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古くさい? とんでもない! 椿の魅力、再発見
誰もが見たことのある椿。身近にあるのに、意外と知らないさまざまな椿の魅力をご紹介します。
舩村佳織
2017年1月27日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
日本で古来から愛されている椿。室町時代から品種改良が行われていたと考えられており、愛好家も多く存在します。華やかでありながら控えめで楚々とした美しさもあわせ持つ、和の代表的な花と言えるでしょう。
冬の寒い時期に暖かい色の花を咲かせてくれる椿は、とても貴重な植木です。しかし、古くから庭木として使われているため、古くさいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は海外でも非常に好まれている魅力的な庭木の一つです。この記事では椿の魅力を存分にお伝えします。
冬の寒い時期に暖かい色の花を咲かせてくれる椿は、とても貴重な植木です。しかし、古くから庭木として使われているため、古くさいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は海外でも非常に好まれている魅力的な庭木の一つです。この記事では椿の魅力を存分にお伝えします。
椿の基本知識
椿は東南アジア〜中国・日本を原産とする常緑樹です。
成長は遅く、葉は厚く艶のある深緑色をしています。花は冬〜春にかけて咲き、寒い時期の寂しい庭を明るくしてくれます。日陰でも健気に育ち、寒さにも暑さにも耐える強い性質を持ちます。
その強い性質と花の美しさが好まれ、日本では古くから品種改良が行われており、さまざまな花の色・咲き方・大きさの品種が流通しています。椿は欧州でも人気があり、カメリアという英名で日本の椿とは一味違う豪華な大輪種も多く作出されています。
椿は東南アジア〜中国・日本を原産とする常緑樹です。
成長は遅く、葉は厚く艶のある深緑色をしています。花は冬〜春にかけて咲き、寒い時期の寂しい庭を明るくしてくれます。日陰でも健気に育ち、寒さにも暑さにも耐える強い性質を持ちます。
その強い性質と花の美しさが好まれ、日本では古くから品種改良が行われており、さまざまな花の色・咲き方・大きさの品種が流通しています。椿は欧州でも人気があり、カメリアという英名で日本の椿とは一味違う豪華な大輪種も多く作出されています。
椿の品種
椿は現在では世界に数千種もの品種があると言われています。品種ごとに同じ椿でも印象が大きく変わります。椿の品種のほんの一部ですが、ここからいくつかの違う品種の椿をお見せします。
この白い椿は「千重咲き」と言われる咲き方。何枚もの花びらが規則正く並び、自然が作ったとは思えないほどの整然とした美しさです。花色も雪のように白く、非の打ち所のない造形美と言えるでしょう。深緑色の葉とのコントラストも美しく、清楚な椿です。
椿は現在では世界に数千種もの品種があると言われています。品種ごとに同じ椿でも印象が大きく変わります。椿の品種のほんの一部ですが、ここからいくつかの違う品種の椿をお見せします。
この白い椿は「千重咲き」と言われる咲き方。何枚もの花びらが規則正く並び、自然が作ったとは思えないほどの整然とした美しさです。花色も雪のように白く、非の打ち所のない造形美と言えるでしょう。深緑色の葉とのコントラストも美しく、清楚な椿です。
こちらは花弁に白い模様が現れる「斑入り」と呼ばれる模様です。この白い模様の入り方で、「絞り」「ぼかし」「覆輪」など呼び方が変わります。この椿の品種名は”正義(まさよし)“。気品が漂うあでやかな八重咲きの大輪です。雄しべが見える咲き方は、まさに椿らしい顔で落ち着きが感じられます。
白斑の入り方が一輪ずつ異なり、それぞれ表情が微妙に変わり、どの花にも愛着が持てそうな品種です。
白斑の入り方が一輪ずつ異なり、それぞれ表情が微妙に変わり、どの花にも愛着が持てそうな品種です。
ペールトーンのピンクの椿はとてもかわいらしく繊細な印象。こちらは「牡丹咲き」と言われる豪華な咲き方。フリルのようにボリュームのある花びらが数え切れないほど集まり、ロマンチックな雰囲気になります。
椿といえば和風の花、というイメージがある方もいるかと思いますが、こんなに甘い表情の品種もあるのです。
椿といえば和風の花、というイメージがある方もいるかと思いますが、こんなに甘い表情の品種もあるのです。
こちらは“フリーダムベル”という品種の椿です。シャープな印象の花びらがゆるやかに波打ち、奥ゆかしい美しさがあります。この咲き方は八重の「蓮華咲き」といい、花びらが外側に反り返るのが特徴。もとは海外で品種改良されたものですが、慎ましい雰囲気は日本人の感性にも良く合います。
この迫力のある椿は「獅子咲き」と言われる咲き方です。まるでライオンのたてがみのように勢いのある大きな花が目を引きます。雄しべの部分に大小不規則の花びらが波打ちながら並び、このような咲き方になっています。雄しべはほとんど見えないので、花びらのインパクトが最大限に引き出されます。
控えめな美しさを持つ椿の中にも、こんなにダイナミックな花もあります。
椿の原種が持つ花びらは通常5〜6枚ですが、品種によっては100枚以上あるものもあります。これだけたくさんの品種がある椿は、世の愛好家を魅了し続けています。
さて、ここからは椿の魅力を引き出す庭への取り込み方をご紹介します。椿というと、古い家の庭に植わっている一昔前の庭木という印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、海外の庭を見てみると、椿を庭に素敵に取り込んでいる事例がたくさんあります! その一部をご紹介します。
控えめな美しさを持つ椿の中にも、こんなにダイナミックな花もあります。
椿の原種が持つ花びらは通常5〜6枚ですが、品種によっては100枚以上あるものもあります。これだけたくさんの品種がある椿は、世の愛好家を魅了し続けています。
さて、ここからは椿の魅力を引き出す庭への取り込み方をご紹介します。椿というと、古い家の庭に植わっている一昔前の庭木という印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、海外の庭を見てみると、椿を庭に素敵に取り込んでいる事例がたくさんあります! その一部をご紹介します。
葉色を楽しむ
椿は花が美しいのはもちろんですが、固くつややかな葉も魅力の一つ。この写真の右側にある生垣に椿が利用されています。柔らかい質感の葉やカラーリーフと組み合わせると、お互いに引き立て合い葉のコントラストだけでも深みのある庭に仕上がります。常緑樹なので、冬も葉が落ちることはなく、目隠しとしても使えます。もちろん、深緑の中に咲く花も見所です。
椿は花が美しいのはもちろんですが、固くつややかな葉も魅力の一つ。この写真の右側にある生垣に椿が利用されています。柔らかい質感の葉やカラーリーフと組み合わせると、お互いに引き立て合い葉のコントラストだけでも深みのある庭に仕上がります。常緑樹なので、冬も葉が落ちることはなく、目隠しとしても使えます。もちろん、深緑の中に咲く花も見所です。
枝ぶりを楽しむ
枝ぶりも椿の大きな魅力の一つです。椿の樹形は滑らかな樹皮を持つ枝が、曲線的に伸びていくのが特徴です。
こちらの事例では、枝が見えるように下部をすっきりとさせた仕立てになっています。ゆっくりと成長する椿は、時間が経つほど味わい深い枝ぶりになります。少しずつ仕立てていくような楽しみ方もできそうですね。
枝ぶりも椿の大きな魅力の一つです。椿の樹形は滑らかな樹皮を持つ枝が、曲線的に伸びていくのが特徴です。
こちらの事例では、枝が見えるように下部をすっきりとさせた仕立てになっています。ゆっくりと成長する椿は、時間が経つほど味わい深い枝ぶりになります。少しずつ仕立てていくような楽しみ方もできそうですね。
パーゴラの柱に
椿は耐陰性に優れているので、半日陰でも花をつけてくれます。屋根のあるエントランスやパーゴラ部分でもよく育ち、鮮やかな葉と花色を見せてくれます。
柱がむき出しになっている場所は、固いイメージになりがちです。少し緑が欲しい、という部分におすすめです。広いスペースがとれない場合でも、鉢植えで育てることもできます。
建物がホワイト系だと椿の葉や花がきれいに映えるでしょう。
椿は耐陰性に優れているので、半日陰でも花をつけてくれます。屋根のあるエントランスやパーゴラ部分でもよく育ち、鮮やかな葉と花色を見せてくれます。
柱がむき出しになっている場所は、固いイメージになりがちです。少し緑が欲しい、という部分におすすめです。広いスペースがとれない場合でも、鉢植えで育てることもできます。
建物がホワイト系だと椿の葉や花がきれいに映えるでしょう。
シックな庭に
椿は和風のイメージが強いと思いますが、意外にもヨーロピアンな雰囲気にもよく合います。椿は重厚感のあるアイアンやレンガと相性がよく、上質な空間に仕上げてくれます。甘すぎない大人の洋風な庭にいかがでしょうか?
椿は和風のイメージが強いと思いますが、意外にもヨーロピアンな雰囲気にもよく合います。椿は重厚感のあるアイアンやレンガと相性がよく、上質な空間に仕上げてくれます。甘すぎない大人の洋風な庭にいかがでしょうか?
注意する病害虫
暑さにも寒さにも強く、日陰でも花を咲かせる椿。病気にも強いのですが、いくつか気をつけなくてはいけない病害虫があります。
一番注意したいのがチャドクガの幼虫です。葉を食害し、木にダメージを与えるのはもちろんですが、幼虫の毛は毒を持ち、人が触れると強い痛みとかゆみが出るため、大発生する前に必ず退治しましょう。4月・7月が発生のタイミングとなるため、この時期に予防的に殺虫剤を散布すると良いでしょう。
また、葉が黒いすすを被ったようになるすす病にも注意。すす病はアブラムシ等の分泌物や排泄物に菌が発生したものです。一気に枯らすほどの勢いはないですが、徐々に木が弱っていき、観賞価値も下がります。アブラムシ等の害虫が発生しないように、風通しが良い環境を心がけましょう。
病害虫は早期発見が一番大事です。よく木の様子を観察することで厄介な病害虫は予防することができるでしょう。
暑さにも寒さにも強く、日陰でも花を咲かせる椿。病気にも強いのですが、いくつか気をつけなくてはいけない病害虫があります。
一番注意したいのがチャドクガの幼虫です。葉を食害し、木にダメージを与えるのはもちろんですが、幼虫の毛は毒を持ち、人が触れると強い痛みとかゆみが出るため、大発生する前に必ず退治しましょう。4月・7月が発生のタイミングとなるため、この時期に予防的に殺虫剤を散布すると良いでしょう。
また、葉が黒いすすを被ったようになるすす病にも注意。すす病はアブラムシ等の分泌物や排泄物に菌が発生したものです。一気に枯らすほどの勢いはないですが、徐々に木が弱っていき、観賞価値も下がります。アブラムシ等の害虫が発生しないように、風通しが良い環境を心がけましょう。
病害虫は早期発見が一番大事です。よく木の様子を観察することで厄介な病害虫は予防することができるでしょう。
椿と山茶花
「このキレイな椿は……」と言ったら騙されてしまう人も多いのでは? 実はこちらの花は椿ではなく山茶花(さざんか)なのです。ぱっと見た目はほとんど違いがわからない椿と山茶花。見分けるポイントをお教えします!
①葉の違い
椿に比べて、山茶花の葉は少し小ぶりで光沢がありません。
②花の違い
一般的に香りが無いものが椿、あるものが山茶花です。また、椿は花が完全に開ききらず、カップのような形になるものが多いですが、山茶花は大きく開きます。
③散り方の違い
花の終わりには、椿は花ごと落ち、山茶花は一枚ずつ散ります。
④実の違い
椿の実はつるつるしていますが、山茶花の実には短い毛が生えています。
原種は見分けやすいのですが、品種改良されている園芸品種はわかりにくいものもあります。ほとんど同じように見える2種ですが、上記の見分けるポイントを押さえて、よく観察してみてください。
「このキレイな椿は……」と言ったら騙されてしまう人も多いのでは? 実はこちらの花は椿ではなく山茶花(さざんか)なのです。ぱっと見た目はほとんど違いがわからない椿と山茶花。見分けるポイントをお教えします!
①葉の違い
椿に比べて、山茶花の葉は少し小ぶりで光沢がありません。
②花の違い
一般的に香りが無いものが椿、あるものが山茶花です。また、椿は花が完全に開ききらず、カップのような形になるものが多いですが、山茶花は大きく開きます。
③散り方の違い
花の終わりには、椿は花ごと落ち、山茶花は一枚ずつ散ります。
④実の違い
椿の実はつるつるしていますが、山茶花の実には短い毛が生えています。
原種は見分けやすいのですが、品種改良されている園芸品種はわかりにくいものもあります。ほとんど同じように見える2種ですが、上記の見分けるポイントを押さえて、よく観察してみてください。
誰もが知っていて身近にあるけれど、あまり知らない椿についてご紹介しました。椿っておもしろいかも! と思っていただけたら、庭に植えても鉢植えでも、気軽に楽しめる方法でチャレンジしてみてください。育てやすく花も咲きやすい、とってもおすすめの植木です。
こちらもあわせて
狭くて小さな庭でも広く見せるテクニック
冬の庭を彩るおすすめの花8選
教えてHouzz
椿について知っていることや写真を、下のコメント欄で共有してみましょう!
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