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Houzzツアー:海辺の暮らしを楽しむ、シンプルな箱型ビーチハウス
週末用の家を海辺に建てたい――そんな夢を叶えた、建築家の別荘。オーストラリアの建築賞を数多く受賞した作品です。
Susan Redman
2017年1月23日
オーストラリア、ビクトリア州のモーニントン半島に、1910年に作られた小さな海辺の町、メリックス・ビーチ。1960年代のビーチハウスブームで活気づいた町だが、その後はほとんど開発が進んでいない。メルボルン在住の建築家レイチェル・ノーランさんは、そんなメリックス・ビーチに流れているのんびりとした空気感に惹きつけられ、ここに家族で週末を過ごす別荘を建てることに決めた。
どんなHouzz?
住まい手:レイチェル・ノーランさん、スティーブン・ファレルさんのカップルと、3人の子どもたち
所在地:ビクトリア州モーニントン半島、メリックス・ビーチ
規模:延床面積およそ155メートル、ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×1
デザインチーム:設計事務所〈ケネディ・ノーラン〉のレイチェル・ノーランとパトリック・ケネディ、建築家マイケル・マクラウド
注目ポイント:2013年にはコンテンポラリー新築プロジェクトとして、ビクトリアン・アーキテクチャー賞(新築住宅部門)、ハウジズ賞(200平方メートル以下の新築住宅部門)を含む数々の賞を受賞。
家族で過ごす週末用別荘としてデザインされた小さな家。建設コストをおさえつつ、ビーチで休暇を過ごす一家にも十分な頑丈さが求められた。「私と家族と友人たちのための家ですが、丈夫でメンテナンスの楽な建物にする必要があったんです」とノーランさんは言う。
主な建材は、再利用したレンガ、コンクリート、そしてラフな肌合いを残した木材。家は中央にある中庭を囲むように設計されており、夏は中庭がおもてなしの場所になる。
「ここは、週末をふだんよりシンプルに過ごすための家なんです」とノーランさんは言う。「1日じゅう、ほとんど何もしないで過ごすことのできる場所。慌ただしく学校や仕事に出かけることもなく、みんなでいっしょに大切なひとときを過ごせる場所なんです」。
家が建てられている敷地は、ビーチから2ブロック離れたところで、周囲の見通しはきかない。土地は比較的平坦で、もとはまったくの更地だったが、今ではノーランさんが植えたたくさんの若木に囲まれている。
住まい手:レイチェル・ノーランさん、スティーブン・ファレルさんのカップルと、3人の子どもたち
所在地:ビクトリア州モーニントン半島、メリックス・ビーチ
規模:延床面積およそ155メートル、ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×1
デザインチーム:設計事務所〈ケネディ・ノーラン〉のレイチェル・ノーランとパトリック・ケネディ、建築家マイケル・マクラウド
注目ポイント:2013年にはコンテンポラリー新築プロジェクトとして、ビクトリアン・アーキテクチャー賞(新築住宅部門)、ハウジズ賞(200平方メートル以下の新築住宅部門)を含む数々の賞を受賞。
家族で過ごす週末用別荘としてデザインされた小さな家。建設コストをおさえつつ、ビーチで休暇を過ごす一家にも十分な頑丈さが求められた。「私と家族と友人たちのための家ですが、丈夫でメンテナンスの楽な建物にする必要があったんです」とノーランさんは言う。
主な建材は、再利用したレンガ、コンクリート、そしてラフな肌合いを残した木材。家は中央にある中庭を囲むように設計されており、夏は中庭がおもてなしの場所になる。
「ここは、週末をふだんよりシンプルに過ごすための家なんです」とノーランさんは言う。「1日じゅう、ほとんど何もしないで過ごすことのできる場所。慌ただしく学校や仕事に出かけることもなく、みんなでいっしょに大切なひとときを過ごせる場所なんです」。
家が建てられている敷地は、ビーチから2ブロック離れたところで、周囲の見通しはきかない。土地は比較的平坦で、もとはまったくの更地だったが、今ではノーランさんが植えたたくさんの若木に囲まれている。
外観のシンプルな箱のようなデザインは、インテリアにも共通している。「外側も内側も白くペンキを塗ったレンガ壁には、窓がひとつもありません」とノーランさんは言う。唯一、この白い平面に変化をつけているのは、2つの大きな円のかたちに壁を塗り残した部分。円の1つはリビングルームにあり、もう1つは家の裏手の外壁にある。「建材に使った再利用レンガが見えて、家づくりのストーリーが感じられますね」とノーランさん。
ノーランさんは環境への配慮を大切にしており、この家のデザインにも環境を意識した要素がいくつも取り入れられている。例えば、2重のレンガ壁とコンクリートスラブ基盤を組み合わせて効果的なサーマルマスを作り、さらに天井裏にもしっかり断熱加工を施した。
ノーランさんは環境への配慮を大切にしており、この家のデザインにも環境を意識した要素がいくつも取り入れられている。例えば、2重のレンガ壁とコンクリートスラブ基盤を組み合わせて効果的なサーマルマスを作り、さらに天井裏にもしっかり断熱加工を施した。
一段低くなっているサンクンリビングルームには、座席エリアとして〈ジャーダン〉のソファと、ヴィンテージのアームチェアとフットレストが用意されている。しかしそれ以外にも、快適に座ってくつろげる場所はたくさんある。トルコのキリムクッションやマットをウールのカーペットの上に置くだけでもじゅうぶんだ。夏は、天井のファンと良好な通風のおかげで、屋内を安定した涼しい気温に保つことができる。
設計のいちばんの難題は、小さい家ながら無理を感じさせない仕上がりにすることだったとノーランさんは言う。「デザインに均一感を持たせていて、特別に目立たせるポイントを作っていません。複雑なところのない、シンプルなデザインですが、それを実現するためにかなり努力をしています」。
サンクンリビングを囲むふちの部分は、腰かける場所にもなる。マットを敷くだけの幅もあり、冬の日差しの中でお昼寝もできる。ふちは曲線状に曲がり、いちばん端はテレビを置く台になっている。
「このスペースは、冬がいちばんいいですね」とノーランさんは言う。「薪ストーブを焚きながら、このラウンジでひだまりの中に座って、コンクリートブロック壁の向こうを眺めると、片流れ屋根の上から松の木々が見えるんです」。
サンクンリビングを囲むふちの部分は、腰かける場所にもなる。マットを敷くだけの幅もあり、冬の日差しの中でお昼寝もできる。ふちは曲線状に曲がり、いちばん端はテレビを置く台になっている。
「このスペースは、冬がいちばんいいですね」とノーランさんは言う。「薪ストーブを焚きながら、このラウンジでひだまりの中に座って、コンクリートブロック壁の向こうを眺めると、片流れ屋根の上から松の木々が見えるんです」。
オーストラリアの南海岸に位置する町のため、冬は風が強く、春や秋も肌寒くなるという気候にも考慮する必要があった。「オーストラリア北部の州に住む人たちのような、いつも戸を開け放って、デッキで過ごす生活とは大違いですね」とノーランさんは言う。
とはいえ、レンガとコンクリートでかなりのサーマルマスとなるため、少しの日照でも、かなり室内を暖めることができる。「冬は、〈ネクター〉の緩慢燃焼型薪ストーブが生活の中心になりますね。炉の暖かさがダイニングからリビングへと広がって、空間全体が暖まるんです」とノーランさん。
寒い季節になると、ノーランさん一家はキッチンとリビングのあいだに位置するストーブの周りでくつろぐことが多い。「ストーブの近くに椅子を持って来て、おしゃべりしたり、本を読んだり。夏は、中央のデッキに集まることが多いですね」。
とはいえ、レンガとコンクリートでかなりのサーマルマスとなるため、少しの日照でも、かなり室内を暖めることができる。「冬は、〈ネクター〉の緩慢燃焼型薪ストーブが生活の中心になりますね。炉の暖かさがダイニングからリビングへと広がって、空間全体が暖まるんです」とノーランさん。
寒い季節になると、ノーランさん一家はキッチンとリビングのあいだに位置するストーブの周りでくつろぐことが多い。「ストーブの近くに椅子を持って来て、おしゃべりしたり、本を読んだり。夏は、中央のデッキに集まることが多いですね」。
長い通路がファミリールームとダイニングルームをつないでいる。ダイニングに使われているのは、リサイクルしたハードウッド材のテーブルと、それを囲むオーク材のトーネットチェア。テーブルの上にはアルミニウムのペンダントライトが下がり、床にはペルシャじゅうたんが敷かれている。ダイニングのすぐ外、薪ストーブの後ろの角には、割った薪がきれいに詰まれ、いつでも使えるように用意されている。
「この家は、しなければいけないことを必要最小限に減らして、シンプルになった家庭生活を楽しむことのできる場所なんです」とノーランさんは言う。
「この家は、しなければいけないことを必要最小限に減らして、シンプルになった家庭生活を楽しむことのできる場所なんです」とノーランさんは言う。
壁に沿って1列にレイアウトされたキッチンは、ノーランさんの求める、無駄のない美しさとよくマッチしている。特注のシンプルなラミネート仕上げのキャビネットと、ステンレスのカウンタートップ、そしてカウンターから天井まで届く六角形タイルのバックスプラッシュが、ミニマリストなスタイルを作り出している。
グリーンなアイデアをできるだけたくさん取り入れた設計にしたかった、とノーランさんは言う。中庭デッキを取り巻いて自由に流れるような空間を作ったのも、そのためだ。中庭を仕切るのは、大きなスライド式のガラス扉で、ここから日光が室内に取り込まれる。
「人工的な冷房を入れたり、過度な暖房をする必要のない、環境への責任ある家にしたかったんです。また、水はすべて雨水を集めて賄って、電力も大半を自家発電したいと考えました」とノーランさんは言う。この家で使われる水はすべて、敷地内にある貯水タンクに集められている。
「人工的な冷房を入れたり、過度な暖房をする必要のない、環境への責任ある家にしたかったんです。また、水はすべて雨水を集めて賄って、電力も大半を自家発電したいと考えました」とノーランさんは言う。この家で使われる水はすべて、敷地内にある貯水タンクに集められている。
電力については、屋根にソーラーパネルを設置して、太陽光発電システムを取り入れている。「中庭を囲んで、片流れ屋根が内向きに傾斜しているんですが、これが北向きのソーラーパネル(写真には写っていない)を設置する支え構造に適しているんです」とノーランさん。「パネルは、道路から見えないように考えて配置しました」。
さらに、中庭に面したリビングエリアにある大きな北向きの窓も、室内の温度調節に役立っている。「夏は深い軒が日射しから窓を守り、陰を作ってくれますが、寒い冬場にはサンクンリビングの奥まで日光がじゅうぶんに届くようになっています」。
さらに、中庭に面したリビングエリアにある大きな北向きの窓も、室内の温度調節に役立っている。「夏は深い軒が日射しから窓を守り、陰を作ってくれますが、寒い冬場にはサンクンリビングの奥まで日光がじゅうぶんに届くようになっています」。
中央の中庭に沿って、部屋がU字型に並ぶレイアウトになっている。中庭は、子どもたちの遊び場にうってつけの場所。中庭を囲むオープンプランのリビングにいる大人たちからも目が届いて安心だ。
中庭に接している面の3つ目は、蛇腹のようなかたちのコンクリートブロック壁だ。ここが通路になっていて、カーポートと砂利敷きの私道へとつながっている。リビングエリアのある主な生活空間へは、ここを通って入ってくる。
ベッドルームは3つある。大人用が2部屋と、子ども用の2段ベッドがある部屋が1つ。だから、ノーランさんの友人たちが泊まりがけで週末を過ごしに来ても大丈夫。ぜんぶで2家族を収容する余裕がある。「みんなを招待して、泊まってもらうことができる家なんです」とノーランさんは言う。
実際のところ、自由に使えるスペースがたくさんあるので、お客さんにはそれぞれの好きな場所にマットレスを敷いて寝てもらっているそうだ。「自分のベッドや寝室が決まってなくても、気にならない家なんです。それに、季節によって寝る場所も変わってきますね」。
実際のところ、自由に使えるスペースがたくさんあるので、お客さんにはそれぞれの好きな場所にマットレスを敷いて寝てもらっているそうだ。「自分のベッドや寝室が決まってなくても、気にならない家なんです。それに、季節によって寝る場所も変わってきますね」。
段ベッドの部屋は、中庭の北側にある。ドアはなく、高いところに表側の庭を見下ろす大きな窓が1つだけあり、ここからいくらか光が入ってくる。ベッドはそれぞれキングサイズで、アルコーブに作りつけられている。
「この空間は暗くてプライベートな雰囲気ですね」とノーランさんは言う。「でも、かなり広さがあるので、人が大勢集まったときには、第2のリビングルームとして使うこともできるんです」。
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