My Houzz: 裏庭の小屋を改装した、期間限定のシンプルライフ
新築マンションを購入したものの完成は2年先、貯金は底をつき……。実家の裏庭にあるトタン張りの物置を改装し、シンプルライフを送ることにした若いカップルの暮らしをご紹介します。
Lisa Atkinson
2016年12月18日
海外を旅する生活から戻ってきて、2人で暮らす新居のために住宅ローンを組んだスカイ・ピットさんとボーイフレンドのミッチ・ハワードさん。貯金は底をついてしまい、新築マンションが完成するまでは住む場所もないという状況に。そこで、ピットさんの両親が住む家にある小屋をアップグレードして、生活するための最低限の設備を整え、2人にぴったりのラスティックな住まいを作ってしまおう、と考えた。ピットさんが十代の頃には子どもたちのパーティーハウスでもあったこの「小屋」に住み始めてから2年間、2人は自立した生活をしつつお金を貯めて、新しい家が完成するのを待つことができた。
どんなHouzz?
住まい手:スカイ・ピットさん(30歳)、ミッチ・ハワードさん(33歳)
所在地:オーストラリア、メルボルン
規模:ベッドルーム×1、屋外シャワー
みんなが「小屋」と呼ぶこの建物は、道端で見つけた不要な電柱と幅約180センチのトタン板を使い、ピットさんの父親が牛小屋風の外観に作ったもの。ピットさんが十代のころはパーティーハウスとして、一家のきょうだいたちの遊び場になっていた。ここでビリヤード大会をしたり、バックストリート・ボーイズの曲に合わせて踊ったり、当時の思い出が詰まっていて、ピットさんにとっては親しみのある懐かしい場所だ。
それから何年も経ち、ピットさんが戻って来たときには、とても人が住めそうにない状態になっていた。「がらくた置き場になっていて、箱や、古いマットレス、ビリヤード台、古い家具など、ありとあらゆるものが天井まで積み上げられいました。おまけに、ものすごい数の蜘蛛がいて、ネズミの一家も巣を作ってましたね」とピットさん。
住まい手:スカイ・ピットさん(30歳)、ミッチ・ハワードさん(33歳)
所在地:オーストラリア、メルボルン
規模:ベッドルーム×1、屋外シャワー
みんなが「小屋」と呼ぶこの建物は、道端で見つけた不要な電柱と幅約180センチのトタン板を使い、ピットさんの父親が牛小屋風の外観に作ったもの。ピットさんが十代のころはパーティーハウスとして、一家のきょうだいたちの遊び場になっていた。ここでビリヤード大会をしたり、バックストリート・ボーイズの曲に合わせて踊ったり、当時の思い出が詰まっていて、ピットさんにとっては親しみのある懐かしい場所だ。
それから何年も経ち、ピットさんが戻って来たときには、とても人が住めそうにない状態になっていた。「がらくた置き場になっていて、箱や、古いマットレス、ビリヤード台、古い家具など、ありとあらゆるものが天井まで積み上げられいました。おまけに、ものすごい数の蜘蛛がいて、ネズミの一家も巣を作ってましたね」とピットさん。
すぐ隣にはダムがあるため冬は寒くなる。建物の中には、古いガスボンベを作り替えた薪ストーブが設置されていた。
「私たちが引っ越してきてから、煙が部屋の中に流れないように直しました。テレビを見ていても煙が邪魔になるし、服がキャンプファイヤーみたいなにおいになってしまいますから。大きな窓は、実は昔の金物屋さんで使っていたドアなんです。」
「私たちが引っ越してきてから、煙が部屋の中に流れないように直しました。テレビを見ていても煙が邪魔になるし、服がキャンプファイヤーみたいなにおいになってしまいますから。大きな窓は、実は昔の金物屋さんで使っていたドアなんです。」
さね継ぎ板を使った黄褐色のフローリングは、こぼした飲み物や靴底など、パーティー時代の汚れが積み重なって真っ黒になっていたのだが、職人さんに依頼してやすりをかけてもらうと、わずか数時間でもとの床らしい状態を取り戻すことができた。「ここにも少し、あの頃の思い出が残っていますね」とピットさんは言う。
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ピットさんがとくに気に入っているのはキッチン。以前、ピットさんとハワードさんは狭いメルボルンのアパートメントに住んでいたのだが、ゆっくり過ごせるキッチンがなかったのが不満だったという。新しいキッチンはハワードさんの手作りで、調理スペースも十分な広いカウンターがあり、材料などを収納する棚も用意されている。
「キッチンを設置する前は、ただのがらんとした部屋という印象で、2年間もここで快適に住むことができるとは思えませんでした」とピットさんは言う。「でもキッチンが完成したら家全体の雰囲気が引き締まって、1つの大きなオープンプランのリビングスペースにまとまりました。黒の耐水合板でラスティックな魅力が強まりましたね!」
「キッチンを設置する前は、ただのがらんとした部屋という印象で、2年間もここで快適に住むことができるとは思えませんでした」とピットさんは言う。「でもキッチンが完成したら家全体の雰囲気が引き締まって、1つの大きなオープンプランのリビングスペースにまとまりました。黒の耐水合板でラスティックな魅力が強まりましたね!」
カウンタートップの下にも収納を追加。ここには食器やグラス類をしまっている。
リビングエリアでリラックスする時間が大好きだという2人。ピットさんのお気に入り家具の1つは、2人の宝物がたくさん飾られている壁際の戸棚だ。「私が幼いころから10回以上、引越すたびに両親はこの棚を持ち運んできたんです。もとは、あまりきれいとは言えない赤茶の木の色でしたね」とピットさん。「母が白くペンキを塗るつもりだったんですが、下地を塗ってみると、とてもいい感じのシャビーシック風になったから、そこで完成になりました!」この家にある家具の大半を見つけてきたのもピットさんの母親だ。格安で探した家具はほとんどが15米ドル以下で、それをすべて白く塗り、フレッシュで統一感のある雰囲気を演出している。
寒い冬のあいだ、おもな暖房は薪ストーブに頼っている。そのほか、ベッドルームの冷気を和らげるために小さいファンヒーターがある。夏の暑い時期になると、2人はピットさんの両親が住む母屋に移らなくてはならない。トタン板に熱がこもるため、さすがに耐えられない暑さなのだ。
狭いスペースを実際より広く感じさせ、モノが増えすぎて困るのを防ぐには、室内の装飾をミニマルにするのがコツだと、ピットさんは言う。フランスの田舎のコテージ風の雰囲気が気に入っているそうだ。「コストを抑えることがいちばん重要でしたから、すでにあるものを活用するしかありません。古いがらくたからでも、その気になれば驚くほどいろんなものを作ることができるんですよ!」とピットさんは言う。親しい友人でインテリアデザイナーのマーディ・メーソンさんの助けを借りて、インテリアを完成させた。
「家がごちゃごちゃしていると、精神的にも影響があると思います」とピットさん。「できる限り、ものには複数の機能を持たせるように工夫しました。」
ベッドルームは、より快適に過ごせるように、オリジナルの小屋に構造を追加して作られた。それまで住みついていた虫や小動物のこともあり、寝る場所だけは、締め切ることができてカーペット敷きの部屋にすることを選んだのだ。
ピットさんが大好きな屋外シャワー。一日の始まりに新鮮な冷たい空気のなかで温かいお湯を浴びると活力が湧いてくる、ということで、冬でもこのシャワーを使うそうだ。「屋外シャワーエリアの床は、パーティーハウス時代からあった古いDJ用の台を使っているんです。シャワー本体は、家族の別荘をリノベーションしたときにいらなくなったものを使いました」とピットさん。このほか、母屋のバスルームも使っている。
表のポーチの椅子に座ると、まっすぐ向かいにダムがあり、美しい夕日を眺めることができる。
ピットさんとハワードさんは、ダムが目の前に広がるこちらの丸太に座って過ごすことも多い。近くには焚き火用の炉を設置している。この場所には、十代の頃のキャンプファイヤーの思い出もある。
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両親といっしょの暮らしは、お金が節約できるだけでなく、こんなに魅力的ななかたちで実現することも可能なのだ、と示してくれるような2人の住まい。アパートメントが完成して入居する日を待ちながら、この暮らしを楽しんでいる。
「屋外シャワーに、薪ストーブだけの暖房、水はタンクに貯めたものを使って、トタン屋根に雨が降ると大声で叫ばないと聞こえないほどうるさいし、料理は携帯用コンロ……。それもすべて、永遠に忘れられない大切な思い出になりますね」とピットさんは言う。
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