Houzzツアー:ザハ・ハディド設計のコンドミニアムにつくりだした、曲線が美しいインテリア
ザハ・ハディドがシンガポールで設計した高級コンドミニアム〈ドリードン〉 。その一室には、ザハ建築のうねるような曲線を室内にもとりこんだアパートメントがあります。
Verlaine Marquez
2017年1月11日
2016年に急逝したザハ・ハディドがシンガポールで初めて手がけたコンドミニアム〈ドリードン〉。サンクンガーデンから立ち上がるオーガニックなフォルムの7棟は、まるで公園に育つ花々のようにも見える。設計事務所〈リム・アイ・ティオン・デザイン〉のプリンシパルであるリム・アイ・ティオンさんは、画期的な建物のデザインかたインスピレーションを得て、4LDKのアパートメントのインテリアも、建築そのもののコンセプトを大胆にとりいれてデザインした。流れるようなラインは、まるで空間にうねるようなランドスケープを生み出すかのように、ドラマティックなシルエットをつくりだしている。
こちらもあわせて
建築家ザハ・ハディドの功績をふりかえる
こちらもあわせて
建築家ザハ・ハディドの功績をふりかえる
教えてHouzz
住まい手:ウェン・ウェイさん、奥様のベン・クーンさん、2人の娘たち
所在地:シンガポールの〈ドリードン・コンドミニアム〉
規模:232平方メートル
設計・施工期間:1年
デザイナーが考えたコンセプトは、うねるようなラインと官能的な質感を使って「エントランスから室内空間へと『生長する』かのようなランドスケープ」をつくりだすこと。設計にはたいへんな労力と時間を要した。「三次元曲線ですから、完璧なカーブの図面と模型を用意するために時間がかかりました。施工するときには、現場の壁や天井に実際にラインを描き、精密に調整し、次に、スケルトンの曲線を施工して、それから最終的な局面を施工していきました。その間も、微調整の連続でした」とリムさんは話す。
また、新築の完成物件なので、もとからある壁や素材はできるだけ生かす方向で設計を行った。「デザインにおいて、無駄なものはないと思っています。そこにある空間をさらに美しく見せることを考えました」とリムさん。
その苦労は実を結び、この家は〈インテリア・デザイン・コンフェデレーション・シンガポール (IDCS)〉が毎年主催する「インテリア・デザイン・エクセレンス・アワードの住宅デザイン部門銅賞を2015年に受賞している。
住まい手:ウェン・ウェイさん、奥様のベン・クーンさん、2人の娘たち
所在地:シンガポールの〈ドリードン・コンドミニアム〉
規模:232平方メートル
設計・施工期間:1年
デザイナーが考えたコンセプトは、うねるようなラインと官能的な質感を使って「エントランスから室内空間へと『生長する』かのようなランドスケープ」をつくりだすこと。設計にはたいへんな労力と時間を要した。「三次元曲線ですから、完璧なカーブの図面と模型を用意するために時間がかかりました。施工するときには、現場の壁や天井に実際にラインを描き、精密に調整し、次に、スケルトンの曲線を施工して、それから最終的な局面を施工していきました。その間も、微調整の連続でした」とリムさんは話す。
また、新築の完成物件なので、もとからある壁や素材はできるだけ生かす方向で設計を行った。「デザインにおいて、無駄なものはないと思っています。そこにある空間をさらに美しく見せることを考えました」とリムさん。
その苦労は実を結び、この家は〈インテリア・デザイン・コンフェデレーション・シンガポール (IDCS)〉が毎年主催する「インテリア・デザイン・エクセレンス・アワードの住宅デザイン部門銅賞を2015年に受賞している。
家族があつまるリビングでは、オープンプランの間取りを生かし、流れるような自由な動線を実現している。キッチンはガラス壁で囲ってあるため、リビングのくつろぎスペースとのつながりは維持しつつも、調理中のにおいがリビングに流れ込むことはない。
白い壁にベニヤ製の流れるようなパネルをしつらえ、間接照明によりうねるようなラインを際立たせている。「照明がアクセントとなっていますし、床やガラスへの映り込みも趣のある効果を生み出しています」とリムさん。
白い壁にベニヤ製の流れるようなパネルをしつらえ、間接照明によりうねるようなラインを際立たせている。「照明がアクセントとなっていますし、床やガラスへの映り込みも趣のある効果を生み出しています」とリムさん。
リビングのすぐ脇には書斎がある。この部屋を囲んでいた垂直の壁を撤去して、カーブしたガラスをカスタム制作して設置した。「シンガポールにはこうした加工ができる業者がいないので、海外に発注しました。」ビロードのカーテンを引けば個室となってプライバシーも確保できるし、カーテン自体がガラスの曲面を美しく見せてくれる。
インテリア全体のカラースキームは白やあたたかみのある中間色で統一。インテリア小物もごくわずかしか置いていない。曲線的なデザインを強調するためにミニマルなデコレーションにしたのかと尋ねると、「数週間前(完成してから1年くらい)に訪ねたときも、まったく同じ状態でした。住まい手はこの『ランドスケープ』のようなデザインの価値を理解してくださっていて、余計なデザインで汚したくないと思っているそうです」とリムさん。
ベッドルームでは、カラーと素材のスキームを反転し、うねるようなパネル部分は白い壁紙をはっている。「テクスチャーを重視して、この選択になりました」とリムさん。リビングと同じく、パネルの際に間接照明があり、曲線を際立たせつつ、ベッドルームに心地よい雰囲気をつくりだしている。
バス・洗面・トイレにもうねるようなランドスケープというコンセプトが導入されている。ベニヤと似た色のタイルを選びつつ、ガラスやミラーによって空間を大きく見せている。
こちらもあわせて
Houzzツアー:シンプルさが生み出す贅沢。モダン・オリエンタルスタイルの快適なアパートメント
教えてHouzz
ご感想をおきかせください。
こちらもあわせて
Houzzツアー:シンプルさが生み出す贅沢。モダン・オリエンタルスタイルの快適なアパートメント
教えてHouzz
ご感想をおきかせください。
おすすめの記事
Houzzがきっかけの家(国内)
ジョージア・オキーフ邸をイメージした、4人家族の暮らしにフィットする家
文/永井理恵子
Houzzで見つけた建築家に依頼して、予算内で夢の住まいを実現!通りかかった人に「素敵ですね!」とよく褒められる、シンプルながらスタイリッシュなお宅です。
続きを読む
日本の家
ゲストへの思いやりの心をしつらえた、離れのある家
文/杉田真理子
東京から訪れるゲストのため、母屋のほかにゲストルームの離れをしつらえた住まい。伝統的な日本家屋の美しさが、自然の中で引き立つ家です。
続きを読む
Houzzがきっかけの家(国内)
家族で自然を満喫。極上の浴室と広々としたデッキを備えた軽井沢の別荘
3人の子供たちの成長期に家族で軽井沢ライフを楽しむため、オーナーは時間のかかる土地探し&新築計画を見直し、中古物件を購入。Houzzで見つけた長野県の建築家に改修を依頼して、飛躍的に自然とのつながりが感じられる住まいに変身させました。
続きを読む
リノベーション
建築家がゲストハウスに再考したガレージ
多目的スペースへと作り替えられた空間とカーポートの追加によって、スタイリッシュにアップデートされた、歴史あるニューイングランド様式の住宅をご紹介します。
続きを読む
世界の家
ビルバオのグランビア通りに佇む、1950年代のクラシカルなフラットハウス
既存のモールディングが美しい85平方メートルのリビング、ダイニング、ホームオフィスをもつ、エレガントなフラットをご紹介します。
続きを読む
精神的に落ち着くかは別問題とすれば~
アンニュイな曲線は行動力や躍動感が躍動感が伝わって来ますが・・・
私には多分、落ち着かない方でしょうね(笑)