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My Houzz: 33平方メートルのワンルームで送る、ヒュッゲなふたり暮らし
小さなワンルームでもほっこりと心地よい「ヒュッゲ」な生活は送れるもの。それを実践しているデンマーク人とアメリカ人のカップルの暮らしをご紹介します。
Nanette Wong
2016年12月15日
サンフランシスコで33平方メートルのワンルームの賃貸を見つけた、ミーガン・ハーモンさんとクリスチャン・ハンセンさん。ふたり暮らしには窮屈なサイズの家だが、ふたりはこれを自分たちらしいスタイルを表現するチャンスととらえた。IT企業で働くふたりが作り出したのは、機能的でストーリーのある家。ミッドセンチュリーモダン、アート、おもてなしが好きなふたりのスタイルを形にした空間だ。
どんなHouzz?
住まい手:クリスチャン・ハンセンさんとメーガン・ハーモンさん
所在地:サンフランシスコ、ノースビーチ地区
規模:約33平方メートル
ふたりが部屋を探すとき、何より大切にしたのが建物としての個性だった。20を超える物件を見て回ってもどれも同じに見えたが、この部屋だけは一目見てすぐに強くひかれたという。クラシックなフレンチドア、張り出し窓、差し込む自然光が魅力だった。
住まい手:クリスチャン・ハンセンさんとメーガン・ハーモンさん
所在地:サンフランシスコ、ノースビーチ地区
規模:約33平方メートル
ふたりが部屋を探すとき、何より大切にしたのが建物としての個性だった。20を超える物件を見て回ってもどれも同じに見えたが、この部屋だけは一目見てすぐに強くひかれたという。クラシックなフレンチドア、張り出し窓、差し込む自然光が魅力だった。
小さなアパートメントだが、ハーモンさんはこの部屋が持つ個性と味わいが好きだという。例えばガスコンロや、エントランスにある電話用の小さなスペースなどだ。「歴史のある場所に住んでいるというのは本当にすてきです。これまでも、これからも、たぶん私よりずっと長くそこに存在するものと一緒に暮らす――素敵なことですよね」とハーモンさんは言う
ワンルームの部屋を見渡せば、ふたりが大変なアート好きであることは一目瞭然だ。ハーモンさんは以前、国立財団「ナショナル・ヤングアーツ・ファンデーション」に勤めていた。第一級の芸術的才能をそなえたアーティストを発掘し、育成を支援する非営利団体だ。そのころに見出した数多くの若手アーティストの作品を集めたすばらしいコレクションなのだ。ほかに、家族や友人からら贈られた作品もある。
1920年代の〈J・B.・ルヴェ〉の自転車を描いたポスターはミッチというアーティストの作品で、こちらはハンセンさんの所有。「ミッチは以前、ニューヨーク市で自転車で荷物を配達するメッセンジャーをしていたので、こうしたポスターの背景にある歴史が大好きなんです」とハーモンさんは説明する。
コンパクトな空間で一緒に暮らすことでふたりの距離は縮まったが、いつもうまくいくわけではない。「ふたりがそろってとても苦労したのが、大量の本を手放すこと。英文学専攻と人文学専攻ならではの悩みですね。お互いがもっている全部持ち込めば、どう頑張っても古書店の中に住んでいるかも同然になってしまう、と悟って観念したんです。かなり時間はかかりましたが、なんとかここまですっきりしました。」
ふたりには「タンスやチェストは各部屋に1つ」というモットーがある。「ものを入れておく家具は、各部屋に1つで十分なはずなんです。それ以上あっても、本当はそこにしまわなくてもいいものを詰め込むだけですから」とハーモンさん。「タンスやチェストを1つに絞っても、必要以上にいろいろ入れようとしてしまうもの。それでも1つきりなら、中のものを探したり必要なときに片づけたりするのも楽です。」
ふたりが好きなのはミッドセンチュリーモダンの家具。とりわけ、デンマーク出身のハンセンさんはデザイン好きだ。ふたりにとって、この時代の家具は単なる家具ではなく、エフォートレスでタイムレスなスタイルのある、一種のアート作品でもあると考えている。
意識したのは、手に入れたのが旅先であれ地元のヴィンテージショップであれ、ストーリーのあるアイテムを家に取り入れること。「例えばラグは私がアルメニアで見つけたもの。新しい就職先での初めての出張だったので、記念になるものを持って帰るべきかもと思ったのです。実は、持ちものを現地のホテルの部屋に少し置き去りにして、これをスーツケースに入れて持って帰ってきたんです」とハーモンさん。
「調理道具入れは、私の家族が四世代にわたって住んでいる、インディアナ州マンシーの郊外にある〈ベテル・ポッタリー〉という工房で買ったものです。」
意識したのは、手に入れたのが旅先であれ地元のヴィンテージショップであれ、ストーリーのあるアイテムを家に取り入れること。「例えばラグは私がアルメニアで見つけたもの。新しい就職先での初めての出張だったので、記念になるものを持って帰るべきかもと思ったのです。実は、持ちものを現地のホテルの部屋に少し置き去りにして、これをスーツケースに入れて持って帰ってきたんです」とハーモンさん。
「調理道具入れは、私の家族が四世代にわたって住んでいる、インディアナ州マンシーの郊外にある〈ベテル・ポッタリー〉という工房で買ったものです。」
「ミッドセンチュリーモダンの家具は、会話の生まれる空間を生み出すようにつくられています。友人を呼んでディナーパーティーを開くのが好きなので、会話を引き出してくれるような空間が好きなんです。ふたりだけでいるときも同じです。夕食のときは向かい合って座るのが好きです。」
ハンセンさんは昼間はIT企業に勤めながら、夜と週末には木工職人として活動している。最初はラフィン・チキンズという会社で木工の仕事を始め、ここで製作したレッドウッド材の鶏小屋が評価され、キッチン用品を扱う〈ウィリアムズ・ソノマ〉などでオンライン販売された。その後、みずから工房〈ヒュッゲ・カルチャー〉を立ち上げ、今に至っている。
家の中には、ハーモンさんの手を借りてハンセンさんが手がけた、思いの込められたアイテムがいくつもある。コンソールキャビネットはふたりの共同作品。一緒に手がけたことで、ハーモンさんにとって特別な意味をもった作品になった。
家の中には、ハーモンさんの手を借りてハンセンさんが手がけた、思いの込められたアイテムがいくつもある。コンソールキャビネットはふたりの共同作品。一緒に手がけたことで、ハーモンさんにとって特別な意味をもった作品になった。
ワンルームをシェアする利点はいくつもあるが、節約になるのもそのひとつ。節約できたぶん、コレクションアイテムにもなる上質な家具に投資することができた。
「クリスチャンは掘り出し物の家具を見つけるのがうまいんです。私は店頭での交渉役。〈ジェンス・リゾム〉の家具を400ドル値下げしてもらったことがあります。表示されていた価格では買わないつもりだったので、交渉して受け入れてもらえたときはほっとしました」とハーモンさんは説明する。
「クリスチャンは掘り出し物の家具を見つけるのがうまいんです。私は店頭での交渉役。〈ジェンス・リゾム〉の家具を400ドル値下げしてもらったことがあります。表示されていた価格では買わないつもりだったので、交渉して受け入れてもらえたときはほっとしました」とハーモンさんは説明する。
ハーモンさんによれば、ふたりのインテリアは、ミッドセンチュリーモダンにインスパイアされた明るい雰囲気のインテリア」であり、寝室やバスルーム、パーソナルなスペースはソフトに仕上げている。「でも、ゲストを呼ぶ部屋では、もう少しだけ大胆で人をひきつける感じが好きですね。」
キッチンの小物を見れば、ふたりがコーヒー好きなのがよくわかる。カッティングボードはハンセンさんの〈ヒュッゲ・カルチャー〉のもの。
植物や緑が好きなのは、ふたりとも外へ出てあちこち散策するのが好きだから。週末はいつも1日予定を空けておいて、一緒に新しい場所へハイキングに出かける。ふたりは、ブログ「ハイクス・アンド・バイツ」にライフスタイルを執筆している。
「ヒュッゲは『温かい雰囲気を作り出して、人生の心地よいもの、大切なものを大切な人と楽しむこと』を表す言葉です。英語にはこれに相当する単語はありません。だから主にデンマーク生まれの家具やデンマークにインスパイアされた家具がほしいと思うのかもしれません。突き詰めれば、私たちは家にヒュッゲを作りたいということなんですね。」ハーモンさんはそう締めくくった。
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