コメント
Houzzツアー:砂漠の景色を窓いっぱいに楽しむミニマリストの傑作住宅
荒れ果てていた名作を、元の設計者がリモデル。砂漠の景観を最大限に楽しむ家に生まれ変わりました。
John Hill
2015年9月24日
フェニックスにある〈ダイアローグ・ハウス〉(Dialogue House「対話の家」の意)がこの美しい姿になるまで15年の月日が必要だった。この邸宅は、ある施主の依頼によって、1990年代終わりに建築家ウェンデル・バーネットが設計、1999年に栄えあるプログレッシブ・アーキテクチャー賞を受賞したが、その後荒廃状態に。新たに所有者となるハイランド夫妻がこの家を購入したのは、まだ彼らが婚約したばかりの2010年のことだった。そして、修復のため、そしてバーネットが当初目指していたこの家の設計ビジョンを完成させるために、バーネットが再度起用されることに。こうして、アリゾナ州の砂漠に映えるミニマリストの傑作が完成した。
どんなHouzz?
居住者:トーマス&ローラ・ハイランド夫妻
所在地:アリゾナ州フェニックス
規模:775.7平方メートル、ベッドルーム×3 バスルーム×3
トリビア:「ダイアローグ・ハウス」の名の由来は、家とプールの間の対話的関係。前者が外向的なのに対し、後者が内向的なデザインになっている。
どんなHouzz?
居住者:トーマス&ローラ・ハイランド夫妻
所在地:アリゾナ州フェニックス
規模:775.7平方メートル、ベッドルーム×3 バスルーム×3
トリビア:「ダイアローグ・ハウス」の名の由来は、家とプールの間の対話的関係。前者が外向的なのに対し、後者が内向的なデザインになっている。
エコー山のふもとにある住宅地の角地にこの家は立っている。周囲には、1950年代から60年代にかけて建てられた家が数軒あるが、どれも平凡なものばかりだ。2階建ての家は、高台に位置しており、下方のプールへ通じる階段がある(この写真は階段を下ったところから撮影している)。上階のリビングには巨大な窓があり、フェニックスの中心部やシエラ・エストレラの山並みを遠く見渡すことができる。
リビングおよびテラスからの眺め。フェニックスの夜景も見事だが、プールにもまた独特の魅力がある。家とプールの間に「対話」を見出す発想もなるほど、と思える。家からは、山並みと砂漠の中の都市の広大な景色を見渡せる一方で、プールではその景色は高い壁で遮られ、空だけが見えるようになっている。
この邸宅は山の南面に位置しているが、このすぐ近く、同じ山の北面にバーネットの自邸(1995年竣工)がある。バーネットは、乱平面造りの自宅を設計するにあたり、2 つのコンクリートブロックの壁を平行に並べ、両端にはガラス窓を、中 央に入口となる中庭玄関を配置した。ダイアログハウスの並外れて大きなピクチャーウィンドウを見れば、同様の戦術が採用されているのは明らかだ。同じく、家の西側、写真左の壁の後ろに小さな中庭がつくられている。
ハイランド家がこの住宅を購入したとき、外壁の漆喰は傷みがひどかったため、作り直す必要があった。そこでまず、地上階の濃い壁の上方にある深紅の漆喰部分を修復。バーネットは漆喰の色を前より濃くし、表面に凹凸を作って多様性を加え、まるで砂漠の砂の景観のようなまだら模様をつくりだした。外装(エクステリア)は暗く、内装(インテリア)は明るくしてコントラストをつけるのは、最近顕著なトレンドでもある。
バーネットの特徴の1つは、敷地を仕切る壁を使って屋外空間を定義づけ、広々とした丘陵面に囲い地の雰囲気を創り出すことにある。2層の矩形の平面に沿って壁が延びる。東側は車路へ、南側はプールへ、そして西側は中庭へと続く。この写真は、東側の壁に沿って立ち、家の反対側にある中庭へ通じる外階段の方を撮ったもの。
しかし、最も特徴的なのはプールだ。高さ3.95mの白い漆喰塗りの壁が空を四角く切り取る。壁には、ちょうど地上の高さの位置に小さな正方形の切り込みがいくつか入っている。プール側から見ると水面から約60㎝ほどの高さのところだ。ここから2次的な光源として屋外の部屋へ光を取り込んでおり、日中は外からまだら状の光の帯を採り込み、夜が内側から点々と輝く。
収納は、厚い壁を繰り抜いて埋め込むように設置している。写真は、キッチンからリビングを見たところ。リビングからは西側の中庭に出ることができる。右の壁の裏にはロフトのような主寝室があり、写真左端には大きなピクチャーウィンドウが見えている。
最後の写真は、先ほどの写真とちょうど反対側から撮ったもの。先ほどの収納と同じく、キッチンも壁と一体化するように設置されている。左側手前の低い壁の向こうには主寝室、続く高い壁の中に主寝室用バスルームがある(他に2つのバスルーム・寝室が階下にある)。収納とオープンプランのコンセプトがじつにうまく機能している空間だ。また、テラスは、すばらしい景色が広がる大きなガラス窓から中に入る光の量を絶妙に調節している。
施工: The Construction Zone
Photographs: Bill Timmerman
施工: The Construction Zone
Photographs: Bill Timmerman
おすすめの記事
Houzzツアー (お宅紹介)
クラシックなパリジャン風デザインを現代風にアレンジ
古典的な優美さと巧妙な仕組みの壁収納ベッドによって、ある女性とその甥のための美しいセカンドハウスが生まれました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
明るい色使いがポイント。ホームオフィスがあるスペインのリノベーション
ハッピーな雰囲気が魅力的な光あふれる住まい。デザイナーが考えた、予算を抑えるための秘策もご紹介します。
続きを読む
Houzzがきっかけの家(国内)
家族で自然を満喫。極上の浴室と広々としたデッキを備えた軽井沢の別荘
3人の子供たちの成長期に家族で軽井沢ライフを楽しむため、オーナーは時間のかかる土地探し&新築計画を見直し、中古物件を購入。Houzzで見つけた長野県の建築家に改修を依頼して、飛躍的に自然とのつながりが感じられる住まいに変身させました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
建築家がゲストハウスに再考したガレージ
多目的スペースへと作り替えられた空間とカーポートの追加によって、スタイリッシュにアップデートされた、歴史あるニューイングランド様式の住宅をご紹介します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
ビルバオのグランビア通りに佇む、1950年代のクラシカルなフラットハウス
既存のモールディングが美しい85平方メートルのリビング、ダイニング、ホームオフィスをもつ、エレガントなフラットをご紹介します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
開放的な空間に生まれ変わった、クラシックなテラスハウス
ロンドンの歴史ある建物の全面リフォーム。そして大胆に変身した廊下を、ビフォー・アフターの写真とともにご紹介します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
スペインの街を一望できるペントハウス
息をのむようなバルセロナの眺めを楽しむことができる、素晴らしいテラスをもつペントハウス。しかし改装前、出入り口には狭い引き戸しかありませんでした。
続きを読む
Houzzがきっかけの家(海外)
光に満ちた回廊を再利用して、都市型アパートを開放的に
美しい天井と大きな窓がある、太陽の差し込む明るいロッジアをリビング空間の一部とすることで、住まいを一変させました
続きを読む