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「チェルサイエ 2017」で見つけた、タイルの最新トレンド!
Houzzイタリアチームによる、水回り建材見本市「チェルサイエ」報告。今年は新しいストーンウェアのタイルに注目です!
Antonia Solari
2017年10月26日
どれほど似たものでも、本物にはかなわない。それはまぎれもない事実だ。でも、さまざまな素材に似せた仕上げが可能な磁器やストーンウェアのタイルにもたくさんの利点があるのも確か。まず摩耗や汚れ、洗剤への耐性が高く、全体的に耐久性が高い点が挙げられる。また、メーカーが価格を抑え、環境への影響を減らす努力にしのぎを削った結果、ユーザーが大理石仕上げを考える場面でふと立ち止まり、磁器タイルもいいかもしれない、という選択肢のひとつになっている。
今年も9月25日から29日にかけてイタリアのボローニャで開かれた、タイル、水栓金具、建材の国際見本市「チェルサイエ」では、磁器やストーンウェアがもつ無限の可能性を見せてくれた。ひと昔前ならタイルで外観を再現する素材といえばハードウッドが主流だったが、今は大理石、壁紙、ファブリック、レジン、セメント、テラコッタ、寄せ木材など幅広い。仕上げやサイズもさまざまで、質感ある仕上げやなめらかな仕上げ、幾何学パターンのモザイクを思わせる2、3センチ四方のものから最新トレンドでもある大判サイズのタイルまで豊富なバリエーションがそろう。今年のチェルサイエで見つけた、わくわくするような多彩な磁器タイルの例をご紹介する。
今年も9月25日から29日にかけてイタリアのボローニャで開かれた、タイル、水栓金具、建材の国際見本市「チェルサイエ」では、磁器やストーンウェアがもつ無限の可能性を見せてくれた。ひと昔前ならタイルで外観を再現する素材といえばハードウッドが主流だったが、今は大理石、壁紙、ファブリック、レジン、セメント、テラコッタ、寄せ木材など幅広い。仕上げやサイズもさまざまで、質感ある仕上げやなめらかな仕上げ、幾何学パターンのモザイクを思わせる2、3センチ四方のものから最新トレンドでもある大判サイズのタイルまで豊富なバリエーションがそろう。今年のチェルサイエで見つけた、わくわくするような多彩な磁器タイルの例をご紹介する。
1.樹脂塗料仕上げ風
継ぎ目のないシームレスな仕上がりをタイルで再現することはできるのだろうか? ストーンウェアの表面に、樹脂塗料の色とつや、そして塗り重ねたときの刷毛の跡を忠実に再現すればそれが可能だ。また、大判サイズのタイルにすれば、流れるようななめらかな表面をできるかぎり分断せずにすむ。
これを形にしたのが〈カサルグランデ・パダーナ〉の《レジーナ》シリーズ。セラミックの耐久性と連続面が生む美しさをあわせもつタイルだ。
継ぎ目のないシームレスな仕上がりをタイルで再現することはできるのだろうか? ストーンウェアの表面に、樹脂塗料の色とつや、そして塗り重ねたときの刷毛の跡を忠実に再現すればそれが可能だ。また、大判サイズのタイルにすれば、流れるようななめらかな表面をできるかぎり分断せずにすむ。
これを形にしたのが〈カサルグランデ・パダーナ〉の《レジーナ》シリーズ。セラミックの耐久性と連続面が生む美しさをあわせもつタイルだ。
2. 壁紙風
なんともすばらしいアイデアなのがこちら。普通のスポンジと普段使っている洗剤で拭き掃除ができてしまう、かなり丈夫な「壁紙」だ。普通の壁紙と同じくデザインの種類は無数にある。動物や植物をモチーフにした絵から抽象デザイン、あざやかな色から淡いトーンまでさまざまだ。
壁紙風のタイルはどうやって作るのか。最新の技術を使ってストーンウェアに繊維ガラスを混ぜ、じつに100センチ×300センチ、厚さわずか3.5ミリのタイルが作れるという。〈コット・デステ〉の《ワンダーウォール》はその例。
なんともすばらしいアイデアなのがこちら。普通のスポンジと普段使っている洗剤で拭き掃除ができてしまう、かなり丈夫な「壁紙」だ。普通の壁紙と同じくデザインの種類は無数にある。動物や植物をモチーフにした絵から抽象デザイン、あざやかな色から淡いトーンまでさまざまだ。
壁紙風のタイルはどうやって作るのか。最新の技術を使ってストーンウェアに繊維ガラスを混ぜ、じつに100センチ×300センチ、厚さわずか3.5ミリのタイルが作れるという。〈コット・デステ〉の《ワンダーウォール》はその例。
3. ファブリック風
これはカーテン? それとも生地をフレームに入れたファブリックパネルを壁に張ったのだろうか? 答えは、ストーンウェアの表面にファブリックの縦糸と横糸のようなコーティングを施して本物の布のように仕上げたタイル。〈マラッツィ・チェラミケ〉が展開する《ファブリック》コレクションのアイデアだ。同社の別のタイルシリーズ《バスケット》は、自然素材の繊維にヒントを得、セラミック製の糸を織り上げるようにして表面を盛り上げている。繊細な表面の質感を再現した《フォールド》、パッチワーク生地風のグラフィックを使った《テイラー》も。
これはカーテン? それとも生地をフレームに入れたファブリックパネルを壁に張ったのだろうか? 答えは、ストーンウェアの表面にファブリックの縦糸と横糸のようなコーティングを施して本物の布のように仕上げたタイル。〈マラッツィ・チェラミケ〉が展開する《ファブリック》コレクションのアイデアだ。同社の別のタイルシリーズ《バスケット》は、自然素材の繊維にヒントを得、セラミック製の糸を織り上げるようにして表面を盛り上げている。繊細な表面の質感を再現した《フォールド》、パッチワーク生地風のグラフィックを使った《テイラー》も。
4. 大理石風
大理石を模したタイルには、本物に勝るまぎれもない利点がふたつある。ひとつは環境への負担がないこと。つまり産出するために土地を切り出す必要がない。そしてもうひとつは価格が大幅に低いことだ。
陶器タイル製造界を引っ張るメーカーは大理石がもつ混じりけのない美しさを活かそうと取り組み、質の高いさまざまなバリエーションのタイルを送り出している。〈チェラミカ・サンタゴスティーノ〉もそのひとつで、コヴェラーノ・ホワイト、コートダジュール、パリッサンドロ・スカイ・マーブル、ホワイトオニキスをそれぞれ模した《ピュア・マーブル》シリーズを展開する。製作にはデジタルツールを取り入れ、大理石ならではの石目や質感を再現している。
大理石を模したタイルには、本物に勝るまぎれもない利点がふたつある。ひとつは環境への負担がないこと。つまり産出するために土地を切り出す必要がない。そしてもうひとつは価格が大幅に低いことだ。
陶器タイル製造界を引っ張るメーカーは大理石がもつ混じりけのない美しさを活かそうと取り組み、質の高いさまざまなバリエーションのタイルを送り出している。〈チェラミカ・サンタゴスティーノ〉もそのひとつで、コヴェラーノ・ホワイト、コートダジュール、パリッサンドロ・スカイ・マーブル、ホワイトオニキスをそれぞれ模した《ピュア・マーブル》シリーズを展開する。製作にはデジタルツールを取り入れ、大理石ならではの石目や質感を再現している。
〈リチェッティ〉も《マーブル・ブティック・コレクション》シリーズを発表。その中の《スタトゥアリオ・ホワイト》は力強いインパクトのある壁面づくりにふさわしい。
5. ストーン風
大理石だけではない。石が枯渇して採石場から石がなくなれば、ストーンウェアが救世主になりそうだ。ストーンウェアなら田園地帯にある石造りの家の美しさだって再現できる。例えば〈セレニッシマ〉の《ピエール・ド・フランス》シリーズは石のような陰影と質感を思わせ、シンプルなタイル配置という従来からの美しさと、手入れが簡単な現代の利点をあわせもっている。
大理石だけではない。石が枯渇して採石場から石がなくなれば、ストーンウェアが救世主になりそうだ。ストーンウェアなら田園地帯にある石造りの家の美しさだって再現できる。例えば〈セレニッシマ〉の《ピエール・ド・フランス》シリーズは石のような陰影と質感を思わせ、シンプルなタイル配置という従来からの美しさと、手入れが簡単な現代の利点をあわせもっている。
6. 寄せ木張り風
本物の寄せ木張りの床と違い、床の上で家具を動かしたりゴムタイヤが外れたおもちゃの車を子どもが走らせたりしても磁器タイルなら傷がつかない。色味や緑青をそこなわないように特殊な洗剤を使う必要もなく、バスルームやキッチンなど水のかかる場所に敷く場合も特殊な仕上げは不要だ。
木材風デザインのストーンウェアはすでに広く出回っているが、〈ABK〉の《ウッズ》のような新しいタイプのコレクションは仕上げをさらに追求している。天然木を素材にしたハードウッドのフローリングさながらの6色を展開するほか、見事なまでにほぼマットな仕上がりをセラミックで実現している。
本物の寄せ木張りの床と違い、床の上で家具を動かしたりゴムタイヤが外れたおもちゃの車を子どもが走らせたりしても磁器タイルなら傷がつかない。色味や緑青をそこなわないように特殊な洗剤を使う必要もなく、バスルームやキッチンなど水のかかる場所に敷く場合も特殊な仕上げは不要だ。
木材風デザインのストーンウェアはすでに広く出回っているが、〈ABK〉の《ウッズ》のような新しいタイプのコレクションは仕上げをさらに追求している。天然木を素材にしたハードウッドのフローリングさながらの6色を展開するほか、見事なまでにほぼマットな仕上がりをセラミックで実現している。
7. セメント風
内装にセメントを使うと聞くと、インダストリアルでシャープな、あえてそっけない雰囲気の空間が思い浮かぶ。同じ雰囲気を磁器タイルで作り出せるのが、〈リチェッティ〉から出ているコレクション《マニファットゥラ・デル・デュカ》の《ベトン・シック》だ。セメントの質感を模し、複数のサイズを用意。色はコンクリートと同じく素材の組成によってアイボリー系やごく淡いグレーからチャコールグレーまでのグレー系をそろえている。
内装にセメントを使うと聞くと、インダストリアルでシャープな、あえてそっけない雰囲気の空間が思い浮かぶ。同じ雰囲気を磁器タイルで作り出せるのが、〈リチェッティ〉から出ているコレクション《マニファットゥラ・デル・デュカ》の《ベトン・シック》だ。セメントの質感を模し、複数のサイズを用意。色はコンクリートと同じく素材の組成によってアイボリー系やごく淡いグレーからチャコールグレーまでのグレー系をそろえている。
8. セメント風
19世紀後半、バスルームやキッチンの床、カウンターなどにセメント製のタイルを敷く伝統があった。セメントタイルは下層に耐久性の高いコンクリート、上層に粉状の大理石と白色セメントにさまざまな顔料を加えて作られた。間違いなく魅力的な仕上がりだが、手仕事でしかできない製作工程は非常に複雑なものだった。そして現代、同じような美しさを磁器タイルでかなえてしまうのが〈デル・コンカ〉の《アバジー》コレクション。20センチ四方サイズで多彩な色とスタイルのタイルをそろえている。
19世紀後半、バスルームやキッチンの床、カウンターなどにセメント製のタイルを敷く伝統があった。セメントタイルは下層に耐久性の高いコンクリート、上層に粉状の大理石と白色セメントにさまざまな顔料を加えて作られた。間違いなく魅力的な仕上がりだが、手仕事でしかできない製作工程は非常に複雑なものだった。そして現代、同じような美しさを磁器タイルでかなえてしまうのが〈デル・コンカ〉の《アバジー》コレクション。20センチ四方サイズで多彩な色とスタイルのタイルをそろえている。
9. テラコッタ風
テラコッタといえばイタリアのトスカーナやウンブリアをはじめ、地中海地方の農村の家などで広く用いられ、フローリングの素材として人気が高い。味わいがあり、土の組成によって違った表情と色を見せる。
〈チェラミケ・ケオペ〉が展開する《アルファ》は、クラシックなテラコッタの色合いと磁器タイルの技術を融合したコレクション。15センチ×30センチの伝統的な長方形と、よりコンテンポラリーな印象の30センチ×30センチタイプがある。
教えてHouzz
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