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デジタルでつくる心地よさ。遊びごころが楽しい積み木のような家
確かな設計・施工とゲームのテクノロジー。それぞれの技術の長所を組み合わせて作られた住まいには、家族の伸びやかな暮らしがありました。
Mamiko Nakano
2019年6月13日
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子どもたちが成長し、家族4人で住んでいたマンションが手狭になったことから一戸建てへの引っ越しを決めたオーナー夫妻。当初はハウスメーカーの企画住宅を建てようと考えていたが、家づくりを考える過程で「せっかくなら、できるかぎり自分たちの理想に近づけたい!」と、方向転換。思い切って、夫の知人の建築家、豊田啓介さんが主宰するnoizに設計を依頼。noizが得意とするデジタル技術を家づくりのプロセスに活用しながら、開放感のある心地よい住まいを完成させた。
どんなHouzz?
住まい手:40代の夫婦、9歳と14歳の息子2人
所在地:東京都世田谷区、住宅街の住宅街の旗竿地
敷地面積: 161.47平方メートル
建築面積:67.08平方メートル
延床面積:145.33平方メートル
構造:木造、地上2階
設計:noiz(豊田啓介/蔡佳萱/酒井康介、担当:ミン キョンソク)
構造設計:坪井宏嗣構造設計事務所
施工:桃山建設株式会社
竣工:2018年12月
住まい手:40代の夫婦、9歳と14歳の息子2人
所在地:東京都世田谷区、住宅街の住宅街の旗竿地
敷地面積: 161.47平方メートル
建築面積:67.08平方メートル
延床面積:145.33平方メートル
構造:木造、地上2階
設計:noiz(豊田啓介/蔡佳萱/酒井康介、担当:ミン キョンソク)
構造設計:坪井宏嗣構造設計事務所
施工:桃山建設株式会社
竣工:2018年12月
この家族の生活の中心にあるのはスポーツ。2人の息子たちは、ラグビーとサッカーの練習に毎日励み、練習のない日には、父やチームメイトたちと家に集まり、試合の動画を真剣に観て過ごすことも多いそう。
だから夫妻は多くの人が集まっても快適な、吹き抜けのある開放的なリビングを希望した。一方、プライベート空間である寝室は、大人も子どもも、ゆっくりと休める場所にしたいと思っていた。
これらの要望を受けたnoizの酒井康介さんは、寝室などのプライベート空間や水回りをボックスとして構成して積み木のように重ねる設計を提案。残りのリビング、ワークスペース、屋根裏部屋は、吹き抜けでつながるようにした。写真の薄いグレーのボックス状の空間が寝室になっている。
だから夫妻は多くの人が集まっても快適な、吹き抜けのある開放的なリビングを希望した。一方、プライベート空間である寝室は、大人も子どもも、ゆっくりと休める場所にしたいと思っていた。
これらの要望を受けたnoizの酒井康介さんは、寝室などのプライベート空間や水回りをボックスとして構成して積み木のように重ねる設計を提案。残りのリビング、ワークスペース、屋根裏部屋は、吹き抜けでつながるようにした。写真の薄いグレーのボックス状の空間が寝室になっている。
吹き抜けのリビングには自然光がたっぷり入り、とても明るい。ソファの向かいの壁には、動画を大勢で鑑賞できる大型のテレビを設置するのに十分なスペースも確保されている。
木造の家だが、一部の梁を鉄骨で補強したことよって、柱の少ない空間作りが可能になった。ボックス状の空間も、梁のように全体を支える役割を果たしている。
寝室とリビングをつなぐ階段スペースは、上り下りするだけではなく、腰掛けて過ごすのにもよさそうな、楽しげな雰囲気。「子どもたちが座るとフォトジェニックです」とオーナー。
階段下は収納スペースになっている。実はエアコンもここにしまわれていて、床下空調で住宅全体を24時間、基礎から暖めている。家中の室温が一定に保たれるので、冬でも温度差や寒さをさほど感じずに過ごせるそうだ。
木造の家だが、一部の梁を鉄骨で補強したことよって、柱の少ない空間作りが可能になった。ボックス状の空間も、梁のように全体を支える役割を果たしている。
寝室とリビングをつなぐ階段スペースは、上り下りするだけではなく、腰掛けて過ごすのにもよさそうな、楽しげな雰囲気。「子どもたちが座るとフォトジェニックです」とオーナー。
階段下は収納スペースになっている。実はエアコンもここにしまわれていて、床下空調で住宅全体を24時間、基礎から暖めている。家中の室温が一定に保たれるので、冬でも温度差や寒さをさほど感じずに過ごせるそうだ。
リビング奥は対面キッチンカウンター。リビングを向いているので、キッチンに立つ人は、お客さんが来ていても会話がしやすい。
階段を登った途中には作業スペースがある。子ども達はここで勉強し、親たちが書き物をすることも。
作業スペースの奥は息子たちの寝室。向かって右手はコンパクトだけれどロフト付きの兄の部屋。左手は弟の部屋で、ロフトの下の部分は天井が140センチと低めになっている。いずれの部屋も天井は完全に閉じておらず、光がよく入る。
こちらは兄の部屋に付いているロフト。ベランダから近く、ひなたぼっこをするのに最適なスペース。兄は実際、ここにマットを引いて寝たりしていることもあるそう。オーナーによると、ロフトだけではなく、晴れた日にはベランダで過ごすのも気持ちが良いのだそうだ。
そして、弟の部屋のロフト下スペース。小窓はリビングに面していて、子ども達がこの窓から、リビングにいる大人に声をかけることもあるそう。
ゲームの技術を使った家づくり
家づくりの過程で必ずある内装の色や素材決めは、小さなサンプルだとなかなか想像しづらいもの。家づくりが初めての施主ならなおさらだ。今回、設計者であるnoizはコンピューターゲームを動かすためのソフトウェア(ゲームエンジン)を家づくりの過程に取り入れた。3DのCADデータをゲームエンジン取り込み、ゲームプレーするときのように室内の完成イメージの中を動き回り、床や壁の色をリアルタイムで調整したりした。
この方法を発案したのは、noizのミン キョンソクさん。画面を操作しながら、打ち合わせ時にその場で施主に色や素材の雰囲気を決めてもらえるので決定のスピードが格段に速まったそう。
また、設計者、施工者、施主の3者が最終的な出来上がりのイメージを共有するのもスムーズだったという。この家では、内装にモルタル風塗装、白の塗装、ラワン材のオイル仕上げの三つの素材や色を組み合わせて使用している。
酒井さんによると、三つ以上の素材を使うと、最終形をイメージするのが難しくなるそうだが「ゲームエンジンを使うと、動き回って雰囲気を確かめることができる。自然光が入った状態でレンダリングされたものが忠実に再現できるので、今までのパースよりも再現性があり、イメージしやすくなる」とのこと。
家づくりの過程で必ずある内装の色や素材決めは、小さなサンプルだとなかなか想像しづらいもの。家づくりが初めての施主ならなおさらだ。今回、設計者であるnoizはコンピューターゲームを動かすためのソフトウェア(ゲームエンジン)を家づくりの過程に取り入れた。3DのCADデータをゲームエンジン取り込み、ゲームプレーするときのように室内の完成イメージの中を動き回り、床や壁の色をリアルタイムで調整したりした。
この方法を発案したのは、noizのミン キョンソクさん。画面を操作しながら、打ち合わせ時にその場で施主に色や素材の雰囲気を決めてもらえるので決定のスピードが格段に速まったそう。
また、設計者、施工者、施主の3者が最終的な出来上がりのイメージを共有するのもスムーズだったという。この家では、内装にモルタル風塗装、白の塗装、ラワン材のオイル仕上げの三つの素材や色を組み合わせて使用している。
酒井さんによると、三つ以上の素材を使うと、最終形をイメージするのが難しくなるそうだが「ゲームエンジンを使うと、動き回って雰囲気を確かめることができる。自然光が入った状態でレンダリングされたものが忠実に再現できるので、今までのパースよりも再現性があり、イメージしやすくなる」とのこと。
あえてのCG的な表現
今回、様々な決定のためにゲームエンジンを活用しただけではなく、デザインにもCG的な表現を意識的に取り入れたそう。
「ゲームエンジンで家づくりをしたから(ゲームの)マインクラフトのようになっているのか?と言われたりしました。でも、あえてゲーム空間にある家を再現しているところもあります」とミンさん。
例えば、上の写真の面と面のふちがピシッとそろっているところなどがその一つ。施工会社さんには「大変だった」と言われたそうだが、あえてそろえることにこだわった。塗装にも厚みのない表現を用いることで、CG的な表現をリアルで作り出している。
心地さと、随所に感じられる遊びごころが楽しいこの家。新旧の技術のいいとこ取りをした住まいだといえそうだ。
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今回、様々な決定のためにゲームエンジンを活用しただけではなく、デザインにもCG的な表現を意識的に取り入れたそう。
「ゲームエンジンで家づくりをしたから(ゲームの)マインクラフトのようになっているのか?と言われたりしました。でも、あえてゲーム空間にある家を再現しているところもあります」とミンさん。
例えば、上の写真の面と面のふちがピシッとそろっているところなどがその一つ。施工会社さんには「大変だった」と言われたそうだが、あえてそろえることにこだわった。塗装にも厚みのない表現を用いることで、CG的な表現をリアルで作り出している。
心地さと、随所に感じられる遊びごころが楽しいこの家。新旧の技術のいいとこ取りをした住まいだといえそうだ。
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