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伝統と現代を組み合わせた、新しい時代のスペイン建築4選
スペインから、伝統建築のよさ、地形の特質と、現代建築のコンセプトを組み合わせたユニークな建築作品をご紹介します。
Tachy Mora
2017年10月23日
「現代的な洞窟住宅」なんて、矛盾したコンセプトに思える? アールヌーヴォーとノウセンティズム様式の家の違いとは?「パゲサ」とはスペインのどの地域に見られる住宅?その大きな3つの特徴とは?「パッソ」とは豪華なお屋敷のこと?――答えを知りたいかたは、スペイン伝統的住宅の4つのスタイルを解説するこちらの記事をどうぞ。素晴らしいスペイン建築の一部をご紹介します。
洞窟の家
スペイン南部
洞窟といえばもっとも原始的なシェルターだが、洞窟を使って意外なほどモダンな住まいをつくることも可能なのだ。現代のホームオーナーが求める便利な機能をすべて備えた洞窟の家は、スペインの新トレンドになっている。
グラナダ大学で人文地理学の常任教授を務めるマリア・エウヘニア・ウルディアレスさんによると、洞窟が住居として使われるようになったのは19世紀後半から20世紀前半にかけての時期だという。移民の流入が続き、都市人口が増えたことが理由だ。ウルディアレスさんは、学術誌「スクリプタ・ノヴァ」に掲載された査読論文のなかで、「アンダルシア地方の洞窟に住む習慣は、規模は増減しつつ、現代まで継続している」と述べている。
スペイン南部
洞窟といえばもっとも原始的なシェルターだが、洞窟を使って意外なほどモダンな住まいをつくることも可能なのだ。現代のホームオーナーが求める便利な機能をすべて備えた洞窟の家は、スペインの新トレンドになっている。
グラナダ大学で人文地理学の常任教授を務めるマリア・エウヘニア・ウルディアレスさんによると、洞窟が住居として使われるようになったのは19世紀後半から20世紀前半にかけての時期だという。移民の流入が続き、都市人口が増えたことが理由だ。ウルディアレスさんは、学術誌「スクリプタ・ノヴァ」に掲載された査読論文のなかで、「アンダルシア地方の洞窟に住む習慣は、規模は増減しつつ、現代まで継続している」と述べている。
1960年代初期、スペイン全体の洞窟住居のうち49%はアンダルシア州にあり、とくにグラナダ県に集中していた。1950年の国勢調査によれば、県都のグラナダだけでも3682個の洞窟住居(日常的な住まい、あるいは別荘として使われているもの)があったと、ウルディアレスさんは論文のなかで指摘する。しかし、この時期以降、洞窟住居は時代遅れだという印象が強まり、徐々に住む人が減って、洞窟は放置されるようになった。
次に洞窟が注目を集めるようになったのは1990年代のことだった。この時代、「洞窟住居は大きく改善された。人々は洞窟暮らしに対して再びポジティブな意識を持ち始め、洞窟住居に関する政府の規制も大幅にアップデートされている」とウルディアレスさんは述べている。
そして今、洞窟住居のいちばんのメリットといえば省エネルギーだ。洞窟には内部の温度を一定に保つ性質があるため、外の気温が夏には40℃に達し、冬には0℃まで下がる地域でも、室内の平均温度は常に15~19℃に保たれる。
次に洞窟が注目を集めるようになったのは1990年代のことだった。この時代、「洞窟住居は大きく改善された。人々は洞窟暮らしに対して再びポジティブな意識を持ち始め、洞窟住居に関する政府の規制も大幅にアップデートされている」とウルディアレスさんは述べている。
そして今、洞窟住居のいちばんのメリットといえば省エネルギーだ。洞窟には内部の温度を一定に保つ性質があるため、外の気温が夏には40℃に達し、冬には0℃まで下がる地域でも、室内の平均温度は常に15~19℃に保たれる。
そのため、以前は「低水準な住居」とみなされていたものが、今や環境にやさしい技術として評価されるようになった。洞窟人気の復活は、とくにここ数年で顕著になっており、恒久的な住居として使われるだけでなく、休暇用の別荘や観光客向けのゲストハウスとしても人気が高まっている。
写真はコルドバ県にある洞窟で、〈ウンモ・エストゥディオ〉がリノベーションを手がけた最近のプロジェクト。石灰砂岩(石灰岩の一種)のなかにできたいくつもの洞窟のうちのひとつで、観光客用の宿泊施設としてリノベーションされている。
この家で洞窟暮らしを体験したいというかたは、こちらから宿泊予約可能。
〈ウンモ・エストゥディオ〉のプロジェクト概要によれば、建築的な要素と地質学的な要素との関係性を重視し、「洞窟に直接接触するというよりも、近接するデザインを目指した」と言う。
写真はコルドバ県にある洞窟で、〈ウンモ・エストゥディオ〉がリノベーションを手がけた最近のプロジェクト。石灰砂岩(石灰岩の一種)のなかにできたいくつもの洞窟のうちのひとつで、観光客用の宿泊施設としてリノベーションされている。
この家で洞窟暮らしを体験したいというかたは、こちらから宿泊予約可能。
〈ウンモ・エストゥディオ〉のプロジェクト概要によれば、建築的な要素と地質学的な要素との関係性を重視し、「洞窟に直接接触するというよりも、近接するデザインを目指した」と言う。
〈ウンモ・エストゥディオ〉が試みたのは、この家に新たな空間体験をつくり出すことだ。自然な地質を大切にしながら、南側に窓をつくって眺めを確保し、より明るく、これまでになかった空間の広がりを感じさせている。コンクリートや大理石といった素材を使い、すっかり現代的な住宅に変身した。
ノウセンティズムの家
スペイン北東部、カタルーニャ州
「ノウセンティズムは、20世紀初頭にカタルーニャから起こった社会文化運動です。地中海的な特徴を強く打ち出しながら、より教養度が高くコンテンポラリーなヨーロッパ的社会づくりを目指した運動でした」と、カタルーニャ人の建築家でデザイナーのジュリ・カペイヤさんは言う。
ノウセンティズムでは、ガウディに代表されるような19世紀のアールヌーヴォー建築は極度にバロックで過剰なものと見なされ、その反動のような建築ムーブメントが起きた。「20世紀に入ると新しい動きが出てきました。ノウセンティズムの建築では、フォルムや装飾がよりシンプルになっています。古典派やルネッサンス様式、土着の建築からの影響もありますね。独特の壮麗な風格を保ちながら、バランス、シンメトリー、シンプルさを追求しています」とカペイヤさんは言う。
スペイン北東部、カタルーニャ州
「ノウセンティズムは、20世紀初頭にカタルーニャから起こった社会文化運動です。地中海的な特徴を強く打ち出しながら、より教養度が高くコンテンポラリーなヨーロッパ的社会づくりを目指した運動でした」と、カタルーニャ人の建築家でデザイナーのジュリ・カペイヤさんは言う。
ノウセンティズムでは、ガウディに代表されるような19世紀のアールヌーヴォー建築は極度にバロックで過剰なものと見なされ、その反動のような建築ムーブメントが起きた。「20世紀に入ると新しい動きが出てきました。ノウセンティズムの建築では、フォルムや装飾がよりシンプルになっています。古典派やルネッサンス様式、土着の建築からの影響もありますね。独特の壮麗な風格を保ちながら、バランス、シンメトリー、シンプルさを追求しています」とカペイヤさんは言う。
20世紀初頭に生まれたノウセンティズム運動は、カタルーニャ4県による連合行政組織が成立したのち、さらに盛んになった。ノウセンティズム運動にはカタルーニャ文化とアイデンティティの振興を目指す政治的な側面もあったため、この連合の成立は大きな勝利であった。しかし、1923年に政権についた独裁者プリモ・デ・リベラの民族運動取り締まりによって、ノウセンティズム運動は幕を閉じる。その後、ホセ・ルイ・セルト率いるGATEPAC(現代建築の進歩のためのスペイン建築家・技術者集団)の合理主義運動によってふたたび注目を集めるが、まもなくスペイン内戦が起こり、それも長くは続かなかった。それでもノウセンティズムは、ライモン・デュラン・イ・レイナルスやエンリック・サグニエルといった戦後の建築家たちに影響を与え、彼らの仕事のなかにはその美的感覚が表れている。
「バルセロナのノウセンティズム建築は、とくに図書館や学校などの公共建築としてつくられたものが優れており、これらはほとんどが現在も使われています。農村部では、マジーアと呼ばれる農家建築にも多く取り入れられ、カタルーニャの民族アイデンティティを象徴するスタイルになっています」。
「また、バルセロナ周辺では、バルビドレラ、サン・クガ、バリェスやマレスメの村々にも、一戸建てのノウセンティズム住宅が何十軒もつくられました。エレガントで落ち着いた印象のファサードで、とくに庭を大事にしているのが特徴的ですね」とカペイヤさんは言う。
ノウセンティズムと、その前に流行したアールヌーヴォーとを区別するものはいったい何なのだろうか?「ノウセンティズム様式の家とアールヌーヴォー様式の家を見分けるのは簡単です」とカペイヤさんは言う。「アールヌーヴォー様式の家には、いつも表情豊かなフォルムや装飾が用いられています。構成は左右非対称で、異なるタイプの素材や技術が組み合わされています。ノウセンティズム様式の家にも装飾はありますが、壁に平面的なスグラッフィートをあしらったり、よりシンプルなものです。さらに、アールヌーヴォーに比べると、左右対称的で整った印象であることが多いですね。色彩はアーストーンで、レイアウトはイタリアの古典派建築の影響を受けつつ、伝統的なカタルーニャ建築の要素も見られます。インテリアについては、ステンドグラスの窓やモザイクを取り入れることもありますが、全体的にアールヌーヴォーの住宅よりもシンプルなデザインになっています」。
「また、バルセロナ周辺では、バルビドレラ、サン・クガ、バリェスやマレスメの村々にも、一戸建てのノウセンティズム住宅が何十軒もつくられました。エレガントで落ち着いた印象のファサードで、とくに庭を大事にしているのが特徴的ですね」とカペイヤさんは言う。
ノウセンティズムと、その前に流行したアールヌーヴォーとを区別するものはいったい何なのだろうか?「ノウセンティズム様式の家とアールヌーヴォー様式の家を見分けるのは簡単です」とカペイヤさんは言う。「アールヌーヴォー様式の家には、いつも表情豊かなフォルムや装飾が用いられています。構成は左右非対称で、異なるタイプの素材や技術が組み合わされています。ノウセンティズム様式の家にも装飾はありますが、壁に平面的なスグラッフィートをあしらったり、よりシンプルなものです。さらに、アールヌーヴォーに比べると、左右対称的で整った印象であることが多いですね。色彩はアーストーンで、レイアウトはイタリアの古典派建築の影響を受けつつ、伝統的なカタルーニャ建築の要素も見られます。インテリアについては、ステンドグラスの窓やモザイクを取り入れることもありますが、全体的にアールヌーヴォーの住宅よりもシンプルなデザインになっています」。
写真は、建築設計事務所〈アルキテクトゥーラG〉が修復を手がけたプロジェクト。バルセロナ郊外の、もとはサマーハウスとして使われていた家だ。プロジェクトの目的は、ただオリジナルの状態に戻すだけではなく、2人の子どもがいる若い夫婦のニーズに合わせてリノベーションすることだった。そのため、家の中央部分は空洞にして階段室とし、踊り場には見事なガラスの床を取り入れている。これによって、上下階につながりが生まれるだけでなく、家のなかに光と空気が自由に流れるようになった。
パゲサ住宅
バレアレス諸島のイビサ島、フォルメンテラ島
パゲサとは「田舎の家」を意味し、バレアレス諸島、とくにイビサ島とフォルメンテラ島で伝統的な住まいを指して使われる言葉だ。
フォルメンテラ島は、中世に頻繁に起こった疫病と海賊によって、長いあいだ無人島となっていた。 「18世紀になるとイビサ島の人々が移り住むようになり、建築も含め、彼らの習慣やライフスタイルが持ち込まれました」とフォルメンテラ島議会の文化遺産専門家、ハイメ・エスカンデル・グワスさんは言う。
どちらの島でも、とくに18世紀に建てられた住宅に共通しているのは、長方形のレイアウトだ。ポルショと呼ばれる長い空間が家の中心となり、そこから各部屋につながっている。
バレアレス諸島のイビサ島、フォルメンテラ島
パゲサとは「田舎の家」を意味し、バレアレス諸島、とくにイビサ島とフォルメンテラ島で伝統的な住まいを指して使われる言葉だ。
フォルメンテラ島は、中世に頻繁に起こった疫病と海賊によって、長いあいだ無人島となっていた。 「18世紀になるとイビサ島の人々が移り住むようになり、建築も含め、彼らの習慣やライフスタイルが持ち込まれました」とフォルメンテラ島議会の文化遺産専門家、ハイメ・エスカンデル・グワスさんは言う。
どちらの島でも、とくに18世紀に建てられた住宅に共通しているのは、長方形のレイアウトだ。ポルショと呼ばれる長い空間が家の中心となり、そこから各部屋につながっている。
しかし、「パゲサのいちばんの特徴は、粘土を塗った表面仕上げと、窓が少ないことです」とエスカンデル・グワスさんは言う。窓やドアは、20世紀前半の数十年間で徐々に大きくなり、白い装飾的な縁飾りが施されるようになった。
「壁は、小さめの粗石と粘土モルタルで作られていました。内側は粘土で覆って、石灰で白く仕上げていましたが、外側は場合によって石を露出させたままにすることもありました。とくに家の横や裏側の壁面は、石が見えていることが多いですね」。
「壁は、小さめの粗石と粘土モルタルで作られていました。内側は粘土で覆って、石灰で白く仕上げていましたが、外側は場合によって石を露出させたままにすることもありました。とくに家の横や裏側の壁面は、石が見えていることが多いですね」。
イビサ島とフォルメンテラ島のパゲサには異なるところもあり、フォルメンテラ島のほうが小さめでシンプルな家が多いとエスカンデル・グワスさんは指摘する。また、フォルメンテラ島では写真のような瓦ぶきの傾斜屋根が19世紀末に広まったが、イビサ島では平らな屋根が一般的だと言う。
イビサ島では、屋根の梁にフェニキアンジュニパー材を使い、その上に同じ木材のチップと乾燥させた海藻(ポシドニア・オセアニカ)を層に重ねている。イビサ島の海が透き通っているのは、この海藻が島の周りにつくり出す生態系のおかげなのだ。この上に、「耐水性のある燃やした土と灰の層を重ね、最後に粘土の層を重ねてさらに耐水性を高め、雨が流れ落ちるように傾斜をつけます」とエスカンデル・グワスさんは説明する。
写真は、マリア・カステリョーさんがリノベーションを手がけたフォルメンテラ島の休暇用別荘。こちらでは、白いファサードの後ろに傾斜した屋根があり、その下にポルショが見えている。白いファサードは、リノベーションの際に最初に付け加えた部分だった。
イビサ島では、屋根の梁にフェニキアンジュニパー材を使い、その上に同じ木材のチップと乾燥させた海藻(ポシドニア・オセアニカ)を層に重ねている。イビサ島の海が透き通っているのは、この海藻が島の周りにつくり出す生態系のおかげなのだ。この上に、「耐水性のある燃やした土と灰の層を重ね、最後に粘土の層を重ねてさらに耐水性を高め、雨が流れ落ちるように傾斜をつけます」とエスカンデル・グワスさんは説明する。
写真は、マリア・カステリョーさんがリノベーションを手がけたフォルメンテラ島の休暇用別荘。こちらでは、白いファサードの後ろに傾斜した屋根があり、その下にポルショが見えている。白いファサードは、リノベーションの際に最初に付け加えた部分だった。
「この家では、中央の空間、つまりポルショへの入り口は南東側の壁に設けられていました。ポルショの片端に大きな暖炉があり、その周囲がキッチンになっていて、ポルショの奥にはベッドルームが2つありました」とエスカンデル・グワスさんは言う。
マリア・カステリョーさんは、部分的にオリジナルの石材を露出させ、それ以外では伝統的な白壁の室内を保つことを選んだ。さらに、ポリッシュコンクリートの床、キッチンとバスルームに施したマイクロセメントのコーティング、傾斜した天井のコンクリートとイロコ材など、伝統的な建築ともしっくり調和するニュアンスを加えている。
マリア・カステリョーさんは、部分的にオリジナルの石材を露出させ、それ以外では伝統的な白壁の室内を保つことを選んだ。さらに、ポリッシュコンクリートの床、キッチンとバスルームに施したマイクロセメントのコーティング、傾斜した天井のコンクリートとイロコ材など、伝統的な建築ともしっくり調和するニュアンスを加えている。
ガリシアのパッソ
スペイン北東部、ガリシア州
ガリシア州に見られる「パッソ」は、18世紀に登場した建築の一種。農業やワインづくりに使われる土地が隣接した大きな家、というのが大まかな定義だ。一般的には、領主の住む大きな家と、その周囲にある労働者が住む一連の住居から構成されていた。
「これらの住居の目的は、ものを生産することで、土地の大部分は経済活動に使われていました。大邸宅ではなく、生産拠点にそこで働く人たちが住んでいるというかたちなのです」と言うのは、パッソ・ファラメーヨ改装プロジェクトの一部を担当した地元の建築事務所〈エストゥディオ〉のアドリアン・マルティン・プリエトさんだ。
スペイン北東部、ガリシア州
ガリシア州に見られる「パッソ」は、18世紀に登場した建築の一種。農業やワインづくりに使われる土地が隣接した大きな家、というのが大まかな定義だ。一般的には、領主の住む大きな家と、その周囲にある労働者が住む一連の住居から構成されていた。
「これらの住居の目的は、ものを生産することで、土地の大部分は経済活動に使われていました。大邸宅ではなく、生産拠点にそこで働く人たちが住んでいるというかたちなのです」と言うのは、パッソ・ファラメーヨ改装プロジェクトの一部を担当した地元の建築事務所〈エストゥディオ〉のアドリアン・マルティン・プリエトさんだ。
パッソ・ファラメーヨでは、ティント川沿いにいくつかの建物が階段状に並んでいる。こちらは製紙工場だったため、ほかのパッソに比べると少し変わっているそうだ。いちばん川に近い左側の建物は、かつて工場の水車小屋だった場所で、隣接する家は使用人の住まいだった。2つの建物から少し離れたところ(次の写真を参照)にあるのが領主の邸宅で、いちばん高いところに位置している。
「いわば、壁に囲まれた小さな集落でした。このほかに、生産活動に関係のある建物がパッソの近くに建てられることも多く、結果として領地全体が小さな開拓地のようになったんです。そのうち、周辺の一帯がパッソの名前で呼ばれるようになりました。こちらもその一例で、パッソから人口が増えてファラメーヨ村となったんです」とマルティン・プリエトさんは言う。
「いったん生産活動が安定すると、パッソの家々にも余裕ができ、土地の一部をガーデニングなどの余暇活動に充てられるようになりました。19世紀以降のことですね。パッソ・ファラメーヨも例外ではありません」とマルティン・プリエトさんは言う。こちらには、パッソにつくられることが比較的珍しかった礼拝堂も設けられている。
修復プロジェクトのなかで〈エストゥディオ〉が担当したおもな仕事のひとつが庭の修復だった。
修復プロジェクトのなかで〈エストゥディオ〉が担当したおもな仕事のひとつが庭の修復だった。
パッソの建物は石造りだ。「主邸宅は花こう岩の切石積みで、ほかの家はそれよりも質の低い石でつくられています。石造りの壁のうち2つには、耐久性を高めるために土が詰められていました。現在、パッソを改修するときには、モルタルを取り除いてオリジナルの石造りを見せることが多いですね。主邸宅でもそれ以外の家でも、梁や土台、ブリッジ、屋根の骨組みには同じくチェスナット材が使われていました。屋根はセラミックの瓦ぶきでした」とマルティン・プリエトさんは言う。
「現在では、パッソを日常的な住まいとして使うことは少ないですね。どんなに小さなパッソでも6ヘクタールはありますから、メンテナンスが難しいんです。そのため、ワイナリーや、会議や結婚式ができるイベント会場など、パッソを商業施設としてリノベーションするオーナーが増えています」とマルティン・プリエトさんは言う。こちらのパッソ・ファラメーヨも、現在はウェディングやイベントのための会場として使われている。
教えてHouzz
ご感想をお聞かせください。
Houzzツアーをテーマ別に読むMy Houzz/日本/北米/中南米/ヨーロッパ/北欧/中東/アジア/オセアニア/新築/リノベーション/別荘/二世帯住宅/賃貸住宅
「現在では、パッソを日常的な住まいとして使うことは少ないですね。どんなに小さなパッソでも6ヘクタールはありますから、メンテナンスが難しいんです。そのため、ワイナリーや、会議や結婚式ができるイベント会場など、パッソを商業施設としてリノベーションするオーナーが増えています」とマルティン・プリエトさんは言う。こちらのパッソ・ファラメーヨも、現在はウェディングやイベントのための会場として使われている。
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