Houzzツアー:リノベーションで24平米でも快適に暮らせるアパートメントに
リノベーションで壁面をすべてシステマティックな収納にして、24平方メートルでも快適に暮らせる部屋を実現。
Vanessa Brunner
2016年6月2日
町の眺めが360度見渡せる屋上、露天風呂のある美しいテラス、さまざまな生活用品が隠されている壁のパネル。バルセロナにあるこちらの住まいには、ユニークな特徴が盛りだくさんだ。写真家のクリスチャン・シャラートさんは、たまたまこのアパートメントと出会い、ひと目で立地の良さと屋上デッキからの眺めに惚れ込んでしまったと言う。しかし、面積は26平方メートルと小さいうえに、当時はただの空っぽのスペース。改善が必要なところはたくさんあった。
そこで、友人の建築家バルバラ・アポローニさんと一緒に考え出したアイデアが、ひとつの空間が目的に合わせて姿を変えるユニークなデザイン。家電や家具はすべて、壁と一体化した隠しパネルの奥に収納されている。パネルを開閉して調整すれば、料理をしたり、シャワーを浴びたり、眠ったりと、そのときどきに必要な機能を備えた部屋になる。
そこで、友人の建築家バルバラ・アポローニさんと一緒に考え出したアイデアが、ひとつの空間が目的に合わせて姿を変えるユニークなデザイン。家電や家具はすべて、壁と一体化した隠しパネルの奥に収納されている。パネルを開閉して調整すれば、料理をしたり、シャワーを浴びたり、眠ったりと、そのときどきに必要な機能を備えた部屋になる。
アパートメントの狭さを考えると、できるだけフレキシブルに活用するほか方法はなかった。シャラートさんはアポローニさんと相談しながら、自分のライフスタイルに合う実用的なデザインを作り出していった。「家の中に入れなければいけない持ち物を、ひとつ残らず書き出すところから始まりました」とシャラートさんは言う。
その結果、すべてのモノに居場所があり、すべてが手の届くところにある部屋が完成。壁のパネルを開くとデスクになったり、隠れた収納が姿を現す。ベッドも、使うときだけ大きな引き出し式の収納部分から取り出すことができる。「なんだか巨大なクローゼットに住んでいるみたいですね」とシャラートさん。
その結果、すべてのモノに居場所があり、すべてが手の届くところにある部屋が完成。壁のパネルを開くとデスクになったり、隠れた収納が姿を現す。ベッドも、使うときだけ大きな引き出し式の収納部分から取り出すことができる。「なんだか巨大なクローゼットに住んでいるみたいですね」とシャラートさん。
シャラートさんがここに住んでいたのは2年間。(今もこのアパートメントを所有しているが、住んでいるのは市内の別の場所だ。)旅行や仕事で家を空けることが多かったので、この部屋で過ごす時間はそれほど長くなかったという。朝起きると、すぐにベッドを収納して仕事に出かけ、帰ってくるとリビングルームとなった部屋が迎えてくれるというわけだ。
この部分のパネルと床の素材は、木材チップ材とコンクリートの複合素材《ヴィロック》だ。見た目はインダストリアルな雰囲気だが、コンクリートほど固くない。冬に冷たくなりすぎることもなく、夏の気候にも適している。
この部分のパネルと床の素材は、木材チップ材とコンクリートの複合素材《ヴィロック》だ。見た目はインダストリアルな雰囲気だが、コンクリートほど固くない。冬に冷たくなりすぎることもなく、夏の気候にも適している。
ビフォー:この物件に出会ったとき、シャラートさんは特にアパートメントを探していたわけではなかった。シャラートさんの写真スタジオの窓に誰かが貼っていった物件広告を目にして、ふと気が向いて見に行ってみたのだ。「ハトが住みついている、ほんのわずかなスペースだったのに、すごく気に入ってしまいました。古い建物のたたずまいと、バルセロナの町が360度見える眺望が本当に素敵だったんです」
アフター:半年後、ふたりの努力によって大改造され、さまざまな用途の機能が詰め込まれた空間になった。「まるで家1軒を1部屋に凝縮したようです」とシャラートさんは言う。
キッチン用品の入ったパネルは、すべて部屋の片側にまとめられている。壁に組み込まれた冷蔵庫、電気コンロ、シンク、冷凍庫、電子レンジ、食器洗浄機のそれぞれに専用の収容場所がある。食事をするときには、これらと一緒にテーブルを引き出してダイニングに。
食事が終われば、後片づけをしてふたたび収納。ベッドを引き出し、テレビを壁からベッドのほうへ向ければ、ホテル式の大きなベッドルームに早変わり。
改造には半年を要した。通常のリノベーションプロジェクトとは異なるため、いくつか特殊な建設許可を得る必要があった。
改造には半年を要した。通常のリノベーションプロジェクトとは異なるため、いくつか特殊な建設許可を得る必要があった。
ビフォー:当初は、バルセロナのトレンディなボルン地区で夢のロフト生活を思い描いていたシャラートさんだが、何もないところから部屋づくりをする可能性にやりがいを感じたという。「思い切って挑戦して、ハト小屋のような部屋をジェームズ・ボンドの映画に出てくるようなアパートメントに作り変えることができました。」
アフター:トイレは、このアパートメントで唯一のプライベート空間。シンクの脇にある隠しドアを入ると、窓の付いた小部屋になっている。ガラスで囲ったシャワーブースと洗面台は、キッチンやベッドルームとなるメインスペースの邪魔にならないよう、奥の壁沿いに設置している。
ベッドエリアのすぐ外には、部屋より1段高い6平方メートルのバルコニーがある。このバルコニーの下にベッドが収納されているのだ。ベッドを使うときには、フレームに付いた革のストラップを引っ張れば簡単に取り出せる。
小さなバルコニーから階段を上れば、さらに18.5平方メートルのテラスへと出る。シャラートさんはここに2人用の屋外用バスタブと、便利な洗濯乾燥機を設置した。バルセロナは太陽に恵まれているので、できるだけ屋外スペースを活用するのは理にかなった選択だ。
大きなカウチソファに座って、ゆったりとスペインの日差しを楽しめる。シャラートさんはたまにテラスでディナーパーティーを開き、多いときにはここに5人集まったことも。
自分は問題なく暮らせたけれど、万人にとって理想的な住まいではないだろう、とシャラートさんは言う。独身で、仕事の道具をすべてすぐ近くのオフィスに置いていたこともあり、部屋をきれいに片付けておくのは容易だった。「嫌でも整理整頓するようになりますね。ちょっと油断するとたいへんな状態になってしまいますから。」
自分は問題なく暮らせたけれど、万人にとって理想的な住まいではないだろう、とシャラートさんは言う。独身で、仕事の道具をすべてすぐ近くのオフィスに置いていたこともあり、部屋をきれいに片付けておくのは容易だった。「嫌でも整理整頓するようになりますね。ちょっと油断するとたいへんな状態になってしまいますから。」
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