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ファブリックで彩るインテリア、ソフトファニシングの楽しみ方:LD編
ファブリックを使ったインテリア装飾の総称「ソフトファニシング」。その魅力と使い方をスペース別に紹介します。今回はリビング&ダイニング編。

西谷典子|Noriko Nishiya
2018年1月8日
「ソフトファニシング」という言葉は、日本ではまだそれほど一般的ではないかもしれません。ソフトな素材、つまりファブリックで作られたインテリアの装飾を意味し、窓まわりやベッドまわり、リビングやダイニングの椅子やソファのカバーなど大きなものから、クッションやピロー、ランプシェードなど小さなアクセサリーまで含まれます。ファッションにおける洋裁と同様、20世紀初め頃から、ヨーロッパの主婦の習い事として流行したソフトファニシング。エレガントなヨーロピアンインテリアが好きな人々を中心に、近年日本でも知られるようになってきたようです。今回から数回に分けて、このソフトファニシングのおもな種類とデザインディテールの数々、おすすめの使い方などをご紹介します。
ソフトファニシングの専門家
新築やリフォームで、プロの力を借りてインテリアを仕上げる際、住まいの色やスタイルなどをトータルにデザインするのはインテリアデザイナーの仕事ですが、カーテンのデザインからクッションの形に至るまで、布部分に関しての具体的なチョイスは、専門のソフトファニシングデザイナーが受け持ちます。オーナーとインテリアデザイナー、双方の意見を聞きながら、実際にファブリックを使ってその部屋のイメージを作り上げていくのが、ソフトファニシングデザイナーの仕事です(インテリアデザイナーがこの役割を兼ねることもあります)。
新築やリフォームで、プロの力を借りてインテリアを仕上げる際、住まいの色やスタイルなどをトータルにデザインするのはインテリアデザイナーの仕事ですが、カーテンのデザインからクッションの形に至るまで、布部分に関しての具体的なチョイスは、専門のソフトファニシングデザイナーが受け持ちます。オーナーとインテリアデザイナー、双方の意見を聞きながら、実際にファブリックを使ってその部屋のイメージを作り上げていくのが、ソフトファニシングデザイナーの仕事です(インテリアデザイナーがこの役割を兼ねることもあります)。
オートクチュールの服のように
ソフトファニシングは布製のすべてのインテリアを指します。カーテン、ベッドやチェアのカバー、クッション、テーブルクロスなどが主ですが、ときには家具のカバーをソフトファニシングデザイナーが作ることもあります。
ソフトファニシングは布製のすべてのインテリアを指します。カーテン、ベッドやチェアのカバー、クッション、テーブルクロスなどが主ですが、ときには家具のカバーをソフトファニシングデザイナーが作ることもあります。
椅子やソファの着せ替え用「ルースカバー」
写真は、トラディショナルなアームチェアに合わせた「ルースカバー」。シートの張り替えではなく、全体を覆う形のカバーをこう呼びます。ぴったりのサイズに採寸するため、まずキャラコ(薄手の白木綿布)を使って椅子の形にピンをとめ、型取りをします。それから本番の布を使って本縫い。つまり、モデルの体型に合わせたオートクチュールの服を作る手順とまったく同じです。
写真は、トラディショナルなアームチェアに合わせた「ルースカバー」。シートの張り替えではなく、全体を覆う形のカバーをこう呼びます。ぴったりのサイズに採寸するため、まずキャラコ(薄手の白木綿布)を使って椅子の形にピンをとめ、型取りをします。それから本番の布を使って本縫い。つまり、モデルの体型に合わせたオートクチュールの服を作る手順とまったく同じです。
パイピングや装飾のリボンをつけて仕上げることが多く、なかなか手間がかかりますが、使い古しや時代遅れの椅子も、オートクチュールの着せ替えカバーを掛ければ新品のように生まれ変わらせることができます。ソフトファニシングデザイナーはある意味、インテリアの衣装部の裏方ともいえるかもしれません。
ルースカバーの生地選びのポイント
ルースカバー用のファブリックには、厚手で摩擦に強く、縮みや色あせがしにくい素材が適しています。厚めにしっかりと織られた木綿は最適ですが、カーテンに使われるプリントの木綿地やシルクなどは不向きです。ルースカバーは手入れがしやすいものにこそ価値があるので、選ぶ際は十分に確認するようにしましょう。
ルースカバー用のファブリックには、厚手で摩擦に強く、縮みや色あせがしにくい素材が適しています。厚めにしっかりと織られた木綿は最適ですが、カーテンに使われるプリントの木綿地やシルクなどは不向きです。ルースカバーは手入れがしやすいものにこそ価値があるので、選ぶ際は十分に確認するようにしましょう。
柄物の生地を選ぶときは、小さめの柄のほうが生地を有効に使えます。大きな柄ですと、柄合わせのために生地を大幅に使うので、特に2つ以上のルースカバーを作るにはかなりの用尺が必要になります。
写真のようなストライプ柄は、生地をほとんど無駄にすることがないうえ、端の部分がきれいに整った仕上がりに見えるので、おすすめです。
写真のようなストライプ柄は、生地をほとんど無駄にすることがないうえ、端の部分がきれいに整った仕上がりに見えるので、おすすめです。
ソファやガーデンチェアにも
ソファは一度購入したらあまり頻繁には変えられないアイテムですが、ルースカバーを作れば、イメージチェンジが気軽にできます。写真は白いコットン地でコースタルスタイルやシャビーシックをイメージしたさわやかなスタイリング。ソファはリビングのフォーカルポイントになる重要なアイテムだけに、部屋のサイズやカーテンの色、後に加えるクッションとのバランスも考えてカバーのファブリックを選び、季節ごとの着せ替えを楽しみましょう。
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ルースカバーのもうひとつおすすめの使い方は、ガーデンチェアに掛けること。比較的リーズナブルな価格で購入できるガーデンファニチャーが、エレガントかつ豪華なイメージに変わります。
椅子のシートカバーは、スカートを選ぶように
ダイニングやキッチンの椅子のシートにおすすめしたいのは、スカートを履かせたようなシートカバー。スカートの部分はギャザー、ボックス、プリーツと、まさに洋服のスカートのデザインのように、さまざまなチョイスが楽しめます。シートに合わせて、背もたれの部分にもセパレートのカバーを作るとフォーマル感がアップします。
食卓まわりのシートカバーには、汚れやシミがつきにくいナイロンやポリエステルなどの素材をを使うのもひとつの方法。ワインやソースなどをこぼす心配をするストレスもなく、長く使用できます。
ダイニングやキッチンの椅子のシートにおすすめしたいのは、スカートを履かせたようなシートカバー。スカートの部分はギャザー、ボックス、プリーツと、まさに洋服のスカートのデザインのように、さまざまなチョイスが楽しめます。シートに合わせて、背もたれの部分にもセパレートのカバーを作るとフォーマル感がアップします。
食卓まわりのシートカバーには、汚れやシミがつきにくいナイロンやポリエステルなどの素材をを使うのもひとつの方法。ワインやソースなどをこぼす心配をするストレスもなく、長く使用できます。
多彩な色、柄、形のクッションでコーディネートの仕上げ
椅子やソファを華やかに見せ、インテリアのアクセントとしてコーディネートを仕上げてくれるクッションは、ソフトファニシングの中でも欠かせないアイテムです。
椅子やソファを華やかに見せ、インテリアのアクセントとしてコーディネートを仕上げてくれるクッションは、ソフトファニシングの中でも欠かせないアイテムです。
ソファやベッドの上にクッションをたくさん置くスタイルが近年人気ですね。スカッター・クッション(ばらまくクッション)とも呼ばれるこういったアクセサリー的なクッションは、ドライクリーニングできる素材なら、ほぼどんな生地でも使えます。たとえば洋服用のちょっと個性的なファブリックを使って、シンプルな形のものを気軽に作ってみるのもいいかもしれません。
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ネオクラシックの定番「ボルスタークッション」
クッションにはさまざまなサイズと形がありますが、その中でもボルスタークッションは、18世紀後半に流行したネオクラシックスタイルのデイベッドや長いソファに必ずコーディネートされたクッションです。
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ひょろ長い円筒形をしていて、側面にギャザーが入っているもの、側面の中央にボタンがあしらわれているのが定番スタイル。お昼寝用の枕や第二の肘掛けとしても重宝する、トラディショナルな形のクッションです。
小さな装飾「パスモントリー」
ソフトファニシングに欠かせない材料、「パスモントリー」についてもご紹介します。縁や縫い目などを美しく装飾するトリミング用のテープやフリンジ、タッセルなどのパーツのことで、これらをあしらうとシンプルなクッションやカーテンも格段にゴージャスに見せる効果があります。以前は重厚でトラディショナルなタイプが主流でしたが、最近はコンテンポラリーな色合いや可愛らしいデザインも増え、モダンなファブリックやインテリアにも幅広くマッチするバリエーションが揃います。
「パスモントリー」についてはこちらも参考に
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パスモントリーの色は、通常その部屋のメインになるファブリック、たとえばカーテンや椅子の生地に使われている色や柄に揃えて、トータルにコーディネートします。フリンジやタッセルに使われる糸も、単色から多いものは4〜5色と多彩です。ビーズつきのモダンなタイプも増え、ソフトファニシングも時代とともに進化しているようです。
次回はベッドルームまわりのソフトファニシングをご紹介します。
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