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チェルサイエ2018:清潔感がありミニマルすぎない浴室に注目
新しい仕上げから、革新的な浴槽、衛生面にフォーカスしたアイテムまで。今年のチェルサイエ国際見本市のトレンドです。
Laura Molteni
2018年10月16日
チェルサイエは、毎年9月にイタリアのボローニャで開催される建築用セラミックと浴室用品の国際見本市です。今年は452社のセラミックタイル製造メーカーと181社の浴室用品業者など、出展企業840社が新たなデザインをアピールしました。
出展者の三分の一以上はイタリア国外のブランドでした。来場者も112,104人を数え、そのうち半数近くがイタリア国外から訪れていました。Houzzも出展し、編集チームは会場でワクワクするような新しいトレンドを求めて歩き回りました。
ますますコンパクトになる住宅で、デジタル機器から離れ、ひとりでリラックスしたいという欲求。パーソナライゼーションや消費の最小化。今年のチェルサイエでは、このような現代のニーズを反映した暮らしのために、新たな扉が開かれようとしているようでした。例えば、泡ではなく渦を作り出す浴槽のイノベーションがその一つです。この記事では、2019年の最もホットな浴室事情をご紹介します。
出展者の三分の一以上はイタリア国外のブランドでした。来場者も112,104人を数え、そのうち半数近くがイタリア国外から訪れていました。Houzzも出展し、編集チームは会場でワクワクするような新しいトレンドを求めて歩き回りました。
ますますコンパクトになる住宅で、デジタル機器から離れ、ひとりでリラックスしたいという欲求。パーソナライゼーションや消費の最小化。今年のチェルサイエでは、このような現代のニーズを反映した暮らしのために、新たな扉が開かれようとしているようでした。例えば、泡ではなく渦を作り出す浴槽のイノベーションがその一つです。この記事では、2019年の最もホットな浴室事情をご紹介します。
1. 自由に組み合わせるタイル
浴室のタイルはすべて同じ大きさと色にしなければ、なんて決めつけるのはなぜ?想像力を駆使した自由な組み合わせの壁で、自分だけのインテリアを作りましょう。
インテリアデザイナーの想像力を存分にかき立ててくれる、組み合わせやすいサイズ、仕上げ、デザイン、色。さまざまなタイルが各社から登場しています。
壁装:Fap ceramicheのPatコレクションより、スカイ(サチュレーティド・ライトブルー)とデコ・ブルー(ドット)、30.5 cm×91.5 cm
浴室のタイルはすべて同じ大きさと色にしなければ、なんて決めつけるのはなぜ?想像力を駆使した自由な組み合わせの壁で、自分だけのインテリアを作りましょう。
インテリアデザイナーの想像力を存分にかき立ててくれる、組み合わせやすいサイズ、仕上げ、デザイン、色。さまざまなタイルが各社から登場しています。
壁装:Fap ceramicheのPatコレクションより、スカイ(サチュレーティド・ライトブルー)とデコ・ブルー(ドット)、30.5 cm×91.5 cm
2. 長方形を見直す
今年はこれまでにない形や色のタイルが見られましたが、サブウェイタイルのトレンドのおかげで10 cm×20 cm、11 cm×25 cm、10 cm×30 cmサイズのクラシックな長方形が再び注目されています。ただし今年は縦に積み上げるレイアウトが人気です。
かつては技術的な必要性のためだけにあった目地が今では主役となっています。意図的に幅を広くしてタイルの色とのコントラストを生み出しています。
キャビネット:ArtesiのPetraコレクション
今年はこれまでにない形や色のタイルが見られましたが、サブウェイタイルのトレンドのおかげで10 cm×20 cm、11 cm×25 cm、10 cm×30 cmサイズのクラシックな長方形が再び注目されています。ただし今年は縦に積み上げるレイアウトが人気です。
かつては技術的な必要性のためだけにあった目地が今では主役となっています。意図的に幅を広くしてタイルの色とのコントラストを生み出しています。
キャビネット:ArtesiのPetraコレクション
長方形のモザイクタイルでひと工夫するのが人気です。縦方向のレンガ式レイアウトも再びトレンド入りしています。
モザイク:Smart AcquaのRocaによるRock Art、30 cm×30 cm(それぞれのタイルの寸法にはモザイクタイルのグリッドが含まれています。)
モザイク:Smart AcquaのRocaによるRock Art、30 cm×30 cm(それぞれのタイルの寸法にはモザイクタイルのグリッドが含まれています。)
人とは違うものを取り入れたい、かつ六角形のタイルをありがちで面白くないと感じるのなら、アシンメトリーな六角形のタイルは時代を先取りしたアクセントになります。
床:Ceramica Colli di SassuoloのAbacoコレクションよりEsagona Irregolare、35 cm×28 cmSe volete qualcosa di un po’ diverso e le piastrelle esagonali
床:Ceramica Colli di SassuoloのAbacoコレクションよりEsagona Irregolare、35 cm×28 cmSe volete qualcosa di un po’ diverso e le piastrelle esagonali
3. 3Dの質感
ストーンウェアのレリーフ装飾はいつの時代も魅力的なもので、特に真っ白なタイルにアクセントを加えるには面白い方法です。
見本市では、AscotのExcelsiorコレクションの中のインフィニティ・ハニー・ミラー・タイル(写真)のように、大理石調スラブに3Dの質感を出したものもあり、クラシックな仕上げに鮮やかさを加えることで、よりコンテンポラリーな印象を生み出しています。
壁タイル、50 cm×150 cm
ストーンウェアのレリーフ装飾はいつの時代も魅力的なもので、特に真っ白なタイルにアクセントを加えるには面白い方法です。
見本市では、AscotのExcelsiorコレクションの中のインフィニティ・ハニー・ミラー・タイル(写真)のように、大理石調スラブに3Dの質感を出したものもあり、クラシックな仕上げに鮮やかさを加えることで、よりコンテンポラリーな印象を生み出しています。
壁タイル、50 cm×150 cm
浴室用品業界で数多くの企業とコラボレーションを行っているデザイン事務所Meneghello Paolelli Associatiのマルコ・パオレッリは、トレンドは装飾を多く取り入れる方向にあると見ています。
「10年以上にわたりこの業界を研究・観察してきましたが、普通っぽさと飾り立てたいという欲求はぶつかり合うものです」とパオレッリは話します。「片方は、シンプルかつ柔らかなラインで安心できるアイテム、もう片方はある意味とげとげしく、常識を超えて感情を呼び覚まそうとする革新的なアイテムになります。今、製品の材料の特性を生かす時代を迎えています。大理石は『あり』、木目は『なし』、あらゆる形状の装飾は『あり』、ミニマリズムは『なし』です」
壁タイル:Fap CeramicheのLuminaコレクションよりバブルホワイトマット、25 cm×75 cm
「10年以上にわたりこの業界を研究・観察してきましたが、普通っぽさと飾り立てたいという欲求はぶつかり合うものです」とパオレッリは話します。「片方は、シンプルかつ柔らかなラインで安心できるアイテム、もう片方はある意味とげとげしく、常識を超えて感情を呼び覚まそうとする革新的なアイテムになります。今、製品の材料の特性を生かす時代を迎えています。大理石は『あり』、木目は『なし』、あらゆる形状の装飾は『あり』、ミニマリズムは『なし』です」
壁タイル:Fap CeramicheのLuminaコレクションよりバブルホワイトマット、25 cm×75 cm
4. 人工石
天然素材の純粋主義者には反対されそうですが、磨耗やバクテリアに対する耐性、お手入れが簡単など、人工石スラブで仕上げるほうがいい場合があります。写真のCotto d’EsteのPietra d’Iseoタイルがその一例です。デザインは、イタリア・ミラノの東にあるイゼーオ湖周辺の採石場で採れ、ミラノやロンバルディの宮殿で広く使われている石であるCeppo di Grèのイミテーションです。
しかし、タイルはグラスファイバーで強化した薄い板状の陶器であるKerlite製です。この素材には、バクテリアの代謝プロセスを抑制して成長を妨げる、銀イオンを使った抗菌テクノロジーも組み込まれています。こうした技術は焼成の際にタイルに加えられ、永続的に効果を発揮します。
壁タイル:60 cm×120 cm、床タイル:120 cm×260 cm
天然素材の純粋主義者には反対されそうですが、磨耗やバクテリアに対する耐性、お手入れが簡単など、人工石スラブで仕上げるほうがいい場合があります。写真のCotto d’EsteのPietra d’Iseoタイルがその一例です。デザインは、イタリア・ミラノの東にあるイゼーオ湖周辺の採石場で採れ、ミラノやロンバルディの宮殿で広く使われている石であるCeppo di Grèのイミテーションです。
しかし、タイルはグラスファイバーで強化した薄い板状の陶器であるKerlite製です。この素材には、バクテリアの代謝プロセスを抑制して成長を妨げる、銀イオンを使った抗菌テクノロジーも組み込まれています。こうした技術は焼成の際にタイルに加えられ、永続的に効果を発揮します。
壁タイル:60 cm×120 cm、床タイル:120 cm×260 cm
5. パステルカラー
グレー、白、大理石調のタイルが浴室の壁材や床材として不動の王座を保ち続けているとしたら、その中でセージグリーン、マルサラ、パステルピンクが主流となっています。
壁タイル:Panaria CeramicaのEvenコレクションよりなめらかな光沢のある白色のShapesタイル、Leaf約35 cm×100 cm
グレー、白、大理石調のタイルが浴室の壁材や床材として不動の王座を保ち続けているとしたら、その中でセージグリーン、マルサラ、パステルピンクが主流となっています。
壁タイル:Panaria CeramicaのEvenコレクションよりなめらかな光沢のある白色のShapesタイル、Leaf約35 cm×100 cm
6. 黒の蛇口
モノトーンの浴室はどの時代でも人気があります。蛇口メーカーはこの流行に乗り、たとえば標準のクロムめっきタイプの追加オプションとする代わりに、標準オプションとして洗練された黒(または白)の蛇口を提供しています。
シングルレバーの蛇口:CisalのSlimコレクションより
モノトーンの浴室はどの時代でも人気があります。蛇口メーカーはこの流行に乗り、たとえば標準のクロムめっきタイプの追加オプションとする代わりに、標準オプションとして洗練された黒(または白)の蛇口を提供しています。
シングルレバーの蛇口:CisalのSlimコレクションより
インダストリアル・スタイルのシャワー室はさらに進化し、シルクスクリーン印刷されたガラスを使ったモデルが登場しました。写真のDukaによるLibero 3000ブースがその一例です。その外観とは裏腹に金属の枠組みは一切使っておらず、軽量で掃除がしやすい空間となっています。
ウォークイン・シャワーブース:DukaのLibero 3000インダストリアル・デザイン
ウォークイン・シャワーブース:DukaのLibero 3000インダストリアル・デザイン
7. 狭い浴室でも贅沢にリラックス
場所をとる泡風呂はもう過去の話。新しいモデルなら、薄くなったフレームとよりコンパクトなメカニズムを実現する革新的な固体表面材のおかげで、狭い浴室にもフィットします。さらに、狭いスペースや開放的なエンスイートルームでは無視できない特徴である動作音も小さくなっています。
JacuzziのニューモデルArga(写真)もまた泡を捨て、代わりにスワールプール・テクノロジーと呼ばれるユビキタス・エアジェットを採用し、これまでよりもやさしい「渦」で入浴中の体をほぐします。さらに、バスソルトのディフーザーと照明が内蔵されています。
場所をとる泡風呂はもう過去の話。新しいモデルなら、薄くなったフレームとよりコンパクトなメカニズムを実現する革新的な固体表面材のおかげで、狭い浴室にもフィットします。さらに、狭いスペースや開放的なエンスイートルームでは無視できない特徴である動作音も小さくなっています。
JacuzziのニューモデルArga(写真)もまた泡を捨て、代わりにスワールプール・テクノロジーと呼ばれるユビキタス・エアジェットを採用し、これまでよりもやさしい「渦」で入浴中の体をほぐします。さらに、バスソルトのディフーザーと照明が内蔵されています。
8. トイレの進化
新しいトイレのデザインは、着脱が可能なシート付で便器の掃除が簡単な縁のないモデルなど、衛生面に着目しています。
一例がFlaminiaのAPPシリーズで、写真はその中の新色ファンゴ。ボタンひとつでシートを取り外すことができ、便器の内側に縁がないのが特徴です。
新しいトイレのデザインは、着脱が可能なシート付で便器の掃除が簡単な縁のないモデルなど、衛生面に着目しています。
一例がFlaminiaのAPPシリーズで、写真はその中の新色ファンゴ。ボタンひとつでシートを取り外すことができ、便器の内側に縁がないのが特徴です。
今年展示されていたもうひとつのモデルは、Meneghello Paolelli AssociatiのデザインによるArtceramのThe One toiletです。極薄シートはヒンジレスで簡単に取り外すことができ、便器の内側には縁がありません。
9. 洗面ボール
洗面ボールは現在、各社のカタログの中の目玉となっています。丸型、楕円形、あるいは長方形で、ごつごつした石を連想させる仕上がりだとオーガニックな路線、非常に薄くて四角いボールだとミニマリストな外観を特徴としています。陶器や固体表面でできていて、白やカラー、または天然石風に仕上げられることもあります。
最も重要な要素は、蛇口からの水はねを抑える機能的な形状です。また、支持基盤もカギとなります。カウンターの上に直接設置するボール型のシンクは、底面まわりの狭い空間を掃除するのが困難になりがちです。シモン・ミケーリがNoken Porcelanosa Bathroom社のためにデザインしたLoungeシンク(写真)のようなデザイン・ソリューションは、低い台の上に載せてシンクを持ち上げることで、この点に配慮しています。
シンク、蛇口、キャビネット、ミラー:Loungeコレクション、キャビネット:コッパー仕上げのメタルディテール付ナイトブルー、幅120 cm
「メゾン・エ・オブジェ・パリ」2018年9月展のトレンド10選
北欧デザインのトレンドは、素材の風合いを活かしたユニークなローカル主義
ニュース・トレンド|建築・デザイン|インテリア|トイレ・浴室・洗面所の記事
日本のバス・トイレのインテリア リフォーム写真をみる
洗面ボールは現在、各社のカタログの中の目玉となっています。丸型、楕円形、あるいは長方形で、ごつごつした石を連想させる仕上がりだとオーガニックな路線、非常に薄くて四角いボールだとミニマリストな外観を特徴としています。陶器や固体表面でできていて、白やカラー、または天然石風に仕上げられることもあります。
最も重要な要素は、蛇口からの水はねを抑える機能的な形状です。また、支持基盤もカギとなります。カウンターの上に直接設置するボール型のシンクは、底面まわりの狭い空間を掃除するのが困難になりがちです。シモン・ミケーリがNoken Porcelanosa Bathroom社のためにデザインしたLoungeシンク(写真)のようなデザイン・ソリューションは、低い台の上に載せてシンクを持ち上げることで、この点に配慮しています。
シンク、蛇口、キャビネット、ミラー:Loungeコレクション、キャビネット:コッパー仕上げのメタルディテール付ナイトブルー、幅120 cm
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