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DESIGNART 2017報告:ピエール・シャルパン東京初個展レポート
この秋東京で開催されたデザイン&アートフェスティバル「デザイナート2017」。初年度のフィーチャー・アーティスト、ピエール・シャルパン氏の個展レポートをお届けします。
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2017年10月21日
デザイナート2017フィーチャー・アーティストのピエール・シャルパン氏。東京における初の開催となった個展「From the studio」に込めた思いを、日本の家具ブランド〈TAIYOU&C.〉からリリースされる新作シェルフ《Openwood》開発秘話のインタビューを交えてご紹介します。
「DESIGNART 2017(デザイナート2017)」は、“Emotional Life〜感動のある暮らし〜” をコンセプトに、世界中の感動をもたらしてくれるデザイン&アートなモノ・コトを提供する、革新的なデザイン・アートフェスティバルだ。DESIGNART(デザイナート)とは、デザインとアートを横断する、感動を与えてくれるモノやコトを新たに定義した言葉。その素晴らしさを発信、共有していくための、活動そのものの名前も表す。
東京の街全体を会場に、世界中から集めたデザイン、アート、ファッション、テクノロジーなどのDESIGNARTを集め、同時多発的に展示やイベントを1週間開催した。
DESIGNART 2017
会期:2017年10月16日(月)〜22日(日)
会場:東京各所(表参道・外苑前/原宿・明治神宮前/渋谷・恵比寿/代官山・中目黒/六本木・広尾)詳細はこちら。
東京の街全体を会場に、世界中から集めたデザイン、アート、ファッション、テクノロジーなどのDESIGNARTを集め、同時多発的に展示やイベントを1週間開催した。
DESIGNART 2017
会期:2017年10月16日(月)〜22日(日)
会場:東京各所(表参道・外苑前/原宿・明治神宮前/渋谷・恵比寿/代官山・中目黒/六本木・広尾)詳細はこちら。
DESIGNART提供の会場写真:Photo by Alexandre Maubert
第1回目のDESIGNART Featureに選出された、フランス人デザイナーのピエール・シャルパン氏の東京初個展「From the studio」。
会場となった、ワールド北青山ビルのファサードと、その奥のガラス面に、巨大な新作アートワークを披露。シャルパン氏がカラー監修を担当した塗料《BELAY(ビレイ)》を使用した。美しいカラーリングの立体感のある水玉模様が、会場に入るワクワク感を盛り上げる。
ピエール・シャルパン個展「From the studio」
会期:2017年10月16日(月)〜22日(日)DESIGNART 2017
会場:ワールド北青山ビル1Fエントランス(東京都港区北青山3-5-10)
開場時間:9:00〜18:00
第1回目のDESIGNART Featureに選出された、フランス人デザイナーのピエール・シャルパン氏の東京初個展「From the studio」。
会場となった、ワールド北青山ビルのファサードと、その奥のガラス面に、巨大な新作アートワークを披露。シャルパン氏がカラー監修を担当した塗料《BELAY(ビレイ)》を使用した。美しいカラーリングの立体感のある水玉模様が、会場に入るワクワク感を盛り上げる。
ピエール・シャルパン個展「From the studio」
会期:2017年10月16日(月)〜22日(日)DESIGNART 2017
会場:ワールド北青山ビル1Fエントランス(東京都港区北青山3-5-10)
開場時間:9:00〜18:00
《BELAY》は、木用水性塗料のトップメーカー〈和信化学工業〉より発売された、テーブルの天板や家具、大理石、ガラスなどの表面保護を目的とした塗料。シートを貼ることが困難な曲面への塗装ができ、保護することが可能だ。
においも残らず、見た目もクリアな、塗るだけで表面をキズや汚れから保護してくれる《BELAY》は、光沢感のある「クリアグロス」と落ち着いた仕上がりの「クリアマット」の2種類がある。しかも、シート状になって剥がすことが可能という画期的な塗料。
今回は、表面保護とともに、空間へのアクセントとしてカラーリングを楽しめる「ピエール・シャルパンコレクション」を発売。
においも残らず、見た目もクリアな、塗るだけで表面をキズや汚れから保護してくれる《BELAY》は、光沢感のある「クリアグロス」と落ち着いた仕上がりの「クリアマット」の2種類がある。しかも、シート状になって剥がすことが可能という画期的な塗料。
今回は、表面保護とともに、空間へのアクセントとしてカラーリングを楽しめる「ピエール・シャルパンコレクション」を発売。
Photo by Manabu Matsunaga
デザインとアートの領域を行き来しながら、次々とエモーショナルな作品を生み出すピエール・シャルパン氏の仕事は幅広い。
〈アレッシィ〉社の製品などのマスプロダクトから、パリのデザインギャラリー「ギャラリー・クレオ」におけるリミテッドピース(数量限定の作品)のデザイン、日本のものづくりの現場と海外デザイナーとのコラボレーションプロジェクト「ジャパンクリエイティブ」への参加など、幅広い創作活動を行う。
世界最大級のライフスタイル見本市「メゾン・エ・オブジェ2017」(パリ)にて、デザイナー・オブ・ザ・イヤーにも輝くなど、世界中からの注目を集めている。
デザインとアートの領域を行き来しながら、次々とエモーショナルな作品を生み出すピエール・シャルパン氏の仕事は幅広い。
〈アレッシィ〉社の製品などのマスプロダクトから、パリのデザインギャラリー「ギャラリー・クレオ」におけるリミテッドピース(数量限定の作品)のデザイン、日本のものづくりの現場と海外デザイナーとのコラボレーションプロジェクト「ジャパンクリエイティブ」への参加など、幅広い創作活動を行う。
世界最大級のライフスタイル見本市「メゾン・エ・オブジェ2017」(パリ)にて、デザイナー・オブ・ザ・イヤーにも輝くなど、世界中からの注目を集めている。
アートワークを施したガラスに挟まれた白い大理石の空間には、シャルパン氏が「プラットフォーム」と呼ぶ展示物が11個並べられている。
「私のアトリエ(スタジオ)は、本当にいろいろなものがあります。アトリエの中に飾ってあるのと同じように、会場の中の “プラットフォーム” に再現するかのように展示しています。私がいつもどのような環境で仕事をしているか、それを感じて欲しいと思っています」。
「私のアトリエ(スタジオ)は、本当にいろいろなものがあります。アトリエの中に飾ってあるのと同じように、会場の中の “プラットフォーム” に再現するかのように展示しています。私がいつもどのような環境で仕事をしているか、それを感じて欲しいと思っています」。
細部にも遊び心が加えられている。たとえば、写真奥のリトグラフは、アトリエで飾っているのと同じ高さだ。また、このリトグラフの下に3個あるボタンを押すと、京都で録音したコオロギの鳴き声が大理石の空間にやさしく響きわたり、自然の中にいるような心地にする仕掛けも。
シャルパン氏独特のコンセプトでカテゴライズされた「プラットフォーム」は、一見すると「どうしてこれとこれが同列に扱われているのか」わからないものもある。その理由を聞くと、明確な答えが返ってきた。
「私が手がけたプロダクトや、アートワーク、依頼を受けて仕事として描いたスケッチもあります。パリのアトリエの壁に飾ってあった、インダストリアル系のオブジェもありますし、職人系の作品もあります。一方でデッサンのためのデッサンといったドローイングもあります。私はそれらを区別したいとは思っていません」。
「私が手がけたプロダクトや、アートワーク、依頼を受けて仕事として描いたスケッチもあります。パリのアトリエの壁に飾ってあった、インダストリアル系のオブジェもありますし、職人系の作品もあります。一方でデッサンのためのデッサンといったドローイングもあります。私はそれらを区別したいとは思っていません」。
会期初日、個展会場内でピエール・シャルパン氏に展示内容についてのインタビューを行った。チャーミングな人柄の伝わる印象的な言葉をいくつかご紹介。
Platform 2: 《Small, Medium, Large》
「プロダクトのサイズに並べた石の大中小? とんでもない、自然界には、大きな石も小さな石もその中くらいもあるから並べたんだよ!(笑)」
Platform 2: 《Small, Medium, Large》
「プロダクトのサイズに並べた石の大中小? とんでもない、自然界には、大きな石も小さな石もその中くらいもあるから並べたんだよ!(笑)」
Platform 3: 《From the studio’s wall》
「石切り場の人の使うメッシュの眼鏡はとても古いものだし、京都で買ったバッグや、パリのスタジオは中華街の近くだから、そこで買った蛇の玩具なんかもある。僕のスタジオには、こういったガラクタみたいなものがいっぱい集まっているんですよ」。
「石切り場の人の使うメッシュの眼鏡はとても古いものだし、京都で買ったバッグや、パリのスタジオは中華街の近くだから、そこで買った蛇の玩具なんかもある。僕のスタジオには、こういったガラクタみたいなものがいっぱい集まっているんですよ」。
Platform 7: ドローイング《Series》
写真手前の斜めの放射状の線画は、京都の職人さんが色分けで組み立ての指示に使うチョークを用いて、シャルパン氏が描いたもの。「自分の仕事とリンクしているようなドローイング。1回に満足できるような線が描けるのではなくて、最初は線をグシャグシャと描きたいまま描いて、あんまりそれはよくないな、もう少し整理していこうかな? ……そういった仕事の作業の過程を感じ取っていただけるようなシリーズです」。
このように、シャルパン氏の意図を想像しながら見ると、非常に興味深い展示になっている。
写真手前の斜めの放射状の線画は、京都の職人さんが色分けで組み立ての指示に使うチョークを用いて、シャルパン氏が描いたもの。「自分の仕事とリンクしているようなドローイング。1回に満足できるような線が描けるのではなくて、最初は線をグシャグシャと描きたいまま描いて、あんまりそれはよくないな、もう少し整理していこうかな? ……そういった仕事の作業の過程を感じ取っていただけるようなシリーズです」。
このように、シャルパン氏の意図を想像しながら見ると、非常に興味深い展示になっている。
また今回は、日本発のグローバルに展開するコントラクト向け木製家具ブランド、〈TAIYOU&C.(タイヨウアンドシー)〉からの依頼で、シャルパン氏がデザインしたシェルフの新作《Openwood》も展示。写真は、ウォルナット材の3段タイプを2つ繋げている。
Platform 11: シェルフ《Openwood》
〈TAIYOU&C.〉を主宰するデザイナー、小林幹也氏(写真右)に、ピエール・シャルパンにデザインを依頼した理由を尋ねた。「シンプルな形でありながら、デザイナーの個性を感じられる親しみやすさがあること」という、ブランドのポリシーに共感できるデザイナーを国内外から探し、以前から次はピエール・シャルパン氏に頼みたいとスタッフと話していたのだそう。今年のメゾン・エ・オブジェで偶然通りかかったピエールと話し、その2日後に彼のスタジオを訪れ、詳細を伝えるとピエールが乗り気になってくれたので、プロジェクトが始まることになったとのこと。
「シェルフというのは最初から決まっていて。欲しいものの要望も明確にありました」と小林氏。具体的には「組立式」「オープンタイプ」「後づけで扉をつけられる」「間仕切りにもなるよう裏表からも使える」「5段と3段」「1つでも並べても美しい」という6点だった。
〈TAIYOU&C.〉を主宰するデザイナー、小林幹也氏(写真右)に、ピエール・シャルパンにデザインを依頼した理由を尋ねた。「シンプルな形でありながら、デザイナーの個性を感じられる親しみやすさがあること」という、ブランドのポリシーに共感できるデザイナーを国内外から探し、以前から次はピエール・シャルパン氏に頼みたいとスタッフと話していたのだそう。今年のメゾン・エ・オブジェで偶然通りかかったピエールと話し、その2日後に彼のスタジオを訪れ、詳細を伝えるとピエールが乗り気になってくれたので、プロジェクトが始まることになったとのこと。
「シェルフというのは最初から決まっていて。欲しいものの要望も明確にありました」と小林氏。具体的には「組立式」「オープンタイプ」「後づけで扉をつけられる」「間仕切りにもなるよう裏表からも使える」「5段と3段」「1つでも並べても美しい」という6点だった。
次に、開発で最も苦労したことをシャルパン氏に聞いた。「どんなプロジェクトでも難しさというのは必ずあります。アイデアを、自分の中で具体化していくということには時間がかかるものです。でも今回のシェルフに関しては、特別時間がかかって困るということはなかったです。というのも〈TAIYOU&C. 〉からの依頼は非常に明確だったからです。
それを私がどう解釈するか、そこが重要になるわけですが。私は理想的な、そして開放的なオブジェにしたいと思いました。結果として、風通しのいいシェルフができたと思っています」。
「これを超えるのは難しい、と言えるほど、すごくいいデザイン案がきました」と小林氏も言う。
それを私がどう解釈するか、そこが重要になるわけですが。私は理想的な、そして開放的なオブジェにしたいと思いました。結果として、風通しのいいシェルフができたと思っています」。
「これを超えるのは難しい、と言えるほど、すごくいいデザイン案がきました」と小林氏も言う。
シャルパン氏は《Openwood》の魅力をこう語る。「とりわけこだわったことは、『モジュール』。このユニットは、皆さんの住まいのスペースに合わせて、1つだけ使うことも、また組み合わせて使うことも可能です」。
並べたときに “いかにも並べた感” が出ない、シンプルながら効果的な寸法の工夫が秀逸。真ん中に通っている柱が厚み40mmで、側板が厚み20mm。並べたときに40、40 、40と同サイズが繰り返しリズミカルに見えることで、もともと1つの大きなシェルフのよう。また、少しオフセットした側板が、大きなシェルフを軽やかに見せる効果もある。
並べたときに “いかにも並べた感” が出ない、シンプルながら効果的な寸法の工夫が秀逸。真ん中に通っている柱が厚み40mmで、側板が厚み20mm。並べたときに40、40 、40と同サイズが繰り返しリズミカルに見えることで、もともと1つの大きなシェルフのよう。また、少しオフセットした側板が、大きなシェルフを軽やかに見せる効果もある。
「僕が『ドア』と呼んでいる、最初から要望に入っていたスクリーンは、飾りたいけれども、あまり埃をつけたくないものを飾る場合に使えるように配置しました」とシャルパン氏。扉が日本の襖のようなスライド式で、後付け可能だ。
「柱は、この棚にリズムを与えています。『片付ける・整理する』という目的と、『飾る』という2つの目的を叶えていて、本を立て掛けてもいいし、表紙を見せるように飾ってもいい」。柱が中央に通っているから、こちらからも、あちらからも使える。
シンプルな解決方法で、横に繋げてもきれいな《Openwood》。写真はオーク材のLサイズを3台並べたところ。広い空間を軽やかに仕切るスクリーンとしても、《Openwood》は、リノベーションで空間を仕切りたい場合にも有効なアイテムになるのでは。個展後は10月26日から、小石川の〈TAIYOU no SHITA〉で見られるという。
生活はシンプルなだけじゃなく、もっとエモーショナルでいいはず。シャルパン氏がこの新作シェルフを、彼の他の「プラットフォーム」と並列に捉えている……そのことこそ、DESIGNARTの初年度に、彼がフィーチャー・アーティストに選ばれた理由そのものに感じた。
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