色の使い方の基本:「トーン」って何だろう?
やわらかいトーン、元気なトーン、渋いトーン……これらは具体的にどんな色を指すかわかりますか? インテリアの色選びに必ず役立つ「トーン」の基礎をお伝えします。
カツウラアキツ
2016年10月23日
色を表現するときに、よく使われる言葉「トーン」。そもそもこの「トーン」とは、色の明るさを指す「明度」と鮮やかさを指す「彩度」を組み合わせた度合いのことで、それを見たときに感じる印象と深く関わっています。明るい、渋い、元気な、落ち着いた、やわらかい……など、さまざまな形容詞の後ろに「トーン」をつけると、その雰囲気を伝えることができるのはそのためです。でも、「こういう印象のインテリアにする場合、どんなトーンでまとめるといいのかな」と具体的に考えようとすると、よくわからなくなってしまうのも確か。そこでまずは、大まかに分類したいくつかのトーンについて、明度と彩度を軸に説明しながら、それぞれが与える印象やインテリアにもたらす効果についても見ていきましょう。
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インテリアの完成度は「トーン」で決まる
インテリアの印象に統一感があると、見る人に空間のテーマがスムーズに伝わり、センスよく、そして心地よく見えるものです。そんな完成度の高い部屋づくりのためには、たとえばブルー系で揃えるなど「色をまとめる」方法の他に、「トーンを揃える」方法があります。
写真の例は、空間の大きな面積を占める壁面にグリーンとイエローの2色を使っていますが、どちらの色も「明るく優しい印象のトーン」になっています。これが「トーンを揃える」ということで、空間に統一感を生み出す効果的な方法。そして、この「明るく優しい印象」は、彩度と明度の度合いによってつくられています。
次に、いくつかのトーンの例を挙げながら、それぞれが与える印象や雰囲気とインテリア効果をご紹介しましょう。彩度が高いものから順に、明度との関わりを交えて説明します。
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元気でパワフルな、ヴィヴィッドトーン
にぎやかで元気いっぱい、エネルギッシュな印象のインテリアをつくりたい場合は、強く、鮮やかなヴィヴィッドトーンの色を組み合わせると効果的です。彩度が高く、明度は中程度。ひとつひとつの色味も、オレンジやイエローなどをメインカラーに選ぶと、さらに楽しい空間をつくれるでしょう。ただし、トーンが鮮やかで派手すぎると、空間がうるさくなり、煩わしく感じてしまうこともあります。こういった事態を避けたいときは、色と色の境界線に無彩色などを取り入れると、うるささを緩和する「息抜き」となります。
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鮮やかで明るいライトなトーンは子供部屋に最適
小さな子供がいる人から、キッズルームは明るく楽しげな印象にしたいという相談をよく受けます。さまざまな美しい色に触れることは感受性を高める助けにもなるので、子供時代を過ごす環境の色選びはとても大切です。キッズルームに最適なトーンは、原色に白を少し足したような澄んだ色。つまり、やはり彩度が高く、明度も少し高めのトーンです。色味がやや淡くなることで強すぎず、楽しく軽やかな印象を空間にもたらしてくれます。
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大人っぽくやわらかな雰囲気、スモーキーなパステルトーン
インテリアに安らかで優しい雰囲気が欲しいときは、パステルカラーにグレーを少し混ぜたような、スモーキーパステルトーンがおすすめ。彩度を少し抑えめにした、明度の高い色です。日本の住宅ではとても使いやすいトーンで、ブルー、グリーン、イエロー系を選べば北欧風に、ピンクやパープル系なら大人っぽさのなかに可愛らしい雰囲気もつくり出せます。少しおとなしい印象のあるトーンですが、そのため、多くの色を組み合わせても、煩わしくなりにくいのが特徴です。
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渋く重厚で味わい深いダークトーン
同じような彩度で、中程度から低めに明度を下げていくと(つまり暗くしていくと)、ほとんどの色はブラウンやダークグレーのような色に近づいていきます。こうした渋いダークなトーンでは、重厚さや格調高さ、男性的なイメージなどを醸し出すことができます。
いっぽう最近では、ラスティックなテイストやインダストリアルスタイル、ブルックリンスタイルなど、ラフさや無骨さのあるインテリアでダークトーンがよく使われています。時間をかけてつくられた味わい深い質感に似合う、もってこいのトーンといえます。
同じような彩度で、中程度から低めに明度を下げていくと(つまり暗くしていくと)、ほとんどの色はブラウンやダークグレーのような色に近づいていきます。こうした渋いダークなトーンでは、重厚さや格調高さ、男性的なイメージなどを醸し出すことができます。
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ナチュラルで穏やかなニュートラルトーン
どんな色でも、明度は中程度から高めで、色味がほとんど感じられなくなるくらい彩度を下げていくと、石や岩、枯れ草のような色合いの、ナチュラルで静かなニュートラルなトーンになります。一見地味に見えますすが、ほっとくつろげる穏やかさがあり、落ち着きや洗練された印象を与えるトーンです。インテリアでは、シャビーシックなスタイルから、モダンでシャープなスタイルまで使いこなしやすく、現代では広く愛されているトーンといえるでしょう。
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モダンでクールな印象のモノトーン
白、黒、グレーの無彩色の組み合わせや、単色で表現されるモノトーンも、立派なトーンのひとつ。彩度はなく、明度のみで構成されるトーンになります。白と黒のメリハリのある空間はモダンで、無駄がなくすっきりときれいな印象を与えることができます。ただ、明度の差が大きい場合、そのコントラスト効果によって若干緊張感も感じるトーンになります。
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トーンの差を利用する
さて、インテリアで大切なのはもちろん、統一感を出すことだけではありません。まとまりすぎるとかえってつまらなく感じてしまうこともあります。もし、今の空間がまとまりすぎてつまらないと感じるなら、あえて違うトーンの組み合わせを試してみてもいいでしょう。
たとえば、落ち着いたトーンをベースとした部屋に、鮮やかなトーンのものをひとつ加えるだけで、効果的なアクセントになります。イメージの離れたトーンを合わせることで、空間に動きが出るだけでなく、何が主役になるかがはっきりし、個性が引き立ってきます。
このように、明度と彩度を組み合わせた度合いである「トーン」の使い方がわかると、インテリアをお好みのイメージに近づけることができるようになります。次回は、色のトーンの種類と空間にもたらす印象との関係を、さらに詳しくお伝えします。
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大好きな色も…勿論ほかのカラーがもつ意味も.
学習の場として頼もしい限りです.
これからも少しずつですが時間の許す限り*
プロフィールを変えましたT_T
心新たに邁進したいと思います from.coco
coco101088さんにプロフィールを変更されたのですね。改めて、コメントをありがとうございます。また、一つずつ記事を丁寧にみていただいて嬉しい限りですHouzzは私にとっても勉強になる場所です。これからもよろしくお願いします。