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家族の笑顔を約束する、使いやすい場所と収納にこだわったLDK
家族がくつろぎ、人を招いてもてなし楽しむLDKは、多くの人の理想です。整理収納アドバイザー、サルベージプロデューサー、そして3人の子どもを育てる母でもある上原雅子さんのLDKには居心地のよい空間をつくるヒントがつまっています。

栗原晶子|Akiko Kurihara
2017年7月19日
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。
また、エンタメ好きとして演劇や映画に関するライティングも手がけています。
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。... もっと見る
育ちざかりの3人の子どもの母であり、整理収納アドバイザー、そしてサルベージプロデューサーとして活躍中の〈ななのはな〉の上原雅子さん。家族が笑顔で過ごせる空間であることを第一にした明るいリビングダイニング、食材やツールを管理しやすく工夫したキッチンの収納など、真似したくなるアイデアと参考にしたくなる心がけが詰まったお宅の一部をご紹介します。
上原さん一家が暮らすのは、3人目のお子さんが生まれる前の2007年に新築で購入したという埼玉県内のマンション。暮らし始めて今年で10年を迎えた。
家族が集うリビングダイニングは、北欧デザインを取り入れてコーディネートしている。実は上原さんが北欧に興味を持ったきっかけは、デザイン以前に、北欧の暮らし方や教育に興味を抱いたから。子どもの自主性を育てる子育てや社会環境などを知るとともに、北欧の家具や雑貨などにも次第に惹かれていったという。この家に引っ越すタイミングで家具を〈イケア〉などで揃えた。特に定番商品である本棚は大活躍、さまざまな部屋で使用してきた。現在は、背板の代わりに有孔ボードを貼り付け、両側から使えるようDIYしたものをリビングダイニングで1台、キッチンカウンターの上で1台使用している。
白を基調に、あたたかみのある白木の椅子やテーブルを配置したリビング。白いデスクは、2人の娘さんの勉強机だ。子ども部屋である隣の和室から必要なものを出し入れして使うので、デスクの周りには特に収納を設けていない。
窓側から眺めたLDKの全景。白いデスクの後ろにはピアノがあり、壁には娘さんたちが先日、上原邸で開催したイベント時に作ったアート作品を飾っている。
黒×白のストライプのファブリックを自ら貼ったというキッチンカウンター下の壁が部屋のアクセント。カウンター横の丸テーブルは家族が食事をするダイニングテーブルだ。「家族一緒の食事が何より大切な時間です。座る場所はほぼ決まっていますが、娘たちはまだ私の隣の席を取り合ったりすることもあるんですよ」とうれしそうに話す上原さん。
キッチンをのぞいてみよう。5人家族のキッチンとしては決して広いとは言えない5.184㎡(約3.2畳)。元々料理好きなことに加え、サルベージパーティーの開催など、人を招く機会もある上原邸では、キッチン台の収納と背面の食器棚をフル活用。また奥の棚は可動式で、コンロを使って調理する時は、食器棚側に移動し、スペースを確保している。
冷蔵庫は、中身が一目でわかる瓶や保存ケースに常備菜などを入れて管理。また使う時に出し入れしやすくグループ分けした食品を、仕切りケースを活用して収納している。やかんが丸ごと入るスペースを確保しているのも上原家の冷蔵庫整理の暗黙のルールだ。
野菜は新聞を折って作った仕切りケースで収納。「程よく湿気も吸ってくれて、汚れたりクタッとしてきたら取り替えればいいので便利です」と上原さん。
調味料類は引き出しサイズに合わせて同じメーカーのものでそろえた。上部にラベルを貼っているので、引き出した時に中身がすぐわかるようにしているのがポイント。
可動式の棚は、下段にゴミ箱、3つのバスケットには左からパーティーなどで使用する子ども用のプラスチック食器、パンやクラッカー、果物と種類別に定位置を決めている。
中段は仕込み中のみそや梅漬けなどの手づくり保存食、子どもたちのおやつや、ご主人が主に使うコーヒーセットなどは、それぞれケースに入れて収めている。
中段は仕込み中のみそや梅漬けなどの手づくり保存食、子どもたちのおやつや、ご主人が主に使うコーヒーセットなどは、それぞれケースに入れて収めている。
収納場所が決まっていることで、お子さんたちも手伝いやすいとのことだが、何より上原さん自身がモノの定位置が決まっていることで家事の負担を減らすことが出来ていると実感している。「片づけや在庫把握に時間を取られない分、食事に気を遣えているのかもしれませんね」と上原さん。キッチンに立つ姿からも家族への愛情や食に対しての思いが伝わってくるようだ。
リビングの壁面収納にも注目してみよう。引き出し、扉つき収納、ミニデスクとしても使える棚、そしてテレビ台と、多くの機能を持つ収納家具には、用途と頻度に合わせたモノが最適な場所に収納されている。
棚の左下はご主人のお酒コーナー。ダイニングテーブルの座り位置から一番取り出しやすい場所にこのコーナーを設けている。
ミニデスクにもなる棚下の引き出しには、日常使いの文房具類などを収納。仕切りは、収めるモノに合わせて上原さんが手づくりしている。材料は牛乳パックにフエルトを貼り合わせただけ。フエルトは切りっぱなしで使えて、滑り止め効果もあるので、引き出しの仕切りにぴったり。
棚の中央、ガラス扉のついた棚には、上原さんお気に入りの北欧デザインの食器を並べている。詰め込まず、ギャラリーのように見せる収納にしているところがポイント。「大切なモノばかりですが、飾るだけでなく、これらはすべて普段使いもしています。良いものだからこそ、子どもたちにも使って欲しいんです」上原さんのモノへの愛情に満ちた言葉も聞くことができた。
食器棚下の引き出しには、パーティーで使う箸置き、コースター、ペーパーナプキンなどの道具をケースや仕切りを使って収納。
テーブルクロスやランチョンマットは、柄が一目でわかるように、折り畳み、立てて収納。こうしておくことで、パーティー以外の時にも娘さんが「今日敷こうよ!」と準備してくれることがあるそう。出し入れしやすい場所に置くことで、使用頻度が上がっているという好例だ。
その他にも、テレビ台下の引き出しにはゲーム機やDVDを揃えて収納。
棚の中では書類をファイルケースやフォルダを使って収納している。取り扱い説明書などは探しやすいように部屋別にフォルダを設けている。
対面する和室脇の縦型収納棚には、下段に掃除用具など生活関連グッズを詰め込まず取り出しやすく収納。上段はお子さんたちの絵や写真を人別にていねいに保管している。
お子さんの誕生日パーティーや、季節のイベント、自身がプロデューサーとしても活躍するサルベージパーティーなどを開く時には、レイアウトを変更。お子さんの勉強机をつなげてロングテーブルにしたり、丸テーブルを移動するなど、配置は自由自在だ。テーブルクロスをかけ替えたり、食器やマットでコーディネートを楽しむ。
お気に入りの柄のファブリックを壁に貼ったり、クッションカバーを手作りするなど、布使いも楽しい。子どもが集まるパーティーでは、楽しい柄のものをセレクトし、ソファカバーの上から掛けた。
「以前は片づけても片づけても散らかる日々にイライラしてしまったり、無力感を感じてしまうこともありました。でも自分にとって何が大事なのかを改めて見直してみた時に、強く感じたのは、忙しくても子どもの誕生日や季節のイベントと食事は大事にしたいという思いでした」と語る上原さん。事実、その思いは、家族に伝わり、そしてサルベージプロデューサーという活動にも通じている。
2015年に整理収納アドバイザーの資格を取得してからは、いざという時に1時間で片づけられる収納にすることができる家になったという。「リセットタイムを取れば、元に戻せるという安心感があるので、パーティーでレイアウトを変えても大丈夫です。片づいていない週末だってありますよ」とほがらかに笑う上原さん。
家は家族が居心地よく暮らせる空間であることが何よりも大事だと語る彼女のまなざしは、明るいリビング、使い慣れたキッチン、そして未来の仕事(活動)にしっかりと注がれている。
家は家族が居心地よく暮らせる空間であることが何よりも大事だと語る彼女のまなざしは、明るいリビング、使い慣れたキッチン、そして未来の仕事(活動)にしっかりと注がれている。
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