コメント
断食と整理収納の共通点からスマートな暮らし方が見えてくる

栗原晶子|Akiko Kurihara
2017年7月28日
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。
また、エンタメ好きとして演劇や映画に関するライティングも手がけています。
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。... もっと見る
世の中が豊かになり、物があふれる時代にあって、家の設計や家具の選び方、ストック品などモノの持ち方について、「無駄を削ぎ落として」暮らすというミニマルライフや「断捨離」の考え方が世界中で注目されています。
一方、無駄を削ぎ落とすという考え方は、食生活におけるダイエットにも通じます。実際片付けや整理整頓を進める上で、整理収納のプロはよくダイエットを引き合いに出して説明することをご存知でしょうか。例えば、「リバウンドしないための片づけ方法」といった表現はよく使われています。
私自身、先日、人生初の坐禅断食を体験し、想像以上に整理収納と重なる部分が多いことに気づきました。住まい方でも食生活でも、物がむやみにあふれているときよりも、必要なものが適切な量だけある暮らしのほうが、豊かで快適に暮らせるものなのです。
私自身、先日、人生初の坐禅断食を体験し、想像以上に整理収納と重なる部分が多いことに気づきました。住まい方でも食生活でも、物がむやみにあふれているときよりも、必要なものが適切な量だけある暮らしのほうが、豊かで快適に暮らせるものなのです。
そこで、今回は、整理収納と断食の共通点を挙げながら、日常で心がけたいスマートな暮らし方について考えます。
なお、断食と一口に言ってもさまざまな方法や定義があります。ここではあくまでも、私が体験した坐禅断食を参考にしていることをご了承ください。
なお、断食と一口に言ってもさまざまな方法や定義があります。ここではあくまでも、私が体験した坐禅断食を参考にしていることをご了承ください。
きっかけは好奇心
坐禅断食合宿に参加したのは、経験者からの程よいすすめと好奇心でした。「断食をしなければならない。絶対にするべき」と言われたら、きっとこのプログラムには参加していなかったでしょう。「捨てなきゃいけない、片付けなさい」と強制されると、苦手意識が先に来て、片付けは苦しいもの、つらいことと感じてしまうことに似ています。また、断食体験をしてみたらどうなるのだろう?何か素敵な効果があるのではないかという単純な好奇心は、部屋を片付ければ快適に暮らせるのでは!と期待することと同様の感覚です。
坐禅断食合宿に参加したのは、経験者からの程よいすすめと好奇心でした。「断食をしなければならない。絶対にするべき」と言われたら、きっとこのプログラムには参加していなかったでしょう。「捨てなきゃいけない、片付けなさい」と強制されると、苦手意識が先に来て、片付けは苦しいもの、つらいことと感じてしまうことに似ています。また、断食体験をしてみたらどうなるのだろう?何か素敵な効果があるのではないかという単純な好奇心は、部屋を片付ければ快適に暮らせるのでは!と期待することと同様の感覚です。
まずはすべて出す
期間中はルールに基づき、体(腸)の中に溜まったものを一度クリアにするために食べ物を口にしません。「食べ疲れ」という表現を使ったことはないでしょうか。食べることで内臓は消化吸収のための活動をするので、食べたものの量が多ければその分内臓は休まる時間が少ないということになります。これは例えていうなら、ぎゅうぎゅうに詰め込まれたクローゼットに似ています。たくさん洋服があればいいかといえばそうではなく、詰め込まれている状態は服の出し入れがしにくく、風通しも悪い。結果、洋服の保管状況としても決してよくはない状況になるのです。一度クリアにするために、整理をする時には、中のものをすべて出して、そこから整理をはじめます。
期間中はルールに基づき、体(腸)の中に溜まったものを一度クリアにするために食べ物を口にしません。「食べ疲れ」という表現を使ったことはないでしょうか。食べることで内臓は消化吸収のための活動をするので、食べたものの量が多ければその分内臓は休まる時間が少ないということになります。これは例えていうなら、ぎゅうぎゅうに詰め込まれたクローゼットに似ています。たくさん洋服があればいいかといえばそうではなく、詰め込まれている状態は服の出し入れがしにくく、風通しも悪い。結果、洋服の保管状況としても決してよくはない状況になるのです。一度クリアにするために、整理をする時には、中のものをすべて出して、そこから整理をはじめます。
自分と向き合う、自分が決める
坐禅断食ではその名の通り、断食を実行しながら坐禅に取り組みます。これは決まったプログラムを繰り返しながら、自分の心や体に向き合う時間でした。整理収納でも、特に整理の段階では、モノと向き合い、自分と向き合いながら進めます。使えるか使えないかで、要不要を決めるのではなく、自分が今使うか、使わないかで決めることが大切なのです。
坐禅の合間にはしっかり休息も取り、メリハリをつけることも大切なルールでした。ぶっ通しで何時間も休みなく片付けをするのは、とてもハードな作業です。整理収納のプロが時間や場所を限定し、メリハリをつけて作業を進めるのもこれと同じと言えるでしょう。
坐禅断食ではその名の通り、断食を実行しながら坐禅に取り組みます。これは決まったプログラムを繰り返しながら、自分の心や体に向き合う時間でした。整理収納でも、特に整理の段階では、モノと向き合い、自分と向き合いながら進めます。使えるか使えないかで、要不要を決めるのではなく、自分が今使うか、使わないかで決めることが大切なのです。
坐禅の合間にはしっかり休息も取り、メリハリをつけることも大切なルールでした。ぶっ通しで何時間も休みなく片付けをするのは、とてもハードな作業です。整理収納のプロが時間や場所を限定し、メリハリをつけて作業を進めるのもこれと同じと言えるでしょう。
その後の習慣が大切
断食が明けた後、もっとも大切なのがその後の食事です。量や種類について示されたガイドに基づき、各自が食事管理を継続します。食べなかった時間の分を取り返すように食事をたっぷり摂るなどということはもちろんありません。断食明け後は、「これは今、本当に食べたいものか」、「体が欲しているものなのか」、という具合に食べるものを自然と吟味するようになるので、必要以上のものを摂取することがなくなります。
例えばキッチンのストック食材を整理収納し、在庫を把握できるようになれば、その後は無駄に買い物をしなくて済むようになったという事例がありますが、これは買い物をする時に、本当に今必要なものか否かを吟味したうえで購入できるようになるから叶うことです。そうすることで、モノの量もリバウンドしにくくなります。
断食が明けた後、もっとも大切なのがその後の食事です。量や種類について示されたガイドに基づき、各自が食事管理を継続します。食べなかった時間の分を取り返すように食事をたっぷり摂るなどということはもちろんありません。断食明け後は、「これは今、本当に食べたいものか」、「体が欲しているものなのか」、という具合に食べるものを自然と吟味するようになるので、必要以上のものを摂取することがなくなります。
例えばキッチンのストック食材を整理収納し、在庫を把握できるようになれば、その後は無駄に買い物をしなくて済むようになったという事例がありますが、これは買い物をする時に、本当に今必要なものか否かを吟味したうえで購入できるようになるから叶うことです。そうすることで、モノの量もリバウンドしにくくなります。
減った量より得た効果
断食を体験したと言うと、ほとんどの人が「何kg痩せた?」とそのことを気にするでしょう。しかし、減量ということ以上に、体の不調が改善された、体が軽くなった、食べ物が今まで以上においしく感じられるようになった、などという効果を実感することが出来るのです。
片付けで言えば、収納の定位置が決まり出し入れがしやすくなった、部屋がスッキリして居心地がよくなった、無駄買いがなくなり経済的、などというように、捨てたモノの量が大切なのではなく、整理収納したことで得た効果にこそ価値があるのです。
断食を体験したと言うと、ほとんどの人が「何kg痩せた?」とそのことを気にするでしょう。しかし、減量ということ以上に、体の不調が改善された、体が軽くなった、食べ物が今まで以上においしく感じられるようになった、などという効果を実感することが出来るのです。
片付けで言えば、収納の定位置が決まり出し入れがしやすくなった、部屋がスッキリして居心地がよくなった、無駄買いがなくなり経済的、などというように、捨てたモノの量が大切なのではなく、整理収納したことで得た効果にこそ価値があるのです。
達成するためには味方が必要
乱れがちだった食生活に無理のないルールを作れたことも、やはり整理収納の効果に似ています。
最後に、今回私が体験したのは数日間の坐禅断食プログラムでしたが、指導してくださる方と、共に取り組める仲間がいたことで、くじけずに無事終えることができました。一人ではなかなか進まなかった片付けが、例えば整理収納のプロという伴走者や家族という味方の協力を得ることで進められるという事例もあるはずです。
ということは、一度の達成感に甘んじず、定期的に見直すこともまたスマートな暮らしを持続するために必要なことと言えそうです。
教えてHouzz
ご感想をお聞かせください。
乱れがちだった食生活に無理のないルールを作れたことも、やはり整理収納の効果に似ています。
最後に、今回私が体験したのは数日間の坐禅断食プログラムでしたが、指導してくださる方と、共に取り組める仲間がいたことで、くじけずに無事終えることができました。一人ではなかなか進まなかった片付けが、例えば整理収納のプロという伴走者や家族という味方の協力を得ることで進められるという事例もあるはずです。
ということは、一度の達成感に甘んじず、定期的に見直すこともまたスマートな暮らしを持続するために必要なことと言えそうです。
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