Low-E複層ガラスとは? 最新の窓ガラスが持つ、断熱や遮熱性能のことを知ろう!
家のなかにいても暑さや寒さに悩まされた経験はありませんか? 窓の性能を上げて快適な住まいを実現しましょう。
永井理恵子
2019年7月31日
窓は、家の中の熱が最も失われやすい部分。そこで、断熱性や遮熱性の高さから注目されているのが、特殊な金属膜で表面をコーティングしたガラスを使った「Low-E複層ガラス」です。夏の強い日差しや熱を遮断し、冬は室内の熱を逃さないため、室内を快適に保つことができる省エネ建材でもあります。この記事では、快適な住まいづくりに役立つ建材「Low-E複層ガラス」を取り入れるメリットを解説します。
「一般ガラス」と「機能ガラス」
住宅に使われるガラスには、一般ガラスと機能ガラスがあります。一般ガラスとは、1枚でできた板状のガラスのことを指します。一般的な平板状の板ガラスや、網入り板ガラス、擦り板ガラスなどが含まれます。
住宅に使われるガラスには、一般ガラスと機能ガラスがあります。一般ガラスとは、1枚でできた板状のガラスのことを指します。一般的な平板状の板ガラスや、網入り板ガラス、擦り板ガラスなどが含まれます。
Low-Eとは?
Low-EのLowは “低い”、Eは “Emissivity” の頭文字で放射率を意味する言葉。この2つの言葉をから、Low-Eが意味するのは “低放射率” だとわかります。
熱は、放射・対流・伝導の3つによって移動します。そのうちの1つである放射による熱の移動は、赤外線によるものです。絶対零度よりも温度が高いものはすべて赤外線を発しています。
窓・サッシの専門家を探す
Low-EのLowは “低い”、Eは “Emissivity” の頭文字で放射率を意味する言葉。この2つの言葉をから、Low-Eが意味するのは “低放射率” だとわかります。
熱は、放射・対流・伝導の3つによって移動します。そのうちの1つである放射による熱の移動は、赤外線によるものです。絶対零度よりも温度が高いものはすべて赤外線を発しています。
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赤外線は、大きく分けて近赤外線と遠赤外線に分けられます。短い波長の近赤外線はガラスを含む多くの物体を透過しますが、長い波長の遠赤外線はガラスをはじめ多くの物体を透過できないため、物体の表面で吸収され、再び熱として放射されます。
この放射を大幅に低減するのが、表面に放射率の低い銀などの金属をコーティングしているLow-Eガラス。もう1枚ガラスを使用して作られる「Low-E複層ガラス」なら、断熱性能が一層アップします。
また、2枚のガラスが生み出す層にアルゴンガスを封入したり、この層を真空にすれば、さらに断熱性能が高くなります。
この放射を大幅に低減するのが、表面に放射率の低い銀などの金属をコーティングしているLow-Eガラス。もう1枚ガラスを使用して作られる「Low-E複層ガラス」なら、断熱性能が一層アップします。
また、2枚のガラスが生み出す層にアルゴンガスを封入したり、この層を真空にすれば、さらに断熱性能が高くなります。
遮熱と断熱。選ぶならどっち?
「Low-E複層ガラス」には遮熱タイプと断熱タイプの2種類があります。
違いは、Low-Eガラスを室外側、室内側のどちらに使用するかだけ。室外側に使っているなら遮熱タイプ。室内側に使っているなら断熱タイプです。
「Low-E複層ガラス」には遮熱タイプと断熱タイプの2種類があります。
違いは、Low-Eガラスを室外側、室内側のどちらに使用するかだけ。室外側に使っているなら遮熱タイプ。室内側に使っているなら断熱タイプです。
夏、屋外から家の中に入ってくる熱の74%が窓からだと言われています。
夏の暑さをやわらげたいなら、室外側にLow-Eガラスを配した「遮熱タイプ」がおすすめ。夏の日差しを遮る遮熱性能が高いため、冷房効率アップにつながります。
採光性は損なわずに紫外線をカットするので、窓枠や床、家具やカーペットの退色を抑えることができます。
夏の暑さをやわらげたいなら、室外側にLow-Eガラスを配した「遮熱タイプ」がおすすめ。夏の日差しを遮る遮熱性能が高いため、冷房効率アップにつながります。
採光性は損なわずに紫外線をカットするので、窓枠や床、家具やカーペットの退色を抑えることができます。
室内側にLow-Eガラスがある断熱タイプは、冬の寒い日に大活躍。太陽の日差しを家の中に取り込みながらも暖房による熱を外へ逃しづらいため、心地よく快適に過ごすことができます。断熱タイプが寒冷地向きと言われる最大の理由です。
また、Low-E複層ガラスは結露が発生しづらいので、カビなどの繁殖も抑えられます。
また、Low-E複層ガラスは結露が発生しづらいので、カビなどの繁殖も抑えられます。
〈大塚高史建築設計事務所〉が手がけた《NATSUGI FLATS》。1階が店舗、2階と3階をそれぞれの世帯が住居として使用しています。住居フロアのLDKは、幹線道路に面した側の窓は必要最低限にとどめ、幹線道路に面していない南側の窓を広くとっています。そのため、冬こそ心地よい温もりをもたらしますが、夏には日差しと共に不快な熱によって室温が上昇してしまいます。そこで建築家が選んだ窓は、遮熱タイプのLow-E複層ガラス。明るさを保ちながら、日射熱を6割ほどカットしてくれるので、室温の上昇を抑えることができます。
窓のデザインの写真をみる
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ガラスの色で機能が変わる
「Low-E複層ガラス」には、グリーンやブルー、ブロンズ、シルバーなどの色がついています。その色によって断熱か遮熱かが決まっている、というわけではなく、製造メーカーごと、機能によって、色が異なります。とはいえ、遮熱タイプと断熱タイプで同じ色のLow-Eガラスを用意しているメーカーがほとんど。例えば、寒冷地に暮らす場合、LDKにある大きな引き違い窓には断熱タイプを、西日が当たる窓には遮熱タイプを選ぶなど、部屋の場所や用途に合わせ、同じ色の異なるタイプを組み合わせることも可能です。
「Low-E複層ガラス」には、グリーンやブルー、ブロンズ、シルバーなどの色がついています。その色によって断熱か遮熱かが決まっている、というわけではなく、製造メーカーごと、機能によって、色が異なります。とはいえ、遮熱タイプと断熱タイプで同じ色のLow-Eガラスを用意しているメーカーがほとんど。例えば、寒冷地に暮らす場合、LDKにある大きな引き違い窓には断熱タイプを、西日が当たる窓には遮熱タイプを選ぶなど、部屋の場所や用途に合わせ、同じ色の異なるタイプを組み合わせることも可能です。
“窓” の省エネ性能表示とは?
窓に貼られた青いシールを見たことがありますか? このシールに描かれた星の数が、ガラスとサッシを組み合わせてできた窓の省エネ性能を表しています。星の数は最大4つ。数が増えるほど断熱性能が高くなります。
エコ住宅って、どんな家?
窓に貼られた青いシールを見たことがありますか? このシールに描かれた星の数が、ガラスとサッシを組み合わせてできた窓の省エネ性能を表しています。星の数は最大4つ。数が増えるほど断熱性能が高くなります。
エコ住宅って、どんな家?
星の数を決めるのは、熱貫流率(U値)です。これは、窓の内外の温度差が1℃のとき、単位時間当たりに窓の面積1平方メートルを通過する熱量をワットで表したもの。星4つの窓は、熱貫流率2.33以下。3つなら、2.33を超え、3.49以下と、熱貫流率の数値が小さければ小さいほど、断熱性に優れているのです。
この数値には、ガラスのほか、サッシの性能も大きく関わってきます。サッシの素材には、木、樹脂、アルミと樹脂の複合、アルミの4種類があります。断熱性能は、記した通りの順に低くなっていきます。
〈エイチ・アンド一級建築事務所〉が手がけたこの家の北東側の窓には、Low-E複層ガラスと木製の窓枠が使われています。坂道を上った先にあるこの家からは、周囲にある山々を一望できるそう。木製サッシはまるで風景画を彩る木枠のようで、自然との見事な調和をもたらしています。木製サッシならではの高いインテリア性が活きています。
家の中で最も熱の出入りが大きな窓。どれを選ぶかが、家の快適さを決める鍵となります。その土地の気候、間取り、周囲の状況に合わせて窓を選べば、きっと、居心地のいい空間を生み出せるはずです。
風合いある空間づくりに「木製サッシ」のすすめ
〈エイチ・アンド一級建築事務所〉が手がけたこの家の北東側の窓には、Low-E複層ガラスと木製の窓枠が使われています。坂道を上った先にあるこの家からは、周囲にある山々を一望できるそう。木製サッシはまるで風景画を彩る木枠のようで、自然との見事な調和をもたらしています。木製サッシならではの高いインテリア性が活きています。
家の中で最も熱の出入りが大きな窓。どれを選ぶかが、家の快適さを決める鍵となります。その土地の気候、間取り、周囲の状況に合わせて窓を選べば、きっと、居心地のいい空間を生み出せるはずです。
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窓の断熱改修による室内温熱環境の改善は、高齢者の【血圧】に良い影響を及ぼすデータが多くありますのでお勧めしています。
キッチン・トイレ等と比べると見た目に大きく変化しないからか「お客様のご要望」としては少ないのですが、「コーディネーターとして」温度差の危険を踏まえてお伝えし、建物全体としなくとも、トイレ・脱衣室等、非暖房室。
そして、寝室・居間と予算に合わせて取り入れる事が出来ないか提案していきます。
最後はお客様の決定ですが、家主となっておられる方が4、50代の方が省エネの意識も手伝ってか、積極的に感じます。
コメント失礼します。
窓に関する丁寧な記事を掲載していただき嬉しく思います。
私達が手掛けている住まい(家)は、1棟1棟を熱量計算(熱損失係数など)を行いながら建築をさせていただく為、住まいの窓の選定にはとても気を使っております。
窓の大きさや位置、その窓のガラス性能や窓枠の種類によっては、住まいの性能に大きな差が出る事も多く、窓ガラスと窓枠の種類の選定には、もっとより多くの方々に興味をもっていただけたらと日々思っております。
特に窓ガラスに関しては、新築時に採用してから年々ガラスの性能が低下する事は避けられない製品の為、窓ガラスと窓枠の選定が、より高性能な住まいを長期間維持できるのか、また、窓ガラスを将来交換できる商品なのかによっても、初期のコストだけではなく、長く使用した場合のメンテナンス性なども含めたトータルコストをも考えなければならない重要な部材だと考えております。
このような記事を掲載していただき、本当に感謝いたしております。
窓ガラスと窓枠にも経年劣化があるのですね。勉強になりました。