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「経年変化」を庭で楽しむ方法
木材に、レンガ、鉄……古いものや時間によって風合いが出るものを生かす庭づくりのすすめです。
舩村佳織
2018年1月5日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
庭づくりで気になるのが、経年劣化。室内とは違い、紫外線や風雨にさらされる屋外では、どんなものでも風合いが少しずつ変わってしまいます。これを「経年劣化」と思わずに、「経年変化」による味わいだと捉えてみませんか? 庭は、成長を続ける生き物である植物を材料としていることもあり、変化を受け入れてつくり上げていくものです。変わらないこと、いつまでもきれいであることよりも、表情を変えていく庭にワクワクを見つけてみましょう。エイジングを楽しむアイデアをご紹介します。
木材の変化
デッキやフェンスの材料として、木材は非常に人気があります。その反面、経年変化が激しく、メンテナンスや腐りを気にして木材を避ける方も多いものです。そのため、エクステリアメーカーは木の風合いを再現した樹脂等の資材を販売しています。腐りの心配がいらないのは大きなメリットですが、やはり本物の風合いにはかないません。色が抜けた木材は流木のような色合いで、植物とよくなじむナチュラルな雰囲気をつくり出します。
デッキやフェンスの材料として、木材は非常に人気があります。その反面、経年変化が激しく、メンテナンスや腐りを気にして木材を避ける方も多いものです。そのため、エクステリアメーカーは木の風合いを再現した樹脂等の資材を販売しています。腐りの心配がいらないのは大きなメリットですが、やはり本物の風合いにはかないません。色が抜けた木材は流木のような色合いで、植物とよくなじむナチュラルな雰囲気をつくり出します。
ウッドデッキの材料で人気なのは、熱帯から輸入される「アイアンウッド」と呼ばれる木材です。ウリン材やイペ材が代表的で、無着色でも鮮やかなブラウンをしています。
施工してすぐの茶色も美しいのですが、1年も経てば退色してシルバーグレーに変化していきます。これは色の成分が抜けただけで、腐りとは関係のない変化なので、心配はいりません。このシルバーグレーが古材の雰囲気を持ち、庭に風格が表れます。ささくれが出ることもありますが、やすりで削ることでスムーズな表面を維持することができます。
中古枕木
中古枕木も庭では人気の材料です。海外の線路で使われていたものでは、ユーカリの枕木が虫食いに非常に強く、腐りにくいと言われています。国産の中古枕木も出回っており、こちらでは栗材が強く長持ちします。ただし長持ちするとはいえ、いつかは交換する必要があります。
そのときは庭のリフォームのタイミングだと思ってはいかがでしょうか? 家族の年齢が上がるとともに、ライフスタイルも変わっていくものです。メンテナンスが必要な材料も、そういったきっかけとなってくれる存在と言えます。
中古枕木には穴やレールの跡が残っており、どんな時を過ごしてきたのだろうかと想像がふくらみます。それが独特の趣となり、庭で存在感を発揮します。
中古枕木も庭では人気の材料です。海外の線路で使われていたものでは、ユーカリの枕木が虫食いに非常に強く、腐りにくいと言われています。国産の中古枕木も出回っており、こちらでは栗材が強く長持ちします。ただし長持ちするとはいえ、いつかは交換する必要があります。
そのときは庭のリフォームのタイミングだと思ってはいかがでしょうか? 家族の年齢が上がるとともに、ライフスタイルも変わっていくものです。メンテナンスが必要な材料も、そういったきっかけとなってくれる存在と言えます。
中古枕木には穴やレールの跡が残っており、どんな時を過ごしてきたのだろうかと想像がふくらみます。それが独特の趣となり、庭で存在感を発揮します。
レンガ・石の再利用
解体されてまた新しい現場で生まれ変わる材料には、時のロマンを感じさせる趣があります。欠けがあったり、モルタルがついていたりするレンガや、道の舗装に使われ、長年の摩擦でつるつるになった石は、人工的な加工では決して出せない歴史を感じさせます。
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和風の庭では、石臼をポイントに使うことも。古いお宅では、柱の土台となっていた石が解体時に出ることがあり、そういったものを庭で再利用することもあります。石は業者で処分しようとすると、高い処分費が必要となることもありますが、再利用することで処分費の節約にもなります。
古材に興味がある場合、建て替えの際にはこうした材料を見逃さないように、じっくりと打ち合わせをしましょう。古材を使った工事は図面に正確に落とし込むことが難しいため、どんな庭ができるかは庭師の腕次第。信頼できる庭師さんを見つけて、オリジナルの庭をつくりましょう。
古材に興味がある場合、建て替えの際にはこうした材料を見逃さないように、じっくりと打ち合わせをしましょう。古材を使った工事は図面に正確に落とし込むことが難しいため、どんな庭ができるかは庭師の腕次第。信頼できる庭師さんを見つけて、オリジナルの庭をつくりましょう。
こちらは、ヨーロッパの街で実際に石畳として使われていた石を再利用したアプローチです。石の形は不均一で凹凸もあります。硬い石質で、不均一なおもしろさがありながら、上品さも持ち合わせています。ヨーロッパで使われていたものですが、和にも洋にも合うオールマイティーな材料です。
鉄(アイアン)
サビは時間を感じさせる奥深い存在です。薄い鉄でできたパイプでは、サビが原因で折れてしまうこともありますが、厚みのあるしっかりとしたロートアイアンでは、サビは極表面のみの変化なので、腐食とは別物と考えてよいでしょう。サビながらも堂々とした姿は、ステンレスやアルミにはない重厚感を持ちます。
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「コールテン鋼」と呼ばれる特殊な鉄は、建築でも人気のある素材です。鉄の表面にわざと緻密なサビを発生させ、それを保護被膜としています。そのため内部の鉄はサビることなく、メンテナンスをせずとも長持ちします。この表面のサビは、最初は赤っぽい色をしてますが、徐々に暗い色へと変化していきます。その変化を楽しめるのも魅力のひとつです。
サビの風合いは意外にも、植物と相性抜群。ドライな印象の植物やグラスはもちろん、華やかな花もマッチします。ジャンクな雰囲気のある、個性的な庭を楽しみましょう。
アンティーク
植物とアンティークを組み合わせれば、素敵な世界をつくり出すことができます。飾りとして、アンティークのはしごや園芸道具を庭にディスプレイすると、アイキャッチとして庭に景色が生まれます。
植物とアンティークを組み合わせれば、素敵な世界をつくり出すことができます。飾りとして、アンティークのはしごや園芸道具を庭にディスプレイすると、アイキャッチとして庭に景色が生まれます。
アンティークの扉を実際に利用してもよいでしょう。遠い昔にタイムスリップしたような、不思議な世界に続くような、特別な空間を演出してくれるはずです。
古いものには、古いものしか持たない味わいがあります。特に庭は古いものがいちばん生き生きとする場所でもあります。魅力のある古いものを見つけて再利用したり、時間が経つことで風合いの出る本物を選んだりすることで、庭づくりはもっと楽しくなるはずです。
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