「スリーピングボックス」で狭い家を広く使った事例集
都市部では床面積の小さなアパルトマンも多いフランス。限られたスペースを広く使うため、寝室を「ボックス」に収納した設計の家が増えています。
Agnès Carpentier
2017年10月13日
ここしばらく、多機能なボックス構造がインテリアデザインのトレンドになっている。キッチンの役割をするものもあれば、ワードローブや、ランドリールーム、バスルームボックスさえある。そんななかでいちばん気になったのが、ベッドを包み込むような「スリーピングボックス」だ。
今回は、ふつうのインテリアデザインとは一味違う、このボックス現象に注目。革新的なスリーピングボックスを手がけたフランスの4人の建築家が、それぞれのプロジェクトについて語ってくれた。
今回は、ふつうのインテリアデザインとは一味違う、このボックス現象に注目。革新的なスリーピングボックスを手がけたフランスの4人の建築家が、それぞれのプロジェクトについて語ってくれた。
プロジェクト1:箱型スイートルーム
概要
大邸宅として建てられたパリの美しい建物のなかにある、32平方メートルのワンルームアパートメント。オーナーはここに引っ越してきて1年間暮らしながら、スペースを最大活用するためのベストな方法を考えていた。その後、計画を実行に移すべく、〈バティーク・ステュディオ〉の建築家レベッカ・ベニシュさんに依頼。「立方体の構造を作ってほしいと、本当にそう言われたんですよ」とベニシュさんは言う。オーナーの希望は、部屋とバスルームとワードローブ、つまり完全なスイートルームを7.5平方メートルほどの床面積に収容するボックスだった。
ボックスをつくった理由は?
「クライアントはインテリアデザインに興味があるかたで、私のところに依頼に来たときにはすでに、多機能な立方体構造がいちばんの方法だという結論に至っていたんです」とベニシュさんは言う。「必要なものをすべてボックス内にまとめてしまうのは、スペースを増やすための良い方法ですね。このような構造をつくれば室内を仕切る必要がないので、残った部屋をひろびろと使えるんです」。
概要
大邸宅として建てられたパリの美しい建物のなかにある、32平方メートルのワンルームアパートメント。オーナーはここに引っ越してきて1年間暮らしながら、スペースを最大活用するためのベストな方法を考えていた。その後、計画を実行に移すべく、〈バティーク・ステュディオ〉の建築家レベッカ・ベニシュさんに依頼。「立方体の構造を作ってほしいと、本当にそう言われたんですよ」とベニシュさんは言う。オーナーの希望は、部屋とバスルームとワードローブ、つまり完全なスイートルームを7.5平方メートルほどの床面積に収容するボックスだった。
ボックスをつくった理由は?
「クライアントはインテリアデザインに興味があるかたで、私のところに依頼に来たときにはすでに、多機能な立方体構造がいちばんの方法だという結論に至っていたんです」とベニシュさんは言う。「必要なものをすべてボックス内にまとめてしまうのは、スペースを増やすための良い方法ですね。このような構造をつくれば室内を仕切る必要がないので、残った部屋をひろびろと使えるんです」。
設計の工夫は?
ベニシュさんがデザインした立方体は、およそ幅2.5×長さ3×高さ3メートル。ベッドスペース自体は1.6×2メートルだ。右側には奥行き70センチのクローゼットがあり、裏には1×3メートルほどの小さなバスルームがある。こちらの写真ではバスルームのドアが開いているのが見える。ベッドの台は床から70センチほどの高さにあり、厚さ23センチの快適なマットレスが載っている。当初は、もっと深い吊り天井をつくって収納を追加する計画だったが、身長180センチのオーナーがボックスのなかで直立できるようにしたいということで、純粋な装飾的要素として深さ30センチの吊り天井を採用した。
プロジェクトに要した期間は、同時につくったキッチンの工事も含めて、計画に3か月、施工に3か月だ。ボックスの制作は施工業者に依頼し、木でフレームを形成し、傷がつきにくく修復も容易な「フェニックス」というマットな素材で表面を仕上げている。
ベニシュさんがデザインした立方体は、およそ幅2.5×長さ3×高さ3メートル。ベッドスペース自体は1.6×2メートルだ。右側には奥行き70センチのクローゼットがあり、裏には1×3メートルほどの小さなバスルームがある。こちらの写真ではバスルームのドアが開いているのが見える。ベッドの台は床から70センチほどの高さにあり、厚さ23センチの快適なマットレスが載っている。当初は、もっと深い吊り天井をつくって収納を追加する計画だったが、身長180センチのオーナーがボックスのなかで直立できるようにしたいということで、純粋な装飾的要素として深さ30センチの吊り天井を採用した。
プロジェクトに要した期間は、同時につくったキッチンの工事も含めて、計画に3か月、施工に3か月だ。ボックスの制作は施工業者に依頼し、木でフレームを形成し、傷がつきにくく修復も容易な「フェニックス」というマットな素材で表面を仕上げている。
スタイル
「このボックスは、アパートメントの主役となるようにデザインしています」とベニシュさんは言う。ボックスの存在感を引き立てるため、オーナーは部屋の壁をむき出しのまま残すことにした。ボックスの外側は、黒のフェニックスで覆われたシックな印象で、温かく居心地よい雰囲気を感じさせる内側のオーク材とのコントラストも美しい。LED照明が全体を引き締めて仕上げ、夜になると素敵なムードを演出してくれる。
予算
キッチンの設置、天井の塗装、フローリングのニス塗りを含め、プロジェクトにかかった費用は約26,500ポンド (30,000ユーロ)。
「このボックスは、アパートメントの主役となるようにデザインしています」とベニシュさんは言う。ボックスの存在感を引き立てるため、オーナーは部屋の壁をむき出しのまま残すことにした。ボックスの外側は、黒のフェニックスで覆われたシックな印象で、温かく居心地よい雰囲気を感じさせる内側のオーク材とのコントラストも美しい。LED照明が全体を引き締めて仕上げ、夜になると素敵なムードを演出してくれる。
予算
キッチンの設置、天井の塗装、フローリングのニス塗りを含め、プロジェクトにかかった費用は約26,500ポンド (30,000ユーロ)。
自作デザインをデモンストレーションするバンジャマン・ドゥレさん
プロジェクト2:大きく感じる小さな部屋
概要
パリにある27平方メートルのアパートメントに住んでいるのは若いカップル。リノベーションされたばかりの物件で、もとのワンルームの部屋はからっぽの入れ物のような状態だった。ふたりの希望は、リビングルームが中心の住まいにすること、部屋を仕切らず、3つの窓から入る自然光を遮らないことだった。
ボックスを作った理由は?
「ごく小さなアパートメントをふつうの部屋のように使うには、多機能なボックス構造が良い解決策だったんです」と、プロジェクトを担当した〈BLDB〉の建築家、バンジャマン・ドゥレさんは言う。
プロジェクト2:大きく感じる小さな部屋
概要
パリにある27平方メートルのアパートメントに住んでいるのは若いカップル。リノベーションされたばかりの物件で、もとのワンルームの部屋はからっぽの入れ物のような状態だった。ふたりの希望は、リビングルームが中心の住まいにすること、部屋を仕切らず、3つの窓から入る自然光を遮らないことだった。
ボックスを作った理由は?
「ごく小さなアパートメントをふつうの部屋のように使うには、多機能なボックス構造が良い解決策だったんです」と、プロジェクトを担当した〈BLDB〉の建築家、バンジャマン・ドゥレさんは言う。
設計の工夫は?
スリーピングボックスの大きさは、高さ2.5×奥行き1.6×幅2メートルほど。木のフレームにMDF材を張っており、横には幅50センチの階段が付いている。耐力柱で持ち上げた木造構造を、2つのコンクリート壁に組み込まれた梁が支えている。ベッドの載っている台は高さ1.2メートルほどで、「ベッドの上で起き上がってまっすぐ座れるくらいの高さを残しています」とドゥレさんは説明する。スペース節約のため、ボックススプリングは台に組み込んでいる。ベッドの両側にコンセントを用意した。
スリーピングボックスの大きさは、高さ2.5×奥行き1.6×幅2メートルほど。木のフレームにMDF材を張っており、横には幅50センチの階段が付いている。耐力柱で持ち上げた木造構造を、2つのコンクリート壁に組み込まれた梁が支えている。ベッドの載っている台は高さ1.2メートルほどで、「ベッドの上で起き上がってまっすぐ座れるくらいの高さを残しています」とドゥレさんは説明する。スペース節約のため、ボックススプリングは台に組み込んでいる。ベッドの両側にコンセントを用意した。
機能性
ボックス内には、階段を上ったところにある小さなドアから出入りする。手前の扉は開け放つことも可能だ。雑誌が並んでいる棚は、ナイトテーブルのように物を置く場所にもなる。昼間は、閉め切ってベッドを隠しておくことができる。
ベッドの下につくった5つの収納モジュールのおかげで、アパートメントのなかはいつもきれいに片付いている。このうち3つはクローゼットで、フルエクステンションレールで奥まで完全に引き出すことができる(次の写真を参照)。「耐荷重量の大きい、コンピューターサーバー用のレールを使っているんです」とドゥレさんは言う。階段下のドアからは、スライド式クローゼットの裏にあるスペースに入ることができ、ホームオーナーたちはここを「地下室」と呼んでいる。ここには自転車まで収納している。
ボックス内には、階段を上ったところにある小さなドアから出入りする。手前の扉は開け放つことも可能だ。雑誌が並んでいる棚は、ナイトテーブルのように物を置く場所にもなる。昼間は、閉め切ってベッドを隠しておくことができる。
ベッドの下につくった5つの収納モジュールのおかげで、アパートメントのなかはいつもきれいに片付いている。このうち3つはクローゼットで、フルエクステンションレールで奥まで完全に引き出すことができる(次の写真を参照)。「耐荷重量の大きい、コンピューターサーバー用のレールを使っているんです」とドゥレさんは言う。階段下のドアからは、スライド式クローゼットの裏にあるスペースに入ることができ、ホームオーナーたちはここを「地下室」と呼んでいる。ここには自転車まで収納している。
スタイル
最初のプロジェクトとは異なり、こちらのオーナーは、狭い部屋を圧迫しないように、ボックスの視覚的インパクトを抑えたいと考えた。そのため、仕上げの塗装には壁と同じ白を選んでいる。「ヒンジは外から見えず、取っ手もありません。クローゼットの扉は、切り込みを入れて引き出せるようにしました」とドゥレさんは言う。
予算
「大工さんに注文してボックスをつくってもらうなら、10,000ユーロ(約8,800ポンド)くらいですね」とドゥレさんは言う。もうひとつ留意したいのは、このような構造は取り外しできる装置とみなされるため、アパートメントを売るときには延床面積に影響しないという点だ。ちなみに、こちらの物件も売却したのだが、まったく問題なく1週間以内に買い手がついた。「買った人は、このボックスがすっかり気に入ったみたいです」とドゥレさんは言う。
最初のプロジェクトとは異なり、こちらのオーナーは、狭い部屋を圧迫しないように、ボックスの視覚的インパクトを抑えたいと考えた。そのため、仕上げの塗装には壁と同じ白を選んでいる。「ヒンジは外から見えず、取っ手もありません。クローゼットの扉は、切り込みを入れて引き出せるようにしました」とドゥレさんは言う。
予算
「大工さんに注文してボックスをつくってもらうなら、10,000ユーロ(約8,800ポンド)くらいですね」とドゥレさんは言う。もうひとつ留意したいのは、このような構造は取り外しできる装置とみなされるため、アパートメントを売るときには延床面積に影響しないという点だ。ちなみに、こちらの物件も売却したのだが、まったく問題なく1週間以内に買い手がついた。「買った人は、このボックスがすっかり気に入ったみたいです」とドゥレさんは言う。
プロジェクト3:巣のようなベッドルーム
概要
こちらの28平方メートルの小さなワンルームアパートメントは、建築家のシリル・ランスさんが若い学生のためにデザインした部屋だ。「鳥の巣のように高い位置に寝るところをつくりながら、残りの空間ともつながりを保つ、というのが希望でした。はっきり自分の求めるものを把握されていましたね」。
ボックスを作った理由は?
1番目のプロジェクトと同じく、ランスさんはスペースを分割することを避け、ベッドエリアと部屋全体との関係性に配慮することを考えた。「外に向かって開かれたボックスを使えば、包み込むようなスペースをつくりながら、アパートメントの端から端までつながっている空間の流れを遮ることもありません」とランスさんは説明する。
概要
こちらの28平方メートルの小さなワンルームアパートメントは、建築家のシリル・ランスさんが若い学生のためにデザインした部屋だ。「鳥の巣のように高い位置に寝るところをつくりながら、残りの空間ともつながりを保つ、というのが希望でした。はっきり自分の求めるものを把握されていましたね」。
ボックスを作った理由は?
1番目のプロジェクトと同じく、ランスさんはスペースを分割することを避け、ベッドエリアと部屋全体との関係性に配慮することを考えた。「外に向かって開かれたボックスを使えば、包み込むようなスペースをつくりながら、アパートメントの端から端までつながっている空間の流れを遮ることもありません」とランスさんは説明する。
部屋からボックスを見たところ。左側のドアはバスルーム。
設計の工夫は?
ボックスのサイズは、奥行き2.3×高さ1.5×幅1.6メートル。木の上の巣のイメージで、カンティレバーで壁から突き出している。金属の根太を使って床をつくり、金属のバーで後ろの壁に固定している。根太は複数のポイントで壁に固定されているため、じゅうぶん重さを支えることができた。残りのフレーム部分は木製だ。「最初は木の床にしたいと思っていたんです。でも、木ではちょっと柔らかすぎて、時間が経つうちにボックスの床と壁との接合部分が割れてしまったと思います。こういった実験的なプロジェクトは、いくつか試してみないと最適な方法がわからないこともあります。その点は理解しておく必要がありますね」とランスさんは言う。
設計の工夫は?
ボックスのサイズは、奥行き2.3×高さ1.5×幅1.6メートル。木の上の巣のイメージで、カンティレバーで壁から突き出している。金属の根太を使って床をつくり、金属のバーで後ろの壁に固定している。根太は複数のポイントで壁に固定されているため、じゅうぶん重さを支えることができた。残りのフレーム部分は木製だ。「最初は木の床にしたいと思っていたんです。でも、木ではちょっと柔らかすぎて、時間が経つうちにボックスの床と壁との接合部分が割れてしまったと思います。こういった実験的なプロジェクトは、いくつか試してみないと最適な方法がわからないこともあります。その点は理解しておく必要がありますね」とランスさんは言う。
機能性
いくつも機能を備えたボックスは、スペースの節約に大いに役立っている。床から72センチ浮いているベッドの台は、あえてマットレスよりも長めにつくっており、余った部分がデスクを兼ねる。椅子になるのはオレンジ色のチェストだ。ボックス下の壁のなかには収納が造り付けられている。
スタイル
寝室ボックスは白とトープで塗装し、アパートメント全体の色合いと統一した。両サイドに開けたスリットは、リビングルームやキッチンの棚のラインと呼応するフォルムになっている。「スリットは、実用的というより美的な理由からつくったのですが、このおかげでボックスがより軽やかな印象になっています」とランスさんは言う。
予算
アパートメント全体のリノベーション費用は約50,000ポンド(56,000ユーロ)。
いくつも機能を備えたボックスは、スペースの節約に大いに役立っている。床から72センチ浮いているベッドの台は、あえてマットレスよりも長めにつくっており、余った部分がデスクを兼ねる。椅子になるのはオレンジ色のチェストだ。ボックス下の壁のなかには収納が造り付けられている。
スタイル
寝室ボックスは白とトープで塗装し、アパートメント全体の色合いと統一した。両サイドに開けたスリットは、リビングルームやキッチンの棚のラインと呼応するフォルムになっている。「スリットは、実用的というより美的な理由からつくったのですが、このおかげでボックスがより軽やかな印象になっています」とランスさんは言う。
予算
アパートメント全体のリノベーション費用は約50,000ポンド(56,000ユーロ)。
プロジェクト4:4人の子どもと2つのボックス
概要
こちらは、フランス・パリ郊外の町、ピュトーにあるアパートメントを完全リノベーションしたプロジェクトの一部。オーナー家族には、ティーンエイジャーが1人、4歳から10歳までが4人と、合わせて5人の子どもたちがいる。最初に40平方メートルのアパートメントを購入し、その後数年間かけて段階的に追加購入して、合計120平方メートルの住まいとなった。とはいえ、子どもたち全員に自分の部屋をつくるだけの広さはない。それになにより、下の4人の子どもたちには部屋や持ち物をシェアさせながら育てたい、というのが両親の方針だった。プロジェクトを担当した設計事務所〈グラール〉のチームが家族のニーズに合わせて考え出したのは、2つのボックスを使ったスマートな解決案だった。
概要
こちらは、フランス・パリ郊外の町、ピュトーにあるアパートメントを完全リノベーションしたプロジェクトの一部。オーナー家族には、ティーンエイジャーが1人、4歳から10歳までが4人と、合わせて5人の子どもたちがいる。最初に40平方メートルのアパートメントを購入し、その後数年間かけて段階的に追加購入して、合計120平方メートルの住まいとなった。とはいえ、子どもたち全員に自分の部屋をつくるだけの広さはない。それになにより、下の4人の子どもたちには部屋や持ち物をシェアさせながら育てたい、というのが両親の方針だった。プロジェクトを担当した設計事務所〈グラール〉のチームが家族のニーズに合わせて考え出したのは、2つのボックスを使ったスマートな解決案だった。
設計の工夫は?
ボックスの素材は、木のフレームとMDF材で、床はパイン材合板だ。ひとつ当たりの大きさは、幅1.45×長さ3×高さ2.85メートル。これらのボックスには、アパートメントの構造的な要素を隠す役目もある。大きな部屋をつくるために耐力壁を取り壊す必要があり、その代わり、2つの支え構造としてコンクリートシェルとH鋼(断面がH形になっている柱)を本棚とベッドのあいだに追加しているのだが、どちらもボックスのなかに隠れている。
ボックスの素材は、木のフレームとMDF材で、床はパイン材合板だ。ひとつ当たりの大きさは、幅1.45×長さ3×高さ2.85メートル。これらのボックスには、アパートメントの構造的な要素を隠す役目もある。大きな部屋をつくるために耐力壁を取り壊す必要があり、その代わり、2つの支え構造としてコンクリートシェルとH鋼(断面がH形になっている柱)を本棚とベッドのあいだに追加しているのだが、どちらもボックスのなかに隠れている。
機能性
ほかのボックスプロジェクトと同様、こちらの大きなスリーピングボックスもさまざまな機能を兼ねている。それぞれのボックスのなかには、ベッドが2つあるほか、クローゼット、棚、勉強するためのデスクも用意されている。さらに、部屋の壁とボックスのなかにスライド式のパーティションが組み込まれており、引き出して部屋を仕切ることができるのだ。こちらの図面のように、3つのエリアに分割できる。こうすれば、2人の子どもたちがひとりになりたいときに、残りの2人が中央のエリアでいっしょに過ごすこともできる。
ほかのボックスプロジェクトと同様、こちらの大きなスリーピングボックスもさまざまな機能を兼ねている。それぞれのボックスのなかには、ベッドが2つあるほか、クローゼット、棚、勉強するためのデスクも用意されている。さらに、部屋の壁とボックスのなかにスライド式のパーティションが組み込まれており、引き出して部屋を仕切ることができるのだ。こちらの図面のように、3つのエリアに分割できる。こうすれば、2人の子どもたちがひとりになりたいときに、残りの2人が中央のエリアでいっしょに過ごすこともできる。
「スライド式パーティションを格納しているときは、ボックスが2つの大きな柱のようになって、その周りを子どもたちが走って遊ぶことができます」とグリスペロさんは言う。
スタイル
「インテリアデコレーションについては専門家でないので、あまり語れる立場じゃないのですが」と謙遜しながら、「真っ赤にペイントしようというアイデアだったんです。スイスアーミーナイフみたいにね」と言うグリスペロさん。このユーモラスな連想は、子どもたちの大のお気に入りだ。
「このボックスで大事だったのは、どちらかというと、見た目の美しさよりも考え方の問題ですね。このアパートメントの暮らしかたを再定義する作業だったんです。小さい子も安心できる共有空間のなかで、プライバシーを確保して自分だけの時間を過ごすことも可能になりました。それに、すぐにみんなでいっしょに遊べるのもいいですね」とグリスペロさんは言う。
予算
ボックス1つあたり約3,500ポンド(4,000ユーロ)(木工作業のみ)。
「インテリアデコレーションについては専門家でないので、あまり語れる立場じゃないのですが」と謙遜しながら、「真っ赤にペイントしようというアイデアだったんです。スイスアーミーナイフみたいにね」と言うグリスペロさん。このユーモラスな連想は、子どもたちの大のお気に入りだ。
「このボックスで大事だったのは、どちらかというと、見た目の美しさよりも考え方の問題ですね。このアパートメントの暮らしかたを再定義する作業だったんです。小さい子も安心できる共有空間のなかで、プライバシーを確保して自分だけの時間を過ごすことも可能になりました。それに、すぐにみんなでいっしょに遊べるのもいいですね」とグリスペロさんは言う。
予算
ボックス1つあたり約3,500ポンド(4,000ユーロ)(木工作業のみ)。
結論
4つのプロジェクトからわかるように、スリーピング・ボックスを取り入れるきっかけとして多くの住まい手が挙げているのは、スペース不足という問題だ。ボックス構造を使うことで、大きな部屋のなかに含まれる機能すべて(ベッド、収納スペース、さらにはバスルームやデスクまで)を、かなりコンパクトな空間にまとめることができる。同時に、部屋を仕切って分ける必要がなくなるので、より多くの自然光が取り込める。部屋の間取りを、2次元の平面を中心に考えるのではなく、3次元のヴォリュームとしてプランニングすることで可能になった革新的なボックスには、見る人だれもが惹きつけられるだろう。
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4つのプロジェクトからわかるように、スリーピング・ボックスを取り入れるきっかけとして多くの住まい手が挙げているのは、スペース不足という問題だ。ボックス構造を使うことで、大きな部屋のなかに含まれる機能すべて(ベッド、収納スペース、さらにはバスルームやデスクまで)を、かなりコンパクトな空間にまとめることができる。同時に、部屋を仕切って分ける必要がなくなるので、より多くの自然光が取り込める。部屋の間取りを、2次元の平面を中心に考えるのではなく、3次元のヴォリュームとしてプランニングすることで可能になった革新的なボックスには、見る人だれもが惹きつけられるだろう。
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