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古いタウンハウスを、白を基調にした北欧スタイルに
スウェーデンに縁のあるオーナーがタウンハウスをリノベーションする際に選んだのは、白をベースにした、清潔感あふれるスカンジナビアスタイルでした。
Janet Dunn
2017年8月16日
オーストラリア、メルボルンの南、アルバート・パーク地区に立つ、歴史あるヴィクトリア朝のタウンハウス。若いファミリーはこれをリノベーションで一新しようと思い立った。仕事を依頼した建築家のクレア・カズンズさんには、スカンジナビアデザインにヒントを得たスタイルで、と伝えた。具体的には、むだをそぎ落としすっきり整ったスタイル、表情豊かな自然素材を使い洗練されたデザインの家具、光を反射して空間を明るくする白の背景を希望した。こうしたスタイルを選ぶのは、スウェーデンと縁のあるオーナー一家にとっては自然な流れだった。
こうした要望をもとに、メルボルンのアルバートパークの近所にあるタウンハウスはリノベーションの結果、美しい家に生まれ変わった。オーストラリアでは、玄関の片側に1部屋を配したシングルフロントタイプでコンパクトな平屋のタウンハウスといえば、建物の奥まで続く廊下に沿っていくつか部屋が並ぶスタイルが定番だ。こうした空間上の制限とヴィクトリアスタイルの伝統的な間取りをふまえ、カズンズさんはシンプルで実用的な家に仕立て、すっきりしたラインが美しい北欧インテリアを合わせた。淡いトーンでまとめたピュアなインテリアに控えめな存在感の素材、あくまで抑えながらも効かせた黒の差し色と明るいアクセントカラーからは、クラシックなスカンジナビアデザインらしいアプローチへの敬愛がうかがえる。
こうした要望をもとに、メルボルンのアルバートパークの近所にあるタウンハウスはリノベーションの結果、美しい家に生まれ変わった。オーストラリアでは、玄関の片側に1部屋を配したシングルフロントタイプでコンパクトな平屋のタウンハウスといえば、建物の奥まで続く廊下に沿っていくつか部屋が並ぶスタイルが定番だ。こうした空間上の制限とヴィクトリアスタイルの伝統的な間取りをふまえ、カズンズさんはシンプルで実用的な家に仕立て、すっきりしたラインが美しい北欧インテリアを合わせた。淡いトーンでまとめたピュアなインテリアに控えめな存在感の素材、あくまで抑えながらも効かせた黒の差し色と明るいアクセントカラーからは、クラシックなスカンジナビアデザインらしいアプローチへの敬愛がうかがえる。
どんなHouzz?
住まい手:スウェーデン系オーストラリア人の家族。子どもは3歳と6歳
所在地:オーストラリア、ヴィクトリア州アルバート・パーク
規模:ベッドルームx2、バスルームx2
設計と内装:クレア・カズンズ
カズンズさんとオーナー夫妻の間で方向性が一致し、リノベーションは7ヵ月で完成した。幅5メートル奥行23メートルの家は、基本的な間取りは残したまま、住まい手のニーズに合わせて部屋の機能に手を加えた。「ライフスタイルに合わせて室内空間を再構成したい、ベッドルームは2人のお子さんが一緒に使えるようにして、ソフトなスカンジナビアスタイルの色づかいの素材を使いたい、というのがオーナーの要望でした」とカズンズさんは言う。
オーストラリアとスカンジナビアが融合したエントランス。花をモチーフにした装飾的なステンドグラスをそのまま活かしている。オーストラリア郊外の古い住宅でよくみられる特徴だ。
住まい手:スウェーデン系オーストラリア人の家族。子どもは3歳と6歳
所在地:オーストラリア、ヴィクトリア州アルバート・パーク
規模:ベッドルームx2、バスルームx2
設計と内装:クレア・カズンズ
カズンズさんとオーナー夫妻の間で方向性が一致し、リノベーションは7ヵ月で完成した。幅5メートル奥行23メートルの家は、基本的な間取りは残したまま、住まい手のニーズに合わせて部屋の機能に手を加えた。「ライフスタイルに合わせて室内空間を再構成したい、ベッドルームは2人のお子さんが一緒に使えるようにして、ソフトなスカンジナビアスタイルの色づかいの素材を使いたい、というのがオーナーの要望でした」とカズンズさんは言う。
オーストラリアとスカンジナビアが融合したエントランス。花をモチーフにした装飾的なステンドグラスをそのまま活かしている。オーストラリア郊外の古い住宅でよくみられる特徴だ。
玄関ポーチから入ると廊下沿いの最初の部屋は、もとは寝室だった空間を造りかえた書斎。海外からゲストを迎えたときはゲストルームになる。
各部屋はコンパクトなサイズだが、光が入って広さがあり、すっきり整ったシンプルな空間、という第一印象だ。書斎には幅いっぱいにキャビネットを作りつけ、2人分のワークスペースを用意した。たっぷり設けた引き出しは、ノブのかわりに前板の上部をくり抜いた手掛けにして実用的に。空間を広く見せると同時に、白でまとめた家具のシンプルなラインを強調している。
廊下に面した次の部屋は、楽しさいっぱいの子ども部屋。白でペイントした木のパネルを縦に配し、中に2人分のベッドが収められている。ベッド部分の壁はオーストラリア産ナンヨウスギを使った合板で、好きなところに差しこんでおもちゃなどを掛けられる木釘がついている。ベッド下には奥行きのある引き出しを端から端まで入れ、スペースを1センチもむだにしていない。ベッドの上のパネルも開けると収納になっている。
書斎からベッドルーム、キッチン、バスルーム、ランドリーに至るまで、家全体を通して、キャビネットは主張せず無駄のないラインが美しい。子ども部屋のこちらのキャビネットはフローティングタイプで床上に空間のあきをつくり、部屋全体に軽やかな雰囲気を出すほか、淡い色の木のフローリングが視界に入る面積を大きくした。
コーナーには壁掛け式の小さなデスクを備えつけた。手前の暖炉はもとからあったもので、壁の裏側にある書斎には似た暖炉が背中合わせに据えてある。どちらも使える状態で、〈ホワイトナイト〉の《ポットベリーブラック》で黒くペイントした。楽しくなるようなアートとペイントしたスツールがカラフルなアクセントになっている。
羽目板とキャビネットは、すべてホワイトウォッシュのマット仕上げを施した木のフローリングに合う色味を選んだ。〈イケア〉のラグ《ストックホルム》の白黒ストライプが、〈デュラックス〉の《ホワイトオンホワイト》でペイントした明るい白の木材と壁を引き締めている。
廊下を進んだ次の部屋は夫妻のベッドルーム。もとからあった高めの幅木とパネル張りのドアが、装飾の少ない部屋に歴史を感じさせるディテールを加えている。キングベッドの下に設けた淡い色の木の引き出しは、他の部屋に設けたキャビネットと同じスタイル。ランドリースペースだった部屋は、広さのあるウォークインクローゼット兼身じたく用の部屋に造りかえた。
夫妻のベッドルームに直結するバスルームは、黒、グレー、白のトーンで上品にまとめた。壁のタイルは〈クラシックセラミックス〉製の《ヴォーグ》(10センチ四方)を破れ目地張りにしている。タイルは《ラテ》、目地は〈デフコ〉の《シルバーグレー》(現在は廃番)を使った。
フラットな板状のシンクを現場打ちコンクリートで一体成形したコンクリート製洗面台はカスタムメイドだ。壁掛け式のミラーつきキャビネットはすっきりした造形が美しく、ほかの部屋にしつらえた木製家具の特徴に通じる。
廊下を一番奥に進むともうひとつのバスルームがある。どちらのバスルームにも使用した人造大理石タイルは〈クラシックセラミックス〉の《カララ TRE/67》仕上げ。クリーンな空間に質感のおもしろさを加えた。壁のタイルと蛇口、シャワーは両バスルームとも同じものでそろえている。
左側に見える白でペイントした木製折戸の裏側は、省スペースのランドリーと靴を収納するスペースになっている。
左側に見える白でペイントした木製折戸の裏側は、省スペースのランドリーと靴を収納するスペースになっている。
細い廊下から、リビングへ来ると光あふれる空間が広がる。色づかいと素材はベッドルームやバスルームと同じテーマでまとめ、クリーンですっきりした統一感が家全体に貫かれている。
デスク代わりにもなる小さな壁付けシェルフと引き出しがリビングエリアの一角にしつらえてあり、帰宅してまず身の回りのものを置いておく場所として使える。
リビング、廊下、ベッドルーム、そして書斎の床はすべてホワイトウォッシュ仕上げの木材。施工管理を行う〈フィド・プロジェクト〉のジョエル・カーさんは「フローリングは耐久性に優れた明るい色の木材を、というのが施主の希望でした。そうすると、一般によく使われるオーストラリア産のハードウッドはほとんどが対象外になります。そこでかなり硬質で明るい色味のサトウカエデを提案しました。幅18センチの板材をホワイトウォッシュ加工し、マットに仕上げたものを使っています」と説明する。
リビング、廊下、ベッドルーム、そして書斎の床はすべてホワイトウォッシュ仕上げの木材。施工管理を行う〈フィド・プロジェクト〉のジョエル・カーさんは「フローリングは耐久性に優れた明るい色の木材を、というのが施主の希望でした。そうすると、一般によく使われるオーストラリア産のハードウッドはほとんどが対象外になります。そこでかなり硬質で明るい色味のサトウカエデを提案しました。幅18センチの板材をホワイトウォッシュ加工し、マットに仕上げたものを使っています」と説明する。
ポリッシュコンクリートのカウンタートップはカンティレバー(片持ち)構造で、片側の端がカジュアルなダイニングエリアにもなる。〈フィド・プロジェクト〉の依頼を受けた施工業者〈コンクリート・バイ・キーナン・ハリス〉が手がけ、現場でコンクリートを打った。「技術的にはややチャレンジでした。アイランドの土台にあたる木造部分は、コンクリートの重さに耐えられるよう補強しなくてはいけませんでしたから」とカーさんは振り返る。アイランドをぐるりと囲む仕上げ材は目を引くデザイン。タスマニアンオークをホワイトウォッシュ加工した、半円形の棒状の木材を縦に配列している。
バックスプラッシュと、〈ミーレ〉の5口ガスコンロがついたもうひとつの調理カウンターは、〈CDKストーン〉で見つけたグレーホワイトの大理石、ビアンコカララを使用。ダブルオーブンも同じく〈ミーレ〉。
バックスプラッシュと、〈ミーレ〉の5口ガスコンロがついたもうひとつの調理カウンターは、〈CDKストーン〉で見つけたグレーホワイトの大理石、ビアンコカララを使用。ダブルオーブンも同じく〈ミーレ〉。
引き出しが静かに閉まるソフトクローズ仕様になった、すっきりしたラインのキャビネット。実用的な調理器具用の仕切りや収納トレー、スライド式ラックなども備わっている。パンくず受けつきパン用カッティングボードもそのひとつだ。
ダイニングテーブルとチェアはしっかりした造りだがスタイリッシュで、北欧らしいシンプルさが全体に感じられる。会話が弾むようオープンキッチンの前に配置した。〈クレア・カズンズ・アーキテクツ〉がデザインし、〈フィド・プロジェクト〉が製作した。
大型のガラス引き戸は、ベンチがある屋外のウッドデッキへ続く。デッキはリノベーション前と変わっていない。羽根板のスクリーンが裏通りの入口にあたるガレージ兼納屋を目隠ししている。
教えてHouzz
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My Houzz/日本/北米/中南米/ヨーロッパ/北欧/中東/アジア/オセアニア/新築/リノベーション/別荘/二世帯住宅/賃貸住宅
大型のガラス引き戸は、ベンチがある屋外のウッドデッキへ続く。デッキはリノベーション前と変わっていない。羽根板のスクリーンが裏通りの入口にあたるガレージ兼納屋を目隠ししている。
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