My Houzz:キッチンが主役。コンパクトなワンルームに家族で住まう
築42年のビンテージマンションをリノベーション。3人家族が住まう居心地のよいコンパクトな家が実現しました。
Yu Ebihara
2016年9月27日
Houzz Japan editorial team staff. / ハウズ ジャパンのエディトリアルスタッフです。
中古マンションを購入、リノベーションして自分らしく住まう人が近年増加している。新築に比べて住宅購入価格が押さえられるということや、リノベーションすることで資産価値が高まる可能性がきわめて高いこと、気が遠くなるほど膨大な決めごとや契約や作業も、裏を返せば自分たちのこだわりを十分に発揮できるというのも、若い住宅購入希望者がビンテージマンション+リノベーションに惹かれる理由だ。
出沼翔太さん麻希子さん夫妻が暮らす東京都世田谷区のビンテージマンションは築42年。元は3Kの間取りで全面畳敷きだったが、ワンルームに再構築した。2015年8月にフルリノベーションが完了し、翌月に第1子となる長女・青ちゃんが誕生。怒濤の1年を過ごした出沼さんに住まいづくりを振り返ってもらった。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦+子ども1人
所在地:東京都世田谷区
面積:54.53平方メートル(約16.5坪)
間取り:ワンルーム(元は3K)
構造:鉄筋コンクリート
竣工時期:2015年8月
設計会社:MTM Design
施工会社:Roovice
出沼翔太さん麻希子さん夫妻が暮らす東京都世田谷区のビンテージマンションは築42年。元は3Kの間取りで全面畳敷きだったが、ワンルームに再構築した。2015年8月にフルリノベーションが完了し、翌月に第1子となる長女・青ちゃんが誕生。怒濤の1年を過ごした出沼さんに住まいづくりを振り返ってもらった。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦+子ども1人
所在地:東京都世田谷区
面積:54.53平方メートル(約16.5坪)
間取り:ワンルーム(元は3K)
構造:鉄筋コンクリート
竣工時期:2015年8月
設計会社:MTM Design
施工会社:Roovice
「気に入っていた前の街と場所が近かったこと、自分たちの親兄弟が近くに住んでいるということ、周りに高い建物がなく眺望がいいということからこのマンションを選びました。購入する直前にマンションの大規模修繕が行われ、共用部がリフォームされてきれいになったのはラッキーでしたね」と翔太さん。
もともと新築という選択肢はなく、中古マンションのフルリノベーションのみを検討していた出沼さん夫妻は、築40年越えのマンションに臆することはなかった。翔太さんは建築学部出身で家の構造や設計に詳しいというバックグラウンドもあったのだが、実際の家づくりはもちろん初めて。
もともと新築という選択肢はなく、中古マンションのフルリノベーションのみを検討していた出沼さん夫妻は、築40年越えのマンションに臆することはなかった。翔太さんは建築学部出身で家の構造や設計に詳しいというバックグラウンドもあったのだが、実際の家づくりはもちろん初めて。
そんな出沼さん夫妻が住まいづくりのパートナーとして選んだのは、旧知の友人である〈MTM Design〉の御供(みとも)秀一郎さん。主に店舗の設計を手がける御供さんにとっては、実は初めての住宅設計だった。
「長い付き合いで、僕たちのライフスタイルや好きなものも十分知っているということで、家をつくるなら御供くんにと思っていました」と翔太さんが話せば、「住み始めて1年経ちましたがとても満足です。また家をつくる機会があったら、御供くんにまたお願いしますね(笑)」と麻希子さんも話すほど、夫婦の信頼は厚い。
出沼さん夫妻と御供さんは家のデザインやイメージを伝達するために、Houzzのアイデアブックの共有機能を活用していたのだという。「このデザインが好き、この色が好き、こうしたいという要望だけではなく、これはちょっと僕のイメージと違うな、というような細かなイメージのすりあわせでも使っていました」と翔太さん。
「長い付き合いで、僕たちのライフスタイルや好きなものも十分知っているということで、家をつくるなら御供くんにと思っていました」と翔太さんが話せば、「住み始めて1年経ちましたがとても満足です。また家をつくる機会があったら、御供くんにまたお願いしますね(笑)」と麻希子さんも話すほど、夫婦の信頼は厚い。
出沼さん夫妻と御供さんは家のデザインやイメージを伝達するために、Houzzのアイデアブックの共有機能を活用していたのだという。「このデザインが好き、この色が好き、こうしたいという要望だけではなく、これはちょっと僕のイメージと違うな、というような細かなイメージのすりあわせでも使っていました」と翔太さん。
出沼家のポイントは次の3つ。
1. 片側だけ塗られた青い壁
夫婦ともに青色が大好き(娘さんの名前も青ちゃん!)。コンクリートむき出しの天井や、シンプルな照明、〈unico〉の茶色い革のソファでかっこよくなりすぎる部屋の印象を、鮮やかな水色の壁で中和させている。
「昼の太陽光で見る色味と、夜の明かりの下で見る色味や印象が異なるので、慎重に色を決めました」と翔太さんは振り返る。このアクセントウォールは来客にも好評で、しばしばフォトスポットになるのだそうだ。
1. 片側だけ塗られた青い壁
夫婦ともに青色が大好き(娘さんの名前も青ちゃん!)。コンクリートむき出しの天井や、シンプルな照明、〈unico〉の茶色い革のソファでかっこよくなりすぎる部屋の印象を、鮮やかな水色の壁で中和させている。
「昼の太陽光で見る色味と、夜の明かりの下で見る色味や印象が異なるので、慎重に色を決めました」と翔太さんは振り返る。このアクセントウォールは来客にも好評で、しばしばフォトスポットになるのだそうだ。
2. 大きなキッチンスペース
都内の有名ホテルでパティシエとして働いていた麻希子さん。出産後は自宅でクッキー教室やお菓子教室を開きたいという夢があるので、広いキッチンと大きなテーブル、作業台は必須だった。
「『家族友人が集まる場所=キッチン』にしたいという希望があったのでキッチンが家の中心になるように設計しました」と御供さん。ホームパーティーでお客さんの動向を見ながらキッチンに立てるのはもてなす側としてもやりやすいのだという。また、リビングもベッドルームも必ずキッチン横を通るという動線にはこだわった。
都内の有名ホテルでパティシエとして働いていた麻希子さん。出産後は自宅でクッキー教室やお菓子教室を開きたいという夢があるので、広いキッチンと大きなテーブル、作業台は必須だった。
「『家族友人が集まる場所=キッチン』にしたいという希望があったのでキッチンが家の中心になるように設計しました」と御供さん。ホームパーティーでお客さんの動向を見ながらキッチンに立てるのはもてなす側としてもやりやすいのだという。また、リビングもベッドルームも必ずキッチン横を通るという動線にはこだわった。
改修前のキッチンは設備が古く、収納が少ないのがネックだった。すべての設備を取り払い、一からキッチンの設計を行った。麻希子さんは当初パントリーの設置を希望したが、スペースの都合もあって、キッチンの上に5ヵ所、下に4ヵ所と大容量の収納棚をつくった。
キッチンには大小さまざまな調理器具がそろうが、「あまり物を増やさないようにしています」という麻希子さんの言葉のとおり、棚に収まる分だけを所有している。キッチン用品に限らず、服やおもちゃなどが溢れ出ずすっきりと収納場所に収まっているのは、夫婦そろって定期的に断捨離をしているからだという。
お気に入りの〈ル・クルーゼ〉の水色の鍋は、青ちゃんの離乳食づくりでも大活躍。フラットで掃除がしやすいシステムキッチンも麻希子さんのこだわりだ。
お気に入りの〈ル・クルーゼ〉の水色の鍋は、青ちゃんの離乳食づくりでも大活躍。フラットで掃除がしやすいシステムキッチンも麻希子さんのこだわりだ。
インテリアとしても優秀なコーヒー豆挽き。たくさんのコーヒーグッズは麻希子さんが独身時代から集めているもの。
コーヒー好きが高じて馴染みのコーヒー店のオーナーとコーヒーワークショップを自宅で開くことも。パティシエでもある麻希子さんは、手作りのお菓子を振る舞う。11月からは、麻希子さんのお菓子教室「TABLUE(テーブル)」がいよいよ始動する。
3. ベッドルームは「部屋にしない」
改修前は3Kという昨今では珍しい変則的な間取りで、部屋と部屋がしっかりと間仕切られた状態で閉塞的な空間だった。「空気の流れを大事にしたい」という翔太さんの希望もあり、ベッドルームは、扉で区切られることがなく半個室のようなつくりになっている。
気になるのは、青ちゃん(1歳)が大きくなり自分の部屋をほしがるようになったら? ということだが、「そのときにはこの部屋を売るか賃貸に出して、新しく広い部屋を探します」と答えが返ってきた。今の自分たちにちょうどいい大きさが、このワンルームなのだという。
改修前は3Kという昨今では珍しい変則的な間取りで、部屋と部屋がしっかりと間仕切られた状態で閉塞的な空間だった。「空気の流れを大事にしたい」という翔太さんの希望もあり、ベッドルームは、扉で区切られることがなく半個室のようなつくりになっている。
気になるのは、青ちゃん(1歳)が大きくなり自分の部屋をほしがるようになったら? ということだが、「そのときにはこの部屋を売るか賃貸に出して、新しく広い部屋を探します」と答えが返ってきた。今の自分たちにちょうどいい大きさが、このワンルームなのだという。
ベッドルームからキッチンをのぞむ。「台所仕事をしていても、寝ている娘の様子をこの窓から確認できます。『朝ご飯できたよ〜』とキッチンからすぐに声かけできるんです」とうれしそうに麻希子さんは話す。
リフォーム前は、3つある部屋すべてが和室だった。
「何が出てくるかわからないので解体時はさすがに少しドキドキしました」「天井や壁などは、実際にはがしてみないとわからないですからね。思った以上に躯体がきれいでよかったです」と翔太さんと御供さんは振り返る。解体後、天井は20〜30cmほど高くなった。3Kで使っていた部屋が贅沢なワンルームとなった。
「何が出てくるかわからないので解体時はさすがに少しドキドキしました」「天井や壁などは、実際にはがしてみないとわからないですからね。思った以上に躯体がきれいでよかったです」と翔太さんと御供さんは振り返る。解体後、天井は20〜30cmほど高くなった。3Kで使っていた部屋が贅沢なワンルームとなった。
リフォーム後のダイニングとキッチン。
ダイニングチェアは〈ACTUS〉で購入。机の高さに合わせて標準より10cm高いものを選んだ。新居に引っ越す際に新しく買い足したものは、このダイニングチェアとソファくらいとミニマム。ほとんどが独身時代や前の住居からのもので、「好きな物が夫婦一緒でブレがない」のだという。
床は青ちゃんがハイハイしても安全なようにささくれの少ないシナ材をチョイス。棚やキッチン台は表面の木目がはっきりしたラーチ合板を使用している。
ダイニングチェアは〈ACTUS〉で購入。机の高さに合わせて標準より10cm高いものを選んだ。新居に引っ越す際に新しく買い足したものは、このダイニングチェアとソファくらいとミニマム。ほとんどが独身時代や前の住居からのもので、「好きな物が夫婦一緒でブレがない」のだという。
床は青ちゃんがハイハイしても安全なようにささくれの少ないシナ材をチョイス。棚やキッチン台は表面の木目がはっきりしたラーチ合板を使用している。
広いキッチンスペースに合わせて設計した長さ3.6mのウォールナットのテーブルは、料理をする麻希子さんの作業台でもあるので、少し高めの850mmに設計してもらった。「勤務先の作業台を基準に高さを設定してもらいました。立ち仕事でもとても使いやすいんです」と麻希子さん。
洗面所とトイレを一新。上下と左に収納をたっぷりと設けた。キッチン収納と同じくラーチを使用。天井のコンクリートとラーチ材が異素材の組み合わせにも関わらず見た目の相性のよさを感じる。
出沼さん一家。壁のハーフバースデーの飾り付けは麻希子さんの力作。
青ちゃんが生まれた時と、竣工がほとんど同時期ということで、青ちゃんの成長とともに家も年を重ねていくことになる。竣工から1年たった出沼家は、設計した御供さんから「こんなにきれいに使ってもらえているなんて」と驚きの声があがるほど、壁にシミや擦れた跡ひとつないきれいな状態だった。夫婦がいかに大事に住んでいるかがうかがい知れた瞬間だった。
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ビフォーの写真と見比べつつ、こんなに変わるものなんだと感嘆していました。
コンクリートむき出しの「剛」の部分もありつつ、木や水色アクセント壁の「柔」もあり、居心地の良さそうな空間と感じました。
寝室を部屋として区切らないという考え方は斬新でした。
色々な刺激を受けた記事で楽しかったです。