデザインの最先端に返り咲いたフランスを、ユーモアをまじえながら真面目に分析しています。
クリエイティブ・ディレクターで、トレンド予測会社ネリー・ロディ社のライフスタイル部門ディレクターを務めるトレンドスポッターのヴァンサン・グレゴワールは、今回のテーマを裏づける理由についてこう語っています。「海外ではフランス人に対する新たな好奇心が生まれています。jene sais quoi(言葉では言い表せないもの)、つまりエフォートレス・シックともいえる、生まれつき備わった魅力や美的感覚といったものを含む、定義のできない性質への憧れです」
グレゴワールは、世界に通用するクリエイティビティを手にしている文化人として、ファーストレディのブリジット・マクロン、振付師のバンジャマン・ミルピエ、歌手のクリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズの名前を挙げました。
グレゴワールは、グローバリゼーションが移り変わるトレンドに影響を与えてきた、と話します。そしてフランスは今、過去数年間の傾向からの旅立ちを提案しているのです。「標準化が進む世界において、今私たちが注目するのは、例外や違いの部分なのです」
1. フレンチデザインが再びトレンドに
今年のメゾン・エ・オブジェのテーマは「エクスキューズ・マイ・フレンチ!」。国際的なデザインの最先端に返り咲いたフランスを、ユーモアをまじえながら真面目に分析しています。
クリエイティブ・ディレクターで、トレンド予測会社ネリー・ロディ社のライフスタイル部門ディレクターを務めるトレンドスポッターのヴァンサン・グレゴワールは、今回のテーマを裏づける理由についてこう語っています。「海外ではフランス人に対する新たな好奇心が生まれています。jene sais quoi(言葉では言い表せないもの)、つまりエフォートレス・シックともいえる、生まれつき備わった魅力や美的感覚といったものを含む、定義のできない性質への憧れです」
グレゴワールは、世界に通用するクリエイティビティを手にしている文化人として、ファーストレディのブリジット・マクロン、振付師のバンジャマン・ミルピエ、歌手のクリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズの名前を挙げました。
グレゴワールは、グローバリゼーションが移り変わるトレンドに影響を与えてきた、と話します。そしてフランスは今、過去数年間の傾向からの旅立ちを提案しているのです。「標準化が進む世界において、今私たちが注目するのは、例外や違いの部分なのです」
2. アールデコの復活
復活したアールデコは、一味違うデザインのアクセントとして位置づけられています。アール・ヌーヴォーを引き継いで1925年のパリで開催された現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称アール・デコ博)で高められたこのスタイルは、シュルレアリスム、伝統的・近代的スタイル、オリエンタリズム、エキゾチシズムなどの影響を受けています。エレガントで洗練されたアールデコでは、鱗、扇、ハニカム、シェブロン、ストライプ、チェックなどの幾何学的な形状が好まれます。
復活したアールデコは、一味違うデザインのアクセントとして位置づけられています。アール・ヌーヴォーを引き継いで1925年のパリで開催された現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称アール・デコ博)で高められたこのスタイルは、シュルレアリスム、伝統的・近代的スタイル、オリエンタリズム、エキゾチシズムなどの影響を受けています。エレガントで洗練されたアールデコでは、鱗、扇、ハニカム、シェブロン、ストライプ、チェックなどの幾何学的な形状が好まれます。
今年らしいアールデコデザインの最大の特徴のひとつが、ダークカラーを好んで多用している点です。白やパステルカラー、白木を特徴とした北欧スタイルの人気が長く続いていましたが、今度はダークでしっかりした色味の世界が注目を集めています。
過去に人気だったスタイルが再び脚光を浴びる中で、最も人気なのがアースカラーやマットカラーです。ボルドーがデビューを果たし、そこにコーラル、ダスティローズ、バーントオレンジ、ラスト、ハニー、マスタード、ゴールド、モスグリーン、ピーコックブルー、チャコールグレー、ブラックも加わりました。
メゾン・エ・オブジェで見つけた、7つのトレンドカラーとは?【2019年1月展】
過去に人気だったスタイルが再び脚光を浴びる中で、最も人気なのがアースカラーやマットカラーです。ボルドーがデビューを果たし、そこにコーラル、ダスティローズ、バーントオレンジ、ラスト、ハニー、マスタード、ゴールド、モスグリーン、ピーコックブルー、チャコールグレー、ブラックも加わりました。
メゾン・エ・オブジェで見つけた、7つのトレンドカラーとは?【2019年1月展】
3. 一味違うクラシック
家具も、インテリア装飾に用いられる洗練されたジュエリーのような外見になりました。「大きなテーブル、大きなソファ、大きなベッドといった、場の視線を集める家具があるインテリアへの回帰です」とグレゴワールは話します。「私たちは中産階級(ブルジョワ)の復興という文脈にある、彫像のように立体的なアイテムに焦点を当てています。見渡す限り、円形テーブル、化粧台、鏡、プフ、ついたて、クローゼット、その他の装飾品など宝石のような品々にあふれています」
今年は、美しい素材と職人の手で仕上げたフォルムが脚光を浴びつつあります。明るい色のオーク材、ウォールナット材、枝編み細工が家具のセンターピースとして視線を集める一方で、特に照明、鏡、プフ、コーヒーテーブルなどの装飾品は真ちゅう、大理石、漆、色ガラスといった高貴さを感じさせる素材で飾られています。
家具も、インテリア装飾に用いられる洗練されたジュエリーのような外見になりました。「大きなテーブル、大きなソファ、大きなベッドといった、場の視線を集める家具があるインテリアへの回帰です」とグレゴワールは話します。「私たちは中産階級(ブルジョワ)の復興という文脈にある、彫像のように立体的なアイテムに焦点を当てています。見渡す限り、円形テーブル、化粧台、鏡、プフ、ついたて、クローゼット、その他の装飾品など宝石のような品々にあふれています」
今年は、美しい素材と職人の手で仕上げたフォルムが脚光を浴びつつあります。明るい色のオーク材、ウォールナット材、枝編み細工が家具のセンターピースとして視線を集める一方で、特に照明、鏡、プフ、コーヒーテーブルなどの装飾品は真ちゅう、大理石、漆、色ガラスといった高貴さを感じさせる素材で飾られています。
デザイン:Hervé Langlais、 加工:Drugeot Manufacture、写真:Urban Oak
フランスでは、大企業によって広く流通する製品に代わる選択肢を提供する中小企業が、こうしたデザインの復興を引っ張ってきました。エノ・スタジオ(Eno Studio)、ラ・シャンス、アルダメツ(Ardamez)、ホームスピリット、メゾン・ドラッカー(MaisonDrucker)、オブジェ・デ・キュリオシティ、レ・イレジスタブ(LesiResistub)、アルキ、ハルト(Hartô)、ガレア(Galea)、レッド・エディション(RedEdition)、プルンブム(Plumbum)、デュヴィヴィエ・カナペ(DuvivierCanapés)、モワソニエ 、レーヌ・メール、ドゥルジュ・マニュファクチャーといった革新的な中小メーカーが、伝統のノウハウを再解釈して他にはない製品を生み出しているのです。
ある意味、こうした伝統的な職人技術への復興は、世界中で開催される見本市で目にするものの繰り返しとも言えますが、フランスのデザイナーたちは間違いなくこのトレンドに自分たちらしさを組み込んでいます。「(フランスのデザイン業界は)『一味違うクラシック』とも言えるスタイルを持つ才能にあふれています。ある程度の奇抜さや豪華さ、それに無礼さ、典型的フランス人が持つ厚かましさの片鱗を取り入れています」とグレゴワールはいいます。
後者の一例がインガ・センペのマドレーヌ型ドアハンドルで、これはマルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』に出てくるマドレーヌビスケットをヒントにしたものです。
フランスでは、大企業によって広く流通する製品に代わる選択肢を提供する中小企業が、こうしたデザインの復興を引っ張ってきました。エノ・スタジオ(Eno Studio)、ラ・シャンス、アルダメツ(Ardamez)、ホームスピリット、メゾン・ドラッカー(MaisonDrucker)、オブジェ・デ・キュリオシティ、レ・イレジスタブ(LesiResistub)、アルキ、ハルト(Hartô)、ガレア(Galea)、レッド・エディション(RedEdition)、プルンブム(Plumbum)、デュヴィヴィエ・カナペ(DuvivierCanapés)、モワソニエ 、レーヌ・メール、ドゥルジュ・マニュファクチャーといった革新的な中小メーカーが、伝統のノウハウを再解釈して他にはない製品を生み出しているのです。
ある意味、こうした伝統的な職人技術への復興は、世界中で開催される見本市で目にするものの繰り返しとも言えますが、フランスのデザイナーたちは間違いなくこのトレンドに自分たちらしさを組み込んでいます。「(フランスのデザイン業界は)『一味違うクラシック』とも言えるスタイルを持つ才能にあふれています。ある程度の奇抜さや豪華さ、それに無礼さ、典型的フランス人が持つ厚かましさの片鱗を取り入れています」とグレゴワールはいいます。
後者の一例がインガ・センペのマドレーヌ型ドアハンドルで、これはマルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』に出てくるマドレーヌビスケットをヒントにしたものです。
4. テクノロジーが古いトレンドに新たな命を吹き込む
フランスのテクノロジー企業も大々的に参画しています。新しいテクノロジーが、より標準的でレトロとも言えるインスピレーションの活性化を図っているのです。「たとえば、フランスのウィスティキ社のためにフィリップ・スタルクがデザインした、持ち物につけておくだけで探し物をなくすブルートゥース対応デバイスなんてどうでしょう。アンドレ・ルノー(André Renault)のスマートベッド、不眠で悩む人を助けるドリームバンドもあります。
他にも、音響分野ではキャバス 、トライアングル、エリプソンやデビアレなど、世界中で高品質のスピーカーを販売し、一流フレンチスタイルの音を確立したフランスの才能も忘れてはなりません」とグレゴワールは話します。
フランスのテクノロジー企業も大々的に参画しています。新しいテクノロジーが、より標準的でレトロとも言えるインスピレーションの活性化を図っているのです。「たとえば、フランスのウィスティキ社のためにフィリップ・スタルクがデザインした、持ち物につけておくだけで探し物をなくすブルートゥース対応デバイスなんてどうでしょう。アンドレ・ルノー(André Renault)のスマートベッド、不眠で悩む人を助けるドリームバンドもあります。
他にも、音響分野ではキャバス 、トライアングル、エリプソンやデビアレなど、世界中で高品質のスピーカーを販売し、一流フレンチスタイルの音を確立したフランスの才能も忘れてはなりません」とグレゴワールは話します。
アールデコから生まれたもうひとつの要素が、今年の「イチオシ」素材である滑らかなベルベットです。ポリエステル製ベルベットを生産する技術の進歩により、パイルは非常に短いながらもその特徴的な柔らかさを保ったベルベットが生まれました。さらにポリエステル製ベルベットは、ウールやコットンで作られる伝統的なベルベットに比べ耐摩耗性が高くなっています。光沢のある色をまとったベルベットは、エンベロップチェア、アームチェア、上品なソファベッド、プフ、ベンチ、ソファなどの人目をひく家具に使われると、その美しさが際立ちます。
ポリエステルを使ったこれらの製品は、華奢でパウダーコーティングされたスチール製の脚、ハイテク素材に包まれた形状記憶シート、レーザーカット模様の格子など、会場でひときわ目立っていた製品に混じっていることが多いようです。
ポリエステルを使ったこれらの製品は、華奢でパウダーコーティングされたスチール製の脚、ハイテク素材に包まれた形状記憶シート、レーザーカット模様の格子など、会場でひときわ目立っていた製品に混じっていることが多いようです。
©Aethion
5. ミニマルなブルータリスト
見本市の「What’s New –Decor」セクションでは、室内のインテリア、家具、マッチングアイテムに関する多くの気づきが得られました。3大トレンドを提案する空間は、およそ20年にわたりトレンドスポッターとして活動し、自身の名前を冠したスタイルエージェンシーを設立、またメゾン・エ・オブジェ運営組織のメンバーでもあるエリザベス・ルリッシュがキュレーションを担当しました。
そんな彼女が最初に見出したトレンドは、写真にもあるように、粗野で原始的なフォルムと素材でできたオブジェたちが、滑らかで現代的なデザインに思考の糧を与えながらも、ミニマルで禁欲的な感情をほのめかしている、というものです。むき出しのコンクリート、パートドヴェール 、そしてアンティークミラーが放つ存在感を特に感じました。
5. ミニマルなブルータリスト
見本市の「What’s New –Decor」セクションでは、室内のインテリア、家具、マッチングアイテムに関する多くの気づきが得られました。3大トレンドを提案する空間は、およそ20年にわたりトレンドスポッターとして活動し、自身の名前を冠したスタイルエージェンシーを設立、またメゾン・エ・オブジェ運営組織のメンバーでもあるエリザベス・ルリッシュがキュレーションを担当しました。
そんな彼女が最初に見出したトレンドは、写真にもあるように、粗野で原始的なフォルムと素材でできたオブジェたちが、滑らかで現代的なデザインに思考の糧を与えながらも、ミニマルで禁欲的な感情をほのめかしている、というものです。むき出しのコンクリート、パートドヴェール 、そしてアンティークミラーが放つ存在感を特に感じました。
©Aethion
6. グラフィックを贅沢に
ルリッシュが見出す二番目のテーマは、大理石や真ちゅう、ベルベットといった贅沢な品と素材を組み合わせた30年代から70年代までの装飾にインスパイアされています。写真は、このテーマを表現するディスプレイです。真ちゅう構造でジュエリーに似た照明、ポリエステルのフリンジ、彫刻が施された鏡、半円、幾何学模様やクジャクの羽根の模様、ブラックメタル、折りたたみ式のついたてなど、今年ブームになりそうなオブジェやモチーフがたくさん見られました。
6. グラフィックを贅沢に
ルリッシュが見出す二番目のテーマは、大理石や真ちゅう、ベルベットといった贅沢な品と素材を組み合わせた30年代から70年代までの装飾にインスパイアされています。写真は、このテーマを表現するディスプレイです。真ちゅう構造でジュエリーに似た照明、ポリエステルのフリンジ、彫刻が施された鏡、半円、幾何学模様やクジャクの羽根の模様、ブラックメタル、折りたたみ式のついたてなど、今年ブームになりそうなオブジェやモチーフがたくさん見られました。
©Aethion
7. 文化的クロスオーバー
ルリッシュが取り上げる最後のテーマは文化的クロスオーバーです。これは、これまでの伝統的なフランス装飾文化と独自の文化的背景に基づく技術の両方を活かして活動する現代のデザイナーたちによって再考された、伝統的なノウハウの異種交配とも言えるものです。アールデコ時代に脚光を浴びた融合の精神に注目し、天然繊維と原料に重きを置いています。
7. 文化的クロスオーバー
ルリッシュが取り上げる最後のテーマは文化的クロスオーバーです。これは、これまでの伝統的なフランス装飾文化と独自の文化的背景に基づく技術の両方を活かして活動する現代のデザイナーたちによって再考された、伝統的なノウハウの異種交配とも言えるものです。アールデコ時代に脚光を浴びた融合の精神に注目し、天然繊維と原料に重きを置いています。
©Aethion
8. 脚光を浴びる中国の若い才能
今年の見本市で人気があったのはフレンチデザインだけではありません。毎年、メゾン・エ・オブジェでは「ライジング・タレント・アワード」として特定の国の若いデザイナーを表彰しています。これまではイギリス、イタリア、レバノンのデザイナーに注目しました。今年は、デザインシーンが盛り上がりを見せている中国にスポットライトを当てました。審査員によって、5名の若い中国人デザイナーが選出されました。
ライジング・タレント・アワード・チャイナの審査員を務めるルカ・ニケットはこう話します。「最も興味深いのは、中国人デザイナーのアイデンティティを探す旅です。彼らは西洋的デザインのコピーを拒み、祖先伝来の気質と中国の職人技術が持つ豊かな伝統の融合を望んでいます。これまで見たものはすべて、彼らが正しい方向に進んでいることを示しています。それが今後どのように進化していくのか、非常に楽しみです」
選出されたデザイナーのひとり、シミ・リー(Ximi Li)は上海にある中国美術学院でインダストリアルデザインの学位を、さらにミラノ工科大学で家具デザインの修士を取得し、シミ・リー・デザイン・スタジオ(Ximi Li Design Studio)とアーバンクラフト(Urbancraft)という家具ブランドを立ち上げました。写真は、そのブランドのバイスリー(By 3)ユニットです。
「私はロシアに近い中国北部で育ちました。勉強のために北京とミラノに住み、そこで4年間働いてから上海にやってきました。私の作品は、これまで移り住んだ国々での経験や、それぞれ異なる文化に対する自分自身の思い、そして私の創作力に強くインスパイアされています。」と彼は、Houzzのエレン・ポウハー(ElenPouhaer)に語っています。
8. 脚光を浴びる中国の若い才能
今年の見本市で人気があったのはフレンチデザインだけではありません。毎年、メゾン・エ・オブジェでは「ライジング・タレント・アワード」として特定の国の若いデザイナーを表彰しています。これまではイギリス、イタリア、レバノンのデザイナーに注目しました。今年は、デザインシーンが盛り上がりを見せている中国にスポットライトを当てました。審査員によって、5名の若い中国人デザイナーが選出されました。
ライジング・タレント・アワード・チャイナの審査員を務めるルカ・ニケットはこう話します。「最も興味深いのは、中国人デザイナーのアイデンティティを探す旅です。彼らは西洋的デザインのコピーを拒み、祖先伝来の気質と中国の職人技術が持つ豊かな伝統の融合を望んでいます。これまで見たものはすべて、彼らが正しい方向に進んでいることを示しています。それが今後どのように進化していくのか、非常に楽しみです」
選出されたデザイナーのひとり、シミ・リー(Ximi Li)は上海にある中国美術学院でインダストリアルデザインの学位を、さらにミラノ工科大学で家具デザインの修士を取得し、シミ・リー・デザイン・スタジオ(Ximi Li Design Studio)とアーバンクラフト(Urbancraft)という家具ブランドを立ち上げました。写真は、そのブランドのバイスリー(By 3)ユニットです。
「私はロシアに近い中国北部で育ちました。勉強のために北京とミラノに住み、そこで4年間働いてから上海にやってきました。私の作品は、これまで移り住んだ国々での経験や、それぞれ異なる文化に対する自分自身の思い、そして私の創作力に強くインスパイアされています。」と彼は、Houzzのエレン・ポウハー(ElenPouhaer)に語っています。
9. セバスチャン・ヘルクナーがデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞
37歳のドイツ人デザイナーでメゾン・エ・オブジェの常連でもあるセバスチャン・ヘルクナーが、今年のデザイナー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。
「これまでの10年間、セバスチャンはイノベーションと伝統を組み合わせた自身のデザインで30あまりの賞に輝いてきました。こうした彼の素晴らしいキャリアを称え、メゾン・エ・オブジェではデザインシーンの希望の星であるセバスチャンを取り上げることにしました」そう話すのは、見本市のPRを担当する会社セプテンバー14(September 14)のステファニー・モルラ(StéphanieMorlat)です。
37歳のドイツ人デザイナーでメゾン・エ・オブジェの常連でもあるセバスチャン・ヘルクナーが、今年のデザイナー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。
「これまでの10年間、セバスチャンはイノベーションと伝統を組み合わせた自身のデザインで30あまりの賞に輝いてきました。こうした彼の素晴らしいキャリアを称え、メゾン・エ・オブジェではデザインシーンの希望の星であるセバスチャンを取り上げることにしました」そう話すのは、見本市のPRを担当する会社セプテンバー14(September 14)のステファニー・モルラ(StéphanieMorlat)です。
料理用ワゴン「グレース(Grace)」はシューンバッハ(Shoenbuch)社のためにセバスチャン・ヘルクナーがデザインしたもの。©Agnes Carpentier
2006年、ドイツのフランクフルトにほど近いオッフェンバッハ・アム・マインに自身のスタジオを構えてから、ヘルクナーは伝統と創造性、新しいテクノロジーと職人技術を融合したデザインに休むことなく取り組んでいます。そして、その革新的なアプローチを、自身のデザインプロセスにも取り入れています。たとえば、色の優先順位づけについて、ヘルクナーはこう語っています。「デザイナーが最後まで色について考えないのはよくあることです。個人的にはいつも、ものづくりのプロセスの最初の段階で色をつけるようにしています」
2006年、ドイツのフランクフルトにほど近いオッフェンバッハ・アム・マインに自身のスタジオを構えてから、ヘルクナーは伝統と創造性、新しいテクノロジーと職人技術を融合したデザインに休むことなく取り組んでいます。そして、その革新的なアプローチを、自身のデザインプロセスにも取り入れています。たとえば、色の優先順位づけについて、ヘルクナーはこう語っています。「デザイナーが最後まで色について考えないのはよくあることです。個人的にはいつも、ものづくりのプロセスの最初の段階で色をつけるようにしています」
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