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機能的な26㎡。忙しいパリジャンが平日を過ごすセカンドハウス
機能満載、躍動感のあるフレキシブルなレイアウトで狭さを克服しました。
Agnès Carpentier
2018年11月6日
フランスでは、平日にパリで仕事をし、週末には郊外で家族と過ごす人が増えています。 ホテルや友人の家のソファで過ごす日々が多すぎるなら、セカンドハウスに投資するほうが理にかなっているからです。こちらのワンルームアパートメントは、パリのモントルグイユという賑やかな地区にある18世紀の建物。パリに住む若い男性のセカンドハウスとして設計されました。
この物件は劣化していたものの、明るく、静かでした。オーナーの男性は、Houzzで見つけたAtelier Daaaにこのアパートメントのリノベーションを依頼。3か月後、部屋は見違えるようになりました。
この物件は劣化していたものの、明るく、静かでした。オーナーの男性は、Houzzで見つけたAtelier Daaaにこのアパートメントのリノベーションを依頼。3か月後、部屋は見違えるようになりました。
「アフター」の写真:Bertrand Fompeyrine
どんなHouzz?
住まい手:平日、仕事のため家族と離れて生活をしている若い男性
所在地:パリのモントルグイユ地区
規模:26㎡(280平方フィート)
設計:リシャール・ギルボー、ジュリアン・アンサルゲ、ピエール・プティ(Atelier Daaa)
一般的に、小スペースのデザインは、1cmでも無駄なく使わなくてはいけないため、最適化するのは簡単ではありません。「スペースはかなり限られていましたが、広めのアパートメントと同じ機能、つまりベッドルーム、リビングルーム、キッチン、バスルームおよびオフィスをデザインに組みこむのが私たちの仕事でした。同時に、空間が開放的に感じられるようにする必要もありました」と、インテリアデザイナーのリシャール・ギルボー氏は言います。
どんなHouzz?
住まい手:平日、仕事のため家族と離れて生活をしている若い男性
所在地:パリのモントルグイユ地区
規模:26㎡(280平方フィート)
設計:リシャール・ギルボー、ジュリアン・アンサルゲ、ピエール・プティ(Atelier Daaa)
一般的に、小スペースのデザインは、1cmでも無駄なく使わなくてはいけないため、最適化するのは簡単ではありません。「スペースはかなり限られていましたが、広めのアパートメントと同じ機能、つまりベッドルーム、リビングルーム、キッチン、バスルームおよびオフィスをデザインに組みこむのが私たちの仕事でした。同時に、空間が開放的に感じられるようにする必要もありました」と、インテリアデザイナーのリシャール・ギルボー氏は言います。
ビフォー:このアパートメントにはもともと、オーナーの趣味ではなかった白黒の床と黄色い壁の、閉鎖的なキッチンがありました。
デザイナーはそれを開放し、フレキシブルで機能的なレイアウトを作り出しました。
「ナイフを1本使うと他のツールが使えなくなるスイスアーミーナイフのようなデザインは作りたくありませんでした。私たちは、小さい空間ながらも散らかって見えることのない、全ての機能が共存する空間を作りたかったのです。本当に難題でした」とギルボー氏。
デザイナーはそれを開放し、フレキシブルで機能的なレイアウトを作り出しました。
「ナイフを1本使うと他のツールが使えなくなるスイスアーミーナイフのようなデザインは作りたくありませんでした。私たちは、小さい空間ながらも散らかって見えることのない、全ての機能が共存する空間を作りたかったのです。本当に難題でした」とギルボー氏。
ビフォー:最適なレイアウト計画を検討するために数カ月が必要だったのに加えて、2つの要因がコストを約1100万円に押し上げました。
第一に、この物件には数々の嫌なサプライズが潜んでいました。
「この18世紀の木造建築物は沈下が進んでいて、床の片側から反対側まで約200㎜の高低差がありました。」とギルボー氏は言います。 そこで、「[モルタル層]とデッキプレートを敷いて、床を水平にし直さなければなりませんでした」
さらに、窓を大工が作った[複層ガラス]の木製のものに取り換え、温風機をThermor製の電動のものに交換し、全く存在していなかった排水設備を新設しました。
第二に、デザインにこだわりがあるオーナーは、オーク無垢材の床、セメントタイル張りのキッチン、バーチ合板の造作家具など、高級な仕上げ材を選びました。
第一に、この物件には数々の嫌なサプライズが潜んでいました。
「この18世紀の木造建築物は沈下が進んでいて、床の片側から反対側まで約200㎜の高低差がありました。」とギルボー氏は言います。 そこで、「[モルタル層]とデッキプレートを敷いて、床を水平にし直さなければなりませんでした」
さらに、窓を大工が作った[複層ガラス]の木製のものに取り換え、温風機をThermor製の電動のものに交換し、全く存在していなかった排水設備を新設しました。
第二に、デザインにこだわりがあるオーナーは、オーク無垢材の床、セメントタイル張りのキッチン、バーチ合板の造作家具など、高級な仕上げ材を選びました。
アフター: アパートメントへの入り口は、キッチンのすぐ左側にあります。 小さなリビングルームは柔らかく明るい光に満ちています。
壁と床は、白塗装と淡い木から成る北欧風の組み合わせで仕上げられています。 黒のディテールと幾何学的パターンが、淡色の素材とのコントラストを引き立たせ、空間へグラフィカルな感覚を与えます。
壁と床は、白塗装と淡い木から成る北欧風の組み合わせで仕上げられています。 黒のディテールと幾何学的パターンが、淡色の素材とのコントラストを引き立たせ、空間へグラフィカルな感覚を与えます。
迷路柄のセメントタイルは、エントランス、キッチン、バスルームを装飾しています。
リビングエリアの目玉は、リビングエリアと寝室エリアを部分的に仕切るこのバーチ合板のパネルです。
このパネルは、吊り天井のトラックに沿ってスライドし、空間を3通りに変えることができます。
リビングエリアの目玉は、リビングエリアと寝室エリアを部分的に仕切るこのバーチ合板のパネルです。
このパネルは、吊り天井のトラックに沿ってスライドし、空間を3通りに変えることができます。
第一に、洗濯機と温水器が納まっている木製有孔ボードの格納スペースを覆い隠すことができます。
第二に、ヘッドボード付近に位置するベッドルームへの通り道を塞ぎ、第三に、本棚兼テレビ台を隠すことができます。
「この可動間仕切には、技術的な機能はありません。ただ、動きを与えることで空間が生きてきます」とギルボー氏は言います。「このような狭小空間の住人には、空間の見え方の選択肢を与えることが大切です。それが、単調さを抑えてくれます」
「この可動間仕切には、技術的な機能はありません。ただ、動きを与えることで空間が生きてきます」とギルボー氏は言います。「このような狭小空間の住人には、空間の見え方の選択肢を与えることが大切です。それが、単調さを抑えてくれます」
この間仕切壁は、その他の造作と同じように、つや消しクリア仕上げのバーチ合板からできています。
Atelier Daaaのデザイナーは、この素材の北欧風のスタイルと綺麗なカットのため、ラミネート材と違って追加の仕上加工の必要がないところが気に入っています。
このパネルは重いのですが、天井に固定されたHawa製のトラックのおかげでスムーズにスライドします。
Atelier Daaaのデザイナーは、この素材の北欧風のスタイルと綺麗なカットのため、ラミネート材と違って追加の仕上加工の必要がないところが気に入っています。
このパネルは重いのですが、天井に固定されたHawa製のトラックのおかげでスムーズにスライドします。
本棚兼薄型テレビ台は、大変詳細に計画されました。その上部の奥行きは200㎜程しかありません。下段の引出しには、ルーター、アンプ、ゲーム機などが納まっています。
「私たちは、引出しの前面には、洗濯機の格納スペースと同じデザインを採用しました。このパンチングのデザインには意匠的な目的と技術的な目的があります。一つは、熱を出す機器の熱逃げを可能にすることです。もう一つは、引出しを開けることなく、チャンネルを変えることを可能にすることです。」と、ギルボー氏は言います。
「私たちは、引出しの前面には、洗濯機の格納スペースと同じデザインを採用しました。このパンチングのデザインには意匠的な目的と技術的な目的があります。一つは、熱を出す機器の熱逃げを可能にすることです。もう一つは、引出しを開けることなく、チャンネルを変えることを可能にすることです。」と、ギルボー氏は言います。
本棚の上部には、空間を実際より広く見せるために開口部があります。
この、間仕切壁の後ろに、『スリーピング・ボックス』としてデザインされたベッドルームがあります。
「ベッドのまわりに動き回れるスペースはありませんが、このような床の間式のベッドルームは、普通のベッドルーム並みに快適です」と、ギルボー氏は言います。
オーナーは、洗濯機の格納スペースとテレビの間にある隙間からベッドルームに入れます。
「ベッドのまわりに動き回れるスペースはありませんが、このような床の間式のベッドルームは、普通のベッドルーム並みに快適です」と、ギルボー氏は言います。
オーナーは、洗濯機の格納スペースとテレビの間にある隙間からベッドルームに入れます。
もしくは、ベッドの足側からベッドに入ることもできます。また、このベッドの端部は、外壁に沿って取り付けられたデスクを使うときの腰掛けとしても機能します。オーナーは、窓に向かって外の木々を眺めながら仕事ができます。
「注文設計の間取りの最大の利点は、別々の空間を連動させることが可能になることです」と、ギルボー氏は言います。上手に選ばれた仕上げ材は、空間を統合します。「玄関のタイルがバスルームに流れ込むことで統一感をもたらすように、バーチ材の家具はリビングスペースと寝室を一つにします」と、彼は付け加えます。
「注文設計の間取りの最大の利点は、別々の空間を連動させることが可能になることです」と、ギルボー氏は言います。上手に選ばれた仕上げ材は、空間を統合します。「玄関のタイルがバスルームに流れ込むことで統一感をもたらすように、バーチ材の家具はリビングスペースと寝室を一つにします」と、彼は付け加えます。
ダブルベッドは、空間に違いをもたらすだけでなく、収納スペースにもなる小上がりの上に置かれています。「これは、このアパートメントの二つ目のフレキシブルな要素ですが、私たちはその多機能性が一つの機能をつぶして他の機能をいかすようなものにならないように工夫しました」と、ギルボー氏は言います。
大工によって140㎜×190㎜のフレームとスノコは、高さ500㎜の小上がりの上に組み込まれました。この機構を持ち上げると、その下にはオーナーがスーツケースを保管できる広い収納スペースがあります。
大工によって140㎜×190㎜のフレームとスノコは、高さ500㎜の小上がりの上に組み込まれました。この機構を持ち上げると、その下にはオーナーがスーツケースを保管できる広い収納スペースがあります。
ベッド頭部のニッチは、小物おきとして機能します。 そこには、ベッドルームとリビングスペース用の照明スイッチがあります。また、オーナーがポータブルデバイスを充電できるよう、いくつかの電源コンセントもあります。
洗濯機の格納スペースの延長としてデザインされたこのニッチは、奥行きが600㎜で、内部に照明を備えています。
LEDのストリップライトが造作のフィラープレートの裏に取り付けられていて、あたりが暗くなった時、美しい雰囲気を作り出します。
LEDのストリップライトが造作のフィラープレートの裏に取り付けられていて、あたりが暗くなった時、美しい雰囲気を作り出します。
オフィス棚は、リビングスペースの端まで伸びています。
「この棚は、リビングルームを長く感じさせ、空間を再構成するだけでなく、収納スペースを加えるのも役に立ちました」と、ギルボー氏は言います。
「この棚は、リビングルームを長く感じさせ、空間を再構成するだけでなく、収納スペースを加えるのも役に立ちました」と、ギルボー氏は言います。
建物の裏のファサードに少し角度がついているため、この棚はリビングスペース側よりオフィス側の方が奥行きがあります。この棚のおかげで、部屋がより長方形に感じられます。
リビングルームを解放することで、天井まで届く、幅2,000㎜のカスタムキッチン棚を設けるスペースができました。
軽量なイメージを与えるため、扉に金物は付いていません。下段のキャビネットはバーチ材で、天板には人工大理石が使われました。上段のキャビネットは、MDF合板を淡いグレイ色のラッカーで仕上げました。
上部キャビネット塗装材:San Miguel, Ressource
軽量なイメージを与えるため、扉に金物は付いていません。下段のキャビネットはバーチ材で、天板には人工大理石が使われました。上段のキャビネットは、MDF合板を淡いグレイ色のラッカーで仕上げました。
上部キャビネット塗装材:San Miguel, Ressource
キッチンには食洗機はないですが、コンベクション機能付き電子レンジ、IHクッキングヒーター、小型冷蔵庫に加えて、たっぷりの収納スペースがあります。
このアパートメント全体がそうであるように、照明は入念に計画されています。
「キッチン全体は、今風の天井照明3灯で照れされていて、[カウンタートップ]はLEDのストリップライトで照らされています。また、[レンジ]フードの中にも照明器具があります。」と、ギルボー氏は言います。
照明器具: SLV
このアパートメント全体がそうであるように、照明は入念に計画されています。
「キッチン全体は、今風の天井照明3灯で照れされていて、[カウンタートップ]はLEDのストリップライトで照らされています。また、[レンジ]フードの中にも照明器具があります。」と、ギルボー氏は言います。
照明器具: SLV
グラフィカルな床と壁のタイルは、空間に躍動感を与えてくれます。迷路柄のタイルは、スエーデンのブランドMarrakech Designのものです。
デザイナーはキッチンの壁の前に丸テーブルをおきました。
バスルームの広さは1,800㎜×1,400㎜で、800㎜×1,300㎜のシャワー、トイレ、洗面台が付いており、効率的に計画されています。
この家のデザインで偶然できたものは何一つありません。ツヤのあるシャワーベースには明るい雰囲気があり、対照的な白黒の金物は北欧風のテイストを付け加えています。
細目地タイプの壁面磁器タイル: Revigres
バスルーム金物:Zucchetti
細目地タイプの壁面磁器タイル: Revigres
バスルーム金物:Zucchetti
元々、給排水設備が無かったため、バスルームの設置は技術的に難しいものでした。
デザイナーたちは、シャワールーム内の棚として利用できるボックスの中にポンプを隠蔽することで、この問題を賢く解決しました。
デザイナーたちは、シャワールーム内の棚として利用できるボックスの中にポンプを隠蔽することで、この問題を賢く解決しました。
このボックスは、陶器のシンクが付いた、スペース効率の良い樹脂製の造作洗面台と並んでいます。
「一体化させることによって技術的要素を見えなくさせるのが私たちの仕事でした。そういうことは、使命の一つだと思っています」と、ギルボー氏は言います。
atelier daaa作。
「一体化させることによって技術的要素を見えなくさせるのが私たちの仕事でした。そういうことは、使命の一つだと思っています」と、ギルボー氏は言います。
atelier daaa作。
Atelier Daaaのおかげで、オーナーは、心地良さと機能性を兼ね備え、グラフィカルなタッチの空間に生まれ変わったワンルームアパートメントを手に入れました。彼は、それにかかった費用を払った甲斐があったと思っています。なぜなら、このアパートメントでの快適な生活が、平日家族と離れて過ごしていることを、いくらか耐えやすくしてくれるからです。
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