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World Building of the Yearに輝いた、シニアにやさしい公共住宅とは?
医療、商業、交流の施設も。シニア層がアクティブに暮らせるシンガポールのコミュニティ「Kampung Admiralty」をご紹介します。
Chiquit Brammall
2018年12月21日
今月アムステルダムで開催された2018年のWorld Architecture Festivalで、シンガポールのシニア向け複合施設「Kampung Admiralty」が大賞にあたるWorld Building of the Yearを受賞しました。
デザインは、ウォン・マン・サムとリチャード・ハッセルが運営するシンガポールの建築事務所、WOHAが担当。このプロジェクトについてWorld Architecture Festivalのプログラム・マネジャー、Paul Finchは「ヘルスケアや商業スペースなど、複合的な施設を備えたシニアにやさしい公共住宅として、長寿時代に非常に参考になる事例」と語っています。また、緑をうまく活用し、エコロジカルなデザインを実現しているのもポイントです。この記事では、「Kampung Admiralty」の魅力を紹介します。
デザインは、ウォン・マン・サムとリチャード・ハッセルが運営するシンガポールの建築事務所、WOHAが担当。このプロジェクトについてWorld Architecture Festivalのプログラム・マネジャー、Paul Finchは「ヘルスケアや商業スペースなど、複合的な施設を備えたシニアにやさしい公共住宅として、長寿時代に非常に参考になる事例」と語っています。また、緑をうまく活用し、エコロジカルなデザインを実現しているのもポイントです。この記事では、「Kampung Admiralty」の魅力を紹介します。
写真:Darren Soh by WOHA
今回賞を受賞した「Kampung Admiralty」(’kampung’はマレー語で「村」の意味)は、シンガポールの住宅開発庁(Housing Development Board (HDB))の公共住宅として開発されました。
シニアのための住宅でありつつ、公共空間やヘルスケア施設、コマーシャルスペースなど様々な機能とサービスを掛け合わせた、今までにない複合施設です。
11階建ての建物内にはシニア向けのアパートメントが104戸あり、住人が活動的かつ自律的に暮らせるようデザインされています。
今回賞を受賞した「Kampung Admiralty」(’kampung’はマレー語で「村」の意味)は、シンガポールの住宅開発庁(Housing Development Board (HDB))の公共住宅として開発されました。
シニアのための住宅でありつつ、公共空間やヘルスケア施設、コマーシャルスペースなど様々な機能とサービスを掛け合わせた、今までにない複合施設です。
11階建ての建物内にはシニア向けのアパートメントが104戸あり、住人が活動的かつ自律的に暮らせるようデザインされています。
写真:Patrick Bingham-Hall by WOHA
ワンルームのアパートメントからは、建物の間にレイヤー状に配置された緑溢れる眺めを楽しめます。住宅開発庁の管理のもと、医療機関(MOH)、医療キャンパス(YHC)、国立環境団体 (NEA)、国立公園ボード(NParks)、国土交通省(LTA)、幼児教育開発局(ECDA)など、異なる政府機関によって、コミュニティプラザ、医療センター、コミュニティパーク、屋上コミュニティファームなど、様々な施設が運営されています。
ワンルームのアパートメントからは、建物の間にレイヤー状に配置された緑溢れる眺めを楽しめます。住宅開発庁の管理のもと、医療機関(MOH)、医療キャンパス(YHC)、国立環境団体 (NEA)、国立公園ボード(NParks)、国土交通省(LTA)、幼児教育開発局(ECDA)など、異なる政府機関によって、コミュニティプラザ、医療センター、コミュニティパーク、屋上コミュニティファームなど、様々な施設が運営されています。
写真:Patrick Bingham-Hall by WOHA
アパートメントについて
「Kampung Admiralty」のワンルームの部屋は、36平米と45平米の2種類。シンガポール政府の公共住宅政策の一環として、55歳以上のシンガポール市民なら誰でも、安価な「Kampung Admiralty」に応募できます。
アパートメントについて
「Kampung Admiralty」のワンルームの部屋は、36平米と45平米の2種類。シンガポール政府の公共住宅政策の一環として、55歳以上のシンガポール市民なら誰でも、安価な「Kampung Admiralty」に応募できます。
写真:Patrick Bingham-Hall by WOHA
シニアにやさしいアパートメント
アパートメントは、シニア層が使いやすいようアクセシブルにデザインされています。また、住人が孤立しないよう、コミュニティスペースも完備されています。主な機能は以下です。
シニアにやさしいアパートメント
アパートメントは、シニア層が使いやすいようアクセシブルにデザインされています。また、住人が孤立しないよう、コミュニティスペースも完備されています。主な機能は以下です。
- IH調理器:ガスや電気ストーブと異なり、炎を使わないIH調理器であれば、家事やガス漏れの心配をする必要もなく、衛生的にキッチンを使用できます
- 耐久性のあるフロア:掃除が簡単かつ耐久性のある床が導入されています。
- 収納可能な物干し竿:キッチンに位置する物干し竿は、窓の外に出して洗濯物を干すことができます。
- アクセシビリティ:段差がなく、車椅子が通りやすいよう各扉は広々とデザインされています。キッチンの作業台は車椅子に座っていながらでも使用できるよう低めに調整することが可能で、バスルームや廊下、コモンスペースのスロープには手すりが完備されています。
- 緊急アラーム:各部屋には万が一に備えて緊急ベルが完備されています。
- 公共ベンチ:エントランスには「Buddy-benches」と呼ばれるベンチが設置されており、誰でも座って隣人とのおしゃべりを楽しめます。
- エレベーター:どのフロアにもエレベーターが完備されており、リフトロビーには待ち時間に使用できるベンチもあります。
- アーバンファーム:建物内にあるアーバンファームでは、アクテビティを通して新しい友情を育めます。
写真:Patrick Bingham-Hall by WOHA
コミュニティスペース
コミュニティのためのスペースである「NParks」では、ガーデニングやファーミングが楽しめる「Community in Bloom」というクラブ活動が行われています。住民だけでなく、この地区に住む人なら誰でも通うことができるのが利点です。
コミュニティスペース
コミュニティのためのスペースである「NParks」では、ガーデニングやファーミングが楽しめる「Community in Bloom」というクラブ活動が行われています。住民だけでなく、この地区に住む人なら誰でも通うことができるのが利点です。
写真:Patrick Bingham-Hall by WOHA
サステイナブル・デザイン
このプロジェクトは、建物に必要なエネルギーを出来るだけ抑えるようにデザインされています。植物が熱を吸収し、自然換気が上手く行えるよう計算されているので、エアコンに使うエネルギーを削減できます。灌漑に備えて雨水は集められ、緑地にはリサイクルされた水が使われます。
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サステイナブル・デザイン
このプロジェクトは、建物に必要なエネルギーを出来るだけ抑えるようにデザインされています。植物が熱を吸収し、自然換気が上手く行えるよう計算されているので、エアコンに使うエネルギーを削減できます。灌漑に備えて雨水は集められ、緑地にはリサイクルされた水が使われます。
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