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湖を望む、緑あふれる建築家の自邸
周囲の環境の豊かさを存分に取り入れた琵琶湖を望む住まい。カーテンをかけずに過ごせる開放感的な空間には、暮らしを楽しむためのこだわりがいっぱいです。

杉田真理子
2019年4月8日
建設設計事務所を経て、独立のタイミングで、自身と家族のための家づくりをすることになった建築家、殿村明彦さん。夫妻が生まれ育った滋賀県の、琵琶湖を望める広々としたロケーションに建てられた、建築家の自邸らしいこだわりが詰め込まった住まいを訪ねた。
どんなHouzz?
住まい手:建築家の夫、スタイリスト/フォトグラファーの妻、3歳の娘、ご両親
所在地:滋賀県彦根市
敷地面積:406.933㎡ 123坪
建築面積:147.94㎡ 44.75坪
延床面積:235.199㎡ 71.146坪
構造:木造(長期優良住宅)
設計:殿村明彦(COLOR LABEL DESIGN OFFICE)
竣工時期:2015年10月
窓の多い3階建の住宅にはカーテンは一切使われていない。四方から自然光が入り込み、 風がよく通って心地よい 。
独立前、設計事務所で合計100件ちかくの住宅を手掛けてきた殿村さんは「南向きの住宅が良い」と思い込んでいるクライアントが多いことが、いつも気になっていたという。
「実際は、南向きに道路があるとプライベートの問題で窓を大きく開け放てないことが多くて。結局はカーテンで隠してしまうことも。だから、自分の家を建てるなら、北側道路で、カーテンをかけなくても良い開放的な空間にしようと決めました」と殿村さん。
住まい手:建築家の夫、スタイリスト/フォトグラファーの妻、3歳の娘、ご両親
所在地:滋賀県彦根市
敷地面積:406.933㎡ 123坪
建築面積:147.94㎡ 44.75坪
延床面積:235.199㎡ 71.146坪
構造:木造(長期優良住宅)
設計:殿村明彦(COLOR LABEL DESIGN OFFICE)
竣工時期:2015年10月
窓の多い3階建の住宅にはカーテンは一切使われていない。四方から自然光が入り込み、 風がよく通って心地よい 。
独立前、設計事務所で合計100件ちかくの住宅を手掛けてきた殿村さんは「南向きの住宅が良い」と思い込んでいるクライアントが多いことが、いつも気になっていたという。
「実際は、南向きに道路があるとプライベートの問題で窓を大きく開け放てないことが多くて。結局はカーテンで隠してしまうことも。だから、自分の家を建てるなら、北側道路で、カーテンをかけなくても良い開放的な空間にしようと決めました」と殿村さん。
3階建ての建物の1階は、雑貨ショップ兼、スタイリストでフォトグラファーのご夫人のフォトスタジオとなっている。旅行先などで気になったアイテムを調べ、厳選したものだけをセレクトして置いているという。お皿や置物、キッチン小物からドライフラワーまで、幅広い品揃えだ。ガラス張りのファサードが開放的で、ふらりと足を運びたくなる。
「住宅をつくるとき、建物そのものばかりに注意が行ってしまいがちですが、私は周囲の環境やライフスタイル全体を考慮した上で設計をすることを意識しています」と殿村さん。住宅の設計だけではなく、家具や観葉植物、アウトドアスペースや雑貨まで、トータルで提案するのだそうだ。「お客さんから、スリッパの色に到るまで相談が来ることもあります」と笑顔で話す殿村さんは、ライフスタイル全体をデザインすることを大切にしている。
雑貨ショップ内の什器は全て可動式となっており、フォトスタジオとして使用する際は、家具を移動させて空間を有効活用。「雑貨のセレクションのセンスを良くすることで、こんな生活をしたいな、という想像を膨らませてもらいたいと思っています」と殿村さん。
「住宅をつくるとき、建物そのものばかりに注意が行ってしまいがちですが、私は周囲の環境やライフスタイル全体を考慮した上で設計をすることを意識しています」と殿村さん。住宅の設計だけではなく、家具や観葉植物、アウトドアスペースや雑貨まで、トータルで提案するのだそうだ。「お客さんから、スリッパの色に到るまで相談が来ることもあります」と笑顔で話す殿村さんは、ライフスタイル全体をデザインすることを大切にしている。
雑貨ショップ内の什器は全て可動式となっており、フォトスタジオとして使用する際は、家具を移動させて空間を有効活用。「雑貨のセレクションのセンスを良くすることで、こんな生活をしたいな、という想像を膨らませてもらいたいと思っています」と殿村さん。
ショップを抜けると住居へと続く階段がある。奥にはフォトスタジオのためのチェンジングルームがあり、そのまま廊下を抜ければガレージに繋がっている。階段は、手すりが片面だけについているデザインで、すっきりと美しい。
階段を登ると、リビングダイニングが一体となった、広々とした空間が広がる。仕切りがなく、大きく設けられた四方の窓から暖かな自然光が注ぎ込む。南側の屋外には様々な種類の街路樹がしげり、北側には琵琶湖。大きな窓のおかげで、この眺望がすべて、リビングダイニングのインテリアの一部となっている。リビングには薪ストーブもあり、冬には火を囲みながら、家族の団欒を楽しめる。
広々としたリビングにふんだんに置かれた観葉植物も印象的だ。カスタムで作ったダイニングテーブル内に生けられたゴムの木は、友人の植物屋・外山達也氏に相談して入手したもの。美しくカーブを描きダイニングテーブルに影を作るゴムの木は圧巻の大きさで、まるで森の中にいるかのようだ。「植物の手入れは大変だと敬遠されますが、以外と手がかからない種も多いです。ゴムの木は、葉も落とさないし手入れが楽ですよ」と殿村さん。「クライアントや友人からも影響を受けながら、まずは自分の家で試す、冒険をしてみる、ということを大切にしています。楽しみながら暮らす、というのが一番ですね」
リビングには以前ベッドが置かれていたが、現在では3歳の娘さんが使う子供スペースに。「住宅は住みながら変化していくもの。ライフステージに合わせて、柔軟にレイアウトを変えています」(殿村さん)
広々としたリビングにふんだんに置かれた観葉植物も印象的だ。カスタムで作ったダイニングテーブル内に生けられたゴムの木は、友人の植物屋・外山達也氏に相談して入手したもの。美しくカーブを描きダイニングテーブルに影を作るゴムの木は圧巻の大きさで、まるで森の中にいるかのようだ。「植物の手入れは大変だと敬遠されますが、以外と手がかからない種も多いです。ゴムの木は、葉も落とさないし手入れが楽ですよ」と殿村さん。「クライアントや友人からも影響を受けながら、まずは自分の家で試す、冒険をしてみる、ということを大切にしています。楽しみながら暮らす、というのが一番ですね」
リビングには以前ベッドが置かれていたが、現在では3歳の娘さんが使う子供スペースに。「住宅は住みながら変化していくもの。ライフステージに合わせて、柔軟にレイアウトを変えています」(殿村さん)
緑の美しい南向きのウッドデッキは、大きく窓を開け放し、人を呼んでバーベキューをするのに抜群の場所だ。窓は、開けるとすべて壁にすっきりと収納される仕掛けとなっている。
最近は、キッチン横東側のバルコニーも改装したばかり。木目が柔らかく美しいレッドシダーを使用し、もうひとつ新しいウッドデッキをつくった。明るい色調の木材が、暖かな雰囲気を生み出している。道路に面していないためプライバシーがあり、車の騒音も気にならないという。
冬は焚き火を置き、それを囲む形で大人数が座ることができる。家の前には、大きな桜の木。外部の自然もが、インテリアの一部となっている。
最近は、キッチン横東側のバルコニーも改装したばかり。木目が柔らかく美しいレッドシダーを使用し、もうひとつ新しいウッドデッキをつくった。明るい色調の木材が、暖かな雰囲気を生み出している。道路に面していないためプライバシーがあり、車の騒音も気にならないという。
冬は焚き火を置き、それを囲む形で大人数が座ることができる。家の前には、大きな桜の木。外部の自然もが、インテリアの一部となっている。
リビングダイニングの中心となっているのは、大規模なアイランドキッチンだ。日本のアイランドキッチンは、シンクの横に調理器具をつけることが多いが、あえて海外と同様に両者を離してデザインしたという。食洗機やIHは、電磁波の少ないドイツ製の商品をセレクト。壁に取り付けられたフックに調理器具が整然と並べられ、生活感がなく美しい。
リビングダイニングは、レンタルスペースとしても地域コミュニティに開放されている。キッチン教室やフラダンスなど、アクテビティはさまざまだ。「オープンハウスだと、空間は見れても生活感が伝わらなかったり、使い勝手がわからなかったりしますよね。実際にレンタルして体験してみることで、こんな生活いいな、と思ってもらいたい」と殿村さんは話す。プライベートもあえて公開し、一緒に体験してもらうための仕掛けだ。
リビングから階段をあがると、ロフトスペースを活用した書斎が広がっている。ロフトといえど、天井が高く広々とした大空間。窓からは琵琶湖が覗ける贅沢なスペースで、広々とした屋上にもアクセス可能。今後は、屋上もウッドデッキにして気軽に楽しみたいと殿村さんは話す。
書斎には海外などで買い付けたお気に入りアイテムのコレクションが並べられ、建築や仕事関係の本も並ぶクリエイティブスペースとなっている。コレクションのひとつである鉄道模型の形に合わせて、窓際のテーブルもカスタムでデザインした。
書斎には海外などで買い付けたお気に入りアイテムのコレクションが並べられ、建築や仕事関係の本も並ぶクリエイティブスペースとなっている。コレクションのひとつである鉄道模型の形に合わせて、窓際のテーブルもカスタムでデザインした。
書斎からは、リビングダイニングを広々と見下ろせる。仕切りがないので、仕事をしていても家族の気配を感じることができる。ホームパーティーの際は、子供もロフトまで上がってきて下を見下ろすのが大人気なのだそう。
「家づくりの際、妻に一つだけつけられた注文は、『仕事部屋を作って、中に閉じ込もらないで欲しい』ということでした。仕事柄、家での作業が多いため書斎は必要でしたが、書斎にいても家族と繋がれるように、仕切りのない現在のデザインにしました。普段の設計やデザインは、ここで行なっています」
「家づくりの際、妻に一つだけつけられた注文は、『仕事部屋を作って、中に閉じ込もらないで欲しい』ということでした。仕事柄、家での作業が多いため書斎は必要でしたが、書斎にいても家族と繋がれるように、仕切りのない現在のデザインにしました。普段の設計やデザインは、ここで行なっています」
バスルームには、隣の家の位置や道路との兼ね合いを計算したうえで、プライバシーを確保しつつも窓をふんだんに取り入れた。「トイレやバスルームなどのコンパクトな空間だからこそ、窓がないと狭苦しくなってしまう。周囲の環境との兼ね合いをきちんと計算すれば、すりガラスにする必要もないんです」と殿村さん。
お風呂場には大きな開閉式の窓がついており、メインのウッドデッキからバスルームには直接出入りすることができる。子供のプール遊びなどに最適だ。
また、備え付けの出し入れ可能な物干し竿や、生活感のない大収納の棚、お風呂場と連動してパウダールームに電気がつく仕掛けなど、細かなデザインが、さすが建築家の自邸だ。
お風呂場には大きな開閉式の窓がついており、メインのウッドデッキからバスルームには直接出入りすることができる。子供のプール遊びなどに最適だ。
また、備え付けの出し入れ可能な物干し竿や、生活感のない大収納の棚、お風呂場と連動してパウダールームに電気がつく仕掛けなど、細かなデザインが、さすが建築家の自邸だ。
殿村さんのこだわりはガレージまで抜かりない。敷地内の道路には、海外のように白いレーンが2本引かれてあるのがポイント。最近はアウトドア用品にも興味があるそうで、ガレージスペースにはアウトドア用の家具が並べられていた。お気に入りのバイクや暖炉用の薪などがたっぷり収納でき、時にはDIYスペースとしても使用されるクリエイティブなガレージだ。
仕切りがなく、プライベートとパブリックが柔らかに繋がる緑に溢れる建築家の自邸。自分の家をショップやレンタルスペースとして、誰でも体験できるように開放することで「プライベートを切り売りしているような感じです」と笑って話す殿村さん。
常に人が集まり、建築家の成長や挑戦に合わせてアップグレードを続けていく住宅には「自分の家で冒険しながら、楽しんで暮らす」という、彼のモットーが息づいている。
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