コメント
懐かしくも新しい「竹」で和モダンな家づくりを!
最近の住宅デザインを見ていると、和への回帰がトレンドの1つになっています。そこで今回は、ほんのり和を楽しむことができる素材として「竹」をピックアップ。国内外の和モダンな住宅事例を参考にしながら、竹のとりいれかたに注目してみましょう。
小川のぞみ
2017年2月14日
ライター/コピーライター/アドバイザー。
日本・湘南エリアからアメリカ・カリフォルニア生活を経て、再び湘南エリアに在住。高断熱・高気密の長期優良住宅に居住しながら、インテリアや整理収納のアドバイス、住宅購入の相談やホームステージング(家具のコーディネートなど)に取り組む。
ライター/コピーライター歴は10年以上。ウェブサイトや雑誌、ECサイトや通販誌、広告媒体(商業施設の冊子やポスター、大手企業発行の会報誌など)にて企画から携わる。担当分野は、住宅、インテリア、教育、ファッション、ランジェリー、インタビュー取材など。スタイリストの経験も多数。
ライター/コピーライター/アドバイザー。
日本・湘南エリアからアメリカ・カリフォルニア生活を経て、再び湘南エリアに在住。高断熱・高気密の長期優良住宅に居住しながら、インテリアや整理収納のアドバイス、住宅購入の相談やホームステージング(家具のコーディネートなど)に取り組む... もっと見る
真竹(まだけ)、孟宗竹(もうそうちく)、淡竹(はちく)など、さまざまな種類がある竹ですが、原産は中国南部や東南アジアといわれています。日本では縄文遺跡から竹素材の生活用具が出土されていることから、少なくとも縄文時代には自生していたと考えられています。もちろん、今を生きる私たちにとっても竹は身近なものです。筆などの学習用品、竹ぼうきが懐かしいというかたもいらっしゃるのではないでしょうか。最近では生活用品というよりも、工芸品や茶道具・茶具など、芸術性を感じる道具としてのほうが馴染み深いかもしれませんね。
建材として竹を考えると、茶室や数奇屋造りの家、伝統的な日本家屋が思い出されます。構造材かつ意匠として屋根裏に竹が使われたり、土壁の下地に竹を活用したりしてきました。桂離宮を思い出してみるのもよいでしょう。ドイツの建築家、ブルーノ・タウトが「泣きたくなるほど美しい」と絶賛した理由のひとつには、竹の存在があるはずです。そんな竹の和風の美を今の住宅に程よくとりいれる方法をこの記事では探りたいと思います。
建材として竹を考えると、茶室や数奇屋造りの家、伝統的な日本家屋が思い出されます。構造材かつ意匠として屋根裏に竹が使われたり、土壁の下地に竹を活用したりしてきました。桂離宮を思い出してみるのもよいでしょう。ドイツの建築家、ブルーノ・タウトが「泣きたくなるほど美しい」と絶賛した理由のひとつには、竹の存在があるはずです。そんな竹の和風の美を今の住宅に程よくとりいれる方法をこの記事では探りたいと思います。
まずはMy Houzzに登場したインドネシア・バリ島の《竹の家》に注目してみましょう。こちらは竹をとりいれたというより、竹がメインの驚きのエコ住宅。建築材は原地周辺の竹が中心で、なんと屋根だけで30,000本も使っているそうです。
ここまで圧巻の使い方は日本の住宅では現実的ではありませんが、サステイナブルな建材としての可能性を感じます。
ここまで圧巻の使い方は日本の住宅では現実的ではありませんが、サステイナブルな建材としての可能性を感じます。
次に日本の竹文化ともいえる例を見てみましょう。日本の住宅らしい竹の使い方といえば、竹垣ではないでしょうか。〈一級建築士事務所 波多周建築設計〉改修の《浄明寺の家》では、敷地の外周遮蔽垣に建仁寺垣を採用しています。
建仁寺垣とは、その名の通り京都の建仁寺の竹垣のように、竹を縦にすき間なく並べ、押し縁という細い棒状の継ぎ目があるタイプを指します。駐車場を軽やかに立ち入り禁止にしている一本の竹も含め、エクステリアだけでも優美な和風の街並みを形成することがよく分かります。
では、コンテンポラリーな住宅に竹を合わせるなら、どのような用いかたがよいでしょうか。
建仁寺垣とは、その名の通り京都の建仁寺の竹垣のように、竹を縦にすき間なく並べ、押し縁という細い棒状の継ぎ目があるタイプを指します。駐車場を軽やかに立ち入り禁止にしている一本の竹も含め、エクステリアだけでも優美な和風の街並みを形成することがよく分かります。
では、コンテンポラリーな住宅に竹を合わせるなら、どのような用いかたがよいでしょうか。
住宅を彩るモダンな植栽として竹を選ぶ
竹林は日本の原風景だからでしょうか。見ていると不思議と郷愁感で心が落ち着くものですが、ここ数年、クールな植栽として都市部の比較的若い層に人気があります。
写真の〈Earnest Architects〉が手がけた《奥床しさを纏った家》のアプローチには、フォーカルポイントとしてスタイリッシュに竹庭を配置。静謐でありながら空間の引き締め効果を見事に果たしています。竹×現代住宅は、ただ単にほっこりとした和というイメージに偏らず、新鮮な印象を持ち合わせます。
竹林は日本の原風景だからでしょうか。見ていると不思議と郷愁感で心が落ち着くものですが、ここ数年、クールな植栽として都市部の比較的若い層に人気があります。
写真の〈Earnest Architects〉が手がけた《奥床しさを纏った家》のアプローチには、フォーカルポイントとしてスタイリッシュに竹庭を配置。静謐でありながら空間の引き締め効果を見事に果たしています。竹×現代住宅は、ただ単にほっこりとした和というイメージに偏らず、新鮮な印象を持ち合わせます。
〈アーキシップス古前建築設計事務所 〉の《竹林風洞》のファサードは、竹が主役です。左側には緑と黄色の2色になる金目孟宗竹、右側には淡竹が並んでいます。日中は風になびく姿を眺め、夜はライトアップしてラインを強調する、といった楽しみかたが想像できます。
こちらの事例では、竹の地下茎が発達しすぎて家や周辺に侵入しないよう、基礎の高さや盛り土でブロックして対策を講じています。
こちらもあわせて
落ち着ける空間をつくりたい? それなら、日本の「旅館」をお手本にしよう!
屋根のある和風の門にときめいて
「格子」が現代の住宅に最適な理由とは?
こちらの事例では、竹の地下茎が発達しすぎて家や周辺に侵入しないよう、基礎の高さや盛り土でブロックして対策を講じています。
こちらもあわせて
落ち着ける空間をつくりたい? それなら、日本の「旅館」をお手本にしよう!
屋根のある和風の門にときめいて
「格子」が現代の住宅に最適な理由とは?
アメリカ、マンチェスターのペントハウスでは、インドアグリーンとして竹を植えています。竹林のような植栽の小道のおかげで、半野外的な解放感と贅沢さが漂う仕上がりに。
最近は品種改良された竹もあり、例えば、高さ20m以上に成長する孟宗竹と比べると4m前後までしか伸びないものもあります。想像より手入れが簡単な場合もあるので、外構、インドアを問わず挑戦してみてはいかがでしょうか。
最近は品種改良された竹もあり、例えば、高さ20m以上に成長する孟宗竹と比べると4m前後までしか伸びないものもあります。想像より手入れが簡単な場合もあるので、外構、インドアを問わず挑戦してみてはいかがでしょうか。
室内でアイコニックな竹を飾るように楽しむ
一点主義で目に留まる竹のインテリアにこだわってみるというのも、今どきの和テイストがつくれます。
〈株式会社 竹六商店〉の《炭化煤竹柾割建具》は、竹を割いて加工したものを両面から4mmの樹脂ガラスで挟んだ戸です。ガラスから透ける竹特有の節による陰影が、玄関で独特の存在感を発揮します。このように建具で竹を採用するというのもコンテンポラリーと好相性です。
一点主義で目に留まる竹のインテリアにこだわってみるというのも、今どきの和テイストがつくれます。
〈株式会社 竹六商店〉の《炭化煤竹柾割建具》は、竹を割いて加工したものを両面から4mmの樹脂ガラスで挟んだ戸です。ガラスから透ける竹特有の節による陰影が、玄関で独特の存在感を発揮します。このように建具で竹を採用するというのもコンテンポラリーと好相性です。
カナダのバンクーバーでは、ワインウォールと名付けられた竹がポイントのワインセラーが作られています。
洋風の空間で竹が意外な使い方をされているのを見ると、希望的観測かもしれませんが、竹の活用はもっと世界で拡大していくように思えます。
洋風の空間で竹が意外な使い方をされているのを見ると、希望的観測かもしれませんが、竹の活用はもっと世界で拡大していくように思えます。
イタリア、ローマでは、壁に沿って竹をリズミカルに飾った例も! オブジェ感覚でインテリアに積極的にとりいれるセンスは、私たち日本人にはあまりないもの。
しかしながら海外での高い竹人気を実感できることは嬉しい限りです。現代的な空間に馴染む竹の幅の広さには脱帽してしまいます。
しかしながら海外での高い竹人気を実感できることは嬉しい限りです。現代的な空間に馴染む竹の幅の広さには脱帽してしまいます。
壁紙で竹をとりいれる
写真の襖の表面には、〈カラーワークス〉が販売している《FARROW&BALL 壁紙》が貼られています。竹そのものでなくても、竹柄の壁紙をセレクトするという方法なら気軽にチャレンジできそうですね。竹林の借景のようなプリントは、遠目からでもかなりユニークで目を引きます。
写真の襖の表面には、〈カラーワークス〉が販売している《FARROW&BALL 壁紙》が貼られています。竹そのものでなくても、竹柄の壁紙をセレクトするという方法なら気軽にチャレンジできそうですね。竹林の借景のようなプリントは、遠目からでもかなりユニークで目を引きます。
こちらは〈Yokobori Architect & Associates〉設計の住宅《JAPANESE GAR
DEN》のリビングダイニング。奥に見える大きな引き戸は、キッチンとの間仕切りです。縦横2.5m×2.5mの大きなスペースに竹柄の壁紙を貼ったことで、エレガントなアクセントになっています。竹はプリントであっても、そこはかとなく新鮮な和を演出してくれます。
こちらもあわせて
My Houzz: 風が吹き渡るバリの《竹の家》
インテリアを進化させるモダンな「障子」のとりいれかた
ジャパニーズスタイルをお手本にキッチンの設計を考えてみると?
和室の写真・デザインアイデアを見る
和モダンの写真をもっと見る
教えてHouzz
ご感想をおきかせください。
DEN》のリビングダイニング。奥に見える大きな引き戸は、キッチンとの間仕切りです。縦横2.5m×2.5mの大きなスペースに竹柄の壁紙を貼ったことで、エレガントなアクセントになっています。竹はプリントであっても、そこはかとなく新鮮な和を演出してくれます。
こちらもあわせて
My Houzz: 風が吹き渡るバリの《竹の家》
インテリアを進化させるモダンな「障子」のとりいれかた
ジャパニーズスタイルをお手本にキッチンの設計を考えてみると?
和室の写真・デザインアイデアを見る
和モダンの写真をもっと見る
教えてHouzz
ご感想をおきかせください。
おすすめの記事
和室の記事
やさしい光を採り入れる「障子」の魅力
日本が誇る自然素材の美しきミニマルデザイン、障子は、私たちが考えている以上に幅広い応用力のある室内建具。この伝統の機能美を、改めて見直してみたいものです。
続きを読む
家づくりのヒント
古民家リノベーションで古き良き日本家屋の趣を楽しむには
文/安井俊夫
昔ながらの日本家屋を、現代のデザインやライフスタイルにマッチするようにリノベーションする。そのメリットとデメリット、お得になることなど、知っておいた方がよいことに関してご紹介します。
続きを読む
素材
和室の天井デザインにはどんなものがある?和モダンにも活かせる形や素材
文/安井俊夫
ライフスタイルの変化から和室のあり方も変わってきているようですが、やはり和室は落ち着きます。その重要な役割を果たす天井のお話をご紹介します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
ゲストへの思いやりの心をしつらえた、離れのある家
文/杉田真理子
東京から訪れるゲストのため、母屋のほかにゲストルームの離れをしつらえた住まい。伝統的な日本家屋の美しさが、自然の中で引き立つ家です。
続きを読む
家づくりのヒント
掘りごたつって便利なの? 魅力や設置方法を建築家が解説
文/安井俊夫
和風モダン・テイストにも合う掘りごたつ。その魅力を探りながら、家族の“集いの場”について考えてみませんか?
続きを読む
床
畳の種類と特徴とは?座ってくつろぐ床材の基本情報
文/安井俊夫
ライフスタイルの変化と共に減りつつあるといわれてきた畳ですが、最近では「和モダン」と呼ばれるデザインへの注目が高まり、ふたたび見直されています。そこで畳の基本的な情報をご紹介します。
続きを読む
家づくりのヒント
8つの茶室から学ぶ。「茶の湯空間」づくりのヒント
自宅に茶室をつくるとしたら、どんなことから始めればよいのでしょうか?Houzzでみられる事例を手がけた専門家の方々に、アドバイスをもらいましょう。
続きを読む
インテリア
こだわりの和モダンインテリアをつくるヒント
日本の住まいに馴染み、永く世代を問わず愛される「和モダン」なインテリア。家づくりの早い段階から完成形を意識することで、こだわりの空間が出来上がります。
続きを読む