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延床面積約27坪。段差活用と無駄のない間取りで、コンパクトで快適な家に
段差を上手に活用し、外に開かれつつプライバシーも守れる、住みやすさのための工夫がいっぱいの設計。インディゴブルーの外壁が印象的な家。
takako kawaguchi
2017年5月31日
結婚を機に家の新築を検討したオーナー夫妻。地元の〈祐建築設計事務所〉の建物を見て気に入ったことから、家づくりを依頼する運びに。3分割した分譲地の真ん中の敷地に、プライバシーを守りつつ緑を楽しめる家を建てたい、そんな夫妻の夢と希望を、限られた条件の中で叶えるためには知恵と工夫が必要だった。間取り、空間の立体活用の徹底検証。そしてついにコンパクトでも住まい手にワクワク感を与える家が誕生した。夫妻お気に入りの家には “little forest” というコンセプトも。住宅地の中のオアシスのような、小さな森を思わせる癒しの家をご紹介する。
家の前に立ってまず目を惹くのが、ガルバリウム鋼鈑のインディゴブルーとホワイトのコンビネーション。杉板のブラウンがアクセントとして加わり、センスのよい色調バランスに。インディゴブルーは、オーナーが当初から気に入っていた、設計事務所のイメージカラーから採用したもの。
もうひとつ特徴的なのが、ほぼ長方形の敷地に対して建物が角度をつけて配置されている点だ。敷地の角に三角形の奥行きのあるスペースが生まれ、デッキや駐車場などとして活用可能に。視覚的な広がりも増し、通風、採光もより多く確保できる。さらに隣家との視線の交錯をずらすこともでき、さまざまな効果を日々実感しているという。
どんなHouzz?
家族構成:30代夫婦、子供1人
所在地:大阪府堺市
構造:木造2階建て
敷地面積:182.88平方メートル
延床面積:90.22平方メートル
設計監理:祐建築設計事務所 岡崎祐介
施工管理:ビームスコンストラクション 奥坂卓也
構造設計:土屋設計 土屋茂
竣工時期:2015年6月
撮影:多田ユウコ
もうひとつ特徴的なのが、ほぼ長方形の敷地に対して建物が角度をつけて配置されている点だ。敷地の角に三角形の奥行きのあるスペースが生まれ、デッキや駐車場などとして活用可能に。視覚的な広がりも増し、通風、採光もより多く確保できる。さらに隣家との視線の交錯をずらすこともでき、さまざまな効果を日々実感しているという。
どんなHouzz?
家族構成:30代夫婦、子供1人
所在地:大阪府堺市
構造:木造2階建て
敷地面積:182.88平方メートル
延床面積:90.22平方メートル
設計監理:祐建築設計事務所 岡崎祐介
施工管理:ビームスコンストラクション 奥坂卓也
構造設計:土屋設計 土屋茂
竣工時期:2015年6月
撮影:多田ユウコ
エントランスに佇むと、落ち着きのある杉板のブラウンが視界を包む。インディゴブルーの壁にマッチさせるため、実際の杉板を使って調色を繰り返したミディアムブラウンの色調である。
玄関扉は枠が見えない仕様でシンプルな仕上げに。両サイドに設けたフィックス窓からは光がきれいに通り、内外を自然につなげる仕掛けとなっている。軒を深めにとってあるのは、濡れずに傘を開閉できるスペースがほしいというオーナーの希望から。
玄関扉は枠が見えない仕様でシンプルな仕上げに。両サイドに設けたフィックス窓からは光がきれいに通り、内外を自然につなげる仕掛けとなっている。軒を深めにとってあるのは、濡れずに傘を開閉できるスペースがほしいというオーナーの希望から。
優しいパステル調のタイルと、ナチュラルな木のテイストで迎える玄関。右手の棚は玄関ベンチだ。「バリアフリー化によって、最近は座って靴を履ける段差がなくなりました。そこで女性がブーツを履いたり、小さな子供に靴を履かせたりしやすいようにと、提案しています」と担当の岡崎祐介さん。普段使いの靴やサンダル、スリッパ等の収納にも便利だ。扉は蓋のように上開きする形。
リビング扉には凹凸のあるチェッカーガラスを使用。扉材には、床材ともなじむ雰囲気のベイツガ材を選択した。全体の統一感を大切にしている。左手の引き戸はトイレへの入り口。
リビング扉には凹凸のあるチェッカーガラスを使用。扉材には、床材ともなじむ雰囲気のベイツガ材を選択した。全体の統一感を大切にしている。左手の引き戸はトイレへの入り口。
約22畳のLDK。段差を有効に使い、空間に機能性と面白味を与えている。リビングの段差はダイニングの椅子代わりにも。段差がさりげなく空間を仕切りつつ、隣り合うスペースをつなげる役割も担っている。このように床レベルを変える基礎構造は、梁のかけ方や天井高さのチェックなどで、高度な知識と技術を要するという。
リビングはオーナーの好みに合わせ、優しくナチュラルなテイストに。左の壁面棚はテレビ台+リビング収納、さらに掘りごたつ式のカフェカウンター。外の豊かな植栽や空を見ながらひなたぼっこをして、お茶を飲んだり、読書をしたりするくつろぎのスペース。夕方になってペンダント照明を灯すと、おしゃれなカフェのような雰囲気が楽しめる。
写真奥は、リビングと隣り合わせに半畳の畳を敷きつめた和のスペース。和の空間に神棚を置きたいというオーナー希望を叶え、手が届く高さに設置した。お供えもしやすく、オープンな印象である。
神棚の下はパソコンや、奥様のためのワークスペース。一段高い和室の段差を利用し、ここも掘りごたつのように足を下ろせるスタイルにした。カウンター天板や棚板は床材と似た雰囲気のカバ桜集成材。壁色は目に優しく、インテリアのアクセントにもなるエメラルドグリーンをチョイス。左手に見える柱は杉材、床はバーチ材。“little forest” らしいコンセプトを感じさせる、木肌の優しい味わいに満ちた室内である。
神棚の下はパソコンや、奥様のためのワークスペース。一段高い和室の段差を利用し、ここも掘りごたつのように足を下ろせるスタイルにした。カウンター天板や棚板は床材と似た雰囲気のカバ桜集成材。壁色は目に優しく、インテリアのアクセントにもなるエメラルドグリーンをチョイス。左手に見える柱は杉材、床はバーチ材。“little forest” らしいコンセプトを感じさせる、木肌の優しい味わいに満ちた室内である。
リビングは2方向が大きく外に開いたつくり。約22畳のLDKのどこにいても外へと目線が伸び、視覚効果で実際以上の広がりを感じられる。
左の窓は約2.6mのフルオープン、右は約2.8mの引き違い窓で、どちらも特注品。リビング天井に見せた梁は、ベイマツ集成材を、外壁板と同じブラウンに着色したもの。
左の窓は約2.6mのフルオープン、右は約2.8mの引き違い窓で、どちらも特注品。リビング天井に見せた梁は、ベイマツ集成材を、外壁板と同じブラウンに着色したもの。
部屋の角がちょうど南を向いており、日当たりは絶好。リビングとテラスの境には段差をつくらず、内外が自然につながっている印象に。
友人を招くことも多いオーナー家族。このリビング+テラスは天気のよい日にはバーベキューや休憩スペース、子供たちのプールや遊び場としても大活躍している。壁面棚にサブテーブルをつなげて設置し、“おうち居酒屋” と称して10人くらいでワイワイとおいしいものを囲むこともしばしばだとか。
隣家との間の目隠しにもなっているテラス壁も、外壁と同じく、ブラウンに塗装した杉板を使用。夫妻が大好きなグリーンが鮮やかに映える。
友人を招くことも多いオーナー家族。このリビング+テラスは天気のよい日にはバーベキューや休憩スペース、子供たちのプールや遊び場としても大活躍している。壁面棚にサブテーブルをつなげて設置し、“おうち居酒屋” と称して10人くらいでワイワイとおいしいものを囲むこともしばしばだとか。
隣家との間の目隠しにもなっているテラス壁も、外壁と同じく、ブラウンに塗装した杉板を使用。夫妻が大好きなグリーンが鮮やかに映える。
キッチンから見ると、リビングや和スペースがまるで一段上がったステージのよう。子供が遊ぶ様子やテラスのグリーンを一望しながら調理をするのは、楽しいひとときだ。
カウンターは床材と似た雰囲気のカバ桜集成材。2~3人掛けのベンチやリビング側の段差に腰掛け、カジュアルな雰囲気で食事ができる空間。左手奥はパントリーがあり、さらにその先はシューズクローゼット、そして玄関へとつながり、回廊のようなスタイルとなっている。
カウンターは床材と似た雰囲気のカバ桜集成材。2~3人掛けのベンチやリビング側の段差に腰掛け、カジュアルな雰囲気で食事ができる空間。左手奥はパントリーがあり、さらにその先はシューズクローゼット、そして玄関へとつながり、回廊のようなスタイルとなっている。
2列型のキッチンはシンク、調理台とコンロをそれぞれ使いやすい高さに設定。作業動線の先にはグリーンを眺められるフィックス窓があり、この方向にも視線の抜けが計算されている。
リビングの一角を占める洗面スペース。この位置に配した理由は、帰宅後に家族と会話しながら手洗いができ、ゲストにも気兼ねなく使ってもらいたい、という意向から。テレビを見ながら歯磨きもできるので、時間を無駄にせずに済むとも。
洗面シンクは〈TOTO〉製で、病院などでも使われている、深さのあるタイプ《SK106》。タイルはキッチンや2階の洗面室と色違いで揃えている。
洗面シンクは〈TOTO〉製で、病院などでも使われている、深さのあるタイプ《SK106》。タイルはキッチンや2階の洗面室と色違いで揃えている。
足元に窓を設け、自然な明るさで落ち着ける1階のトイレ。外のグリーンを感じることもできる。壁は濃紺の塗装調クロスで、大人っぽく引き締まった雰囲気を演出。
2階は主寝室、天窓があるインナーテラス、フリールームの3室が隣り合ったレイアウト。必要に応じて引き戸で仕切ったり、3室分の大空間で使ったりできる仕組みである。
写真左の部分がフリールーム。約7.5畳あり、ライフスタイルの変化に合わせ、2室に仕切ることも可能。ブルーの壁の中は洗面付き洗濯脱衣室。外壁のインディゴブルー、1階トイレ壁の濃紺など、オーナーが好むブルー系が効果的にあしらわれている。
写真左の部分がフリールーム。約7.5畳あり、ライフスタイルの変化に合わせ、2室に仕切ることも可能。ブルーの壁の中は洗面付き洗濯脱衣室。外壁のインディゴブルー、1階トイレ壁の濃紺など、オーナーが好むブルー系が効果的にあしらわれている。
洗面付き洗濯脱衣室の中。入浴後の着替えやタオル、その他洗濯用の消耗品などを、整然と収納できるよう計算したつくりに。収納全体の幅は約1.6mあり、棚板は可動式。洗面スペースのタイルは1階洗面台との色違い。
天窓の下はインナーテラス。約3.6畳あり、雨天時に洗濯物を干す場として使っている。右手奥の約4.4畳の寝室からフリースペースまでつなげれば、多目的に活用できる広い空間となる。
寝室を仕切った様子。床材は1階と同じバーチ材。1階は幅広の130mmだが、2階は90mm幅を採用して、印象に変化をつけている。
無駄のない間取りや段差の活用で、コンパクトでも暮らしやすさを叶えた住まい。住宅地の中の憩いの空間は、家族はもちろん友人たちにも、くつろぎと居心地のいい楽しさを与えてくれている。
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