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今週の部屋:オリジナルソファとワンコの居場所のある、眺めのいいLDK
イメージスケッチや手作りのスクラップブックで希望を伝え、オーダーメイドのソファなどこだわりのディテールを実現。愛犬2匹と暮らすおしゃれ夫妻のリノベーション。
田村敦子|Atsuko Tamura
2017年1月13日
Freelance Editor
居室が3層スキップフロアで構成される、珍しい造りの築47年のマンション。この8階と9階が夫妻の住まいだ。周囲に高い建物がないため、上階のLDKの窓の外に広がる眺望は、とても都心部とは思えない。収納スペースと水まわり、書斎と寝室、LDKがそれぞれ階段を介して配置され、「模様替えがしやすいように、リノベーション自体はできるだけシンプルに、というのがリクエスト。でも木の色や質感、サイズや形状など、こだわりたい部分は用意したスケッチをもとに、じっくり話し合ったうえでつくり込んでいただきました」とオーナー夫妻は語る。
リノベーションでは、低かった天井を抜き、躯体あらわしにして全体を白く塗装した。出てきた梁の流れる方向とフローリング板の張り方向を揃えたことで、部屋に奥行きを持たせ、ソファも窓下までと低めに設定して、高さや広さがより強調されるように工夫している。
ナラ材のフローリングは無塗装のものを選んで、着色オイルフィニッシュも、オーナー夫妻が自らおこなった。
ナラ材のフローリングは無塗装のものを選んで、着色オイルフィニッシュも、オーナー夫妻が自らおこなった。
キッチンに立つと正面にダイニングテーブル、左手には壁一面に造り付けた、詰めれば9人は座れる長いソファがある。「キッチンカウンターを低めにつくってもらったので、テーブルに座っている人とも、料理を作りながら話せます。ゲストを招いて、ソファに人がずらりと並んでいるシーンはなかなか圧巻なのですが、料理をしていても、みんなとの話に参加できるので、料理する時間も楽しく過ごせています」と奥様。
この造り付けのソファは、オーナーがイメージスケッチを描き、シートの張地も用意して、〈エキップ〉の伊達宏晶さんに相談して製作してもらったもの。リノベーションにあたって実現したいことがたくさんあった夫妻は、要望やイメージをスクラップブックにまとめてから打ち合わせに臨んだのだそう。ソファの一部にドッグハウスを組み込んだ、オリジナリティのあるソファの構想も、こうして形になった。
※Houzzではアイデアブックのコラボレーション機能を使って、家づくりのアイデアを住まいのプロやほかのユーザーとシェアすることができます。詳しくはこちら。
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愛犬家のオーナー夫妻は、階段にも独自の工夫を凝らしている。写真は、リビングに通じる階段。一緒に暮らす2頭のチワワの小さな足でも昇りやすいようにと、1段ごとに木製のボックスをステップとして置き、段差の調整をした。
階段を昇るとLDKの入り口で、愛犬わさびとオミソシルが出迎えてくれた。ユニークな名前の由来をこっそり教えてくれたのは、奥にいる茶色のチワワ、わさび君。
「僕のご主人が長く海外に行っていたときに、いちばん食べたかった日本食がお味噌汁だったんだって。オミソシルという名前には、温かくて、おいしくて、安らぐもの、そんな思いを込めたそうだよ。そして僕の名前は、“なくてはならないもの” という意味らしい。『お寿司にわさびがなかったら、どう? 困るでしょ』って聞かれたけど……実は僕にはわからないんだけどね! わんわん」
「僕のご主人が長く海外に行っていたときに、いちばん食べたかった日本食がお味噌汁だったんだって。オミソシルという名前には、温かくて、おいしくて、安らぐもの、そんな思いを込めたそうだよ。そして僕の名前は、“なくてはならないもの” という意味らしい。『お寿司にわさびがなかったら、どう? 困るでしょ』って聞かれたけど……実は僕にはわからないんだけどね! わんわん」
なくてはならない安らぎの存在、わさびとオミソシルの居場所は、ソファの端近くに設置された白いボックス形のドッグハウス付近。フロア側に1つ、ソファのシート側に2つあるアーチ形の窓から、自由に出入りのできる犬小屋だ。ソファの隅っこに設置するのではなく、座れるスペース1人分を残してあるのもポイント。ハウスの高さはソファの背と合わせ、上にはインテリア雑貨も飾れるようになっている。ソファのシートの下はたっぷりの収納スペースだ。
すぐ隣にあるのは、もと洗面室だったスペースを活用したユーティリティー。開口部には上下を少しあけてアンティークのルーバー扉を取り付けた。中に愛犬のトイレがあり、2頭は下の隙間から出入りする。
LDKでくつろぐときの過ごし方や家族の定位置を奥様に聞いてみた。「私はだいたい椅子に座っています。主人がソファで横になって、そこにわさびが一緒に寝て、オミソシルが犬小屋で寝ていることが多いです。わさびは人懐っこく、オミソシルのことが大好きなんですが、オミソシルはマイペースで、わさびのことを時々いじめています(笑)」。微笑ましい光景が目に浮かぶ。
キッチンはバルコニーに向けて設置したので、料理中も素晴らしい眺望が楽しめる。ラワン材のパネルで囲み、少し立ち上がりをつけたキッチンカウンターは、手元が適度に隠れて機能的だ。
窓際には大きな観葉植物をたっぷりと、いたるところにドライフラワーも飾り、ちょっと温室のようなイメージ。キッチンカウンターの上のオープン棚は、杉の古材をステンレスのボルトで固定して天井から吊った。グラスなどを置くのにも使えるが、ここもグリーンの置き場所にしている。個性的なフォルムの照明は、目黒のインテリアショップ〈Point No.39〉で手に入れたもの。
キッチンカウンターのコンロ側の壁に接する部分には、カウンターの幅分だけ、六角形のモザイクタイルを貼ってアクセントにした。サブウェイタイルを製造している海外のメーカーからオーナーが取り寄せた、こだわりの素材。
ちなみに、階下にあるひと続きの書斎・寝室にももうひとつ、こだわりの素材を使っている。「家をリノベーションする際には、アンティークの大物を1点取り入れたいという思いが昔からありました。ちょうど大きな扉が設置できそうな場所があったので、これはと思い、アンティークの扉を探しました」。奥様いわく、この扉は “中世ヨーロッパの薬局”の扉のイメージなのだそう。おしゃれな夫妻らしい、天井から流木を吊るしてクローゼットにしたアイデアも小粋だ。
こだわりたい部分をビジュアルや言葉できっちり伝え、シンプルながら要所要所に自分たちならではの快適さを実現したオーナー夫妻。「一度決めたことでも、実際に見てみると違うこともありました。工事が始まってからも現場にも毎週通い、現場監督とも何度も話をして、こうしたいということを伝えたのがよかったと思っています」。愛犬ともども、望み通りの空間に大満足だそうだ。
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こだわりたい部分をビジュアルや言葉できっちり伝え、シンプルながら要所要所に自分たちならではの快適さを実現したオーナー夫妻。「一度決めたことでも、実際に見てみると違うこともありました。工事が始まってからも現場にも毎週通い、現場監督とも何度も話をして、こうしたいということを伝えたのがよかったと思っています」。愛犬ともども、望み通りの空間に大満足だそうだ。
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