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「コト」から始める家づくり:愛でる、育む、支え合う
ブルースタジオ石井健による連載第11回。今回は「動植物との暮らしと共生」について考えます。
Takeshi Ishii
2018年1月18日
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの黎明期から1000件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの黎明期から1000件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。... もっと見る
私たちの生活には、人との共生のほかに、動物や自然との共生も当然あります。動植物と共生するために、家ではどのような工夫ができるのでしょうか? 今回は、「動植物との暮らしと共生」について考えていきましょう。
犬のいる生活
犬を飼っている家庭に赤ちゃんが生まれたとき、その犬は赤ちゃんの様子をそばで見守る、いわゆるきょうだいのような存在になります。子は成長とともに身体の大きさや重さで犬を追い越し、一緒に遊べる友人となり、そして最も多感な年頃を迎える頃に看取ることになります。こうして人は、動物の一生を間近に見ることで「死」に対する恐れや悲しみ、生前の思い出の尊さを知るのです。そのときに人は、人以外の生き物と “共に生きる” 意味をいちばん考えさせられるのではないでしょうか。
犬を飼っている家庭に赤ちゃんが生まれたとき、その犬は赤ちゃんの様子をそばで見守る、いわゆるきょうだいのような存在になります。子は成長とともに身体の大きさや重さで犬を追い越し、一緒に遊べる友人となり、そして最も多感な年頃を迎える頃に看取ることになります。こうして人は、動物の一生を間近に見ることで「死」に対する恐れや悲しみ、生前の思い出の尊さを知るのです。そのときに人は、人以外の生き物と “共に生きる” 意味をいちばん考えさせられるのではないでしょうか。
一緒に暮らしていくなかで、果たして自分は、犬の習性に合った環境をこの子(愛犬)に提供できているのか、と考えることはありますか? もしかしたら犬は「ドッグハウスやコーナーではなく、自分の部屋が欲しい!」と思っているかもしれません。
この家では、ケージや犬小屋ではなく、屋内にドッグランのような広々とした開放的な部屋をつくりました。一家族として迎え入れられた犬は、さぞかし幸せに感じているでしょう。
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猫のための入り口
どの生き物でもそうだと思うのですが、仲良く共生するためにはルールを決めること、すなわちしつけが大切です。たとえば猫にとっては、トイレの位置が重要。この事例では、動線を用意して習慣づけてあげたいと考え、トイレへ自由に出入りするための通り道となる「穴」を用意しています。『トム&ジェリー』の影響からか、こうした穴はネズミとの追いかけっこを連想させますね。
どの生き物でもそうだと思うのですが、仲良く共生するためにはルールを決めること、すなわちしつけが大切です。たとえば猫にとっては、トイレの位置が重要。この事例では、動線を用意して習慣づけてあげたいと考え、トイレへ自由に出入りするための通り道となる「穴」を用意しています。『トム&ジェリー』の影響からか、こうした穴はネズミとの追いかけっこを連想させますね。
また、建築上の工夫としては、水槽用に蛇口を取り付け、それを猫の水飲み場にも利用。さらに猫のためのアスレチックをつくらず、飼い主が自分で用意できるようにしています。
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馬を家で飼う!?
アメリカでは、ペットは犬猫に続いて馬が人気です。しかしどんなに望んでも、日本の狭い家では飼えないのが実情でしょう。こちらはアウトドアリビングの隣に堂々と馬がいるので驚きです。あまりにも馴染みすぎていて、一瞬見つけられなかったのではないでしょうか。
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鑑賞にもインテリアにも優れた水槽
最近では高性能なタイプが数多く販売されている「水槽」。熱帯魚人気もさることながら、美しい水草は、写真集が出るほどの人気です。しかし、ちゃんとインテリアに馴染むものという点では、水槽の存在が強すぎて、マッチしているとはなかなか言い難いのです。
こちらは埋め込まれた水槽が、鑑賞のしやすさと美しいインテリアの両方を叶えた例。ちょっとしたベンチを設置して水槽を眺めながら(サイドに円形の窓がついています)、くつろげるスペースを併設しています。
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鳥を呼び寄せるために
動物の住処とインテリアの融合という観点でおすすめすると、鳥籠はいかがでしょうか。インテリアとしても人気の高いアイテムです。グリーンやオリエンタルなインテリアとの相性がよいのも人気の理由です。
動物の住処とインテリアの融合という観点でおすすめすると、鳥籠はいかがでしょうか。インテリアとしても人気の高いアイテムです。グリーンやオリエンタルなインテリアとの相性がよいのも人気の理由です。
鳥籠のように「閉じ込める」のではなく、もっと自然の中で鳥と共生する方法を考えてみましょう。こちらは、自分の庭に鳥小屋(バードハウス)を置いて、鳥を呼び寄せいています。ひと昔前にはよく庭の木に鳥が遊びに来るということもあったかと思いますが、現在はなかなか見ることができません。
例外と言っていいのが “ツバメ” でしょうか。呼び寄せるというよりも、気づけば軒下に巣をつくっているという感覚です。巣にいるツバメや雛を捕獲・殺傷したり、卵を採取・損傷したりすることは、鳥獣保護法で禁止されているので、住居にツバメが巣をつくっていたら、幸せの象徴として飛び立つまでそっと見守らなければならないのです。
例外と言っていいのが “ツバメ” でしょうか。呼び寄せるというよりも、気づけば軒下に巣をつくっているという感覚です。巣にいるツバメや雛を捕獲・殺傷したり、卵を採取・損傷したりすることは、鳥獣保護法で禁止されているので、住居にツバメが巣をつくっていたら、幸せの象徴として飛び立つまでそっと見守らなければならないのです。
虫の巣だってデザインできる
「呼び寄せる」ということで言うと、ハチをはじめとする虫もそうです。一見、ウォールアートのように見えますが、実は虫を呼び寄せるための人工の巣です。都会でも自然と生命の息吹を感じられる面白い試みです。
「呼び寄せる」ということで言うと、ハチをはじめとする虫もそうです。一見、ウォールアートのように見えますが、実は虫を呼び寄せるための人工の巣です。都会でも自然と生命の息吹を感じられる面白い試みです。
養蜂を仕事にしている人もいますが、個人が自宅の庭や屋上などで飼うように、趣味で行なっている人も多いでしょう。いずれにしても、自治体の家畜保健衛生所への届出が必要となります(蜜蜂飼育届)。
趣味としての養蜂は、蜂蜜を採るという目的もありますが、ガーデニングの受粉のためという目的もありそうです。外敵から身を守れる安心で安全な「家」をハチへ提供することで、庭の草花への受粉をやってくれて、さらに蜂蜜という副産物を与えてくれる。これぞ共生、という気がします。
趣味としての養蜂は、蜂蜜を採るという目的もありますが、ガーデニングの受粉のためという目的もありそうです。外敵から身を守れる安心で安全な「家」をハチへ提供することで、庭の草花への受粉をやってくれて、さらに蜂蜜という副産物を与えてくれる。これぞ共生、という気がします。
自然との共生は身近なところでも
虫を飼うとなると、小さな虫籠のイメージや、汚いイメージだったのが、徐々にデザインされ、スタイリッシュになってきました。この小さな改善がベターライフ(より良き日々)につながっていきます。
自分でつくったもの、獲ったものを食べることが、価値観として暮らしに浸透してきていることを感じます。
家庭菜園は義務教育の課程で、誰しもが経験している “共生” です。自分の生活の一部としての菜園は、今後もどんどん浸透してくるでしょう。
虫を飼うとなると、小さな虫籠のイメージや、汚いイメージだったのが、徐々にデザインされ、スタイリッシュになってきました。この小さな改善がベターライフ(より良き日々)につながっていきます。
自分でつくったもの、獲ったものを食べることが、価値観として暮らしに浸透してきていることを感じます。
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人とも自然ともつながる鶏
家畜にもペットにもなりうる鶏は、飛び立たないからこそ自然の中で放し飼いもできますし、草花や土の中の虫をついばみ、植物、虫との関係性も構築しています。
この鶏舎は、小屋の下に藁を敷くことで、鶏糞を発酵させて堆肥をつくっています。しっかり発酵させることで、不思議なことに臭いもはるかに軽減されるという仕組みです。鶏舎も自宅の一角であることが意識され、デザイン面でも優れていて、いいアイデアです。
「コト」から始める家づくり 過去の連載
つくる、食べる、そしてその先
集める、飾る、悦に入る
集まる、祝う、もてなす
のぼる、はねる、体当たりする
まなぶ、はたらく、とじこもる
聴く、弾く、録るを主役に
涼む、楽しむ、工夫する
やすむ、くつろぐ、オフになる
きたえる、癒す、体を育てる
作、創、造 3つの “つくる”
教えてHouzz
どんな生き物と “共生” してきたか、どんな工夫をしてきたか、コメント欄で教えてください。
家畜にもペットにもなりうる鶏は、飛び立たないからこそ自然の中で放し飼いもできますし、草花や土の中の虫をついばみ、植物、虫との関係性も構築しています。
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