オープンで遊び心たっぷり! 木をふんだんに使った、時ともに魅力を増す住まい
築36年の中古マンションを、建築家夫婦自らがリノベーションしたら? 子供目線も取り入れた、楽しく、自然素材にあふれた自由な家が完成しました。
chihiro suzuki
2018年2月9日
中古マンションとは思えないほど明るく開放的で、素足で歩くのが気持ちいいリビング。ここは、株式会社TENHACHI一級建築士事務所の佐藤圭さんと佐々木倫子さんが「マイホームを築くならこうしたいな」と思っていたことを、とことんディスカッションして形にした自邸だ。「夫婦ともに建築家なので、模型やCGを作成したり、プランも17案ほど出したり、いろいろ検討して決めました。また、自分の家だからこそトライできた部分もあるので、おもしろい仕上がりになったのでは、と思っています」と佐藤さん。
いずれは戸建てを設計し、建てたいという思いはあるそうだが、今回は予算の関係もあり、初めからリノベーションで検討したという。「価格(1660万円)、立地(駅から徒歩7分)、方位(東南角住戸)、形状(6×10mの縦横比)、躯体の状況、階数と、すべてが納得のいく好物件でした。内装は建具工事と家具工事をほぼなくして、大工手間でできるような作り方や仕様でコストダウンすることに。子供もここに引っ越してからは自由に走り回って、自分自身でその時々の心地いい場所を選び、何かに熱中するようになりました 」
いずれは戸建てを設計し、建てたいという思いはあるそうだが、今回は予算の関係もあり、初めからリノベーションで検討したという。「価格(1660万円)、立地(駅から徒歩7分)、方位(東南角住戸)、形状(6×10mの縦横比)、躯体の状況、階数と、すべてが納得のいく好物件でした。内装は建具工事と家具工事をほぼなくして、大工手間でできるような作り方や仕様でコストダウンすることに。子供もここに引っ越してからは自由に走り回って、自分自身でその時々の心地いい場所を選び、何かに熱中するようになりました 」
家族の誰もが、このLDKで過ごす時間がいちばん長いという。広々としていて、窓からの採光もたっぷり。方位も気に入ってこの物件に決めたというだけあり、気持ちのいい光がさんさんと降り注ぐ。
どんなHouzz?
所在地:神奈川県川崎市
住まい手:佐藤圭さん、佐々木倫子さん夫妻、小学1年生の男の子
専有面積:67平方メートル
築年数:36年
リノベーション竣工:2015年1月
工事費:1200万円
設計:佐々木倫子、佐藤圭(株式会社TENHACHI一級建築士事務所)
どんなHouzz?
所在地:神奈川県川崎市
住まい手:佐藤圭さん、佐々木倫子さん夫妻、小学1年生の男の子
専有面積:67平方メートル
築年数:36年
リノベーション竣工:2015年1月
工事費:1200万円
設計:佐々木倫子、佐藤圭(株式会社TENHACHI一級建築士事務所)
明るい光を浴びながら、家のなかでものびのびと遊べるように、ブランコを設置した。これには息子さんも大喜び! ただし、最近はすごい勢いで漕ぐので、落ち着くまでお預け中だとか。大人も歯磨きをしながら座ったりと、とても落ち着く場所になったそう。
大きな梁に合わせて収納兼飾り棚を設置しているのもポイント。これでエアコンの存在感が消え、スリーブも見えなくなった。
大きな梁に合わせて収納兼飾り棚を設置しているのもポイント。これでエアコンの存在感が消え、スリーブも見えなくなった。
廊下を抜ければ、そこがLDK。築35年超の中古マンションとはとても思えない、開放的で木のぬくもりあふれる空間だ。この抜け感の秘密は、床の張り方にあるのだとか。「床を斜めに張ることで奥行きが出て、視覚的にパースが効いてより広く感じられます」。なるほど! 確かによく見ると、斜めに張られたダメージ加工されたオーク材の床や壁が、視線を部屋の奥へと導いているように感じられる。
天井は躯体現しにすることで、最大限の高さを確保。コンクリートならではのクールな雰囲気が、木の素材感あふれるLDKを、いい塩梅で引き締めている。
リビングの中央に敷かれたキリムもハイセンスなアクセントになっている。これはIDÉEで購入したものだそう。実は佐藤さんは独立する前、IDÉEの空間設計や特注家具のデザインを手掛けていた。そのため、家具や照明など、インテリアアイテムにも精通している。
リビングの中央に敷かれたキリムもハイセンスなアクセントになっている。これはIDÉEで購入したものだそう。実は佐藤さんは独立する前、IDÉEの空間設計や特注家具のデザインを手掛けていた。そのため、家具や照明など、インテリアアイテムにも精通している。
ダイニングチェアはあえてバラバラに。このリズム感になんとも言えない雰囲気があり、可愛いバランスに仕上がった。6脚の椅子の詳細を、写真左から順に記しておこう。
1. アーコールのラブシート
2と3. イルマリ・タピオヴァーラデザインのファネットチェア。北欧家具のtaloで購入
4. IKEAで購入したキッズチェア
5. taloで購入したヴィンテージチェア
6. IDÉEで購入したCHAIR by Marina
1. アーコールのラブシート
2と3. イルマリ・タピオヴァーラデザインのファネットチェア。北欧家具のtaloで購入
4. IKEAで購入したキッズチェア
5. taloで購入したヴィンテージチェア
6. IDÉEで購入したCHAIR by Marina
キッチンからダイニングまでひとつながりの長いテーブルは、広いLDKだからこそ可能。「多機能で大きなテーブルを作りたかったのでこうしました。キッチンカウンター、ワークデスク、ダイニングテーブルの3つの機能が、場合によって領域を広めたり縮めたり。これでホームパーティもゆったりと開けます」。淡いブルーのケーブルが可愛いペンダントライトはプルーメンの001。リズムよく、3つ連なっているのがおしゃれ!
佐藤さんは、こうしてリビングから見る我が家のシーンがいちばん気に入っているそう。「リビングから見る寝室と浴室、2つの箱。特に寝室の右側にある浴槽がフレーミングされているところが好きですね」。寝室の上にはロフトをつくって、子供が遊べるようにした。
大人にはちょっと窮屈でも、子供にとっては格好の遊び場になるロフト。この狭さが隠れ家のようでワクワクするのだろう。ブロック遊びをしたり、車を走らせたりと、ここで過ごす時間だけでなく、このロフトに行くために梯子を登ることも、わんぱく盛りの男の子にとっては楽しい過程だ。
上部にロフトがある分、少し天井の低い寝室。天井高を確保するために、あえて天井は張らずに、2×6材の梁を現しにして見せる意匠にした。また、いずれ設置する予定のプロジェクターやスクリーン、スピーカーを隠すためにも、この梁は好都合だそう。床は「好きだったので、少ない面積でもやりたかった」という思いから、ヘリンボーン張りに。
先程ご紹介した寝室の写真にも写っていた、目を惹くコーナーが、このバスルーム。玄関からリビングに向かう廊下の途中に、大胆にもオープンなつくりで設けられている。「 バスルームは、シャワースペースと入浴スペースを分けることを考えました。浴槽はただ置いているだけなので、掃除がとても楽ですし、テレビを観ながら入ることもできます。シャワーカーテンで閉められますが、普段は開けっぱなしなので、リビングや廊下との境界が曖昧になり、住まいがより広くなったように感じます」と佐藤さん。
このオープンな設計のおかげで、マンションならではの閉じた印象や窮屈感がなく、どの部屋にも気持ちのいい自然光が差し込むように。ここから見るリビングも、また格別だ。
バスタブの奥にある洗面台は、自分たちでデザインをして、旭川の木工家具工場に製作を依頼した特注品だそう。その左にシャワースペースが隠れている。
バスタブの奥にある洗面台は、自分たちでデザインをして、旭川の木工家具工場に製作を依頼した特注品だそう。その左にシャワースペースが隠れている。
バスルームの壁は、FRP塗装の質感を残したオイル塗装とタイル張りに分けて、それぞれの表情を楽しんでいる。白が基調のシンプルな空間では、このように異なるテクスチャーを用いることで、空間の美しさを際立たせることができる。
こちらは玄関スペース。趣味の自転車を壁に掛けるために、汚れが目立ちにくい中古の足場板を張って、暗くなりがちな玄関に木のぬくもりをプラスした。壁はコンクリートの躯体だけでなく、GLボンドの跡も残して、よりラフな印象に仕上げている。「どこまで残すか、仕上げるのかを考える工程は楽しかったです」
リビングへとつながる廊下には、いずれ友人のアーティストに絵を描いてもらうための白いキャンバスを準備。この壁にどんなアートが描かれるのか、この家がこの後、どんな成長を遂げるのかも楽しみだ。
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① 浴室とシャワーエリアの上部が空いてるのですが、蒸気や湿気が家中に回る心配はないですか?特に夏。
② 収納はどこにありますか?