クールで居心地のいいコペンハーゲンの人気ブロガーカップルの家

インテリアスタイルとは、有名なアイテムやブランド品ではなく、自分が好きなものを組み合わせるセンスでつくるもの。デンマークの人気ブロガーカップルが暮らす、スタイリッシュな家をご紹介します。

Kasper Iversen 2017年5月2日

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マリア・イェーノフさんは、ブログで生計を立てている「プロの」ファッションブロガー。最新のトレンドを追い、大手アパレル企業や最高級ブランドの動向を熟知している。それなら、デンマークの首都コペンハーゲンの中心部にある自宅も、デザイナー家具やブランドのアイテムでまとめられているだろうと思うかもしれない。ところが、この居心地のよい屋根裏のアパートメントには、高価な家具や有名なデザインのものは、ほとんど見当たらない。それどころか、この23歳のファッションブロガーとボーイフレンドのセバスチャン・バレットさんは、中古家具を修理したりペイントしたりして、自分たちらしいインテリアを作り上げた。

「無難すぎるインテリアは好きではありません」とイェーノフさんは言う。「確かにイームズチェアはかっこいいし、いつかほしくなったら手に入れるでしょう。でも、それより大事なのは、年齢相応に、予算の範囲内で、自分がクールで面白いと思うものを作り出すことです。実際、この家にあるのは、手に入れてから自分らしく手を加えたものばかりです」。

Fotograf Camilla Stephan

どんなHouzz？
住まい手：デンマークのファッションブロガーでウェブサイトMaria Jernovの制作者のマリア・イェーノフさんと、ボーイフレンドで男性向けのブログjesuissebastianを書いているセバスチャン・バレットさん。ふたりとも23歳
所在地：デンマーク、コペンハーゲン
規模：68㎡、ベッドルーム×1、バスルーム×1

Fotograf Camilla Stephan

家づくりでいちばん大切にしているのは、「居心地のよさ」だ。

「家にはぬくもりが必要です。たくさんのブランケットとクッションがあって、ソファはとびきり座り心地がよくなくてはいけません。白い箱のような部屋にソファ兼用ベッドがひとつだけ、みたいな家に住めません。ソファに座ってテレビを見ながらゆったりくつろげないなんて」とイェーノフさん。

「ありのままの暮らしぶりが心地いいことを伝えたいので、物は出したままです。片付きすぎている部屋は好みではありません」。

Fotograf Camilla Stephan

イェーノフさんの服やファッションに関する考えがインテリアにも反映されていると言えるかもしれない。「サンローランやバレンシアガで全身揃えるのは、本当の意味でおしゃれではなくて、ブランド物が買えるお金があるというだけのことです。スタイルがある人とはいえません。自分が素敵だと思うものをうまく組み合せるセンスの方が、ずっと重要。お金があれば、おしゃれなものを買うのは簡単ですが、それで自分らしいスタイルが手に入るとは限りません」。

実際、〈グビ〉の青い《ビートルチェア》以外、本物のデザイナー家具といえるものはこの家にない。この椅子にイェーノフさんがお金をかけたのは、「最高に素敵」と思ったからだ。

Fotograf Camilla Stephan

ダイニングルームの家具を見れば、イェーノフさんとバレットさんが古い家具を「生き返らせる」のが得意なことがよくわかる。ダイニングテーブルは「ザ・ブルーペーパー」というデンマークの中古品売買サイトで見つけたもの。二人で修理してペイントした。

「椅子は、コペンハーゲンのすぐ北にあるヘレラップ・ビーチ・ホテルが数年前にインテリアを総入れ替えしたときに手に入れました」とイェーノフさん。「同じような椅子がたぶん60脚くらいありました。もっと手に入れておけばよかったと真剣に思います」。これをテーブルと同じ色にペイントし、生地も張り替えた。

繊細で古風なブルーは、慎重に考えて決めた。「ブルーはいつでもいちばん好きな色。ダイニングテーブルと椅子のブルーはたまらなく美しいと思います」。

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暖かくリラックスした雰囲気を作り出す色がないと、どうにも落ち着かないとイェーノフさんは話す。「実を言うと、黒は好きではありません。あの梁の色は彼のために妥協したんです」と天井の梁を見て笑う。悪くはないけれど、自分よりバレットさんのスタイルだと言う。

「床も、私はヘリンボーンの寄せ木張りのフローリングにして、ソファを3つ置きたかったのですが、この家に引っ越すとき、セバスチャンが『どうせいつか君がほしいものを手に入れるのはわかりきっているんだから、最初は僕がしたいように生活を始めよう』と言い張ったんです。でも、今ではこういうインテリアもいいな、と思っています」。

Fotograf Camilla Stephan

ソファも中古品。イェーノフさんいわく、色はほかの家具の青よりちょっと黄みが強いけれど、形が美しい。「張り替えは、安くはありませんが、いつでもできますしね。とにかく、ブルーというだけで、気持ちが落ち着きます」。

Fotograf Camilla Stephan

イェーノフさんは料理好きで、ほぼ毎日食事を作っている。ボーイフレンドは掃除機をかけて片づけをする。「キッチンは常に使う場所だし、物は出しておくのが好き。だって実際に使っているんですから」と言う。

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「魚型のカッティングボードは蚤の市で見つけました。魚ではなくピザ用にしています」。

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家具の配置や家の飾り方については、身近なところから影響を受けた。

「祖母はインスピレーションの宝庫です。モノを重ねて見せるスタイリングや飾り方が本当に上手なんです」と言う。「例えば、コーナーに椅子を置くとき、シンプルになりすぎないように後ろに本棚を置くのが祖母のスタイル。それがとてもかっこいいんです」。

「ブランケットもものすごくたくさん持っていて、一瞬やりすぎじゃないかと思える使い方をするんですが、それが完璧に決まるし、本当に心地よくて」と熱く語る。

Fotograf Camilla Stephan

収納スペースは多くはないが、ふたりはクリエイティブな解決方法を見つけた。

例えばベッドルームでは、傾斜した天井下のスペースを有効活用するため、ハンギングレールなどの収納用具を取り付け、全体をすっきりと白いカーテンで覆っている。

Fotograf Camilla Stephan

「（ひとつ上の写真の）洋服だんすは、文字通り生まれたときから持っているもの。子供時代をすごした東ユトランドのシルケボーの家のベッドルームにありました。このたんすにはペイントしないつもりです」とイェーノフさん。「最初の子どもが男の子でも女の子でも、子ども部屋にこれを置くつもり。クラシックですっきりしたデザインですが、私が5歳のときに自分で書いた名前や、そのほかちょっとしたメッセージが消えずに残っているので、絶対手放しません」。

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祖母の影響を強く受けたというイェーノフさんだが、ご両親のスタイルとはまったく違う。

「両親の家はもっとミニマリストで北欧的。美しいし、とてもおしゃれだけれど、私が生活したい空間ではないんです。私がダイニングルームを全部ブルーにしたとき、母は心配しましたが、私はすごくクールだと思っています」と話す。

とはいえ、「ほしいものリスト」にはクラシックな有名北欧家具いくつか入っている。例えば、〈レ・クリント〉の手折プリーツのシェードが美しい黒いフロアランプ2つなど。

「ハンス・ウェグナーがデザインした《フラッグライン（フラッグハリヤード）チェア》も、いつかどうしても手に入れたいもののひとつ。これがほしくない人なんて、デンマークにいませんよね？でも、それはベッドルームが5つある、寄木張りのフローリングで漆喰の天井のアパートメントを手に入れたときの話です」。

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