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建築家の両親から息子の代へ。受け継がれるインダストリアルなアパートメント
ロシアの著名なふたりの建築家が建てた自邸はインダストリアルなアパートメント。現在はその息子が新しい歴史を紡いでいます。
Евгения Назарова
2018年9月11日
家族で代々受け継がれてきたアパートメントと聞くと、クラシックなインテリアに彫り加工を施した家具、ヴィンテージのファブリックを想像するかもしれない。だが時代は変わってきている。今、超モダンなロフトを受け継ぐのは可能性に満ちているーーそれが、時代を先取りする建築家一家であればなおさらだ。
モスクワ市内の古い建物にある3フロアのアパートメント。つい昨日デザインされたばかりのように見えるが、内装を終えたのは20年近く前になる。以来、ほとんど変わっていない。ひと続きの広い空間、ストーン、金属、ガラスといった、スタイル上の主要な要素はそのままだ。
モスクワ市内の古い建物にある3フロアのアパートメント。つい昨日デザインされたばかりのように見えるが、内装を終えたのは20年近く前になる。以来、ほとんど変わっていない。ひと続きの広い空間、ストーン、金属、ガラスといった、スタイル上の主要な要素はそのままだ。
Photos by Olga Shangina
どんなHouzz?
所在地:ロシア、モスクワ
規模:350㎡
住まい手:イヴァン・サヴィンさん、タマラ・マメドヴァさん、息子のレオニードくん、飼い猫のストーカー。イヴァンさんは家族で3代目となる建築家。タマラさんは外務省外交アカデミーで修士号取得中
設計:アンドレイ・サヴィン、アレクサンドラ・パヴロヴァ(イヴァンさんの両親)
イヴァンさんの両親、アンドレイ・サヴィンさんとアレクサンドラ・パヴロヴァさんは、ロシアで名の知れた建築家だ。20年近く前に二人が内装を手がけたアパートメントは二人から息子イヴァンさんへのプレゼントだった。「当時アンドレイは、革命前にできたこの建物全体のリノベーションを請け負っていました。長い歴史の証人となった建物です」とイヴァンさんの妻、タマラさんは言う。
タマラさんが初めてこのアパートメントを訪れたのは12歳のときだった。「イヴァンの両親と私の両親は友人同士なのですが、子どものころ、イヴァンと私はお互い相手が嫌でたまりませんでした。でも、その後どうやら何かが変わったようです。多分、どんな争いもいつかは終わりがくるのかもしれませんね。結婚して息子が生まれてから、ここに住んで3年になります」とタマラさんは笑う。
どんなHouzz?
所在地:ロシア、モスクワ
規模:350㎡
住まい手:イヴァン・サヴィンさん、タマラ・マメドヴァさん、息子のレオニードくん、飼い猫のストーカー。イヴァンさんは家族で3代目となる建築家。タマラさんは外務省外交アカデミーで修士号取得中
設計:アンドレイ・サヴィン、アレクサンドラ・パヴロヴァ(イヴァンさんの両親)
イヴァンさんの両親、アンドレイ・サヴィンさんとアレクサンドラ・パヴロヴァさんは、ロシアで名の知れた建築家だ。20年近く前に二人が内装を手がけたアパートメントは二人から息子イヴァンさんへのプレゼントだった。「当時アンドレイは、革命前にできたこの建物全体のリノベーションを請け負っていました。長い歴史の証人となった建物です」とイヴァンさんの妻、タマラさんは言う。
タマラさんが初めてこのアパートメントを訪れたのは12歳のときだった。「イヴァンの両親と私の両親は友人同士なのですが、子どものころ、イヴァンと私はお互い相手が嫌でたまりませんでした。でも、その後どうやら何かが変わったようです。多分、どんな争いもいつかは終わりがくるのかもしれませんね。結婚して息子が生まれてから、ここに住んで3年になります」とタマラさんは笑う。
イヴァンさんの両親はゲストを招いてもてなすための部屋としてアパートメントをデザインした。そのため、下のフロアはひと続きになった共用エリアでにぎやかなゲストを迎えられるよう、十分なスペースを確保している。一方、ベッドルームやオフィスといった静かに過ごす空間は2階にある。
「この家では代々、常にホスピタリティが中心にありました。友人たち、友人の友人、そのほか、面白くて素敵な人たちが家に来てくれるのがうれしいんです。私とイヴァンも、これからもずっとこの精神を守っていきたいと思っています」
イヴァンさんは何年かここに一人で暮らしていた。結婚し、レオニードくんが生まれると、このモダンな空間に子どものおもちゃも完璧になじむことがわかった。「2、3年前の雰囲気は今とは違いました。家庭的な雰囲気、これから家族で暮らしていく家らしい空間を、元々のコンセプトを壊さずに、ひとつひとつ作りあげていかなくてはいけませんでした」とタマラさん。「内装はかなり冷たい感じで、昔からの意味でいう家族向けの空間ではありません。でも面白いもので、小さい子どもというのはすべてを変えてしまうんですね。冷たい印象のインテリアも、驚くほどあたたかくて柔らかな空間にできるんです」
「この家では代々、常にホスピタリティが中心にありました。友人たち、友人の友人、そのほか、面白くて素敵な人たちが家に来てくれるのがうれしいんです。私とイヴァンも、これからもずっとこの精神を守っていきたいと思っています」
イヴァンさんは何年かここに一人で暮らしていた。結婚し、レオニードくんが生まれると、このモダンな空間に子どものおもちゃも完璧になじむことがわかった。「2、3年前の雰囲気は今とは違いました。家庭的な雰囲気、これから家族で暮らしていく家らしい空間を、元々のコンセプトを壊さずに、ひとつひとつ作りあげていかなくてはいけませんでした」とタマラさん。「内装はかなり冷たい感じで、昔からの意味でいう家族向けの空間ではありません。でも面白いもので、小さい子どもというのはすべてを変えてしまうんですね。冷たい印象のインテリアも、驚くほどあたたかくて柔らかな空間にできるんです」
仕上げは、全体を通じてどれもイヴァンさんの両親が当時思い描いたインテリアの特徴を反映している。下の階はコンクリートと大理石の合わせ使い。幼いレオニードくんが遊ぶ場所をはじめ、大部分が床暖房で、壁面はトーンの違う白を複数つかってまとめた。窓がたくさんあるのであちこちから差す光が交差し、部屋にあふれる。
エントランス周辺とその収納ユニットは、家の中でも一番意外性のあるアーティスティックなオブジェかもしれない。正面扉と複数のクローゼット、バスルームへ通じるドア、ゲスト用寝室へ通じるドアが金属製でリビングを外の世界から切り離しているようにみえる。
正面に巨大な魚が端から端まで描かれている。この絵には哲学的な意味が秘められているとイヴァンさんは言う。「かつての巨匠たちの絵画では、魚はキリストを象徴していました。正面扉はちょうど魚の真ん中にあたります。そのため、家を出入りするすべての人をキリストが祝福してくれているような感じです。素材は金属ですが、意外なほどあたたかみがあってプラスチックに近い感覚です」。個性的なこの作品を手がけたのは、家族ぐるみの友人、ボリス・ベルスキーさん。
金属はイヴァンさんが好きな素材の一つ。ロシア全土でユニークな仕事を展開する自身の建築事務所〈ワーキンギャング〉でもよく取り入れる。イヴァンさんの仕事を誰よりも厳しい目で批評するのが、祖母のリーヤ・パヴロヴァさんだ。パヴロヴァさんは今も現役で、都市計画を志す熱意ある人々を相手に教えている。すぐれたセンスと直観は若いうちにしか教えられない、というのが信条だ。
正面に巨大な魚が端から端まで描かれている。この絵には哲学的な意味が秘められているとイヴァンさんは言う。「かつての巨匠たちの絵画では、魚はキリストを象徴していました。正面扉はちょうど魚の真ん中にあたります。そのため、家を出入りするすべての人をキリストが祝福してくれているような感じです。素材は金属ですが、意外なほどあたたかみがあってプラスチックに近い感覚です」。個性的なこの作品を手がけたのは、家族ぐるみの友人、ボリス・ベルスキーさん。
金属はイヴァンさんが好きな素材の一つ。ロシア全土でユニークな仕事を展開する自身の建築事務所〈ワーキンギャング〉でもよく取り入れる。イヴァンさんの仕事を誰よりも厳しい目で批評するのが、祖母のリーヤ・パヴロヴァさんだ。パヴロヴァさんは今も現役で、都市計画を志す熱意ある人々を相手に教えている。すぐれたセンスと直観は若いうちにしか教えられない、というのが信条だ。
写真:魚のファサードの中心部分。長方形のパネルの後ろにドアがいくつもあると気づくのは難しい。
魚の尾の脇にはもう一つのアートがある。イヴァンさんの父親の作品、アルミホイルでできた聖母と幼子イエス・キリストだ。
屋根に通じる3階以外、レオニードくんはどこでも自由に出入りできる。家のいたるところで子ども用の手軽に運べる家具が目に入る。レオニードくんが創造の世界にひたりたくなれば、いつでもどこへでも移動できる。
屋根に通じる3階以外、レオニードくんはどこでも自由に出入りできる。家のいたるところで子ども用の手軽に運べる家具が目に入る。レオニードくんが創造の世界にひたりたくなれば、いつでもどこへでも移動できる。
写真の子ども用チェアとスツール、お絵かき用のイーゼルにもなるテーブルは、ロシアの家具メーカー〈モーンク〉のもの。丈夫なバーチ材の合板とオークの化粧板で構成されている。
このセットを選んだ理由を、タマラさんはこう説明する。「まず、この家のモダンなインテリアになじむ子ども用家具はこれだけだったことですね。それから……どれもとにかく安全で、子どもがけがをするおそれがないことです」
このセットを選んだ理由を、タマラさんはこう説明する。「まず、この家のモダンなインテリアになじむ子ども用家具はこれだけだったことですね。それから……どれもとにかく安全で、子どもがけがをするおそれがないことです」
戦前のグランドピアノも自慢の品の一つ。鍵盤には骨板が使われているが、現在ではすたれてしまった手法だという。家族で付き合いのある友人から「ピアノにとってもここの方がいいだろうから」と譲り受けた。今は訪ねてきたゲストが弾いて楽しむほか、名の知れたミュージシャンを招いてホームコンサートを開く機会も多い。中でもロシアのピアニスト、リアド・ママドフさんは特にこのピアノを気に入っている。
ずらりと一面に並んだキッチンキャビネットはとても実用的。扉は半透明と白があり、中には調理道具から小型電化製品、キッチン設備までが収められている。アイランドキッチンにはステンレススチールの天板、ITを取り入れたスマートホームシステムの操作パネルを備える。
「ほかにもありますが、主に照明とブラインドをボタンで操作できます。息子はまだ『ママ』と『パパ』しか言えませんが、私たちよりもよくシステムをわかっていますよ」とタマラさん。
「ほかにもありますが、主に照明とブラインドをボタンで操作できます。息子はまだ『ママ』と『パパ』しか言えませんが、私たちよりもよくシステムをわかっていますよ」とタマラさん。
大きな暖炉は暖房設備の一つであるほか、家や家族の温かさを意味する大事なシンボルでもある。ロシアの文化では、一般的に暖炉はそうしたイメージがある。冬の終わりを告げ、春を迎える「マースレニツァ」と呼ばれる祭りで人形を燃やすならわしがあるが、そのときもこの暖炉を使うそう。
すりガラスの階段をのぼって2階へ。背景にはパノラマ窓を設け、小さな中庭とモスクワ中心地の環状道路が見える。広い廊下は主寝室、子ども部屋、オフィスへと続く。
「子どもが生まれてからもほとんど何も変えていません。ただ、安全性を考慮してバレーボール用のネットを取り付けました。インテリアの邪魔になりませんし、皮肉が効いた感じがあります」
「子どもが生まれてからもほとんど何も変えていません。ただ、安全性を考慮してバレーボール用のネットを取り付けました。インテリアの邪魔になりませんし、皮肉が効いた感じがあります」
2階のインテリアは木材をプラスして、よりぬくもりある空間に。主寝室のメインアイテムの一つが、床下に埋め込んだ円形バスタブ。シャワーとトイレはすりガラスの仕切り壁の向こうに隠れている一方、横に長い大理石の化粧台と洗面用シンクはベッドルームに設置。あまりの重量に、クレーンを使って窓から搬入したそう。
写真左に見える白いアート作品は、市内にあるルジニキ・スタジアムの建築模型。制作は建築家のレオニード・パヴロフさん、イヴァンさんの祖父にあたる。
「市内にある〈メガノム〉という建築事務所が祖父について論文をまとめました。最近、それがイタリアで出版されたんです。私たちもどんな形でもいいからできるだけ協力しようと、書類を集めたり模型を修復したりしました。それで、コレクションの一部がミュージアムや昔の文書を保存するアーカイブへ送られることになりました」とイヴァンさんは説明する。
写真左に見える白いアート作品は、市内にあるルジニキ・スタジアムの建築模型。制作は建築家のレオニード・パヴロフさん、イヴァンさんの祖父にあたる。
「市内にある〈メガノム〉という建築事務所が祖父について論文をまとめました。最近、それがイタリアで出版されたんです。私たちもどんな形でもいいからできるだけ協力しようと、書類を集めたり模型を修復したりしました。それで、コレクションの一部がミュージアムや昔の文書を保存するアーカイブへ送られることになりました」とイヴァンさんは説明する。
屋根に突き出す様に設けられたドーマー窓のカーテンは船の帆のよう。くつろげるフレンチバルコニーは、タマラさんにとって故郷のアゼルバイジャンを思わせる。「首都のバクーでは、どの家も同じようなバルコニーがついているんです。私にとって、モスクワの家のこのバルコニーは、窓とドアをいつも開け放っている南の町を少し感じさせてくれる場所です。赤の広場や中心地にあるほかの歴史的建造物の花火もよく見えて、同時にいくつも見えるときもあります。ベッドからでも見えるんですよ。花火が上から降り注いでくるみたいで、とても不思議な感覚になります」
冬には本物の暖炉で部屋をあたため、ロマンチックな雰囲気を演出する。寒いときは頻繁に暖炉を使う。薪は屋根裏に収納している。
冬には本物の暖炉で部屋をあたため、ロマンチックな雰囲気を演出する。寒いときは頻繁に暖炉を使う。薪は屋根裏に収納している。
イヴァンさんが子どものころ使っていた部屋は空いたままだが、近いうちにレオニードくんの部屋になる。今はまだ、親子3人で一緒の部屋に寝ている。ロシアでは乳幼児は親と同室で寝るのが一般的だ。
「インテリアはできる限り今のままにしておきたいと思っています。そうすることで、この部屋にはストーリーがあるんだと息子に知ってもらいたいので」とイヴァンさんは言う。「家族写真があって、父親である私の本や作品があって、兵士の絵が壁に並んでいて。かつてコレクションとしてまとめたものです。もちろん、息子が大きくなれば好みに合わせて変えていくでしょうが、自分が何を受け継いだのかを知っている必要があります。家族が紡いできた長い歴史に連なる一人なのですから」
羊の絵はアーティスト、アッバス・キャジモフさんの作品で、彼の特徴である「カーペットスタイル」と呼ばれる手法で描かれた。「アッバスは私たち家族の親しい友人です。この絵はレオニードが生まれた日に描き始めたもので、裏には息子への思いや願いがたくさん書き綴られているので余計に好きな作品です」とタマラさん。
「インテリアはできる限り今のままにしておきたいと思っています。そうすることで、この部屋にはストーリーがあるんだと息子に知ってもらいたいので」とイヴァンさんは言う。「家族写真があって、父親である私の本や作品があって、兵士の絵が壁に並んでいて。かつてコレクションとしてまとめたものです。もちろん、息子が大きくなれば好みに合わせて変えていくでしょうが、自分が何を受け継いだのかを知っている必要があります。家族が紡いできた長い歴史に連なる一人なのですから」
羊の絵はアーティスト、アッバス・キャジモフさんの作品で、彼の特徴である「カーペットスタイル」と呼ばれる手法で描かれた。「アッバスは私たち家族の親しい友人です。この絵はレオニードが生まれた日に描き始めたもので、裏には息子への思いや願いがたくさん書き綴られているので余計に好きな作品です」とタマラさん。
2階には居心地のよいオフィスもある。家族の歴史を伝える多数の本、写真、書類を集めたコレクションが収められている。
建築物としてのモスクワの教会や修道院の写真は、19世紀に撮ったもの。元はイヴァンさんの母親のコレクションで、もっとも古いものは1882年までさかのぼる。
建築物としてのモスクワの教会や修道院の写真は、19世紀に撮ったもの。元はイヴァンさんの母親のコレクションで、もっとも古いものは1882年までさかのぼる。
黒い額に入った大判の写真は、タマラさんの父親でアーティスト兼ディレクター、ラウフ・マメドヴァさんが撮った。かつて、友人のアンドレイさんとアレクサンドラさん、つまりイヴァンさんの両親に贈ったものだ。
「これは『窓台での戯れ』と題した連作の一部です」。タマラさんはそう言うと、次のように続けた。「全体をながめてみると、世界はうまく巡るものなんだな、と思います。ずっと昔、父がアンドレイとアレクサンドラと知り合って親交を結び、私はイヴァンの祖母のスタジオへ行ってデッサンを習っていました。そして今、みんなが一つの家族になっています」
「これは『窓台での戯れ』と題した連作の一部です」。タマラさんはそう言うと、次のように続けた。「全体をながめてみると、世界はうまく巡るものなんだな、と思います。ずっと昔、父がアンドレイとアレクサンドラと知り合って親交を結び、私はイヴァンの祖母のスタジオへ行ってデッサンを習っていました。そして今、みんなが一つの家族になっています」
3階は、冬でも緑が育つ室内ガーデンと、イヴァンさんの工房がある。この部屋はもともと主にざっと図面を描くときやスケッチするときに使われていたが、イヴァンさんの仕事に対する概念は違っていた。イヴァンさんはプロトタイプを作るのを好む。はんだ付けの装置など、危険をともなう道具類はすべてこの部屋に置いている。
「自分の手で仕事ができる夫というのはすばらしいものです。イヴァンは家でいろんなものを作ったり直したりしてきました」とタマラさん。「息子は工房に入ってはいけないことになっていますが、夫はそれでもときどき工房に連れて行くんです。宙に浮かぶオブジェを作って、息子に見せたりしています。息子はいつも大喜びです。父親と同じ道を歩むかもしれませんね」
「自分の手で仕事ができる夫というのはすばらしいものです。イヴァンは家でいろんなものを作ったり直したりしてきました」とタマラさん。「息子は工房に入ってはいけないことになっていますが、夫はそれでもときどき工房に連れて行くんです。宙に浮かぶオブジェを作って、息子に見せたりしています。息子はいつも大喜びです。父親と同じ道を歩むかもしれませんね」
室内ガーデンはイヴァンさんの両親が始めたが、常に変化しつづけている。枯れてしまった植物の代わりに、友人たちが持ってきてくれる花が新しく仲間に加わる。「夫は自分でパセリやバジル、ルッコラ、ニンジンを育てるんだと言っています。一般的に言って、誰だって健康的な生活をおくりたいものです」とタマラさんは笑う。
工房の外はオープンテラス。モスクワで典型的なタイプの、静かな中庭が見おろせる。ここで育てているのはやや大きめの植物だ。屋根の上は特に針葉樹がよく育つ。
夏はテラスで過ごすことが多い。来客があれば、肉や魚の燻製を作ってふるまう。そのために、イヴァンさんの会社〈ワーキンギャング〉でプロ仕様の燻製器を造り、テラスに置いている。
「モスクワ建築大学を卒業後、当然の流れとして建築事務所で仕事をし、将来についてある程度確かな見込みもありました」とイヴァンさんは振り返る。「でも、自分の道を進みたい、何か新しい、価値あるものを創造したいという思いはいつもありました。最先端の製品にも常に魅かれていました。それに最終的には、自分は今に至るまで代々続いてきた家族の一人でもあるんです。息子も私自身も、いつか先代たちのように、自分のしている仕事で同じくらいの成功を収めて立派な業績を残せればと思っています」
「モスクワ建築大学を卒業後、当然の流れとして建築事務所で仕事をし、将来についてある程度確かな見込みもありました」とイヴァンさんは振り返る。「でも、自分の道を進みたい、何か新しい、価値あるものを創造したいという思いはいつもありました。最先端の製品にも常に魅かれていました。それに最終的には、自分は今に至るまで代々続いてきた家族の一人でもあるんです。息子も私自身も、いつか先代たちのように、自分のしている仕事で同じくらいの成功を収めて立派な業績を残せればと思っています」
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