My Houzz:住み替えを意識した仕掛けが満載、30代デザイナー夫婦のマンションリフォーム
子供の成長に伴う住み替えを念頭に、建築家とインテリアデザイナーの夫妻が中古マンションをリフォーム。上質でフレキシブルな空間に、インテリアスタイリングで個性を加えて住みこなしています。
Miki Anzai
2016年11月22日
一級建築士の中村昌彦さんと、インテリアデザイナーの菜穂子夫人が、マイホームの購入とリフォームで心がけたのは、「自分たちの個性を活かしつつ、多くの人にも魅力を感じてもらえるような、貸しやすい、あるいは売却しやすい家」だ。なぜなら、現在4歳の長女が小学校に上がり、生まれたばかりの長男が元気に動きまわるようになる頃には「住み替え」を考えているからだ。
物件探しで重点を置いたのがロケーション。京都御所や鴨川に近い閑静な住宅街に位置し、教育のモデル校として名高い小学校に徒歩で通える、治安のよいエリアにあるマンションを選んだ。5階建て鉄筋コンクリート造の建物は、築30年を越えるが、現状よりも日当たりが悪くなる可能性も少なく、部屋も最上階で、角の南向きだ。南北それぞれには、広めのバルコニーもついている。
リフォームのポイントとしては、「一生ここで暮らすことを想定してつくり込むのではなく、次の住人のことも意識しながらプランニングしました」と語る中村夫妻。この約70平米のマンションを購入したときには、ちょうど長女が生まれたばかり。「将来、手狭になることがわかっていたので、なるべくお金をかけず、売却や賃貸の可能性が出た時点で、手を入れやすい状態で完成させることを念頭に計画した」という。構造面でそうした配慮をするいっぽう、インテリアは中村夫妻らしさをふんだんに表現している。スタイリングは、すべて菜穂子さんが担当。プロならではの家具の組み合わせが光る、上質の空間ができ上がった。
物件探しで重点を置いたのがロケーション。京都御所や鴨川に近い閑静な住宅街に位置し、教育のモデル校として名高い小学校に徒歩で通える、治安のよいエリアにあるマンションを選んだ。5階建て鉄筋コンクリート造の建物は、築30年を越えるが、現状よりも日当たりが悪くなる可能性も少なく、部屋も最上階で、角の南向きだ。南北それぞれには、広めのバルコニーもついている。
リフォームのポイントとしては、「一生ここで暮らすことを想定してつくり込むのではなく、次の住人のことも意識しながらプランニングしました」と語る中村夫妻。この約70平米のマンションを購入したときには、ちょうど長女が生まれたばかり。「将来、手狭になることがわかっていたので、なるべくお金をかけず、売却や賃貸の可能性が出た時点で、手を入れやすい状態で完成させることを念頭に計画した」という。構造面でそうした配慮をするいっぽう、インテリアは中村夫妻らしさをふんだんに表現している。スタイリングは、すべて菜穂子さんが担当。プロならではの家具の組み合わせが光る、上質の空間ができ上がった。
既存の和室と天井仕上げを撤去して、広々としたLDKを誕生させた。「次に手を加えやすいように、躯体をあらわしにすることは決めていたので、新旧構造のコントラストがきつくなりすぎないよう、またインテリアや小物などでテイストをどのようにも変えられるよう、白いキャンパスのような空間をつくるように心がけました」と昌彦さん。〈フロス〉のシャンデリア《モデル2097》が、部屋全体をモダンかつ優美に演出している。
どんなHouzz?
住まい手:中村昌彦さん、菜穂子さん、4歳の女の子、0歳の男の子
所在地:京都市中京区
構造:鉄骨造
延床面積:67.45平方メートル
リノベーション竣工:2013年3月
間取り:2DKを1LDKに変更
設計:koyori(こより)
どんなHouzz?
住まい手:中村昌彦さん、菜穂子さん、4歳の女の子、0歳の男の子
所在地:京都市中京区
構造:鉄骨造
延床面積:67.45平方メートル
リノベーション竣工:2013年3月
間取り:2DKを1LDKに変更
設計:koyori(こより)
「白いキャンバス」をイメージしたという壁は、EP(合成樹脂エマルションペイント)塗装。艶消し仕上げにすることで、塗り替えたばかりの感じでなく、落ち着いた雰囲気になっている。
ダイニングチェアは、昌彦さんと菜穂子さんがそれぞれ好きなものを1脚ずつ購入し、その後は菜穂子さんが買い足していった。あえてセットで揃えず、北欧系のデザイナーの違う椅子を組み合わせることで、しゃれたカフェ風のダイニング空間をつくり出している。ダイニングテーブルは、〈エアコンディションド〉の《ヴァリエーション 0123 ロー テーブル レッグス セット》。4本それぞれ違うデザインの脚が印象的だ。
ダイニングチェアは、昌彦さんと菜穂子さんがそれぞれ好きなものを1脚ずつ購入し、その後は菜穂子さんが買い足していった。あえてセットで揃えず、北欧系のデザイナーの違う椅子を組み合わせることで、しゃれたカフェ風のダイニング空間をつくり出している。ダイニングテーブルは、〈エアコンディションド〉の《ヴァリエーション 0123 ロー テーブル レッグス セット》。4本それぞれ違うデザインの脚が印象的だ。
古いマンションについていた和室(写真奥、南側)は取り払い、リビングを拡張した。賃貸に出す場合の需要も考慮して、床はフローリングに変更。「経年変化や、家族で一緒に手入れすることも大事な時間」と考えている中村夫妻にとって、畳も魅力的だったが、現代の一般的なライフスタイルを優先させて、フローリングを選択したという。
床材は「直接、身体に触れる場所なので、冷たい無機質なものは使わないように」と、チーク材を使用。天然塗料の蜜蝋ワックス仕上げにしている。既存のリビングの床材は、「防音材が入ったものだったので、増し張りで床材を張り、そのときに段差などはなくしています」と昌彦さん。
床材は「直接、身体に触れる場所なので、冷たい無機質なものは使わないように」と、チーク材を使用。天然塗料の蜜蝋ワックス仕上げにしている。既存のリビングの床材は、「防音材が入ったものだったので、増し張りで床材を張り、そのときに段差などはなくしています」と昌彦さん。
玄関を入り、扉(写真左)を開けると、まず天井の高さに驚かされる。配線や、パイプなども目には入ってくるものの、それもデザインの一部かと思わせるほど、スタイリッシュな空間である。
次のオーナーがなるべく手をかけないで住めるように、たとえばエアコンなども追加しやすいように、「空配管のコンセントや、テレビ線、床材を間仕切り壁の下にもきちんと張っておくことなどに気を配りました」と昌彦さん。その実用性を追求した空間に、洗練された飽きのこない北欧風のデザインを加味したのが、菜穂子さんだ。
次のオーナーがなるべく手をかけないで住めるように、たとえばエアコンなども追加しやすいように、「空配管のコンセントや、テレビ線、床材を間仕切り壁の下にもきちんと張っておくことなどに気を配りました」と昌彦さん。その実用性を追求した空間に、洗練された飽きのこない北欧風のデザインを加味したのが、菜穂子さんだ。
家具だけでなく、各部屋のポイントに、観葉植物もコーディネートして飾っている。「季節によってはすぐに枯れてしまう植物もあるので、その時期に合わせ、手入れのしやすいものを購入しています」と菜穂子さん。
窓のサッシはすべて、結露対策を施したガラスに入れ替えた。またカーテンは、「少し長めに、下を引きずるぐらいの長さにして、主張しすぎない素材感と色味を選んだ」という。
収納棚の最下段は、直径10mmの黒皮仕上げの鉄の棒で支えるだけにし、圧迫感のないスペースをつくることで、ゴミ箱などを置きやすくした。 収納棚の奥行きは、上2段を250mmに、一番下を500mmにしている。「見せる収納にすることで、どこに何があるのか、すぐわかるので使いやすいです」と菜穂子さん。
西側のキッチン奥の柱は、既存躯体をそのまま見せている。
実はこのリフォームを計画中、第1子を出産したばかりなだけでなく、昌彦さんが突然入院するなどで、ゆっくりとリフォームの検討をする余裕がなかったと菜穂子さん。「もっと時間があれば、キッチン奥には建具をつくるなど、もう少し見えない箇所をつくり込みたかった」との思いもあるそうだ。
実はこのリフォームを計画中、第1子を出産したばかりなだけでなく、昌彦さんが突然入院するなどで、ゆっくりとリフォームの検討をする余裕がなかったと菜穂子さん。「もっと時間があれば、キッチン奥には建具をつくるなど、もう少し見えない箇所をつくり込みたかった」との思いもあるそうだ。
寝室の壁や天井の鉄筋コンクリートには、補修時の白いペイントを「自然なものとして」そのまま残している。「賃貸に出したり販売するときには補修するかもしれませんが、今は全然気にしていません」と中村夫妻。
効率よく収納スペースを確保するために、 ベッドのマット下を開閉する仕組みにして、季節ものの布団や道具などを収納している。
効率よく収納スペースを確保するために、 ベッドのマット下を開閉する仕組みにして、季節ものの布団や道具などを収納している。
奥行きを深めにしたクローゼット。上部を開けて、部屋を広く感じさせている。ここにも、室内で育てやすいポトスを置くことで、ベッドルームから緑の色彩も楽しめる工夫がなされている。
ペンダントライトには、あえてシェードをつけていない。「人によって、目がチカチカして好まれない方もいますが、私たちは裸電球の色味と形状が気に入っています」と話す中村夫妻。
ペンダントライトには、あえてシェードをつけていない。「人によって、目がチカチカして好まれない方もいますが、私たちは裸電球の色味と形状が気に入っています」と話す中村夫妻。
〈ハンス・オルセン〉の3人掛けソファには、セレクトショップで購入した、入居時の家族3人の、ファーストネームの頭文字が入っているクッションを飾っている。
建築家の昌彦さんと、インテリアデザイナーの菜穂子さんは、設計事務所〈koyori〉として、数々の個人住宅、商業施設の設計・デザインを手がけている。事務所名の「こより」(紙縒)は、紙を指先でくるくるねじって紐にしたもの。水引などに代表される「こより」は、現代の生活でも大切に使われている。この「こより」のように、2人は「場所やシチュエーション、用途に合わせ、さまざまな形になりながら、お客様の暮らしにそっと寄り添い続けたい」と語る。
数年後、この家の新たなオーナーが決まったとき、中村夫妻があらかじめ配慮したさまざまな仕掛けに、オーナーはきっと驚き、喜ぶことだろう。
夫妻が手がけた、昌彦さんの実家のリノベーションはこちら
Houzzツアー:京都・歴史街道沿いの築100年の古民家を、重厚な和モダン住宅に
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数年後、この家の新たなオーナーが決まったとき、中村夫妻があらかじめ配慮したさまざまな仕掛けに、オーナーはきっと驚き、喜ぶことだろう。
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