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色のインテリア効果:ぬくもりをくれる大地の色「ブラウン」
インテリアに取り入れる色が視覚や感情に及ぼす効果を知り、快適な部屋づくりに役立てましょう。今回は落ち着きや懐かしさ、重厚感など多様なイメージを持ち、広く愛されている「ブラウン」について解説します。
カツウラアキツ
2016年11月15日
大地や土、樹木、枯れ葉という言葉からイメージされる色「ブラウン」。こうした屋外にある自然の色をはじめ、食べ物や衣類、革製品やファブリック、インテリアの素材や建材に至るまで、実に表情が豊かでバリエーションが広い色です。今回は、このブラウンがどんなインテリア効果やイメージを与えてくれるのかご紹介します。
心が穏やかになる大地や自然の色
私たちの生活のあちこちで見かける色「ブラウン」。色を目にしてまず浮かぶイメージは、樹木の幹や枝、枯葉、土や泥など、雄大な自然や大地に関わるものではないでしょうか。アースカラーのイメージ通り、ブラウンという色はぬくもりや落ち着きを与え、人の心を静めてくれます。また、不満や緊張などネガティブな要素を抱えた不安定な心をゆったりと優しく慰めてくれる、ヒーリング効果もあります。
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食欲を増進する、おいしそうな色
このテーブルの上を見てください。おいしそうに焼けたパンやクッキー、ナッツやドライフルーツ、ソーセージなど、どれもおいしそうな食べ物の色です。ここに共通しているのもブラウン系の色。つまりブラウンは、「おいしそう!」と感じさせる視覚効果もあり、食とは切り離せない色なのです。それぞれ明るい、濃い、赤み寄り、黄み寄りなど色味はさまざまですが、この幅広さこそがブラウンの特徴といえるでしょう。
このテーブルの上を見てください。おいしそうに焼けたパンやクッキー、ナッツやドライフルーツ、ソーセージなど、どれもおいしそうな食べ物の色です。ここに共通しているのもブラウン系の色。つまりブラウンは、「おいしそう!」と感じさせる視覚効果もあり、食とは切り離せない色なのです。それぞれ明るい、濃い、赤み寄り、黄み寄りなど色味はさまざまですが、この幅広さこそがブラウンの特徴といえるでしょう。
実は多様な色の要素をもつ色
ブラウンの色味が幅広いことには理由があります。レッド、オレンジ、イエロー系のトーン(明るさ、鮮やかさの度合い)を下げていくと、ほとんどの場合、ブラウンになるのです。私たちは普段「ブラウン」とひとくくりにして呼んでいますが、ここには実に、レッド、オレンジ、イエローの3つの色相が含まれていることになります。色自体の表情がとても豊かになり、その幅も広くなるはずですね。
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地味だけれど、懐かしくて安らぐ色
ブラウンは地味さや古臭さというイメージもあるため、好きな色には選ばれにくいことも事実。でも特に住空間においては、地味、古いといったイメージは転じて落ち着きやぬくもり、味わい深さや懐かしさを感じさせる効果にもなり、安心感のある空間をつくり出してくれます。昔から木材を多く住まいに取り入れていた日本家屋にはブラウン系の濃淡が多く、温かみや安らぎを感じるのも納得です。
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日本人が編み出した茶系のバリエーション
贅沢がご法度だった江戸時代後期に生まれた「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」も、私たちがこの色に親しみを感じる一因かもしれません。身に着けるものは茶、鼠、藍色のみという制限のあった時代に、この地味な色の範囲の中でブラウンやグレーににさまざまな呼び名をつけ、洗練された「粋」という文化をつくり出した日本人。こうした繊細なブラウンの差を、インテリアでもファッションでも楽しめるのは、日本人ならではの事情があったからともいえるでしょう。
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日本の住宅の定番、ライトブラウン
現代の住まいに目を向けてみると、賃貸住宅でも持ち家でもよく使われているのが、ライトなトーンのブラウンです。床、壁、天井など、インテリアの大きな面積を占めるベース部分に使う家も多く見られます。明るいトーンのナチュラルな自然素材のブラウンからは、穏やかさや安心感が得られます。一日外でがんばってきた心や身体を包み込み、家族の大切な住まいをぬくもりに満ちた空間にしてくれる効果が受け入れられているためでしょう。
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重厚感や伝統と結びつくダークブラウン
写真のパーソナルチェアや革製のトランク、トルソーのような、ダークトーンのブラウンはどうでしょう。ここまで明度を下げると、円熟、大人っぽさ、品格、重厚感、丈夫さといった「価値」に関連するイメージになってきます。また深みのある落ち着いた色合いは、ハイブランドのバッグやトランクなどにも見られるように、伝統や高級感も連想させます。このようにダークブラウンは、インテリアでも同じように、品のある重厚な印象を与えることができます。
写真のパーソナルチェアや革製のトランク、トルソーのような、ダークトーンのブラウンはどうでしょう。ここまで明度を下げると、円熟、大人っぽさ、品格、重厚感、丈夫さといった「価値」に関連するイメージになってきます。また深みのある落ち着いた色合いは、ハイブランドのバッグやトランクなどにも見られるように、伝統や高級感も連想させます。このようにダークブラウンは、インテリアでも同じように、品のある重厚な印象を与えることができます。
さまざまなトーンのブラウンを重ねて
最後に、同じブラウン系で違うトーンの事例も見てみましょう。この写真の部屋では、多くの素材を駆使し、さまざまなブラウンで彩っています。天井のミドルブラウン、床材やウッドフェンスの赤みのブラウン、キッチンの壁のつややかなダークブラウン、キッチンの床のテラコッタのマットなブラウン。これだけ多彩なトーンが集まると、空間に奥深さが増してきます。また、隣の部屋へ視線を移しても、窓の外を眺めても、ブラウンのつながりが自然で、住まい全体に統一感のあるハーモニーが感じられるでしょう。
インテリア計画をつくるときは、床の色、ソファの色など個別の要素だけでなく、空間全体をまとめる色としてブラウンを取り入れてみるのもいいかもしれません。まずは好きなブラウンを見つけることからぜひ、始めてみてください。
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みなさんの家に使われているブラウンは、どんなブラウンですか?
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