手持ちの器と身近な小道具でしつらえる、お正月のテーブル
ご家庭にある塗りの器、白い器などにちょっとした小道具をプラスして、新年らしい華やかな食卓をつくってみましょう。
進藤由美子
2015年12月26日
Cooking Studio Y 主宰、料理研究家。美大卒業後、フードコーディネーター、テーブルコーディネーターとして食品メーカーのCM、商品開発などに携わり、料理撮影スタジオ経営を経て、2002年より教室を開設。日々の食卓に新しい彩りを添えるヒントやアイディアを、季節の創作料理と自由な発想のテーブルコーディネートで提供しています。
Cooking Studio Y 主宰、料理研究家。美大卒業後、フードコーディネーター、テーブルコーディネーターとして食品メーカーのCM、商品開発などに携わり、料理撮影スタジオ経営を経て、2002年より教室を開設... もっと見る
みなさんのご家庭では、お正月の食卓をどんなふうにしつらえますか? 伝統的なおせち料理をしっかり用意するかどうか、和食メインか和洋折衷かなど、召し上がるものなどによってもそれぞれに事情が違うと思いますが、やはりお正月の食卓は少し華やいだ、新年らしい工夫を楽しみたいもの。現代の生活に合わせた、家で迎えるお正月のテーブルを、あまりかしこまりすぎず、身近な小道具の組み合わせでどんなふうに素敵に楽しく演出できるか考えてみました。
家にあるものに少しだけ小道具をプラスすれば、ちょっとしゃれたお正月のおもてなしテーブルができます。今回は、揃えておくと便利な基本アイテムのお話と、これらでつくったテーブルの例を3種類、ご紹介したいと思います。
漆器
塗りの重箱をはじめとして、蓋つきの汁椀や屠蘇器、折敷など、黒や朱赤の漆器がテーブルにあると、やはり改まった気持ちになりますね。漆器はそれなりにお値段の張るものですが、大切に手入れをしながら使えば一生ものですし、たとえばご家庭に伝わる古い漆器などをお持ちなら、お正月にこそ箱から出して、しっかり活躍させるのは素晴らしいことだと思います。
塗りの重箱をはじめとして、蓋つきの汁椀や屠蘇器、折敷など、黒や朱赤の漆器がテーブルにあると、やはり改まった気持ちになりますね。漆器はそれなりにお値段の張るものですが、大切に手入れをしながら使えば一生ものですし、たとえばご家庭に伝わる古い漆器などをお持ちなら、お正月にこそ箱から出して、しっかり活躍させるのは素晴らしいことだと思います。
白い器
神様をお迎えする清浄な色とされる色でもある白。シンプルな白い器は、濃い色や柄のあるテーブルにちょっとした抜けをつくります。菊花型や八角形など縁起のよい形とされるもの以外に、丸皿や角皿ももちろん活躍。和食器にこだわる必要も特にありません。
神様をお迎えする清浄な色とされる色でもある白。シンプルな白い器は、濃い色や柄のあるテーブルにちょっとした抜けをつくります。菊花型や八角形など縁起のよい形とされるもの以外に、丸皿や角皿ももちろん活躍。和食器にこだわる必要も特にありません。
吉祥柄の器、骨董の器
富士山や松竹梅、桃、桜、鶴亀、扇、ふくら雀など、縁起のよい柄が描かれている和の器もぜひ使いたいですね。普段用には少し難しい華やかな色づかいの骨董の器なども、お正月のシーンにぴったりです。
富士山や松竹梅、桃、桜、鶴亀、扇、ふくら雀など、縁起のよい柄が描かれている和の器もぜひ使いたいですね。普段用には少し難しい華やかな色づかいの骨董の器なども、お正月のシーンにぴったりです。
懐紙、和紙、千代紙
文具店やデパートなどで見つけたときに手に入れておくといいのが、「紙もの」です。懐紙はもちろん、ロール状で売っている和紙もテーブルランナーになりますよ。それほど高いものでもないですし、お正月に限らず、和食でおもてなしをするときに気軽に使えるので、ぜひお気に入りの色や柄を探してみてください。
また、意外と便利なのが千代紙です。私は「いせ辰」さんの粋な千代紙が大好きで、長方形のものをマット代わりに使ったり、折り鶴を作って飾ったりしています。
文具店やデパートなどで見つけたときに手に入れておくといいのが、「紙もの」です。懐紙はもちろん、ロール状で売っている和紙もテーブルランナーになりますよ。それほど高いものでもないですし、お正月に限らず、和食でおもてなしをするときに気軽に使えるので、ぜひお気に入りの色や柄を探してみてください。
また、意外と便利なのが千代紙です。私は「いせ辰」さんの粋な千代紙が大好きで、長方形のものをマット代わりに使ったり、折り鶴を作って飾ったりしています。
折敷、利休箸
折敷などで一人ずつのお膳を整えて空間を区切ると、銘々の小さなお膳で食事していた昔の日本のスタイルを思わせ、現代のダイニングテーブルでの食事にもちょっとした伝統の香りが演出できます。半月型や正方形、長方形のリバーシブルタイプが便利に使えると思います。
両端が細くなっている杉のお箸、利休箸も祝い膳には欠かせませんね。お客様のときにも活躍するので、箱に入ったものを常備しておくのもよいと思います。
折敷などで一人ずつのお膳を整えて空間を区切ると、銘々の小さなお膳で食事していた昔の日本のスタイルを思わせ、現代のダイニングテーブルでの食事にもちょっとした伝統の香りが演出できます。半月型や正方形、長方形のリバーシブルタイプが便利に使えると思います。
両端が細くなっている杉のお箸、利休箸も祝い膳には欠かせませんね。お客様のときにも活躍するので、箱に入ったものを常備しておくのもよいと思います。
水引、葉らん、南天
和のおもてなしの際、ナプキンリング代わりに水引をあしらうと、日本の食卓らしい凛とした雰囲気が加わります。祝い膳には紅白が定番ですが、ほかにも金銀、ブルーなど持っていると器やリネンに合わせられて便利です。また、器に添える植物としておなじみの葉らんのほか、南天や千両、万両などがお庭にある方は、ちょっと摘んできて器に添えると季節感が出ますし、いずれも縁起ものですのでお正月向きですね。
和のおもてなしの際、ナプキンリング代わりに水引をあしらうと、日本の食卓らしい凛とした雰囲気が加わります。祝い膳には紅白が定番ですが、ほかにも金銀、ブルーなど持っていると器やリネンに合わせられて便利です。また、器に添える植物としておなじみの葉らんのほか、南天や千両、万両などがお庭にある方は、ちょっと摘んできて器に添えると季節感が出ますし、いずれも縁起ものですのでお正月向きですね。
飾り花
新春、迎春と呼ぶように、暦の上で春を迎えるのがお正月。お花を活けるならぜひ、水仙やチューリップなど、春の訪れを感じさせるものを選びましょう。お正月のお花だからといって、すべて和風にしなくても大丈夫。お気に入りの花に少し、松や南天、千両、万両などをプラスしてみるだけで、きっとうまくいきますよ。
さて、それでは今回は、こういったアイテムを使って、3種類のお正月のテーブルをつくってみましょう。
新春、迎春と呼ぶように、暦の上で春を迎えるのがお正月。お花を活けるならぜひ、水仙やチューリップなど、春の訪れを感じさせるものを選びましょう。お正月のお花だからといって、すべて和風にしなくても大丈夫。お気に入りの花に少し、松や南天、千両、万両などをプラスしてみるだけで、きっとうまくいきますよ。
さて、それでは今回は、こういったアイテムを使って、3種類のお正月のテーブルをつくってみましょう。
Type 1. 赤、白、黒でモダンなお正月
紅白の懐紙と水引でおめでたい雰囲気を演出したモダンなテーブルです。ここで使っている黒い輪島塗の折敷は、私が初めて買った本物の漆で、もう何十年も大切に使っているものです。普段は桐の箱に入れてしまわれていて、お正月だけ登場。どのご家庭にも、そんな新年用の器がいくつかあるのではないでしょうか?
紅白の懐紙と水引でおめでたい雰囲気を演出したモダンなテーブルです。ここで使っている黒い輪島塗の折敷は、私が初めて買った本物の漆で、もう何十年も大切に使っているものです。普段は桐の箱に入れてしまわれていて、お正月だけ登場。どのご家庭にも、そんな新年用の器がいくつかあるのではないでしょうか?
とはいえ、取り皿として組み合わせているのは普通の洋皿ですし、折敷の下に敷いたグレーのプレースマットも、ごくカジュアルなもの。その下にテーブルランナーのように敷いているのはなんと、障子紙です。
お花も気どらずに。シャンパングラスに、短めにした赤いチューリップを1輪ずつ活けました。
独楽の形の箸置きや鏡餅の形のガラスのオブジェなどは、食卓の話題にしてもらえるといいな、との思いを込めてしのばせています。お食事中、楽しい会話が弾むように……。
Type 2. 漆器と柄の器で伝統を意識したお正月
漆の屠蘇器と、お雑煮を入れた蓋つきの汁椀を中心に、お正月の朝、家族で囲む食卓をコーディネートしてみました。市松模様のマットは「いせ辰」の千代紙です。黒豆を入れたのはイギリスのアンティークのリキュールグラス。伝統にのっとった並べ方とは少し違うけれど、大切にしているもの、好きなものを集めた、少しだけ華やかでいてリラックスしたテーブルです。
漆の屠蘇器と、お雑煮を入れた蓋つきの汁椀を中心に、お正月の朝、家族で囲む食卓をコーディネートしてみました。市松模様のマットは「いせ辰」の千代紙です。黒豆を入れたのはイギリスのアンティークのリキュールグラス。伝統にのっとった並べ方とは少し違うけれど、大切にしているもの、好きなものを集めた、少しだけ華やかでいてリラックスしたテーブルです。
重箱にはおせち料理の中でも家族の好きな、食べたいものを中心に詰めるようになりました。お屠蘇で乾杯して、黒豆に田作り、数の子とお雑煮を食べ終わったら、大皿に盛りつけたお刺身や、なます風のサラダなどを食べるのが、わが家のいつものお正月です。
正方形の白木のお盆は、和にも洋にも使えて重宝。お懐紙を1枚敷いて、古伊万里のお皿をのせ、南天の葉をあしらいました。
Type 3. 折り紙や和紙を使って、軽やかなイメージのお正月
このテーブルが、いちばんカジュアルかもしれません。あえて黒や朱などの純和風の色合わせにせず、紅白と紺色でまとめたテーブルです。千代紙で折った大小の鶴と亀を、本来は花台として使われている長方形の白いプレートにのせて食卓の真ん中に。半月型の白い折敷は本漆で、裏は黒のリバーシブルです。真っ白なリネンを、白の水引で結びました。
このテーブルが、いちばんカジュアルかもしれません。あえて黒や朱などの純和風の色合わせにせず、紅白と紺色でまとめたテーブルです。千代紙で折った大小の鶴と亀を、本来は花台として使われている長方形の白いプレートにのせて食卓の真ん中に。半月型の白い折敷は本漆で、裏は黒のリバーシブルです。真っ白なリネンを、白の水引で結びました。
お料理は紅白なます風のサラダと、貝割れ菜の昆布締めを鯛の桜葉締めで巻いたもの。普段使いの濃紺の器を使っています。
6人分のおもてなしテーブルもこんな気軽なものなら、すぐに準備できてしまいますよ。
お正月が近づくと、日本人って多くの素敵な習慣を持ち続けているんだなと実感します。それは地方によっても違うでしょうし、年代によっても違うでしょう。でも、みんながそれぞれに持っている日本のよき伝統を、ぜひ守ってなくさないようにしたい、少しずつ変化していったとしても大切にしたいな、と思う年の暮れです。
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。
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世界の人誰もが美しいと感じると思います。
はじめまして。
ナプキンにご使用の紅白の水引き、とても素敵ですね。
ところで、以前から気になっていたのですが、紅白や金銀の水引きの使用は、陰陽が取り入れられていますので、赤や金が、向かって右側(心臓側)ではないでしょうか?
祝儀袋や、熨斗紙をご参考にしてくださると幸いです(着物の帯締めなども、赤や金は心臓側です。ご存知ない方が多いですが)。
突然に、失礼いたしました。
コメントありがとうございます。
水引のこと勉強不足でした!ご指摘ありがとうございました。