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Houzzツアー:スタイリッシュで価格も手頃な狭小エコハウス
狭小地でもコストを抑えてエコで快適な家をつくるには? アメリカで進行中のプロジェクトが参考になりそうです。
Ronique Gibson
2016年10月17日
近年、家の規模が大きくなり、価格は高騰している一方で、できあがる家はあまりエコロジカルとは言えない。これらの問題を解決するため、米国フィラデルフィアの〈ポストグリーン・ホームズ〉はコンパクトでエネルギー消費の少なく、しかも価格も手頃(75,000ユーロより)な家を開発した。この家の設計を手掛けた建築家、ニック・ダーリングが目指したのは、環境について配慮したいと考える人に低価格で斬新なデザインの住宅を提供すること。環境に優しく、しかも暮らす人のライフスタイルを豊かにする住宅である。
《100Kプロジェクト》シリーズとして開発された家は、外から見ると装飾を排した建物で、一見するとデザイン性の高い小さな倉庫のようだ。しかしその外観を裏切るように、室内は明るく心地よく、しかも建物自体がエコロジカルだ。価格も人件費と材料費すべて込みでわずか75,000ユーロから、という低価格である。
室内は明るくあたたかい雰囲気だ。「間取りと窓の配置により、この大きさの家では普通は不可能な明るさと広さが生まれているのです。また、天井高が2.9メートルあるので、さらに空間の広がりが感じられます。」
〈ポストグリーン・ホーム〉は、合板やコンクリートを使う。これらの建材のおかげで、顧客の予算内にコストを抑えながら、オーダーメイドで独自のスタイルを作り上げることができるのだとニック・ダーリングさんは話す。「ミニマリストで現代的な雰囲気を心がけていて、顧客にも好評です。」
「窓のグラフィックな形や、階段の仕切り壁の開口部がつくるジオメトリックな模様が気に入っています」とダーリングさん。
階段のステップや窓、床、収納戸棚など、住宅の要素はすべて、その家ごとに自在に変更することができる。
階段のステップや窓、床、収納戸棚など、住宅の要素はすべて、その家ごとに自在に変更することができる。
《100Kプロジェクト》の家は、全体がワンルームの空間なので、暖房もシンプルで、床暖房で家全体を暖めるシステムになっている。冷房は、2階のエアコンで家全体に冷たい空気を巡らせる。
壁は厚くし、壁の継ぎ目をふさぐシーリングをしっかりと施すことで、室内の熱が外に逃げるのを防いでいる。「窓も、冬に太陽の熱を室内に取り込む重要な役割を果たしているのです。」とニック・ダーリングさんは説明する。
壁は厚くし、壁の継ぎ目をふさぐシーリングをしっかりと施すことで、室内の熱が外に逃げるのを防いでいる。「窓も、冬に太陽の熱を室内に取り込む重要な役割を果たしているのです。」とニック・ダーリングさんは説明する。
「エコロジカルな性能が高い住宅ですが、それは外から見てもわかりません」とニック・ダーリングさんは話す。「壁には断熱材をしっかりと入れて、塗料と仕上げ材は室内の空気をクリーンに保つものを選びました。こうした工夫により、機能的にして非常に暮らしやすい家になっています。もちろん、家の使い方についても、アドバイスをしたり、使用説明書もお渡ししています。」
「私たちが手がけた家は、2例を除いて、すべてLEED認証を取得済または取得中です。それ以外の2例もドイツの省エネルギー基準を満たしています。」とダーリングさん。省エネルギー効率の高さが認定されているため、税金の控除対象にもなる。
「外壁の選択肢は3パターンありますが、4つ目も開発中です。強化繊維入りコンクリートパネルはどのパターンでも必ず使っています。水平、垂直の組み合わせで、さまざまなパターンを描くことができます。写真の家ではペイントして使っていますが、丈夫で安価な素材です。それに、美しさもありますよね」とダーリングさん。
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