ピロティを住宅に取り入れるには
1階が柱だけの構造になっているピロティのメリット・デメリットを理解して、住宅づくりの参考にしてみましょう。
杉田真理子
2019年1月18日
ピロティという建築様式をご存知ですか?2階建以上の建築で、1階部分に壁がなく、柱のみで外部に開かれた空間になっているデザインを指します。この記事では、住宅のデザインにピロティを取り入れるメリット・デメリットと、参考になるデザインをHouzzの事例からご紹介します。
ピロティとは
ピロティの始まりは、フランスで活躍した建築家ル・コルビュジエが、1931年にパリ郊外に建てた住宅に遡ります。その後ル・コルビュジェは、ピロティを近代建築の5つのルールの1つとして提唱しました。
ピロティは構造上、耐力壁や方立壁などの量が、上階と比較して非常に少なくデザインされています。「建築を地面から切り離す」という意匠的な目的の他に、1階に開けた空間ができる実用的な構造上の判断でもあります。
ピロティの始まりは、フランスで活躍した建築家ル・コルビュジエが、1931年にパリ郊外に建てた住宅に遡ります。その後ル・コルビュジェは、ピロティを近代建築の5つのルールの1つとして提唱しました。
ピロティは構造上、耐力壁や方立壁などの量が、上階と比較して非常に少なくデザインされています。「建築を地面から切り離す」という意匠的な目的の他に、1階に開けた空間ができる実用的な構造上の判断でもあります。
1階部分が柱のみの外構構造になっているピロティを採用した建築物は、まるで浮いているような印象を与えます。そこには、地面からの建築物の解放を唱えたル・コルビュジェの思想が反映されています。
主にヨーロッパを起点として世界中に広まったピロティ様式ですが、コルビュジェのデザインは日本の建築家にも多大な影響を及ぼしました。現在では日本の近代建築でも積極的に取り入れられています。
ピロティを住宅デザインに取り入れる様々なメリットをみてみましょう。
主にヨーロッパを起点として世界中に広まったピロティ様式ですが、コルビュジェのデザインは日本の建築家にも多大な影響を及ぼしました。現在では日本の近代建築でも積極的に取り入れられています。
ピロティを住宅デザインに取り入れる様々なメリットをみてみましょう。
1. 面積算定に組み込まずに済む
ピロティは、建築基準法において大きなメリットがあります。住宅や室内型ガレージの面積は、その土地に定められた容積率に左右されます。容積率は敷地の面積に対する延床面積の割合を差しますが、この容積率算定にピロティの面積が関係しないのです。そのため、容積率分を住居部分で使用することができ、広々とした居住スペースの確保に非常に有利です。特に土地が限られた都市部での住宅づくりで参考にしたいポイントです。
ピロティは、建築基準法において大きなメリットがあります。住宅や室内型ガレージの面積は、その土地に定められた容積率に左右されます。容積率は敷地の面積に対する延床面積の割合を差しますが、この容積率算定にピロティの面積が関係しないのです。そのため、容積率分を住居部分で使用することができ、広々とした居住スペースの確保に非常に有利です。特に土地が限られた都市部での住宅づくりで参考にしたいポイントです。
2. 圧迫感のないすっきりとした外観
メリットとして他に挙げられるのは、圧迫感のないすっきりとした外観です。建物の1階部分が大きく抜けていることで、建物が浮いているような軽やかな印象を与えます。建物の前に立つと、玄関や門扉などが広々とした屋外スペース内に設置されているので、生活感を感じさせない、すっきりとした印象づくりが可能です。
メリットとして他に挙げられるのは、圧迫感のないすっきりとした外観です。建物の1階部分が大きく抜けていることで、建物が浮いているような軽やかな印象を与えます。建物の前に立つと、玄関や門扉などが広々とした屋外スペース内に設置されているので、生活感を感じさせない、すっきりとした印象づくりが可能です。
3. プライバシーも確保
住居空間が2階以上に持ち上がったピロティ様式。人々の視線の高さである1階部分から離れていることで、外部からの目線が室内に入りにくいことも魅力のひとつです。窓を大きく設け、カーテンを開けたままにしても、プライバシーを担保することができます。
この事例では、床から天井までの広々とした窓に加え、壁を取り払って風通しが非常に良い空間を実現しています。開放感がありつつも、2階部分に住居が位置しているので、プライバシーを気にする必要がありません。
住居空間が2階以上に持ち上がったピロティ様式。人々の視線の高さである1階部分から離れていることで、外部からの目線が室内に入りにくいことも魅力のひとつです。窓を大きく設け、カーテンを開けたままにしても、プライバシーを担保することができます。
この事例では、床から天井までの広々とした窓に加え、壁を取り払って風通しが非常に良い空間を実現しています。開放感がありつつも、2階部分に住居が位置しているので、プライバシーを気にする必要がありません。
4. ピロティを駐車スペースや多目的スペースとして有効利用
ピロティ様式を採用した住宅では、1階の外構空間はさまざまな用途で使用できます。特に土地面積が非常に限られている都市部では、スペースを有効活用できることからピロティ様式が人気を集めています。1階部分を柱だけにすることで、ほぼ土地面積分を外構空間として利用し、その部分を駐車場などの用途に、住居空間を2階以上に持ち上げることができます。この事例では、ピロティを駐車場として上手く利用しています。それ以外にも、ガーデニングやBBQを楽しむスペースとして使用が可能です。
ピロティ様式を採用した住宅では、1階の外構空間はさまざまな用途で使用できます。特に土地面積が非常に限られている都市部では、スペースを有効活用できることからピロティ様式が人気を集めています。1階部分を柱だけにすることで、ほぼ土地面積分を外構空間として利用し、その部分を駐車場などの用途に、住居空間を2階以上に持ち上げることができます。この事例では、ピロティを駐車場として上手く利用しています。それ以外にも、ガーデニングやBBQを楽しむスペースとして使用が可能です。
5. 水害に強い
東日本大震災ではピロティを採用した住宅の多くが津波から残ったと言われています。住居部分が2階以上に持ち上がっていることから、台風、豪雨、洪水や高潮などによる住宅の浸水を防ぐことができるのです。
東日本大震災ではピロティを採用した住宅の多くが津波から残ったと言われています。住居部分が2階以上に持ち上がっていることから、台風、豪雨、洪水や高潮などによる住宅の浸水を防ぐことができるのです。
このように、ピロティは様々な面において、メリットがあるといえるでしょう。一方でデメリットとして、1階の面積が狭くなることや、常に階段を利用した出入りが必要になることなどが挙げられます。また、耐力壁が少ないピロティは、耐震性が低くなりがちなことも注意が必要です。しかし、設計段階から充分な対策を取っていれば、適切な耐震補強をすることで耐震性を持たせることができます。
こうしたメリット・デメリットを理解したうえで、ぜひピロティを住宅づくりのひとつの選択肢として検討してみてください。通常の住宅とは一風異なるデザインで、あなたのライフスタイルに合わせて様々な工夫が可能なピロティ。個性的な住宅づくりの参考にしてみてください。
こうしたメリット・デメリットを理解したうえで、ぜひピロティを住宅づくりのひとつの選択肢として検討してみてください。通常の住宅とは一風異なるデザインで、あなたのライフスタイルに合わせて様々な工夫が可能なピロティ。個性的な住宅づくりの参考にしてみてください。
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ピロティの美しい佇まいには興味がありますが、耐震性が不安です。
>東日本大震災ではピロティを採用した住宅の多くが津波から残ったと言われています。
とありますが、あれほどの巨大地震を受けても強度も全く問題なかった。…ということでしょうか。通常の家屋が倒壊しても?
現代の建築技術で耐震強度も申し分なく、ピロティを実現できるなら、湿気や泥棒よけにもなりそうで凄く魅力的ですね。