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「隠れキッチン」 生活感を感じさせない7つのアイデア
ドアや折り畳み式の構造で工夫してインテリアになじませれば、スペースを多目的に使えます。
Agnès Carpentier
2018年6月11日
ドアや折り畳み式の構造を取り入れた「隠せるキッチン」の人気が高まっている。いちばんに隠されるのは、コンロやシンクといった機能的な部分のようだ。今回は、隠れキッチンがある7つの住まいをご紹介しながら、建築家やデザイナーたちがキッチンを隠すデザインを選んだ理由を探ってみよう。
空間をすっきり見せたいなら「隠すキッチン」がおすすめ
空間をすっきり見せたいなら「隠すキッチン」がおすすめ
1. アンティークな美しさを保ちながら、みんなが集まる場所に
概要
オーストラリア・シドニー郊外の高級住宅街ウラーラにある、1900年代に建てられたヴィクトリア様式の家。住まい手は夫婦と10代の娘さんだ。デザイン事務所〈ミニョーサ〉のインテリアデザイナー、シモーナ・カスターニャさんとダレン・ジェナーさんが依頼されたのは、キッチンを住まいの中心に据えながら、散らかるところは隠し、明るく家の個性を残した空間を保つことだった。
概要
オーストラリア・シドニー郊外の高級住宅街ウラーラにある、1900年代に建てられたヴィクトリア様式の家。住まい手は夫婦と10代の娘さんだ。デザイン事務所〈ミニョーサ〉のインテリアデザイナー、シモーナ・カスターニャさんとダレン・ジェナーさんが依頼されたのは、キッチンを住まいの中心に据えながら、散らかるところは隠し、明るく家の個性を残した空間を保つことだった。
キッチンを隠した理由は?
「オリジナルのキッチンはとても小さかったので、家の中央の部屋に移しました。いつもきれいに片付いた空間を維持するために、キッチン設備をすべて隠してしまおうと考えました」とジェナーさんは言う。「オーナー家族は料理をあまりしませんが、キッチンをみんなが集まる場所にしたいという考えでした」
「オリジナルのキッチンはとても小さかったので、家の中央の部屋に移しました。いつもきれいに片付いた空間を維持するために、キッチン設備をすべて隠してしまおうと考えました」とジェナーさんは言う。「オーナー家族は料理をあまりしませんが、キッチンをみんなが集まる場所にしたいという考えでした」
仕様
キッチンの中心は、大理石と木でつくられたアイランドだ。調理機器はアイランドに設置してないが、家族や友人たちが集まる団らんの場所として機能する。「キッチン自体は、モールディングのついたパネルの中に隠れています。1900年代パリのオスマン様式のようなウォールパネルは、〈リープカ・プロジェクツ〉が製作しました。冷凍・冷蔵庫が入っている扉はスライド式で、閉め忘れても自動で閉まるようになっています。引き出しには〈ブルム〉の電動オープニングシステム《サーボドライブ》を取り入れています。引き出しの奥から柱のなかへと換気システムを通しています。全体を閉め切る構造なので換気はとても重要なポイントです」とジェナーさん。
キッチンの中心は、大理石と木でつくられたアイランドだ。調理機器はアイランドに設置してないが、家族や友人たちが集まる団らんの場所として機能する。「キッチン自体は、モールディングのついたパネルの中に隠れています。1900年代パリのオスマン様式のようなウォールパネルは、〈リープカ・プロジェクツ〉が製作しました。冷凍・冷蔵庫が入っている扉はスライド式で、閉め忘れても自動で閉まるようになっています。引き出しには〈ブルム〉の電動オープニングシステム《サーボドライブ》を取り入れています。引き出しの奥から柱のなかへと換気システムを通しています。全体を閉め切る構造なので換気はとても重要なポイントです」とジェナーさん。
閉じた状態のキッチンユニットと住まい手の女性
2. 学生向けの魅力的なワンルームアパートメント
概要
フランス・ボルドー中心部にあるアパートメント。子どもたちが巣立ってひとり暮らしになり、家が広すぎると感じるようになったホームオーナーは、学生に貸し出すためのワンルームアパートメントをつくろうと考えた。「キッチン、バスルーム、ベッドルーム、デスクエリアと、学生に必要なものがすべてそろった、20平方メートルの大きな1部屋をつくるというのが彼女のアイデアでした。オリジナリティがあり、若い人にとって魅力的な部屋にしたいと考えたんです」と、プロジェクトを担当した建築家のエロディ・ボネさんは言う。
2. 学生向けの魅力的なワンルームアパートメント
概要
フランス・ボルドー中心部にあるアパートメント。子どもたちが巣立ってひとり暮らしになり、家が広すぎると感じるようになったホームオーナーは、学生に貸し出すためのワンルームアパートメントをつくろうと考えた。「キッチン、バスルーム、ベッドルーム、デスクエリアと、学生に必要なものがすべてそろった、20平方メートルの大きな1部屋をつくるというのが彼女のアイデアでした。オリジナリティがあり、若い人にとって魅力的な部屋にしたいと考えたんです」と、プロジェクトを担当した建築家のエロディ・ボネさんは言う。
キッチンを隠した理由は?
ボネさんが提案したのは、通りに面した2つの大きな窓の反対側に多機能な一面の赤い壁だった。「箱のなかの箱というアイデアです。いくつもの機能を組み込みながら、同時に部屋のなかをより広く、すっきりと見せることができます」
幅2.65×高さ2.30メートルの赤い壁には、左側にバスルームへのドア、中央にキッチン、右側に収納とボイラークローゼットが設けられている。
ボネさんが提案したのは、通りに面した2つの大きな窓の反対側に多機能な一面の赤い壁だった。「箱のなかの箱というアイデアです。いくつもの機能を組み込みながら、同時に部屋のなかをより広く、すっきりと見せることができます」
幅2.65×高さ2.30メートルの赤い壁には、左側にバスルームへのドア、中央にキッチン、右側に収納とボイラークローゼットが設けられている。
仕様
この壁をつくるときに、ボネさんがとくに重視したのは3つのポイントだった。まず、天井いっぱいの高さにしないこと。ユニットを低めにすれば、天井が高く感じられるからだ。そして、全体のデザインを入念に計算し、端から端までまぐさ(開口部の上に取り付けられる横材)がつながるように開口部を配置したこと。「わかりやすい目印をなくしたかったんです。必要なときだけキッチンを開いて、それ以外はいっさい調理機器類の存在を感じない美しい空間を楽しんでもらいたいと思いました」とボネさんは言う。そして最後に、キッチンのキャビネット内部を黄色に塗装して光をいちばん奥まで引き込み、ユニット外側の赤とコントラストをつけた。
この壁をつくるときに、ボネさんがとくに重視したのは3つのポイントだった。まず、天井いっぱいの高さにしないこと。ユニットを低めにすれば、天井が高く感じられるからだ。そして、全体のデザインを入念に計算し、端から端までまぐさ(開口部の上に取り付けられる横材)がつながるように開口部を配置したこと。「わかりやすい目印をなくしたかったんです。必要なときだけキッチンを開いて、それ以外はいっさい調理機器類の存在を感じない美しい空間を楽しんでもらいたいと思いました」とボネさんは言う。そして最後に、キッチンのキャビネット内部を黄色に塗装して光をいちばん奥まで引き込み、ユニット外側の赤とコントラストをつけた。
ユニットは化粧合板で、ボルドーの工房に製作してもらった。油圧シリンダで引き出し式のカウンターを支え、中央部分の扉を庇のように固定している。
費用
壁面ユニットのみで約12,260ドル(約134万円)。
費用
壁面ユニットのみで約12,260ドル(約134万円)。
3. 明るさと広さを保ちながら、サプライズのある空間に
概要
こちらは、パリ滞在時のセカンドハウスとして使われている30平方メートルのアパートメント。キッチンやランドリーなどの設備でリビングスペースを乱したくないと考えたオーナーは、〈ファーブル・ド・ミュール〉のインテリアデザイナー、レティシア・ヴィアロンさんに依頼して全面的にリノベーションをした。寝室エリアを分けて、アパートメント全体の明るさを損なわないことが条件だった。
概要
こちらは、パリ滞在時のセカンドハウスとして使われている30平方メートルのアパートメント。キッチンやランドリーなどの設備でリビングスペースを乱したくないと考えたオーナーは、〈ファーブル・ド・ミュール〉のインテリアデザイナー、レティシア・ヴィアロンさんに依頼して全面的にリノベーションをした。寝室エリアを分けて、アパートメント全体の明るさを損なわないことが条件だった。
キッチンを隠した理由は?
「クライアントの要望を満たすには、モジュールを使って工夫する必要がありました」とヴィアロンさんは言う。「太陽の光が直接届かない寝室エリアに接するかたちで、エントランスの横に4平方メートルのブロックをつくりました。このブロックのなかに、キッチン、バスルーム、ランドリーがすべて入っています。ブロックは日本的なミニマルスタイルで、アパートメントの核になっています。閉まっているときにはなかに何があるのかわからないような、サプライズの感覚を重視しました。クライアントの希望を意外なかたちで具現化することが、インテリアデザイナーが提供する価値だと考えます」
「クライアントの要望を満たすには、モジュールを使って工夫する必要がありました」とヴィアロンさんは言う。「太陽の光が直接届かない寝室エリアに接するかたちで、エントランスの横に4平方メートルのブロックをつくりました。このブロックのなかに、キッチン、バスルーム、ランドリーがすべて入っています。ブロックは日本的なミニマルスタイルで、アパートメントの核になっています。閉まっているときにはなかに何があるのかわからないような、サプライズの感覚を重視しました。クライアントの希望を意外なかたちで具現化することが、インテリアデザイナーが提供する価値だと考えます」
仕様
キッチンは、幅120センチと最小限に抑えた。キャビネットは〈IKEA〉の製品で、ブロックの構造は石膏ボードと木材でつくられている。キッチンを隠す2枚のドアは、既存のクローゼットのドアと同じようにデザインした。ドアの素材は塗装済みのMDF材で、ヒンジが内側に付いている。
キッチンは、幅120センチと最小限に抑えた。キャビネットは〈IKEA〉の製品で、ブロックの構造は石膏ボードと木材でつくられている。キッチンを隠す2枚のドアは、既存のクローゼットのドアと同じようにデザインした。ドアの素材は塗装済みのMDF材で、ヒンジが内側に付いている。
ヴィアロンさんはもう1件、こちらとよく似た36平方メートルのワンルームアパートメントのプロジェクトを手掛けている。同じように、設備類を隠してリビング専用空間の確保が課題だったが、キッチンの扱いかたは異なっている。「〈IKEA〉のキャビネットを使ったのですが、シンクとクッキングヒーターの付いているメインのユニットは、スペースに合うように改造して小さくしました。オリジナルのキャビネット扉は、キッチンを完全に隠す扉として活用しています」とヴィアロンさん。かしこい「イケアハック」というわけだ。
費用
黒いキッチンは、配管や機器を除いた構造のみで約1,685 ドル(約18万5千円)。白いキッチンはすべての機器も含めて全体で約5,600ドル(約61万5千円)。
費用
黒いキッチンは、配管や機器を除いた構造のみで約1,685 ドル(約18万5千円)。白いキッチンはすべての機器も含めて全体で約5,600ドル(約61万5千円)。
4. プライベートな部屋から、半公共空間に変身
概要
パリ近郊のコミューン、モリエールにあるこの邸宅のオーナーは、アジアを中心とした世界中のアンティークを専門に輸出入を手掛けている。「100平方メートルの大きなリビングルームは、キッチンとダイニングもひとつながりになったスペースですが、この空間をレセプションやショールームとしても使えるようにしたかったんです」と、プロジェクトを担当した建築家のオリヴィエ・シャボーさんは言う。
概要
パリ近郊のコミューン、モリエールにあるこの邸宅のオーナーは、アジアを中心とした世界中のアンティークを専門に輸出入を手掛けている。「100平方メートルの大きなリビングルームは、キッチンとダイニングもひとつながりになったスペースですが、この空間をレセプションやショールームとしても使えるようにしたかったんです」と、プロジェクトを担当した建築家のオリヴィエ・シャボーさんは言う。
キッチンを隠した理由は?
部屋をショールームとして使うときは、キッチンを隠し、オーナーのコレクションを目立たせる必要がある。美しい木の扉でキッチンを覆うのは、まさにぴったりの解決策だった。
部屋をショールームとして使うときは、キッチンを隠し、オーナーのコレクションを目立たせる必要がある。美しい木の扉でキッチンを覆うのは、まさにぴったりの解決策だった。
仕様
キャビネットの素材はシンプルな白いラッカー仕上げのMDFだが、ジンバブエ産の黒い御影石のカウンタートップと、無垢のオーク材の扉を組み合わせて高級感のある雰囲気に。扉には〈ハワ〉の《フォールディング・コンセプタ》システムを使い、開いた折り戸は、キッチンの両端にある幅13センチほどのポケットにすっぽり収納できる。
キャビネットの素材はシンプルな白いラッカー仕上げのMDFだが、ジンバブエ産の黒い御影石のカウンタートップと、無垢のオーク材の扉を組み合わせて高級感のある雰囲気に。扉には〈ハワ〉の《フォールディング・コンセプタ》システムを使い、開いた折り戸は、キッチンの両端にある幅13センチほどのポケットにすっぽり収納できる。
5. 極限までスペースを節約
概要
ドイツ・ベルリンにあるこのアパートメントは、広さわずか28平方メートル。住まい手のカップルは料理好きではないが、時おり食事をつくれる程度のキッチンが必要だった。
概要
ドイツ・ベルリンにあるこのアパートメントは、広さわずか28平方メートル。住まい手のカップルは料理好きではないが、時おり食事をつくれる程度のキッチンが必要だった。
キッチンを隠した理由は?
「リビングルームのスペースをとりすぎないように、キッチンに変身する家具をつくろうと思いました」と、建築家のヤン・レスラーさんは言う。「必要に応じて、料理するときにはキッチンを開き、使わないときは閉じたままにしておけます。本や花を飾っておくと、ふだんはサイドボードのように見えます」
「リビングルームのスペースをとりすぎないように、キッチンに変身する家具をつくろうと思いました」と、建築家のヤン・レスラーさんは言う。「必要に応じて、料理するときにはキッチンを開き、使わないときは閉じたままにしておけます。本や花を飾っておくと、ふだんはサイドボードのように見えます」
仕様
ヒンジ付きのふたを閉めるとシンクが隠れる仕組みだ。持ち運びできるクッキングヒーターもある。冷蔵庫と食洗機はキャビネットの中に置き、シンクとクッキングヒーターを置く上部を閉じているときでも使える。壁側に並ぶ取っ手のないキャビネットには、お皿や食品、調理器具を収納している。
ヒンジ付きのふたを閉めるとシンクが隠れる仕組みだ。持ち運びできるクッキングヒーターもある。冷蔵庫と食洗機はキャビネットの中に置き、シンクとクッキングヒーターを置く上部を閉じているときでも使える。壁側に並ぶ取っ手のないキャビネットには、お皿や食品、調理器具を収納している。
キッチンと住まい手の女性
費用
インテリアは家全体で統一された特注デザイン。キッチンにも、ベッドルームなどの家具と同じラミネート合板パネルを使った(写真)。キッチンにかかった費用は、調理機器類を除いて約5,600 ドル(約61万5千円)。
費用
インテリアは家全体で統一された特注デザイン。キッチンにも、ベッドルームなどの家具と同じラミネート合板パネルを使った(写真)。キッチンにかかった費用は、調理機器類を除いて約5,600 ドル(約61万5千円)。
6. 小さなパリのアパートメントをシックに
概要
依頼主は、パリ中心部、サン=シュルピス広場の隣にある屋根裏アパートメントに暮らす独身男性。〈LA.Mステュディオ〉のインテリアデザイナー、レオニー・アルマ・メイソンさんに、「キッチンを隠してほしい」と依頼した。
概要
依頼主は、パリ中心部、サン=シュルピス広場の隣にある屋根裏アパートメントに暮らす独身男性。〈LA.Mステュディオ〉のインテリアデザイナー、レオニー・アルマ・メイソンさんに、「キッチンを隠してほしい」と依頼した。
キッチンを隠した理由は?
「キッチンをダイニングルームとつなげて省スペースにできますし、来客があるときも、キッチンの調理機器や散らかっている状態を隠せます」とメイソンさん。
「キッチンをダイニングルームとつなげて省スペースにできますし、来客があるときも、キッチンの調理機器や散らかっている状態を隠せます」とメイソンさん。
仕様
キッチンを覆うファサードには、できるだけ存在感を感じさせない白を選んだ。黒い窓のように見える中央の扉部分は、白い部分と美しいコントラストを生みつつ、アパートメント全体のインテリアともマッチしている。この扉は無色のツヤ仕上げを施した黒いMDF材。扉は2枚ずつ折り戸になって、両側のキャビネットに沿って収容される。つくり付けの調理機器類には高級ラインの製品を採用した。
キッチンを覆うファサードには、できるだけ存在感を感じさせない白を選んだ。黒い窓のように見える中央の扉部分は、白い部分と美しいコントラストを生みつつ、アパートメント全体のインテリアともマッチしている。この扉は無色のツヤ仕上げを施した黒いMDF材。扉は2枚ずつ折り戸になって、両側のキャビネットに沿って収容される。つくり付けの調理機器類には高級ラインの製品を採用した。
7. ワンベッドルームのアパートメントの用途を広げる
概要
フランス・ニース郊外、ヴィルフランシュ=シュル=メールの海岸沿いにある2つのワンルームアパートメントをつなげ、オーナーのふたりが短期滞在するための住まいにしたプロジェクト。2つをあわせても延床面積はわずか20平方メートルの広さ。部屋のひとつはベッドルームとして使い、残りの1部屋をキッチン・リビング・ダイニングとして使っている。
キッチンを隠した理由は?
プロジェクトを担当したインテリアデザイナーのニコラ・デュシャトーさんは、大きなドアの後ろに隠れたキッチンを提案。「オーナーたちは、テレビラウンジ(写真なし)とキッチンとダイニングカウンターを組み合わせられるなんて思いもよらなかったそうです。スペースを節約するため、キッチンをできるだけコンパクトにして、あらゆる機能を1ヶ所にまとめています」とデュシャトーさんは言う。
概要
フランス・ニース郊外、ヴィルフランシュ=シュル=メールの海岸沿いにある2つのワンルームアパートメントをつなげ、オーナーのふたりが短期滞在するための住まいにしたプロジェクト。2つをあわせても延床面積はわずか20平方メートルの広さ。部屋のひとつはベッドルームとして使い、残りの1部屋をキッチン・リビング・ダイニングとして使っている。
キッチンを隠した理由は?
プロジェクトを担当したインテリアデザイナーのニコラ・デュシャトーさんは、大きなドアの後ろに隠れたキッチンを提案。「オーナーたちは、テレビラウンジ(写真なし)とキッチンとダイニングカウンターを組み合わせられるなんて思いもよらなかったそうです。スペースを節約するため、キッチンをできるだけコンパクトにして、あらゆる機能を1ヶ所にまとめています」とデュシャトーさんは言う。
仕様
部屋は約7×3メートルで、中央の約120×70センチのボックス型キッチンユニットのなかに、クッキングヒーター、シンク、冷蔵庫、電子レンジ(上の棚の中)と、必要なものがすべて収容されている。脇につくられた三角形のパントリーもスペースを節約する賢いアイデアだ。さらにキッチンユニットの右側には、奥行40センチのクローゼットも追加した。ボックスはラッカー仕上げのMDF材で、大工の手による造作ユニットだ。中央ユニットの扉は、両端に設けられた幅10センチのポケットにすっぽり収まる。
費用
コーリアン® のアイランドも含み、キッチン全体で約5,800ドル(約63万7千円)。
部屋は約7×3メートルで、中央の約120×70センチのボックス型キッチンユニットのなかに、クッキングヒーター、シンク、冷蔵庫、電子レンジ(上の棚の中)と、必要なものがすべて収容されている。脇につくられた三角形のパントリーもスペースを節約する賢いアイデアだ。さらにキッチンユニットの右側には、奥行40センチのクローゼットも追加した。ボックスはラッカー仕上げのMDF材で、大工の手による造作ユニットだ。中央ユニットの扉は、両端に設けられた幅10センチのポケットにすっぽり収まる。
費用
コーリアン® のアイランドも含み、キッチン全体で約5,800ドル(約63万7千円)。
ドイツ・ミュンヘンのアパートメントにあるクローズ型キッチン。デザインは〈アイグナー・アーキテクチャー〉
結論
シンクや調理機器のあるエリアだけでも隠して、キッチンの一部、あるいは全体を部屋から「消して」しまえば、使えるスペースを広げ、部屋全体をより美しく演出できる。また、いくら散らかっていてもキッチンごと隠してしまえば見えないため、来客時には便利だろう。ワンルームアパートメントなど、リビングルーム内にキッチンがあるコンパクトな住まいでは、とくに有効なアイデアだ。
結論
シンクや調理機器のあるエリアだけでも隠して、キッチンの一部、あるいは全体を部屋から「消して」しまえば、使えるスペースを広げ、部屋全体をより美しく演出できる。また、いくら散らかっていてもキッチンごと隠してしまえば見えないため、来客時には便利だろう。ワンルームアパートメントなど、リビングルーム内にキッチンがあるコンパクトな住まいでは、とくに有効なアイデアだ。
とはいえ、今回ご紹介したプロジェクトにも見られたように、広めの住まいでもキッチンを隠すメリットはある。以下、3つ理由を挙げてみよう。
- ひとつながりのダイニングキッチンでも、隠してしまえば見苦しい調理機器にくつろぎの時間を邪魔されない。
- 場違いな印象のキッチンを隠せば、展示やミーティングなどの半公共的なイベントにも部屋を使える。
- トラディショナルな部屋でも歴史的なインテリア(例えばオスマン風のサロンなど)でも、キッチンのデザインが浮かずに配置できる。
結局は、キッチンを隠すのも、デザインテクニックのうちのひとつだ。〈ファーブル・ド・ミュール〉のインテリアデザイナー、レティシア・ヴィアロンさんはこう語る。「部屋に入ったときに何が隠れているのかわかってしまうと、失敗なんです。部屋を訪れたゲストにキッチンがあると見抜かれなかったらうまい配置ができて成功だと言えます。サプライズの要素をつくることが重要なんです」
最後に、こういった遊び心のあるプロジェクトは、アイデアを提案する建築家やデザイナーと、受け止めるオーナー、双方のユーモアのセンスがあってこそうまく行く。言うなれば、キッチンと、招かれるお客さまとのかくれんぼ。そんなゲームを楽しむ心意気が大切なのだ。
インテリアに溶け込んだキッチンの写真をもっと見る
最後に、こういった遊び心のあるプロジェクトは、アイデアを提案する建築家やデザイナーと、受け止めるオーナー、双方のユーモアのセンスがあってこそうまく行く。言うなれば、キッチンと、招かれるお客さまとのかくれんぼ。そんなゲームを楽しむ心意気が大切なのだ。
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