英国在住の料理研究家エリオットゆかりさん、おもてなし仕様のキッチン&ダイニング
料理レッスンやホームパーティーに大活躍の、モダンで可愛いおもてなし空間。イギリスのカントリーサイドから食と暮らしを発信する、エリオットゆかりさんの自宅キッチンをご紹介します。
田村敦子|Atsuko Tamura
2017年3月16日
Freelance Editor
ロンドンから電車で南に30分、英国サリー州の小さな村に住んで17年のエリオットゆかりさん。料理研究家になるきっかけは、日本の友人たちに日々の暮らしを伝えようと始めたブログだった。紹介した料理が評判になり、レシピを聞かれてコメント欄で答えるうちにリクエストが増え、仕事が舞い込むように。今では自宅で料理教室を主宰し、日本人のほか、イギリス人や在住の外国人も料理を習いに来る。また、企業へのレシピ協力、イベントや出張レッスン、現在は時々だがケータリングビジネスなど、食とライフスタイルにまつわるさまざまな活動に携わっている。昨年からハウズでも、季節のおもてなしやテーブルに関する記事を執筆中だ。今回は、エリオットさんの仕事場であり、おもてなしの場でもある自宅キッチンをご紹介しよう。
エリオットゆかりさん一家の住まいは、イギリスでは珍しい新築の家。前のオーナーが両親のために設計したが、事情で住まないことになり、新築で売りに出されていた。3階建ての一軒家で、入居して4年になる。キッチン&ダイニングは1階にあり、家族の日常の食事にも料理教室にも大人数のパーティーにも対応できる、エリオット家のパブリックスペースだ。
パティオを望む東向きの窓のあるダイニングエリアは、天窓があってとても明るい。白い大きなダイニングテーブルは、10人がゆったり座れるおもてなし仕様。仕事関係の知人やプライベートの友達を招いてのホームパーティーも頻繁に行われ、料理レッスンの際の試食や、撮影にも使用する。
パティオを望む東向きの窓のあるダイニングエリアは、天窓があってとても明るい。白い大きなダイニングテーブルは、10人がゆったり座れるおもてなし仕様。仕事関係の知人やプライベートの友達を招いてのホームパーティーも頻繁に行われ、料理レッスンの際の試食や、撮影にも使用する。
どんな部屋?
住まい手:エリオットゆかりさんとご主人、息子さん(19歳)とお嬢さん(17歳)、愛犬(フラットコーテッドレトリーバー、10歳)
何をする部屋?:日々の料理と家族との食事から、料理教室、料理記事の撮影、大人数のホームパーティーまで
規模:キッチン35.1平方メートル、ダイニング32.5平方メートル
撮影:Shinichi Adachi
住まい手:エリオットゆかりさんとご主人、息子さん(19歳)とお嬢さん(17歳)、愛犬(フラットコーテッドレトリーバー、10歳)
何をする部屋?:日々の料理と家族との食事から、料理教室、料理記事の撮影、大人数のホームパーティーまで
規模:キッチン35.1平方メートル、ダイニング32.5平方メートル
撮影:Shinichi Adachi
ダイニングエリアは約20畳、キッチンエリアは約22畳と広い。立食パーティーで最大50人のおもてなしをすることもあるそうだ。「着席のパーティーを考えて大きなテーブルを購入しましたが、普段は、家族4人でテーブルの真ん中にぎゅっとかたまって食事しているんですよ(笑)」とゆかりさん。
キッチンエリアもダイニング同様、マットなホワイトにペイントされた壁と、光沢のある磁器タイルの床を基調にしている。建具も入り口のドア以外は白。アイボリー色の大きなキッチンキャビネットと、黒い御影石をワークトップに使ったアイランドカウンターが存在感を放つ、モノトーンの空間だ。場の個性に合わせて選んだのは、シンプルなフォルムの黒いダイニングチェアとスツール。ベースは大人っぽくモダンな雰囲気でまとめた。
子供たちが朝食をとるのはこのカウンター。訪れたゲストがウェルカムドリンクを楽しむ場所にもなる。料理教室の際のデモンストレーションも、もちろんここで。
子供たちが朝食をとるのはこのカウンター。訪れたゲストがウェルカムドリンクを楽しむ場所にもなる。料理教室の際のデモンストレーションも、もちろんここで。
前のオーナーが機能重視で設計したキッチンはつくりもモダンで、収納もたっぷりあるため、「見せる収納」的要素はあまりない。冷蔵庫とオーブンはビルトイン。コンロはIHクッキングヒーターで、掃除がとても楽だとか。「IHは和食やアジア料理には向かないので、最初は使いこなすのにかなり手間取りましたが、今は慣れてきました」とゆかりさん。ヘビーユースに耐えるつくりとメンテナンスのしやすさは、料理を仕事にする人のキッチンには必須といえる。
L字レイアウトのトールキャビネットは、食器棚とパントリーとして使用。アイランドカウンターの下は調理家電と調理道具、大きめの器やおもてなしの小道具を収納している。ご覧の通り、ぎっしり詰め込まずに適度なゆとりをもたせて収納し、動線に合わせた取り出しやすいレイアウトを工夫しているのだそう。
大きめのダストボックスがすっぽり内蔵できる引き出しがアイランドカウンターについていて、ゴミ箱類がいっさい外に出ていないのも、すっきりした全体の印象に一役買っている。
大きめのダストボックスがすっぽり内蔵できる引き出しがアイランドカウンターについていて、ゴミ箱類がいっさい外に出ていないのも、すっきりした全体の印象に一役買っている。
あまりものを置かないシンプルモダンなキッチンの中にあって、ゆかりさんの好みが最も反映されているのは、この〈マークス&スペンサー〉で買ったサイドボードの周辺。「引っ越す前は11年間、19世紀に建てられた家に住んでいたので、使っていた家具もアンティークやクラシックなテイストのものでした。この新しい家にはあまり似合わないので置いていませんが、本当はそういう温かみのあるテイストも大好きなんです」とゆかりさん。空間のもつ個性に合わせて、シンプルモダンなテーブルやチェアを選んではいるが、ところどころにほっとくつろげるような可愛らしいアイテムがあり、それがこのキッチンに、ぬくもりのある気さくな雰囲気をプラスしている。
東側に大きく取られた窓の近くには観葉植物を置き、季節の花が咲く小さな鉢植えを飾ったり、プランターで料理に使うハーブを育てたりしているコーナーも。庭の景色と自然につながる、インドアガーデンのようなスペースとして、窓まわりをさりげなく活用している。
愛用のグッズも少し見せてもらった。人気のテーブルウェアブランド〈エマ・ブリッジウォーター〉のマグは、大きなケータリングの仕事を1本完了するたびに、自分へのごほうびとして1つずつ買い揃えてきたもの。エリザベス女王の戴冠記念やジョージ王子の誕生記念など、英国らしい限定デザインのものもあり、コレクション心をくすぐられてつい買ってしまうという。
お皿拭きや台拭きには、手ぬぐいやかやぶきん(蚊帳生地のふきん)など日本のものを愛用。イギリス製のティータオルや北欧のリネンもよく使うけれど、「吸水性に優れていて、ぬれてもすぐ乾く日本製のふきんが大好きで、日本に帰るたびにたくさん買ってしまいます」とゆかりさん。
テーブルコーディネートには、自然素材を編んだかごやマット、木や竹のトレイやカトラリーも頻繁に使用する。和食をよく作るので、日本の調理道具も必需品だ。
さて、撮影が進み、そろそろお昼に近づいてきた。
キッチンではゆかりさんが今日のランチを準備中。「作りおきできる特製ハーブバターを使った、超簡単レシピですよ!」
手早く用意してくれた、この日のランチのメニューは……。
すずきのハーブバター焼き ルッコラとバターライス添え
材料(2人分)
すずきの切り身 2切れ
塩、粗挽き黒こしょう 少々
オリーブオイル 適量
チリ入りハーブバター(材料と作り方は後述) 適量
炊きたてのごはん 適量
ルッコラ 適量
レモン(くし切り) 2個
作り方
1. すずきは両面に塩、こしょうする。
2. アルミホイルを敷いた天板にオリーブオイルを軽く敷き、すずきをのせてさっとオリーブオイルをかけ、ハーブバターを1切れにつき15gのせる。さらに好みのドライハーブ(分量外)をかけてもよい。180℃のオーブンで15~18分焼く(オーブンの火力や切り身のサイズによって加減してください)。
3. ごはんは普通に炊いておき、炊き上がったらハーブバターを好みの量加えて軽く混ぜ合わせ、ルッコラ、レモンとともにお皿に盛り付ける。
4. すずきが焼き上がったら3のお皿に盛り付けてでき上がり。好みでレモンを絞りかけて食べる。
チリ入りハーブバター(作りやすい分量)
常温にしたバター200g、刻んだイタリアンパセリ30g、すりおろしたにんにく8〜10g、塩小さじ1/4弱、チリパウダー小さじ1/4(好みで加減)を混ぜ合わせ、クッキングシートの上に棒状にのせて丸め、端をくるりとねじって冷蔵庫で冷やし固める。使う分だけカットする。
すずきのハーブバター焼き ルッコラとバターライス添え
材料(2人分)
すずきの切り身 2切れ
塩、粗挽き黒こしょう 少々
オリーブオイル 適量
チリ入りハーブバター(材料と作り方は後述) 適量
炊きたてのごはん 適量
ルッコラ 適量
レモン(くし切り) 2個
作り方
1. すずきは両面に塩、こしょうする。
2. アルミホイルを敷いた天板にオリーブオイルを軽く敷き、すずきをのせてさっとオリーブオイルをかけ、ハーブバターを1切れにつき15gのせる。さらに好みのドライハーブ(分量外)をかけてもよい。180℃のオーブンで15~18分焼く(オーブンの火力や切り身のサイズによって加減してください)。
3. ごはんは普通に炊いておき、炊き上がったらハーブバターを好みの量加えて軽く混ぜ合わせ、ルッコラ、レモンとともにお皿に盛り付ける。
4. すずきが焼き上がったら3のお皿に盛り付けてでき上がり。好みでレモンを絞りかけて食べる。
チリ入りハーブバター(作りやすい分量)
常温にしたバター200g、刻んだイタリアンパセリ30g、すりおろしたにんにく8〜10g、塩小さじ1/4弱、チリパウダー小さじ1/4(好みで加減)を混ぜ合わせ、クッキングシートの上に棒状にのせて丸め、端をくるりとねじって冷蔵庫で冷やし固める。使う分だけカットする。
機能的でスケール感のあるモノトーンのキッチン&ダイニングに、ほっとなごむもの、ナチュラルなもの、可愛いものをスパイスのようにちりばめて、フォーマル感とカジュアル感のバランスをとったおもてなし空間。この笑顔とともに供されるおいしい料理と楽しい会話、心地よいおもてなしが、今日も訪れるゲストを魅了している。
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この写真がそのひとつです(笑)
イギリスのトイレというとあの木の便座が思い浮かびますが、こんなポップな便座もあるのですね。これが築100年以上の家にあるというのもおもしろいです(笑)
ええやん。 最高やね。 善し>!!