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ファブリックで彩るインテリア、ソフトファニシングの楽しみ方:寝室編
ファブリックを使ったインテリア装飾の総称「ソフトファニシング」。その魅力と使い方をスペース別にご紹介。今回は寝室編です。
西谷典子|Noriko Nishiya
2018年1月16日
ソフトファニシングとは、ソフトな素材、つまりファブリックで作られたインテリア装飾のこと。ソフトファニシング先進国の欧米では、インテリアデザインのうち、この分野を専門的に担当するソフトファニシングデザイナーという職種があり、家庭婦人のたしなみとして習うことが流行したことも。もちろん日本でも、美しいファブリックのつくり出すエレガントな表情を楽しめる、その魅力を知る人は増えています。
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豪華さを競った時代もある寝室のソフトファニシング
インテリアの歴史の中で、王侯貴族のベッドルームが権威の象徴として豪華さを競うようになったのは、絹織物が中国から伝来した中世の時代からでした。ソフトファニシングのデザインが増え、華やかさを増していったのもその頃が始まりです。今回は、伝統的に豪華で華やかなデザインが多く、ソフトファニシングデザイナーも力を入れる、寝室のアイテムを取り上げます。
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王侯貴族の寝室の名残、天蓋付きのベッド
王族の宮殿や貴族の屋敷の伝統的な寝台は「フォーポスターベッド」と呼ばれる、四隅に支柱が立てられたベッド。豪華なファブリックをたっぷりと使って飾られています。贅沢な雰囲気を味わえるフォーポスターベッドは現代でも人気がありますが、かなり場所をとるので、広い寝室でないとやや難しい面があります。
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その点、天蓋付きのベッドなら、限られたスペースでも取り付けができます。天井の低い日本の寝室でも、ボリュームを抑えたデザインなら決して夢ではありません。天蓋はインテリアを豪華に見せるためだけではなく、プライバシーの保護、光をシャットアウトする、またヨーロッパでは寒さから守るなどを目的に作られます。また現代では子供部屋で、暗さを調整して眠りにつきやすい環境にする目的で設置する場合もあるようです。
使用するファブリックはシルクはもちろん、光沢があるナイロンでもドレープはきれいに出ますし、カーテン用の生地を使う場合は、写真のように表と裏を違う生地にして、カラーコーディネートを楽しむデザインもできます。
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天蓋とドレープづかいで、ベッドまわりを心地よく
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天蓋やカーテンとコーディネートできる、ベッドスプレッド
しっかりした厚めのファブリックなら、ベッドスプレッド(ベッドカバー)にも使用すれば、トータルコーディネートが楽しめます。ベッドスプレッドは寝室のインテリアの大きなスペースをとるフォーカルポイント。ぜひこだわりたいものです。写真は、柄物のファブリックの裏にキルト綿を重ね、柄の輪郭に沿ってステッチをかけたキルトのベッドカバー。保温性が加わり、摩擦にも強くなります。
しっかりした厚めのファブリックなら、ベッドスプレッド(ベッドカバー)にも使用すれば、トータルコーディネートが楽しめます。ベッドスプレッドは寝室のインテリアの大きなスペースをとるフォーカルポイント。ぜひこだわりたいものです。写真は、柄物のファブリックの裏にキルト綿を重ね、柄の輪郭に沿ってステッチをかけたキルトのベッドカバー。保温性が加わり、摩擦にも強くなります。
シンプルなファブリックを2枚重ねて縁飾りやフリンジをつければ、上の写真のような、落ち着きと風格のあるベッドスプレッドになります。ファブリックの幅は基本的に最大150cmなので、このようなベッドカバーを作る場合はたいてい3枚ほどのファブリックを縫い合わせることになります。無地なら問題はありませんが、柄によってはやや多めに生地が必要になります。裏側に使われる布は、ベッドからずれないように滑りにくく、肌に触れて心地よく保温性もある綿素材がよく選ばれます。
ベッドの裾飾り、ベッドバランス
ベッドスプレッドの長さによっては「ベッドバランス」と呼ばれるベッドの裾飾りも一緒に作られます。ベッド下の部分を収納として使っている場合は特に、それを隠す役割もあります。
ベッドバランスは、ベッドのマットレスとフレームの間に挟んで使います。表に出るスカートのような部分は通常、ベッドスプレッドやピローケース、またはカーテン生地とお揃いにしますが、ベッドに挟まれて見えない部分は、安価で丈夫な生地を使います。
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ベッドバランスの伝統的な形は、写真のようなシンプルですっきりしたボックスプリーツタイプや、フェミニンで可愛らしいギャザータイプなどです。一般的なベッドの長さは190cmなので、ギャザーの場合、ベッドバランスのスカート部分に必要なファブリックは6m前後と、実はなかなか贅沢な作りの装飾でもあります。裾にフリンジやトリミングをつけるとトラディショナルな雰囲気になり、豪華さがさらにアップします。
ファブリック製ヘディングボード(ヘッドボード)
ベッドの頭側のボード、ヘディングボード(ヘッドボード)をファブリックでカバーしたタイプは、日本でも最近人気が高まっていると聞きます。こういったファブリック張りヘッドボードは、たいていしっかりした木が芯材なので、椅子の張り替え作業と同じく、釘を使って布端をきれいに仕上げる工程があります。そのため、ソフトファニシングデザイナーと、椅子の張り替えをするアップホルスターが共同作業で仕上げます。
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ヘディングボードは、ベッドカバーやカーテンと同じ生地を使ったり、同系色でコーディネートすると素敵です。寝室のフォーカルポイントにもなる存在なので、凝ったデザインのものもしばしば見かけます。ヘディングボードの定番のデザインとして、その家の紋章やオーナーのイニシャルを入れた刺繍があります。イニシャルをベッドカバーやピローケースなどにも入れると、とてもノーブルな雰囲気の部屋になります。
寝室のインテリアを仕上げる、ランプシェード
ベッドサイドに置くランプシェードもファブリックで作られているので、ソフトファニシングの仲間に入ります。現在は大量生産によりドラム型や傘型のシェード、接着できるシートに布を貼った構造のシェードがが主流ですが、プリーツ入りのシェードは今でもある程度、手作業によって作られています。トラディショナルな形のランプシェードはたいてい、布の部分が二重構造になっていて、布で巻かれたフレームにピンを差しながらさらに布を巻いていく、根気のある手作業が必要なものです。
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ランプシェードはピローやクッション同様、寝室の素敵なアクセントとして、部屋のカラーコーディネートをさらに美しく仕上げるツールになります。差し色になるトリミングテープやフリンジなどをシェードにあしらって個性を出すのもいいでしょう。ランプシェードは市販品を買うものというイメージがあるかもしれませんが、実はソフトファニシングの一部としてオーダーしたり、自分で作ったりも可能なアイテムなのです。
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どんなソフトファニシングを使っていますか? これからどんなアイテムを使ってみたいですか?
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